とびひ(伝染性膿痂疹)について

とびひ(伝染性膿痂疹)について

とびひ(伝染性膿痂疹

黄色ブドウ球菌或いは化膿性連鎖球菌というばい菌による皮膚の感染症です。菌が生み出すトキシン(毒)によって、皮膚の構造が破壊され、びらんや水ぶくれなどを生じます。やけどが広がるように病変が拡大していくことがあって、(とびひ)という名前が使われています。

診断はどうやってするんですか?

とびひに特有の水疱びらんが出ることがありますが、紛らわしい場合もあります。例えば夏は虫刺され、それ以外では、刺激性皮膚炎や乾燥による掻きむしりなどで発症することが多いです。

区別すべき病気はなんですか?

とびひ(伝染性膿痂疹)に似ているけど怖い疾患があります。

代表的なものがブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群です。これは新生児や乳児に発症します。この場合の皮膚の特徴としては、口の周囲が放射線状に亀裂が入るのが特徴です。他に目やにがでて目の周囲も赤くなります。この二つがそろったら急いで専門病院にご紹介する必要があります。それ以外に全身症状として38℃以上の発熱、体幹や手足にも、赤い発疹が目立ってきます。極めて危険な状態ですので注意が必要です。

虫刺され、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹などの掻きむしりがベースにあることも珍しくありませんので、とびひと初期は区別が難しい場合がありますので、外用薬や、内服薬を処方して様子をみる場合があります。とびひに特徴的な写真を保護者の皆さんに共有し、こういうふうになったらすぐ来てくださいねと当院では説明することが多いと思います。

とびひ(伝染性膿痂疹)の治療はどうしたらいいんですか?

軽症の場合(皮膚の発疹が小さなものも含めて概ね10個未満、ある範囲におさまっている場合)

この場合は、感染した部位をお風呂でしっかり洗浄すること、アクアチムクリームやフシジンレオ軟膏などを使って外用剤を塗布して、ガーゼで保護します。(患者さんによっては病変部位が蒸れてしまって、菌が繁殖することもありますので、外用剤の塗布だけで済ます場合もあります。)

お風呂で病変部を洗い流すやり方ですが、ゴシゴシこすらずに、そっと微温湯で流してください。消毒は必要ありません。毎日洗ってください。

ガーゼは、くっついてしまって取るときに痛い場合がありますので、リント布や、チュビファースト等で保護することが多いです。

重症のとびひ(伝染性膿痂疹)びらんなどの発疹が体や手足に10個以上ある、広範囲に生じている場合

この場合は、抗生物質を内服していただきます。何を処方するかは、地域での耐性菌発生状況を考慮して決めます。

かさぶたとびひの場合

この場合、A群β溶連菌が関係している場合がありますので、迅速検査で診断する場合があります。溶連菌に因るものと判明したら、アモキシシリンという抗生物質を内服していただきます。

とびひがあって、痒みが強い場合

夜中も掻きむしり、不眠になるなど強い痒みの原因はアトピー性皮膚炎なのか、それとも皮膚の油が足りないために起こる湿疹なのか、あせもなのか、虫刺されなのか色々な誘因が考えられます。これらの痒みをしっかりと治療したないとびひも治らないことがあります。ですので、かゆみ止めの軟膏を併用して治療することが多いです。

軽い痒みの場合

この場合は、とびひそのものの炎症で痒みを生じていると考えて、抗菌薬の外用剤等、抗ヒスタミン薬の内服で対応可能なことが多いです。

MRSAが疑われ、なかなか改善しない場合。

近年耐性菌が問題になっています。。とびひも同様で、MRSAという耐性菌が疑われる場合は、それに効果のある抗生物質を使用して、内服していただく場合があります。この場合も、発熱があったり水分が摂れないなど、全身状態があまり思わしくない場合は、迅速に専門病院に紹介させていただきます。

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