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【医師監修】睡眠時無呼吸症候群の治療法を徹底比較|CPAP・マウスピース・手術・レーザー治療の違いを医師解説【千葉・茂原エリアからも通院可】

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「最近、いびきがうるさいと言われる」
「朝起きてもスッキリしない」
「昼間に強い眠気を感じる」

――そのような症状はありませんか?

実はそれ、睡眠中に呼吸が止まっているサインかもしれません。

放っておくと、高血圧・糖尿病・心筋梗塞・脳卒中・認知症などのリスクが2〜4倍に上がることがわかっています(※1)。
つまり、いびきは単なる生活習慣の問題ではなく、命に関わる病気の始まりであることもあるのです。

眠っている間に呼吸が止まる ― それが「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」

「しっかり寝たはずなのに朝からだるい」
「家族に“いびきが止まってたよ”と言われた」
「昼間の眠気で仕事や運転に支障が出る」

こうした症状があった場合、原因は睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)の可能性があります。

10秒以上呼吸が止まることを「無呼吸」と呼び、1時間に5回以上の無呼吸があるとSASと診断されます。
20回以上で「中等度レベル」とされ、心臓や脳への負担が大きくなり、心筋梗塞や脳卒中、運転事故、高血圧、糖尿病のリスクが高まることがわかっています。
40回以上は「重症レベル」で、8年後の生存率が60%と突然死の原因とも言われています。

本記事 監修医師紹介

こんにちは。
医療法人社団 緑晴会 あまが台ファミリークリニック 院長の細田俊樹です。
(家庭医療専門医/日本睡眠学会 正会員/日本糖尿病学会 正会員)

年間延べ1,600人以上の睡眠時無呼吸症候群の患者さんを治療しています。

こちらのページでは、睡眠時無呼吸症候群の原因、検査、治療やよく聞かれる質問についてわかりやすく解説していますので、参考にしていただけると嬉しいです。

目次

睡眠時無呼吸症候群の主な原因

いびきの発生のメカニズムのイメージ

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、寝ている間に空気の通り道(気道)が狭くなることで起こります。
呼吸が止まるたびに脳が「息をしなさい」と目を覚まし、ぐっすり眠れなくなってしまうのです。

主な原因は以下のようなものがあります。

肥満首まわりや舌の付け根に脂肪がつくことで、気道が圧迫され、空気の通り道が狭くなります。

② 顎の形:もともと下あごが小さい方や後退している方は、舌の位置が後ろに下がりやすく、空気が通りにくくなります。

③ 鼻づまりやアレルギー:鼻の通りが悪いと、口呼吸になりやすく、気道が狭くなりやすくなります。花粉症やアレルギー性鼻炎が関係することもあります。

④ 鼻茸(鼻ポリープ):鼻の粘膜が慢性的な炎症でふくらみ、ポリープ状になったものです。鼻の奥をふさいで空気の流れを妨げ、無呼吸の一因となることがあります。

⑤ 鼻中隔湾曲症:左右の鼻の通り道を分ける「鼻中隔(びちゅうかく)」が曲がっている状態です。片方の鼻が詰まりやすくなり、睡眠中に十分な呼吸ができなくなる場合があります。

⑥ 飲酒や喫煙:アルコールはのどの筋肉をゆるめ、喫煙は気道の炎症を起こしやすくするため、無呼吸を悪化させます。寝る3時間前の飲酒を避けることが大切です。

⑦ 加齢:年齢とともに筋肉のハリが減り、気道を支える力が弱くなります。その結果、寝ている間にのどが閉じやすくなります。

⑧ 扁桃肥大や舌が大きい:特に小児や若年層では、扁桃腺が大きかったり、舌が厚めの方では、気道がふさがりやすくなります。

これらの原因はひとつだけでなく、いくつかが重なって起きることが多いのが特徴です。
そのため、正確な原因を調べるには、まずは睡眠中の呼吸を測定することが大切です。

まずは「検査」から

睡眠時無呼吸症候群は、いきなり治療を始める病気ではありません。
まずは、「どのくらい呼吸が止まっているのか」を確認することが大切です。

検査には、2つのステップがあります。

① 簡易検査(自宅でできる検査)

  • 指先と鼻の下にセンサーをつけて、一晩眠るだけ
  • いびきの強さ、酸素の下がり方、呼吸停止の回数(AHI)を測定
  • 保険3割負担で、自己負担はおよそ2,700円程度

結果として、1時間あたりの無呼吸の回数(AHI)がわかります。

たとえば、AHIが5回以下なら正常範囲、AHIが20以上だと中等症、40以上なら重症といった感じです。

この数値によって、次のステップが決まります。

② 精密検査(ポリソムノグラフィー:PSG)

簡易検査でAHI(無呼吸の回数)が20回以下「中等度の可能性がある」と判断された場合に本当に睡眠時無呼吸症候群があるかないか、最終的に判断するための検査です。

より正確に睡眠の質と呼吸の状態を把握できます。

  • 脳波
  • 眼球の動き
  • 顎の筋肉の動き
  • 胸・お腹の動き
  • 酸素濃度、心電図、いびき音 など

費用は保険適応となり3割負担で約10,000円前後の自己負担になります。
(2割負担で6,000円、1割負担で3,000円前後です)

※病院で検査すると個室で一晩寝るため、差額ベッド代も含めて料金はおよそ、50,000円~100,000円と高額になります。

AHI(無呼吸低呼吸指数)による重症度と治療方針

睡眠時無呼吸症候群SASの治療は、1時間あたりの無呼吸の回数:AHIの回数によって以下のようになります。

AHI値 重症度 主な治療方針
5~20未満 軽症 生活習慣の改善、マウスピース治療
20~40未満 中等症 医師の判断でマウスピースまたはCPAP
40以上 重症 CPAP(シーパップ)治療が基本

※マウスピースによる治療は、歯科医師による担当となります。

検査から治療まで、あなたに合った方法を丁寧にご案内します。
忙しい方や遠方の方も安心。
初診からオンライン診療・対面診療、どちらでもご相談いただけます。

まずは生活習慣の見直しから始めましょう

睡眠時無呼吸症候群の治療は、いきなり機械を使うことだけではありません。
軽症の方の多くは、日常のちょっとした工夫で呼吸の状態が改善することもあります。
当院では、まず以下のような生活習慣の見直しから一緒に取り組むことを大切にしています。

① 寝る姿勢の工夫:仰向けではなく、横向きで寝ると気道が広がりやすくなります。

② 体重のコントロール:体重の増加は首まわりの脂肪を増やし、気道を狭くします。無理のない減量をサポートします。 肥満が原因の場合、減量で大幅に改善することがあります。実際に、体重10%減で無呼吸が約26%改善したというデータもあります。

③ 飲酒を控える:アルコールはのどの筋肉をゆるめ、無呼吸を悪化させます。寝る3時間前の飲酒を避けましょう。

④ 睡眠薬や鎮静剤の使用を見直す:薬によって筋肉が緩み、呼吸が止まりやすくなる場合があります。

⑤ 鼻づまりの改善:鼻の通りをよくすることで、いびきや無呼吸が軽くなります。アレルギー性鼻炎の治療も効果的です。

⑥ 禁煙:喉や鼻の粘膜の炎症を減らし、呼吸をスムーズにします。

⑦ 睡眠のリズムを整える:規則正しい睡眠時間を確保することで、呼吸のリズムも安定します。

これらの工夫をしても症状が残る場合は、マウスピースやCPAP治療を組み合わせることでより効果的に改善できます。
焦らず、できることから一緒に始めていきましょう。

主な治療法とぞれぞれのメリット、デメリット

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療は、症状の程度や原因、生活スタイルによって最適解が変わります。以下では、代表的な4つの治療法について、メリット・デメリットを分かりやすく整理します。

マウスピース治療(口腔内装置)

下顎を前方に保持して上気道を広げる装置を就寝時に装着する治療です。軽症〜中等症の方に向いています。

  • メリット:装着が簡単で携帯しやすい/電源不要で静か/CPAPより違和感が少ない
  • デメリット:重症では効果が不十分なことがある/顎関節の痛み・歯の移動が起こることがある/定期調整が必要

CPAP治療(持続陽圧呼吸療法)

マスクから空気を送り続けて上気道の閉塞を防ぐ、SASの第一選択治療です(特に中等症〜重症)。

  • メリット:エビデンスが最も豊富で効果が高い/夜間の無呼吸・低酸素をほぼ防げる/高血圧や心血管リスクの低減が期待できる
  • デメリット:装着に慣れが必要/乾燥・鼻づまり・マスクずれなど不快感の対策が要る/毎日の清掃・管理が必要

当院では、CPAP機器の導入からフォローアップまで一貫して行っています。
CPA治療について医師に直接相談したい方はこちら

手術療法(解剖学的異常の改善)

扁桃肥大、口蓋・舌根の狭小、鼻中隔湾曲など構造的な原因が明確な場合に検討します。

  • メリット:根本的に気道を広げられる可能性/機器の装着が不要になる場合がある
  • デメリット:麻酔や出血など手術リスク/痛みやダウンタイム/体重増加などで再発することがある

レーザー治療(パルスサーミア)

のどの粘膜を低侵襲に引き締め、いびきを軽減させる自費治療です。軽症や「いびき中心」の方に適します。

  • メリット:日帰り・短時間・出血や痛みが少ない/ダウンタイムが短い
  • デメリット:効果は一時的なことがある(数か月〜1年)/無呼吸そのものを完全に治す治療ではない/自費診療となり、高額(数十万円以上)

治療法の比較(早わかり表)

治療法 主な適応 メリット デメリット
マウスピース治療 軽症〜中等症、旅行や出張が多い方 装着が簡単・電源不要・静か/違和感が少ない 重症では効果不足も/顎関節症・歯列変化/定期調整が必要
CPAP治療 中等症〜重症/日中の強い眠気 効果が最も高い/無呼吸と低酸素をほぼ防ぐ/合併症リスク低減が期待 装着の慣れ・乾燥や鼻づまり対策/毎日の清掃・管理
手術療法 解剖学的異常が明確/若年者など 根本改善の可能性/機器不要 麻酔・出血など手術リスク/痛み・ダウンタイム/再発の可能性
レーザー治療(パルスサーミア) いびき中心・軽症/機器に抵抗がある方 日帰り・短時間・痛み少/ダウンタイム短い 効果が一時的なことあり/無呼吸の根治ではない/自費診療

当院での検査から治療までの流れ

  1. 医師による問診・診察
  2. ご自宅での簡易検査キット貸出
  3. 結果説明・治療方針のご提案
  4. 必要に応じて精密検査(PSG)
  5. マウスピースまたはCPAP治療開始
  6. 定期フォローアップ(1か月ごと)

費用の目安(保険診療)

内容 3割負担 2割負担 1割負担
簡易検査 約3,000円 約1,800円 約1,000円
精密検査 約10,000円 約6,000円 約3,000円
マウスピース作成 約10,000円 約6,600円 約3,300円
CPAP月額 約4,500円 約3,000円 約1,500円

※上記とは別に初診料や再診料、薬を処方したときは処方箋料も発生します。

まとめ

今回は睡眠時無呼吸症候群について詳しく解説しました。

睡眠時無呼吸症候群とは?
典型的な症状とは?
検査について
治療の種類とそれぞれのメリット、デメリット
費用
よく質問と回答

 

いびきや眠気でお困りの方は、早めの検査・治療が大切です。

ご相談だけでも大丈夫です。
今の睡眠状態を一緒に確認して、改善の第一歩を踏み出しましょう。

参考文献

  • ※1:Marin JM, et al. Long-term cardiovascular outcomes in men with obstructive sleep apnoea–hypopnoea with or without treatment with continuous positive airway pressure: an observational study. Lancet. 2005 Mar 19-25;365(9464):1046–1053.
  • ※2:Gami AS, et al. Obstructive sleep apnea and the risk of sudden cardiac death: a longitudinal study of 10,701 adults. J Am Coll Cardiol. 2013 Aug 13;62(7):610–616.

  • ※3:Yaggi HK, et al. Obstructive sleep apnea as a risk factor for stroke and death. N Engl J Med. 2005 Nov 10;353(19):2034–2041.

  • ※4:American Academy of Sleep Medicine (AASM). Sleep Apnea and Driving Risk Statement, 2020年発表

  • ※5:Budweiser S et al. Erectile dysfunction in patients with obstructive sleep apnea: influence of severity and gender. Sleep Med. 2009;10(8):848-52.
  • ※6:Beninati W et al. The impact of snoring and obstructive sleep apnea on the sleep quality of bed partners. Mayo Clin Proc. 1999;74(10):955–958.

よくある質問

Q. CPAP治療は一度始めると、ずっと続けなければいけないんですか?やめることはできるんですか?

→原則として長く続ける治療ですが、原因がなくなれば、やめられる可能性はあります。

CPAPはメガネのようなもので、自己判断でやめてしまうと無呼吸や病気のリスクは元に戻ってしまいます。

ただし、医師の診断のもと、以下のような「根本原因」が解消されれば、安全にやめられることがあります。

  • ① 減量: 肥満が原因の場合、減量で大幅に改善することがあります。実際に、体重10%減で無呼吸が約26%改善したというデータもあります。

  • ② 外科手術: 扁桃(へんとう)が大きいなど、手術で物理的に気道を広げることで改善する場合があります。

いずれの場合も、再検査による客観的な改善の確認が不可欠です。自己判断で中止せず、必ずご相談ください。

Q.マスクの違和感が気になるような気がしますがどうしたら改善できますか?

→顔の形や寝方に合ったマスクを選ぶことで、かなり快適になります。当院では複数のタイプを実際に試していただけます。


Q. マウスピースで十分な人はどんな人?

→ 軽症〜中等症(AHI20未満)で、顎の形に問題がない方に適しています。ただし、顎が痛くなる場合もあるので、歯科医師によく相談のうえご使用ください。

Q. 手術で治るならそれが一番では?

→ 効果が出る人もいますが、再発の可能性もあること、費用も高額です。まずは後戻りできる保険治療(マウスピース、CPA治療)を検討するのもよいと思います。

Q. CPAPは自分で購入して使うことはできないの?

 

現在の日本では、CPAP機器の正規ルートでの買取はできません。

海外では一部例がありますが、日本ではレンタル制度が主流です。
※レンタルとは、睡眠時無呼吸症候群と診断されてCPAPを保険診療での継続使用することを指します。

機種のアップグレードや交換のご相談は可能ですので、お気軽にご相談ください。

いびきや眠気が気になる方は、まずはご自宅でできる検査から。

ご相談だけでも大丈夫です。
今の睡眠状態を一緒に確認して、改善の第一歩を踏み出しましょう。

院長が動画でも解説しています。参考にされてください。

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この記事の監修者
細田 俊樹
  • 医療法人社団緑晴会 あまが台ファミリークリニック 理事長
  • 日本プライマリ・ケア連合学会 家庭医療専門医
  • 日本糖尿病学会正会員、日本睡眠学会所属

年間15,000人以上の患者さんを診察している総合診療専門医。
総合診療という専門分野を生かし、内科、皮膚科、小児科、生活習慣病まで様々な病気や疾患に対応している。
YouTubeでよくある病気や患者さんの疑問に対して解説している

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