皆さん こんにちは。あまが台ファミリークリニック院長の細田です。
今回は人と人との「つながり」が健康に与える影響について書きたいと思います。
人と人との「つながり」が健康に与える影響
20世紀初頭まで西洋医学の主たる課題は、感染症や外傷治療といった救命疾患の克服でした。
それも医学の進歩によって一定の成果をあげたわけですが、一方で癌やうつ病、アレルギー疾患といった慢性の病気は増えるばかりですね。
たばこや、肥満、運動不足、健康を害する要因はいろいろとありますが、より影響をあたえるのが、「人と人とのつながり」であることがわかってきました。
今日はまずこんな研究を紹介します。
1992年のAnals internal medicineという医学雑誌に掲載された内容です。医学雑誌では大変有名な雑誌です。
対象は、心筋梗塞を発症した65歳以上の男女合計194名の患者さんです。
この患者さんを6か月追跡しました。
その際に、
- 年齢
- 性別
- 人種
- 教育歴
- 結婚歴
- 生活環境
- 対象者の感情的
- 社会的サポート
- 抑うつの有無
- 喫煙歴
- 体重
- 身体機能
などを調べ、心筋梗塞後の死亡率との関係を調べました。
先ほどの様々な要因と死亡率の関係を調べていくと、興味深い結果がでました。
それは、感情的、社会的サポートが強い方ほど、死亡率が低いということです。
ここでいう感情的、社会的サポートというのは、なにか困難に出会ったときに相談にのってくれる人、一緒に考えてくれる人という意味です。
研究では感情的、社会的サポートをしてくれる人が0人、1人、2人以上それぞれで半年以内の死亡率がどのくらいか調べています。
2人以上のサポートしてくれる人がいる場合は、26%という結果でした。
この結果からも、感情的、社会的サポートをしてくれる人の存在がどれくらい大きいかわかりますね。
また他の研究では、死亡率に寄与する原因としては、タバコや、肥満、運動不足よりも、人と人とのつながりのほうが大きいという結果がでています。
ここでのつながりというのも、感情的、社会的サポートと同義です。
私自身にとっての「つながり」とは、家族であったり、中学高校時代からの親友もそうです。本音で語れる仲間が、「つながり」かもしれません。人は生きていれば、楽しいときもあれば、つらいときもありますね。
つらいときこそ、相談にのってくれる仲間とのつながりこそ、生きていくうえで大きなサポートになると感じています。
ですので、外来で患者さんをみるときに、この患者さんには、どのようなサポートがあるのだろうか?相談に乗ってくれる方はいるのだろうか?と思いを巡らすこともあります。
今回は「つながり」が健康に与える影響について考えてみました。
プライマリ・ケア、総合診療を専門にする医師だけでなく、看護師さんなど医療従事者にとって大切な考え方だと思うので、共有させていただきました。
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