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けいれん
熱性けいれんとは?
「急に白目をむいて全身を硬直させたり、ビクンビクンと手足や体が震えている。」
「手足を突っ張ったりして、名前を呼んでも反応がない。」
こういったことがあれば誰でも慌ててしまいますね。しかしながらこんな時にご両親がちょっとした知識を持っていれば慌てずに済む場合もあります。
例えば高熱が出たときの痙攣の多くは心配のない「熱性けいれん」です。
好発年齢は、6ヶ月から、5歳前後ですが、頻度としては、7%と多い疾患のひとつです。
熱性けいれんは「通常38℃以上の発熱に伴い、乳幼児期に生じる発作性疾患(けいれん、非けいれん性発作を含む)で、中枢神経感染症、代謝異常、そのほか明らかな原因疾患のないもの」と定義される疾患です。
どんなときに心配のない熱性けいれんか?
どんなときが心配のない痙攣(熱性痙攣)でしょうか?
- 左右対称で、痙攣が10分以内に治まる場合
- 発作の後に意識障害が続かない場合
- 1回の発熱で発作は1回の場合
- 生後6ヶ月~5歳にはじめておこり、家族にも熱性けいれんの人がいる場合
- 発熱に伴って起こる場合
こういった場合は病院へ行くのは発作がおさまってからで問題がありません。
熱性痙攣は、起こしやすさに遺伝性があるといわれています。お父さんや、お母さんは、自分や兄弟が幼少時に引きつけ起こしたかどうか?おじいちゃんお婆ちゃんに確認しておくと良いでしょう。
泣き入りひきつけとは?
乳幼児は時に息を吸うのを忘れるほど泣きすぎて、手足を痙攣させることがあります。これを泣き入りひきつけ(憤怒痙攣)と呼びます。これも心配のない痙攣で、受診する必要はありません。
泣き入りひきつけは、最初のひと泣きが長すぎると起こします。だっこしてなだめてあげるなどで少しでも息を吸ってくれると引きつけしにくくなります。
すぐに病院を受診したほうがよい痙攣は?
◆15分以上続く場合(5分~10分以上続くなら救急車)
多くの引きつけは数分以内で収まりますが、3分たっても治まらない激しい痙攣や、5分以上痙攣が続く場合は、迷わず救急車を呼びましょう。
◆1回の発熱で2回も3回も痙攣が起こる場合
心配のない熱性けいれんの場合は、1回の発熱で発作は1回です。何回も痙攣起こすときは大至急受診が必要です。
◆高熱を伴わない時
激しく泣いている途中で起こる憤怒けいれんでは心配ありませんが、高熱を伴わないときに、突然意識をうしなって体を突っ張るような痙攣がみられたら大至急受診をしてください。
◆6ヶ月未満の痙攣
赤ちゃんの月齢が6ヶ月未満の場合は、痙攣が治まっても大至急受診が必要です。
◆5歳以上で初めて痙攣起こした場合
心配のない熱性痙攣や憤怒痙攣は3~4歳未満に多くみられます。5歳以上で初めて痙攣起こした場合は、痙攣が治まっても早めに受診をしてください。
◆痙攣が左右対称でない場合
片足だけが痙攣している.肩腕が突っ張っているが反対はだらっとしていて力が全くの入っていない、などのように痙攣が体の左右対称でない場合は至急受診が必要です。
◆ぼーっとした状態に引き続いて痙攣起こした場合
◆痙攣した後に意識がなかなか戻らない場合
意識がはっきりしていなかったり、なかなか戻らない場合は第至急救急車で病院へ受診してください。
救急車を呼ぶときは、?どうしたらいいですか?
119番をコールすると、まず火事ですか?救急ですか?と聞かれますので「救急です。」とはっきり答えましょう。次に住所を聞かれますので、これも慌てずに正確に答えてください。
慌てていると結構答えられないものです。
電話のそばに住所を書いて貼っておくを置くことをおすすめします。
最後に誰が、いつ、どこで、どうなったか?また通報者の氏名と電話番号も聞かれます。
痙攣が起きた場合の対応の仕方は?
1.まずお父さんお母さんが落ち着きましょう!
痙攣が起こっても慌てないことが大切です。子供は熱を出しているときに、時々体をピクピクとさせることがありますが、このような場合は多くの場合痙攣ではありません。痙攣は大人の力で抑えても押さえきれないぐらい強い力です。
2.子供を静かに寝かせましょう。
「どうしたの?!」と体をゆすぐって子供に聞きたくなりますが、そこはじっと我慢していただき、刺激を与えずに静かに寝かせてください。昔は舌を噛むかもしれないとスプーンを口に挟む風習があったようですが、舌を噛むことはありませんので口には何も挟まないでください。ポットや花瓶など危険なものはあまりから遠ざけましょう。
3.吐物が口に入らないようにしましょう!
痙攣とともに泣いてしまうケースもあります。もし吐いても吐物で口がふさがれないように、寝かせるときは背中にタオルなどあてて、体を横向きにして寝かせましょう。
しかし慌てて顔を横向きにしようとするとかえって子供を刺激する場合もあります。
吐きそうになった時には慌てずに、身体を横向きにすることを考えながら、じっと近くで見守ってあげるだけでよいでしょう。
4.時間をはかりましょう。!
引きつけの長さを医師は必ず質問します。時計を見て何分から始まったのか?メモしておくと良いでしょう。
キッチンタイマーなどがあれば3分にセットしてください。多くの引きつけは数分でおさまります。3分以内におさまってけろっとしている場合は、ゆっくりと診療時間内で結構ですので主人医を受診すればよいと思われます。
3分たっても一向に治まらないような激しい痙攣が続いている場合や、顔色が紫になっている場合は救急車を呼びましょう。5分以上続く場合や、治まっても意識がなかなか回復しない場合も救急車を手配しましょう。
5.引きつけは両手両足ですか?
引きつけの多くは左右対称です。片足だけが痙攣している、もしくは片腕が突っ張っているが、反対のではだらっとしていて力が全く入っていないといったことはないでしょうか?余裕があればこんな事も観察してください。
6.最後に体温を測りましょう。
熱があるときの痙攣なのか?ないときの痙攣なのか?
医師があとで必ず聞きます。痙攣が治まってからで構いませんので、体温を測っておきましょう。
熱性けいれんの再発率はどのくらいですか?
約30~40%のお子さんが再発します。
約10%のお子さんは、3回以上の熱性けいれんをおこします。
予防のための抗けいれん薬の投与はどうしたらいいですか?
痙攣予防については様々な議論がありますが、予防のための後けいれん薬の使用はデメリットが上回ると言うことで積極的には推奨されていません。
痙攣予防の座薬をいれて、仮に痙攣を起こした場合には、意識がぼーっとしますので、単純型の熱性けいれんなのか?それとも精密検査が必要な、複雑型なのか?判断がしずらくなることが理由のひとつです。
仮に使う場合は、通常2年間あるいは5歳までが目安となります。
他にも15分から20分以上継続する痙攣であったり、短期間に発作が頻発する場合、こういった場合に使用するメリットが上回るかもしれません。
熱性けいれんの予防に解熱剤は効果がありまうか?
熱性痙攣の再発率に解熱剤の使用が影響があるかどうかははっきりしていません。