目次
のどの痛み:グループA溶連菌について
咽頭痛の原因は?
・ 風邪を起こすウイルスの他,細菌
・ ほかタバコ,
・ 汚染された空気
・ アルコール
・ 花粉症やアレルゲンも考えます.
・ まれに甲状腺炎
・ 悪性疾患
・ 胃・食道逆流などがあげられます.
急な経過で痛みが強く,発熱,扁桃腺炎を伴う場合は,まず感染症(ウイルス性,細菌性)を考えます。
このとき,たいていの原因はウイルスですが、グループA溶連菌という細菌は,抗生剤で治療する必要があります。
なぜグループA溶連菌は治療が必要ですか?
ウイルス性は抗生剤の効果がないばかりか,副作用(下痢,発疹,肝機能障害など)がでることがありますから使用しないのが賢明ですが,グループA溶連菌の場合は,リウマチ熱や,腎炎,中耳炎など合併することがありますから予防のため抗生剤が必要です.
どういうときにグループA溶連菌を疑うの?
強い咽頭痛に加えて下記のうち2つ以上該当したら疑い,1つ以下は可能性がかなり低いで,治療の必要はありません.
□扁桃腺に膿がついている
□前頸部リンパ節腫脹あり
□発熱あり
□咳なし
グループA溶連菌の診断:2つ以上該当したら,迅速溶連菌テストを行います.10分くらいで結果がわかります。
グループA溶連菌の合併症は?
・リウマチ熱や,腎炎,中耳炎があります。
ほとんどの患者さんが,合併症なく回復しますし重症な合併症が起こる確率がとても少ないです.この確率は治療することでいっそう減ります.
溶連菌の治療について
典型的には2-5日で自然に治りますが,早期に抗生剤を使用することで1-2日ほど症状を速く治すことができます。また扁桃周囲膿瘍,リウマチ熱,腎炎などを予防し,流行を防ぎます.ペニシリン系の抗生剤を10日間飲み続けてもらいますが,下痢,蕁麻疹などの副作用がでたり,ペニシリンアレルギーの方は別の抗生剤を内服します.飲んで24時間経てば他の人に伝染する可能性は少なくなります.
・2.3日遅れて治療開始しても合併症は増えずに免疫能獲得できますので安心してください。
家族で気をつけることは?
● 家族にもうつる:兄弟や両親に同じような症状があれば受診して、のどの検査をうけて下さい。
● 食べ物:のどの痛いときは、熱いもの・辛いもの・すっぱいもの物は避けましょう。
● 入浴:熱がなければ、お風呂は大丈夫です。
● 学校:お薬がしっかり飲めて、熱がなければ2日目から、登校
●保育所 登園はしてください。
学校は出欠停止になるので、きちんと連絡して下さい。
どんな時に怖い咽頭通の病気を疑いますか?
以下のようなときは注意が必要です。
※開口障害(口が十分に開かない) 、のどちんこが片側に寄っている場合は、扁桃周囲膿瘍を疑います。扁桃炎の周囲に膿が溜まっているので、切開が必要なことがあります。
※尋常でないのどの痛み、よだれが出て飲み込むのがとても痛い場合は、急性喉頭蓋炎を疑います。
※首の後ろが痛い、水や食べ物を飲み込めない場合は、咽後膿瘍を疑います。診断が難しいため、CTによる検査を必要とすることがあります。
※亜急性甲状腺炎 喉が痛いと言う訴えで来院しますが、甲状腺に炎症が起きて腫れていることが原因です
※心筋梗塞 喉が締め付けられる、顎が痛いと言う訴えを自覚することがありますので注意が必要です。一般的に熱は無いことが多いです。
※胃食道逆流 胃液の逆流で喉に炎症起こすことがあります。肥満患者さんで、特に朝方に喉が痛いと言う場合は、この原因を考えます。
※悪性疾患 特に喫煙者で、喉に腫瘍がある場合は注意が必要です。