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【91%は知らない?!】腎機能が悪い=腎臓病とは限らない!知っておきたい意外な真実【クレアチニン・腎機能障害の誤解】

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【91%は知らない?!】腎機能が悪い=腎臓病とは限らない!知っておきたい意外な真実【クレアチニン・腎機能障害の誤解】

こんにちは。
医療法人社団 緑晴会 あまが台ファミリークリニック 院長の細田俊樹です。

私はプライマリ・ケア(総合診療)を専門に、医師として25年目になります。
年間のべ24,000人以上の患者さんを診察しています。

今回のテーマは
健康診断で「腎機能が悪い」と言われた方を対象に
クレアチニンが高い=腎機能が悪い、とは限らない
です。
  • 健康診断で「腎機能が悪い」と言われた
  • クレアチニンが高くて精密検査を勧められた
  • でも体調に問題はなく、運動もしている
  • 本当に腎機能が悪いの?と不安になっている

当院でしたら、上記の疑問、悩みが解決できるかもしれません。

本日のテーマ

今回は、次のような内容をお伝えします。

  • クレアチニンとは何か?
  • 筋肉量と腎機能の関係
  • シスタチンC検査の意味と限界
  • 腎機能低下の主な原因と予防
  • 検査結果の見方と対応策

クレアチニン=腎機能が悪い?

クレアチニンは筋肉を動かした時に出る“燃えかす”です。
そのため、筋肉量が多い人ほど数値は高く出ます(※1)。

筋肉 燃えカス

健康診断の結果に「クレアチニン 1.42」と書かれていると、「腎機能が悪いのでは?」と心配される方が多いですが、これは必ずしも異常とは限りません。

実際の検査データを見てみましょう

例として、52歳 男性の人間ドック結果が以下のようだったとします。

この方も腎機能障害の疑いということで要精密検査で当院を受診されました。

  • クレアチニン:1.42mg/dl
  • BUN(尿素窒素):21 mg/dl
  • eGFR(推算糸球体濾過量):44.3ml/min

 

ここで注目すべきはクレアチニンと eGFR です。

男性のクレアチニンの上限が1.1mg/dl、 eGFR の正常値は60ml/min以上です。

eGFR は日本語で、推算糸球体濾過量と呼ばれていまして、腎臓が老廃物を出す力のことを意味します。

一番高いとき(例えば20歳のときなど)を100%とすると、この患者さんは44.3%しか腎機能が残っていないということになります。

eGFR が60ml/min以下を慢性腎臓病、透析予備軍と呼びますから、44.3ml/minというのは、かなり腎臓の機能が弱っているといえます。

でも…筋肉量が多ければ腎機能は実際より低く見える

ただし、ここからが大事ですが、eGFRは、クレアチニン・年齢・性別を元に計算されますので、筋トレをしていたりと、筋肉量が多い方は、クレアチニンが高値となり「見かけ上、腎機能が悪く見える」ことがあるのです(※2)。

大切なことなので、繰り返し説明しますが、クレアチニンは筋肉を動かしたあとに生じる「燃えかす」だからです。

そこで登場するのが「シスタチンC」

それでは、このような方はどのようにしたら正確な腎機能( eGFR )がわかるのでしょうか?

それがシスタチンCです。

これは、筋肉の影響を受けにくい腎機能の指標です。

この数値を調べれば、本当に腎機能が悪いのか、筋肉量による影響かが分かります。

たとえば、先ほど登場した52歳・男性で、再検査の項目にシスタチンCも追加しました。
結果は、以下のとおり

シスタチンC:1.017 mg/L でした。
シスタチンベースのeGFRは83ml / minになりました。

これは正常範囲内。安心できる結果ですね。

元気な腎臓

患者さんからの質問と回答

「クレアチニンも高くて、シスタチンCでもeGFRが低かったら、どうすればいいの?」

その場合は、実際に腎機能が低下している可能性があります。この状態が進行すると、最悪の場合は透析が必要になります。

透析とは、週3回・1回4〜5時間の治療で、年間400万〜500万円の医療費がかかります。現在、日本では約40万人の方が透析を受けています(※3)。

透析の主な原因は以下の3つです。

✅ 1位:糖尿病

血糖値が高い状態が続くことで、腎臓の血管が傷み、
老廃物をうまく外に出せなくなります。
これを糖尿病性腎症と呼び、透析原因の第1位です。
血糖値

✅ 2位:高血圧

血圧が高いことで腎臓の血管が硬くなり、やはり腎機能が落ちてきます。

血圧

✅ 3位:腎炎(じんえん)

腎臓に炎症が起きる状態です。
繰り返す尿検査で「たんぱく尿」や「血尿」が出ている場合は、
将来的に急激に腎機能が悪化する可能性があるため、早めの精密検査が必要です。

まとめ:腎機能の評価は総合的に

  • クレアチニンだけで腎機能を判断しない
  • シスタチンCや尿検査も活用する
  • 年齢や性別でeGFRは変わる
  • 心配な場合は医師と相談を

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参考文献

  • (※1)日本腎臓学会. クレアチニンの基礎と臨床.
  • (※2)Matsushita K, et al. Comparison of CKD-EPI equations for estimating GFR. JAMA. 2012;307(18):1941–1951.
  • (※3)日本透析医学会統計調査委員会. わが国の慢性透析療法の現況 2022年版.

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この記事の監修者
細田 俊樹
  • 医療法人社団緑晴会 あまが台ファミリークリニック 理事長
  • 日本プライマリ・ケア連合学会 家庭医療専門医

年間15,000人以上の患者さんを診察している総合診療専門医。
総合診療という専門分野を生かし、内科、皮膚科、小児科、生活習慣病まで様々な病気や疾患に対応している。
YouTubeでよくある病気や患者さんの疑問に対して解説している

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