下痢

下痢

下痢について

下痢の原因は?

ウイルスの感染が主な原因です。

他にも細菌や抗生剤の副作用や,消化管に関係しない感染症(中耳炎,尿路感染症など)で起こる場合もあります。ごくまれな原因をいれると多くの原因が挙げられます。

ウイルス,細菌性,寄生虫などは伝染性がありますから,親は感染が広がるのを防ぐことに注意が必要です。

手から口への感染経路が主なので,家族や接触した方は手洗いがとても重要です。

嘔吐や下痢は、悪さをする病原体を早く体の外に出そうとする体の大切な防御反応の一つです。

特に下痢は、薬で止めると治るが遅くなったり重症化するおそれがあります.ウイルスの場合は自然に治る傾向があり、嘔吐は半日~1日、下痢は約1週間で快方に向かっていきます。

  • ウイルス感染:最も多い原因です。冬に多く、水様下痢,嘔吐,発熱(38度以上),頭痛,腹痛,食欲低下,筋肉痛など多彩な症状になります。接触後12hから発症し,3-7日間でよくなることが多いですが、特別な治療はなく,口からの水分摂取,食事制限,休養が大切です。
  • 細菌感染:ウイルス感染と区別が難しいときがありますが,持続性の発熱(40度以上),血性下痢あるいは粘稠な下痢を呈することが多いです.ウイルスと同じく,口からの水分摂取,食事制限,休養が大切ですが,ある特別な状態では抗生剤を必要とするかもしれません.

    • 寄生虫感染:海外旅行後や,汚染された水を飲んだ病歴がある場合には考慮します.2週間以上続きます.
    • 抗生剤が原因の下痢:ほとんど全ての抗生剤が原因となりえます(だからこそ必要な場合を除き,できるだけ抗生剤は飲まないほうが無難です)たいては症状は穏やかで飲むのをやめれば1-2日でよくなります.重症な場合や,血性の場合,中止してもよくならない場合は医療機関を受診しましょう.

何がこわいの?

脱水がすすむと危険です.嘔吐や下痢のため、体内の水分や塩分が大量にうしなわれると、脱水状態といって、お子さまの状態が悪くなることがあります。

水分と電解質の補給が適切に行われないと、脱水状態はさらに悪化していきます。

とくにお子さまが乳幼児の場合、重症化しやすいので、注意が必要です。

脱水のサインは?

軽い脱水は下痢では普通に見られますが,問題は中等度~重度の脱水です.重症の場合は入院による点滴が必要になりますので、いかに軽い状態で水分をとれるようにするか?が大切です。

  • 軽い脱水:わずかなdry mouth,のどが渇く,6時間で最低1回の排尿あり,もしくはオムツが濡れている
  • 中等度~重度の脱水6時間で排尿なし,もしくはオムツが濡れていない 泣いたときに涙がでない,くぼんだ眼,口の中が乾いている

自宅におけるケアの方法

脱水でない子供は,以下の表のようなものを食べてOKです。授乳中の場合も脱水がなければ,続けて心配ありません。脱水状態のときは,失われた水分を補う(補液)のが優先です。

詳しい補液の方法は以下に記載しています.
補液が行われれば,脱水が改善されて食欲も自然と出てきます.

<補液の方法>

経口補液療法(口から失われた水分を効果的に補う方法)は安全に,安い費用,より簡単にできる治療法です

経口補液療法は糖分と下痢で失われたナトリウムなどの電解質を含んでいます.薬局などで購入できます.

当院ではアクアライトをすすめています.下痢を治すわけでないが脱水を改善します.

ゼラチン,お茶,おもゆ,フルーツジュースなどはお子さんの脱水には勧めませんが,手に入らないときは,ポカリスエット、味噌汁のうわずみ、リンゴの絞り汁などを与えます。

普通は、嘔吐する時間は数時間から約一日程度で、止まってきます。

嘔吐止めを使用し嘔吐が止まるのを待ちます。吐いたら2・3時間は、水分を与えません。絶食が最も良いのです。(この時期は与えても吐くだけですから。)

経口補液療法は食べれない,もしくは,吐いて下痢している軽度の脱水のこどもが対象です.

3,4時間かけて少量ずつこまめにあげてください.以下のような手順をすすめます.

  • まず4時間かけて接種する必要な水分量を計算します.
  • キログラムあたり50ml必要です.例9kg 450ml
  • ティースプーンなどで少量ずつ,1,2分ごともしくは可能な範囲でこまめにあげます.

総量を飲めたら,通常の食事(ただし上記表のものが望ましい)を試しても大丈夫です.

<脱水でないときに勧められる食べ物>

お勧めできる食品 避けた方がよい食品
穀類・イモ類 うどん・餅・食パン・じゃが芋・里芋・豆腐・きな粉 すし・中華めん・玄米・ロールパン
野菜 軟らかく煮た野菜・かぼちゃ・にんじん・かぶ・キャベツ・大根・ほうれん草 繊維の多い野菜・たけのこ・ごぼう・きのこ類
肉・魚類 脂肪の少ない魚・肉・たい・カレイ・ひらめ・はんぺん・鶏のささみ 脂肪の多い魚・肉・いわし・さば・干し物・貝類・ハム・ベーコン・ソーセージ
果物 りんご・バナナ・白桃 みかん・梨・イチゴ・すいか
嗜好品 プリン・ボーロ・ゼリー・ウエハース ケーキ類・ナッツ・せんべい・炭酸飲料・オレンジ果汁・ココア・コーヒー・アイスクリーム
その他 海草類・漬物

○おふろ

嘔吐・下痢がひどく、元気のないときだけ中止します。

おしりはきれいにあらってあげましょう。

ベビーオイルなどをしっかり塗ってカブレないように注意しましょう。(おしりを洗うだけにするとカブレがひどくなります。)

○手洗い

手洗いと吐物、便の始末をしっかりして、家庭内感染に注意しましょう。

感染予防には、手洗いが基本です。

○保育園、学校

基本的に下痢をしている場合は休みますが、おむつの始末がきちんとできる場合は通園できます。

この場合、おむつお処理をする人がよく手洗いをすることが大切です。

トイレできちんと処理できる子は通園、通学はかまいません。

すぐに医療機関を受診したほうがよいときは?

どれかひとつでも該当したとき

  • 血性下痢(点状,糸状にほんのわずかな血が混じる程度であれば心配ありません)
  • 2,3時間しても食事または水分をとれない
  • 中等度から重度な脱水
  • 間欠的な腹痛(痛くなったり治ったりする)もしくはひどい腹痛がつづく
  • 3日以上続く38度以上の発熱
  • ぐったりしていたり,反応に乏しいなどの行動異常を伴うとき

急な病気

予防と治療

抗生剤や下痢止めは,ほとんどが必要ないばかりか,幼児,子供の下痢に害になる場合もあります。

まれに旅行後などある特定の下痢に抗生剤を使用しますが,不適切な使用は副作用だけでなく,いざというときに抗生剤が効かない耐性菌を生み出すきっかけになります。

下痢止めはリスクと効果を天秤にかけると勧められません.
リスクの一つに症状をマスクしてしまうのと,治癒を遅らせてしまうことがあります.

整腸剤(ラックビー,ビオフェルミン)は,症状の期間を短くするかもしれませんのでよく処方します.

子供同士,家族とその周囲への感染予防が大切です.そのためには手洗いをまめにして,オムツの取り扱いに注意が必要です.

手洗い

効果が高い方法です.

水で濡らしてから石けんで泡立てて最低15-30秒間洗って下さい.

特に爪周囲,指の間,手首は念入りに.その後タオルですぐに乾かします.(タオルは1回で交換)

もし手洗いが難しいようでしたら,アルコール消毒で代替できます.

手洗いは,食事の準備と食事の前後や,オムツを替えた後,ペットを触った後,くしゃみ,鼻水をさわったあとには必ずやってください。

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当院は、お子さんからご高齢の方まで家族みんなで受診できるクリニックがコンセプトです。内科、小児科、皮膚科、糖尿病内科と幅広い病気に対応します。

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