早期発見が命! 皮膚がん メラノーマ と ほくろ の見分け方
皆さんこんにちは。
あまが台ファミリークリニック、院長の細田です。
私自身はプライマリーケアの専門医として外来を中心に23年医者としてのキャリアがあります。
現在は千葉県長生郡長生村で、総勢13名のスタッフとともに地域医療に少しでも貢献できればと思い、日々外来を担当しています。
このブログを見てほしい方
- 皮膚科専門医ではないが、プライマリケアの現場でこれから開業したい方
- 現在開業、訪問診療をしていて、皮膚科も一緒に勉強したい方
私自身は皮膚科専門医ではないのですが、プライマリーケアで皮膚科の患者さんを多く見ている医師として、上記に当てはまる方のお役に立てれば幸いです。
今回のテーマは皮膚がんと良性のほくろの見分け方についてです。
皮膚がんメラノーマ(悪性黒色腫)の診療のニーズ
私が運営するクリニックでは、5名から7名ぐらいの開業前に研修したいという先生が定期的に来ています。
そういった先生たちからの
「これはほくろなのか、がんなのか心配な患者さんが来たのですが、どうしたらいいですか?」
という質問がとても多いんです。
メラノーマの危険性
メラノーマ(悪性黒色腫)は、皮膚がんの一種です。
他皮膚がんというと、有棘細胞がんや基底細胞がん、ページェット病などがあります。
中でも悪性度が高いのが悪性黒色腫メラノーマなんです。
このように、発見が遅れて転移してしまうと、とても予後が悪いです。
ですのでいかに早期発見できるかがポイントになってきます。
このブログでは、診療でどのように悪性黒色腫を疑うのか、見分け方や良性のほくろとの区別の仕方だったり、これは怪しい!と思うポイントをお話ししたいと思います。
皮膚の基本構造とメラノサイト
解剖を学んだ方はご存じかと思いますが、皮膚の基本構造をまず理解しましょう。
皮膚は、上から順に、角質層、表皮、真皮、皮下組織、筋肉、そして骨で構成されています。
表皮の最下層には、メラニン色素を生成するメラノサイトという細胞があります。
このメラノサイトは、日焼けなどに伴ってメラニン色素を放出し、これが角質層に沈着してシミのように見える原因となります。
角質層は皮膚の保護を担当しますが、アトピー性皮膚炎や慢性湿疹の方はこの角質が薄くなり、乾燥肌になりやすいです。
メラノーマは、このメラノサイトが異常に増殖して形成される腫瘍であり、皮膚がんの一種です。
ABCDEルール
先ほど言ったように早く見つければ5年生存率95%以上ということで、特徴をいかに見つけるかっていうのはとても大事です。
皮膚がんを見分けるためのABCDEルールというのがあります。
見分け方❶Asymmetry 左右非対称性
ABCDEのAはAsymmetryの略で、左右非対称性という意味です。
良性のほくろの場合は左右が対称なんです。
左右対称な場合は良性の可能性が高いということになります。
見分け方❷Border 境界
ABCDEのBはBorderの略です。
境界という意味なんですけど、良性の場合はほくろがあっても境界が明瞭なんですね。
周りとの境目というのはくっきりしているんですけれども、がんの場合は浸潤傾向とか言ったりします。
周りとの区別がつきづらい、こんな感じで墨汁を垂らしたように広がっていく境界が不明瞭な感じなんですよ。
この場合はメラノーマを疑う要素の一つになります。
見分け方❸Color 色
ABCDEのCはColorの略です。
良性の場合はこんな感じで均一な色をしているんですが、がんの場合は不均一なんです。色が濃いところもあれば、もう少し薄いところもある。
他にも黒以外にも茶色、赤、青、白なども見られることがあります。
本当は実際に写真を見れば分かるので、Googleで検索して「ABCDE 画像」とでも入れてもらうと、すごくいろいろな典型的な皮膚の所見というのが分かると思います。
見分け方❹Diameter 直径
そして次にDですね、Diameterです。
例えば皮膚のほくろがあったときに、直径が6mm以上だと可能性が高いと言われているんですが、実際は6mm以下でもメラノーマの可能性というのは否定できません。
ただ、6mm以下の場合は皮膚がんの可能性が低いと考える要素の一つになります。
見分け方❺Evolving
そして最後のEがEvolvingです。
進行や変化という意味になります。
例えば1ヶ月前は2mmだったのが1ヶ月経ったら5mmや6mmになってきた、なんていえばかなり怪しいですよね。
サイズの変化以外にも、例えば形状や色が変わったり、境界が不明瞭になったり。急激な変化があった場合はがんを疑うので、疑わしい時は定期的にフォローして診ていくことが大事です。
ここまでABCDEっていうのを活用して、皮膚がんメラノーマとホクロの違いというのを見ていきましょうねという話をしました。
ダーモスコピーでの診断
最後に、より正確な診断のためにはダーモスコピーというのを使います。
このダーモスコピーというのは皮膚の表面の細かい構造を拡大して観察できるツールになります。
メラノーマの早期発見に非常に有効と言われていて、特徴的なパターンや色の変化を捉えることで悪性黒色腫メラノーマを見分けることに役立ちます。
ここではダーモスコピーについて詳しくは説明しませんが、いろいろな本がAmazonに出ていますので、実際は皮膚科専門の先生の下で学ぶのが一番いいと思いますが、プライマリケアで皮膚科を診ている先生もダーモスコピーを活用している先生が多いと聞いています。
バイオプシー(皮膚生検)
最後に、やはり本当に疑わしい場合は、バイオプシー、いわゆる皮膚生検です。
特にABCDEの特徴が一つでも当てはまる場合や、患者さんの不安が強い場合は形成外科や皮膚科の先生に紹介して、バイオプシーを行って病理専門医に診てもらうという流れになります。
はっきりわからないなという場合は、皮膚科専門医に紹介して、皮膚科専門医の先生の判断でバイオプシーを行うことが大切です。
患者さんへの対応
ここまでメラノーマと良性のほくろを見分けるために、ABCDEとダーモスコピー、そして最終的には生検までの流れをお話ししました。
私自身のクリニックでも、ほくろがあって「これはがんじゃないですか?」と言ってくる患者さんがとても多いです。
特に足の裏ですね、メラノーマで一番多いのが末端黒子型と言って足の裏や手など末端にできるタイプが多いんです。
足の裏にほくろがあるけど心配だという患者さんもいらっしゃいます。
そういう場合、ダーモスコピーを活用したり、写真撮影をしてカルテに記録して、定期的にフォローするか、必要に応じて皮膚科専門医に紹介するというのが重要です。
ここまでいかがでしたでしょうか。
ほかにも家庭医プライマリ・ケアの診断について紹介していますので、興味のある方はぜひご覧ください。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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