院長ブログ
院長ブログ

血圧の正しい測り方|「病院で正常」は大丈夫?茂原市・長生村の医師が解説

院長ブログ

自宅での血圧の正しい測り方|「病院では正常」は本当に大丈夫?医師が徹底解説

「病院で測ると血圧が高いのに、家だと正常…」
「健康診断は問題なかったけど、本当に大丈夫かな?」

高血圧の診療をしていると、このようなお悩みを非常によく耳にします。
はじめまして。家庭医療専門医の細田俊樹です。これまで年間5,000人以上の高血圧患者さんと向き合ってきました。

結論から申し上げます。あなたの将来の健康を占う上で最も重要なのは、病院や健診会場での血圧ではなく、ご自宅で測る「家庭血圧」です。

この記事では、なぜ家庭血圧が重要なのか、そしてあなたの未来を守るための「正しい血圧の測り方」について、専門家の立場から分かりやすく解説します。

【この記事を特に読んでほしい方】

  • 病院や健康診断で「血圧が高い」と言われ、すぐに薬を始めなければいけないのかと不安な方
  • 逆に、病院では正常だから「自分は大丈夫」と思っている方
  • 血圧の正しい測り方や、自分の血圧が本当に大丈夫なのかを知りたい方

なぜ病院の血圧だけでは不十分なのか?

「病院で測って正常なら問題ないのでは?」と思われるかもしれませんが、実はそうとは限りません。血圧測定には、2つの“落とし穴”があります。

白衣(はくい)高血圧

普段の血圧は正常なのに、医師や看護師を前にすると緊張して血圧が上がってしまう状態です。高血圧と診断された方のうち、約15%~30%がこの白衣高血圧だと言われています。[1] この方々は、すぐに薬物治療を開始する必要がないケースが多いです。

仮面(かめん)高血圧

こちらがより危険です。病院では正常なのに、自宅や職場などリラックスしているはずの環境で血圧が高くなる状態です。病院での測定で「正常」と判断された方のうち、なんと約10%~15%にこの仮面高血圧が隠れているとされています。[1]

この2つの存在により、病院での一回の測定だけでは、あなたの本当の血圧リスクを正確に判断することはできないのです。だからこそ、ご自宅での正しい測定が不可欠となります。

「隠れ高血圧」を放置する、本当の怖さ

「症状がないから」「自宅では正常な時もあるから」と、血圧が高い可能性を見て見ぬふりをしていると、気づかないうちに血管は静かにダメージを受け続けています。

放置された高血圧は、動脈硬化を進行させ、

  • 脳卒中(脳梗塞・脳出血)
  • 心筋梗塞・心不全
  • 認知症
  • 腎臓病

といった、命に関わる病気のリスクを確実に高めます。実際に、脳卒中は日本人が要介護となる原因の第一位であり、その最大の引き金が高血圧です。[2]

ご自身の、そしてご家族の未来のためにも、「まだ大丈夫」という油断は禁物です。

【完全ガイド】これが家庭血圧の正しい測り方です

では、どうすれば正確な家庭血圧が測れるのでしょうか。以下のステップを守るだけで、測定の精度は格段に上がります。

  1. 測定のタイミング
    【朝】起床後1時間以内で、朝食や薬を飲む前、トイレを済ませた後。
    【夜】就寝前。
  2. 測定前の準備
    椅子に座り、1~2分安静にしてリラックスします。測定前1時間は、喫煙、飲酒、カフェイン摂取を避けてください。
  3. 正しい姿勢
    背もたれのある椅子に、足を組まずに深く座ります。血圧計の腕帯(カフ)を、心臓の高さになるように巻きます。机の高さが合わない場合は、腕の下にクッション等を敷いて調整しましょう。
  4. 測定と記録
    測定中は会話をしないようにします。1回の機会に2回測定し、その平均値を記録します。2回の測定の間は、1~2分あけてください。測定した数値は、必ず血圧手帳やアプリに記録しておきましょう。

この手順で測定した血圧こそが、あなたの本当の健康状態を示す、最も信頼できるデータとなります。

測定した結果、どう考えればいい?

日本高血圧学会のガイドラインでは、家庭血圧の目標値は135/85 mmHg未満とされています(75歳未満の成人の場合)。[1]

記録を続けてみて、この数値を超える日が続くようであれば、それはあなたの体が発している重要なサインです。

  • 「私の場合は、どう考えればいいんだろう?」
  • 「家族に脳卒中や心筋梗塞になった人がいるから心配だ…」
  • 「この数値、すぐに治療を始めるべき?」

もしあなたが少しでもこう感じたなら、決して一人で悩まないでください。血圧の記録を持って、ぜひ一度、私たち専門家にご相談ください。

私たちは、その数値が意味すること、あなたの体に今何が起きているのか、そしてこれから何をすべきかを、どこよりも分かりやすくご説明します。

高血圧は将来の寝たきりの病気である脳卒中、認知症の大きなリスクです。あなたの今日の行動が、10年後の健康を大きく変えるかもしれません。

あなたの未来のために、今すぐ正しい一歩を

「自分は大丈夫だろうか…」そう感じた時が、専門家と話す絶好のタイミングです。
当院では、あなたの不安を解消し、最適な治療法を一緒に考えます。

▼まずは当院の治療方針を詳しく知りたい方へ

専門的な高血圧治療について詳しく見る

▼お急ぎの方、すぐに専門家に相談したい方へ

今すぐ診療予約をする

参考文献

  1. 日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会 (編). 高血圧治療ガイドライン2019. ライフサイエンス出版; 2019.
  2. 厚生労働省. 2022年 国民生活基礎調査の概況. II 介護の状況.

 

この記事の監修者
細田 俊樹
  • 医療法人社団緑晴会 あまが台ファミリークリニック 理事長
  • 日本プライマリ・ケア連合学会 家庭医療専門医

年間15,000人以上の患者さんを診察している総合診療専門医。
総合診療という専門分野を生かし、内科、皮膚科、小児科、生活習慣病まで様々な病気や疾患に対応している。
YouTubeでよくある病気や患者さんの疑問に対して解説している

タイトルとURLをコピーしました