
健康診断で尿酸値が高かった方へ
尿酸値が高いけれど、症状がないから放置しても大丈夫だと思っていませんか?
「健康診断で尿酸値が8.0mg/dLと言われたけれど、どこも痛くない」
「足の親指が突然腫れて痛くなったが、数日で治ったのでそのままにしている」
「ビールを控えれば、薬を飲まなくても大丈夫なのだろうか」
このような疑問や不安を抱えている方は少なくありません。
この記事を監修する医師
皆さん、こんにちは。あまが台ファミリークリニック院長の細田です。

私は医師歴25年の家庭医療専門医として、地域医療の最前線で、内科・糖尿病内科・小児科・皮膚科を含む幅広い症状や病気を診療しています。
高尿酸血症は、尿酸値だけを見る病気ではありません。痛風発作の有無だけでなく、腎機能、尿路結石、高血圧、脂質異常症、糖尿病、肥満、服用している薬などを総合的に確認することが大切です。
先に結論をお伝えします
尿酸値が高くても、すぐに全員が薬を飲むわけではありません。しかし、症状がないからといって、何年も放置してよいわけでもありません。尿酸値の高さ、痛風発作の有無、腎臓病や尿路結石などの合併症を確認し、生活習慣の改善だけでよいのか、薬を使うべきかを判断します。
高尿酸血症とは?尿酸値はいくつから高いのか高尿酸血症とは、性別や年齢にかかわらず、血液中の尿酸値が7.0mg/dLを超える状態です。※1
血清尿酸値
7.0mg/dL以下
高尿酸血症の診断基準には該当しません
血清尿酸値
7.0mg/dL超
高尿酸血症と診断されます
尿酸は、体内の細胞や食事に含まれるプリン体が分解されてできる老廃物です。
作られた尿酸の多くは腎臓から尿中へ排泄され、一部は腸管から排泄されます。
尿酸が作られすぎる場合、体外へ排泄しにくい場合、あるいはその両方が重なると、血液中の尿酸値が高くなります。
「プリン体を多く食べたから尿酸値が上がる」と考える方も多いのですが、実際には、体質、腎機能、肥満、飲酒、脱水、服用薬なども影響します。
食事だけを責めても、十分に改善できないことがあるのです。
尿酸値が高くても、なぜ症状がないのですか?
高尿酸血症だけでは、多くの場合、自覚症状がありません。
そのため、「痛くないから問題ない」「健康診断で毎年高いけれど、体調は良い」と考えてしまう気持ちはよく分かります。
しかし、尿酸値が高い状態が長く続くと、溶けきれなくなった尿酸が針のような尿酸塩結晶となり、関節や腎臓などに少しずつたまります。
つまり、痛風発作は突然起こるように見えても、その背景では、長い時間をかけて尿酸塩結晶が蓄積していることがあります。
痛風発作はどのような症状ですか?
痛風発作は、関節にたまった尿酸塩結晶を免疫細胞が異物とみなし、強い炎症を起こすことで発症します。
典型的には、夜間から早朝にかけて、突然一つの関節が赤く腫れ、激しく痛みます。
痛風発作でみられやすい特徴
- 足の親指の付け根が突然赤く腫れる
- 足首、足の甲、膝などが強く痛む
- 関節に触れただけでも激痛が走る
- 靴や布団が触れるだけでも痛い
- 歩くことや体重をかけることが難しい
- 痛みが始まって24時間以内に強くなる
痛風は足の親指の付け根に起こることが有名ですが、足首、足の甲、膝、アキレス腱周辺などに起こることもあります。
また、痛風発作中は血清尿酸値が一時的に低くなることがあります。そのため、発作時の尿酸値が正常だったという理由だけで、痛風を完全に否定することはできません。※1
痛風に似た病気にも注意が必要です
関節が赤く腫れて激しく痛む病気は、痛風だけではありません。
特に見逃したくないのが、関節内に細菌が入り込む化膿性関節炎です。
治療が遅れると関節が破壊されたり、感染が全身へ広がったりする可能性があります。
次の症状がある場合は早めに受診してください
- 発熱や寒気を伴っている
- 関節の赤みや腫れが急速に広がっている
- 体重をまったくかけられないほど痛い
- けが、傷、注射、手術の後に腫れた
- 糖尿病や免疫力が低下する病気がある
- 人工関節が入っている
- 初めて経験する激しい関節痛である
「いつもの痛風だろう」と自己判断せず、初めての発作や普段と違う症状では医療機関を受診することが大切です。
高尿酸血症を放置するとどうなりますか?
高尿酸血症を放置すると、痛風発作だけでなく、尿路結石や腎障害につながることがあります。※1、※2

痛風発作の再発
痛みが治まっても、尿酸塩結晶が残っていれば、発作を繰り返す可能性があります。
尿路結石
尿中で結晶ができると、背中や脇腹に激痛を起こす尿路結石につながることがあります。
腎機能への影響
腎機能が低下すると尿酸を排泄しにくくなり、さらに尿酸値が上がる悪循環になることがあります。
痛風結節・関節障害
長期間コントロールされないと、耳や関節周囲などに痛風結節ができ、関節が変形することがあります。
高尿酸血症のある方では、肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病などを合併していることも多いため、尿酸値だけでなく生活習慣病全体を確認することが重要です。※2
ただし、高尿酸血症だけが心筋梗塞や脳卒中を直接引き起こすと単純に断定することはできません。
尿酸値を確認すると同時に、血圧、血糖、脂質、体重、腎機能、喫煙習慣などを総合的に管理することが大切です。
尿酸値が高いと言われたまま、放置していませんか?
痛みがなくても、尿酸値、腎機能、尿路結石の既往、血圧や体重などを確認することで、今後の治療方針を整理できます。

高尿酸血症になりやすい原因
高尿酸血症には、尿酸が作られすぎるタイプ、尿酸を排泄しにくいタイプ、両方が重なるタイプがあります。
患者さんの中には、「自分はレバーも魚卵も食べないのに、なぜ尿酸値が高いのか」と疑問に感じる方もいます。
その疑問はもっともです。高尿酸血症は、プリン体の多い食事だけで決まる病気ではありません。
- 遺伝的な体質や家族歴
- 肥満や内臓脂肪の蓄積
- アルコールの摂取
- 砂糖や果糖を多く含む清涼飲料
- 脱水や水分不足
- 腎機能の低下
- 激しい無酸素運動
- 急激な減量や極端な食事制限
- 利尿薬など一部の薬
- 乾癬、血液疾患、がん治療など細胞の代謝が増える状態

ビールをやめて焼酎にすれば大丈夫ですか?

結論からいうと、焼酎やウイスキーなどプリン体の少ないお酒であっても、飲みすぎれば尿酸値を上げる可能性があります。
アルコールそのものが体内で尿酸の産生を増やし、腎臓からの尿酸排泄を妨げるためです。
さらに、飲酒時にはレバー、魚介類、肉類などプリン体やエネルギー量の多いおつまみを食べやすくなります。※3
「ビールだけをやめればよい」と思いたい気持ちは分かります。
しかし、重要なのは種類を替えることだけではなく、アルコール全体の量と頻度を見直すことです。
甘い飲み物にも注意が必要です

清涼飲料水、ジュース、エナジードリンクなどに多く含まれる果糖は、尿酸の産生を増やす方向に働きます。
「お酒は飲まないから大丈夫」と思っていても、甘い飲み物を日常的に多く飲んでいる場合は見直しが必要です。
水分補給には、水や無糖のお茶を基本にすることをおすすめします。
高尿酸血症の検査では何を確認しますか?
当院では尿酸値だけを見るのではなく、患者さんの背景に応じて次の項目を確認します。
- 血清尿酸値
- クレアチニン、eGFRなどの腎機能
- 尿検査
- 肝機能
- 血糖値、HbA1c
- LDLコレステロール、中性脂肪
- 血圧
- 体重、BMI、腹囲
- 痛風発作や尿路結石の既往
- 服用している薬
尿酸値は、脱水、飲酒、食事、激しい運動、体調などの影響で変動します。
一度だけ高かった場合には、状況に応じて再検査を行い、持続的に高いかどうかを確認します。
尿酸値が高い場合、薬はいつから必要ですか?
高尿酸血症と診断された方が、全員すぐに薬を飲むわけではありません。
薬物治療を検討する際は、次の点を総合的に判断します。
- 痛風発作を起こしたことがあるか
- 痛風結節があるか
- 尿路結石を起こしたことがあるか
- 腎機能が低下しているか
- 高血圧、糖尿病、心血管疾患などの合併症があるか
- 血清尿酸値がどの程度高いか
- 生活習慣を改善しても高値が続いているか
症状がない高尿酸血症で薬を検討する目安
- 尿酸値9.0mg/dL以上:合併症がなくても薬物治療を検討します
- 尿酸値8.0mg/dL以上:腎障害、尿路結石、高血圧、糖尿病などがあれば薬物治療を検討します
実際の治療開始時期は、年齢、腎機能、合併症、薬の副作用リスクなどによって異なります。※1
痛風発作を起こしたことがある方では、発作を繰り返さないために、尿酸降下薬による長期的な管理を検討します。
尿酸値の治療目標はいくつですか?
痛風発作や痛風結節のある方では、血清尿酸値を6.0mg/dL以下に保つことが望ましいとされています。※1
高尿酸血症の診断基準は7.0mg/dL超なのに、なぜ治療目標は6.0mg/dL以下なのかと疑問に思うかもしれません。
これは、すでに関節などへたまっている尿酸塩結晶を少しずつ減らし、痛風発作の再発を防ぐためです。
ただし、尿酸値を急激に下げると、その変動をきっかけに痛風発作が起こることがあります。そのため、尿酸降下薬は少量から開始し、血液検査を確認しながら段階的に調整します。
痛風発作が起きたときの治療
痛風発作の治療では、まず関節の強い炎症と痛みを抑えます。
患者さんの年齢、腎機能、胃潰瘍、心臓病、服用薬などを確認し、次のような薬から適切なものを選びます。
- 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
- コルヒチン
- 副腎皮質ステロイド薬
腎機能が低下している方、胃潰瘍の既往がある方、抗凝固薬を服用している方などでは、NSAIDsを安易に使用できないことがあります。
市販の鎮痛薬を自己判断で繰り返すのではなく、持病や服用薬に合わせて治療を選ぶことが重要です。
尿酸降下薬をすでに飲んでいる方へ
痛風発作が起きたからといって、尿酸を下げる薬を自己判断で中止しないでください。薬を中断すると尿酸値が変動し、発作を悪化させる可能性があります。処方した医師へ相談してください。
尿酸値を下げる薬にはどのようなものがありますか?
尿酸降下薬は、大きく分けると次の二つです。

尿酸が作られるのを抑える薬
アロプリノール、フェブキソスタット、トピロキソスタットなどがあります。
尿酸の排泄を促す薬
ベンズブロマロン、ドチヌラドなどがあります。
どの薬が適しているかは、腎機能、肝機能、尿路結石の有無、高尿酸血症の病型、ほかの薬との相互作用などによって異なります。
薬を飲み始めた後は、尿酸値だけでなく、腎機能や肝機能、副作用の有無も定期的に確認します。
生活習慣は何から変えればよいですか?
高尿酸血症の生活改善は、「プリン体を完全に避けること」だけが目的ではありません。
むしろ、体重、飲酒、甘い飲み物、水分、運動などを全体として整えることが重要です。
1.飲酒量と休肝日を見直す
ビールだけでなく、焼酎、ワイン、日本酒、ウイスキーを含め、アルコール全体の量と頻度を見直します。
2.甘い飲み物を減らす
清涼飲料水やジュース、エナジードリンクではなく、水や無糖のお茶を選びます。

3.肥満がある場合は無理のない減量を行う
内臓脂肪が減ると尿酸代謝の改善が期待できます。ただし、絶食や糖質を極端に減らす急激な減量は、尿酸値を上げることがあるため注意します。
4.水分を適切に取る
脱水を避けることは、尿酸値の上昇や尿路結石の予防に重要です。
ただし、心不全や腎不全で水分制限を受けている方は、主治医の指示を優先してください。
5.軽い有酸素運動を続ける
ウォーキング、軽いジョギング、自転車、水泳などが適しています。脱水を伴う高強度運動や急激な無酸素運動は、尿酸値を一時的に上げる可能性があります。※2、※4

プリン体の多い食べ物は、一切食べてはいけませんか?
一切食べてはいけないわけではありません。
レバー、白子、一部の干物など、プリン体を非常に多く含む食品を頻繁に大量摂取することは避けた方がよいですが、すべての肉や魚を禁止すると、食生活が偏ってしまいます。

「食べてはいけないもの」を増やしすぎるよりも、食べる量と頻度を見直し、野菜、豆類、全粒穀類などを含めたバランスのよい食事を続けることが現実的です。※2
高尿酸血症・痛風について
よくある質問
診察時に患者さんからよくいただく質問にお答えします。
高尿酸血症は「痛くなってから」ではなく、痛くなる前の管理が大切です
高尿酸血症は、自覚症状がない時期が長いため、治療の必要性を実感しにくい病気です。
しかし、痛風発作が起きていない時期こそ、生活習慣を見直し、尿酸値、腎機能、尿路結石、ほかの生活習慣病を確認する機会です。
一方で、健康診断で尿酸値が少し高かっただけで、過度に不安になる必要もありません。
大切なのは、「尿酸値が高いからすぐ薬」「症状がないから何もしない」という二択ではなく、ご自身の尿酸値と合併症に合わせて治療方針を決めることです。
あまが台ファミリークリニック
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参考文献
- 日本痛風・尿酸核酸学会ガイドライン改訂委員会編.高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版 2022年追補版.診断と治療社,2022.
- 厚生労働省 健康日本21アクション支援システム.高尿酸血症.2024年7月5日更新.
- 厚生労働省 e-ヘルスネット.アルコールと高尿酸血症・痛風.
- 上石知溫ほか.尿酸代謝と運動療法.痛風と尿酸・核酸.2025;49:131-138.
この記事は一般的な医療情報の提供を目的としたものであり、個別の診断や治療に代わるものではありません。急な関節の腫れ、発熱、強い痛みなどがある場合は、医療機関へご相談ください。



