こどもの風邪について

こどもの風邪について

かぜについて(こども)

風邪の症状,自然経過は?

鼻づまりが目立ち,透明から黄色または緑色の鼻水がでることも多く,38度以上の発熱が最初の3日間くらいは出ることが多いです.他に咽頭痛や,せき,食欲低下,リンパ節が腫れるなど多彩な症状が含まれます。

風邪の多くは遅くとも10日間で症状が治りますが,一部は長引きます.加えて風邪が治ったらすぐに,別の風邪にかかるということも珍しいことではありません.特に秋や冬は風邪を繰り返してあたかも同じ風邪を数週間以上患っているように見える場合もあります。ただし,長引く場合や重症な症状がある場合は,下記のような合併症がないか疑う必要があります.

風邪の原因は?

多くのウイルスが原因です。ライノウイルス,RSウイルス,インフルエンザウイルス,パラインフルエンザウイルス,アデノウイルスなどが就学前の風邪の原因となります。

特に多いのがライノウイルスで原因の50%近くを占めます.他にもエンテロウイルス(エコーウイルス,コクサッキーウイルス)やコロナウイルスなど.これらのウイルスの多くが子供に特徴的な症状を呈することがあります.

RSウイルス:2歳以下の急性細気管支炎
パラインフルエンザウイルス:クループ
コクサッキーウイルス:ヘルパンギーナ(伝染性紅斑)
アデノウイルス:咽頭結膜熱

風邪はどうやって他人に伝染するの?

人から人へと,物を介しての大きく2つに分けられます.

症状が出始めてから最初の2-4日間が最も移りやすいです.典型的には患者さんの手を介してウイルスが運ばれます。

あるお子さんが風邪にかかり,他の子供や大人に触れ,その人が自分の眼や鼻,口に触れた場合に感染が起こり得ます。

他に吐く息,せき,くしゃみなどからウイルスを吸い込む場合もあります。ドアの取っ手やおもちゃなどの表面にあるウイルスが手につく場合もあります。

風邪の合併症は?

細菌性副鼻腔炎 ①鼻水,咳が10日以上つづく ②39度以上の発熱,黄色鼻汁,歯が痛む,上顎の痛みがある場合などに疑います。
肺炎:高熱がつづく,呼吸が荒い場合,肩で息をするなどで疑います.


急性中耳炎:風邪の5-15%に細菌性もしくはウイルス性の中耳炎を合併します.耳の痛みを訴える場合もあります.
喘息:風邪をひくことで喘息を引き起こすことがあります.息を呼くときにヒューヒュー音が聞こえます。

風邪と区別が必要な病気は?

アレルギー性鼻炎:アレルギーでは鼻や目のかゆみ,くしゃみなどが有る点で区別できます.
百日咳:発作的に激しい咳がでます,10日以上咳が続きます.
インフルエンザウイルス:高熱,悪寒,関節痛など症状がつよく,流行していれば疑います.

抗生剤は必要ですか?

一般的に風邪は上述のように,ウイルスが原因で起こりますので,抗生剤は効果がありません。

また抗生物質は、薬疹,下痢などの副作用が出現する恐れもありますし,近年増加している耐性菌(抗生剤が効かない菌)の発生を助長します。

しかし上記のような合併症(細菌性副鼻腔炎,肺炎,急性中耳炎などの細菌感染)が疑われる場合は抗生剤が必要かどうか検討が必要ですのでかかりつけ医に早めに受診してください。

風邪の治療と予防は?

自宅で出来る簡単な方法で予防が可能です.
うがい、手洗い:効果が高い方法です.水で濡らしてから石けんで泡立てて最低15-30秒間洗って下さい.特に爪周囲,指の間,手首は念入りに.食事の前後,くしゃみ,せきの後にやると効果的です.
現実的には難しい部分もあるかもしれませんが,風邪の人との接触を避けましょう.

医療機関を受診した方がよいのはどんな時?

以下のときは,昼夜を問わず受診する(夜間は救急外来)ようにしてください.

水分摂取困難が長引く場合(脱水が疑われる場合)
呼びかけても反応が悪い
呼吸困難:動くのも苦しい,息が荒い

 

以下の症状があり,悪化していく,もしくは心配な場合は早めに受診してください

38度以上が3日以上続く
鼻閉,鼻水,せきが10日以上続く
眼が赤い,あるいは黄色い目やにが止まらない
中耳炎を疑うとき(耳の痛み,つまり感など)

この記事の監修者
細田 俊樹
  • 医療法人社団緑晴会 あまが台ファミリークリニック 理事長
  • 日本プライマリ・ケア連合学会 家庭医療専門医

年間15,000人以上の患者さんを診察している総合診療専門医。
総合診療という専門分野を生かし、内科、皮膚科、小児科、生活習慣病まで様々な病気や疾患に対応している。
YouTubeでよくある病気や患者さんの疑問に対して解説している

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