気になる「老人性いぼ」…放置しても大丈夫?その正体とリスクを解説

先生、茶色いイボみたいなものが最近大きくなってきて…放っておいても大丈夫ですか?

そのようなご相談はとても多いです。
これは脂漏性角化症、「老人性いぼ」ともいわれます。
脂漏性角化症とは?(老人性いぼとは)
脂漏性角化症は、俗に「老人性いぼ」とも呼ばれる皮膚の良性腫瘍です。
加齢とともに皮膚の表面に盛り上がるように現れ、色は茶色や黒っぽいものが多く、顔や体幹、手足などに出現します。
原因
明確な原因はわかっていませんが、以下が関係していると考えられています。
・加齢
・遺伝的要因
・紫外線の影響
放置のリスク
脂漏性角化症自体は良性腫瘍ですが、放置すると次のようなリスクがあります。
- 徐々に大きくなり、見た目の違和感や衣類との摩擦による炎症を起こす
- 紫外線を浴び続けることで、日光角化症(前がん病変)へ進展するリスクがある(※1)
- さらに進行すると、基底細胞癌、有棘細胞がんなど悪性腫瘍に移行するケースも報告されている(※2)

がんの可能性があるんですか!?びっくりです。

はい。そのため「ただのいぼ」と軽視せず、医師の診断を受けることが大切です。
治療法
脂漏性角化症を根本的に治すには、医療機関での治療が必要です。
液体窒素療法
小さな病変や茎のあるタイプでは、凍結療法で縮小・脱落させることができます。こちらは。当クリニックでは実施しておりません。
外科的切除
より確実に、再発を防ぎ、見た目をきれいに整えるためには外科的切除が推奨されます。
局所麻酔で行うため外来で日帰りで可能です。

切除って…経験もないし、なんだか怖いです。

最初はみなさんそう言われますが、術中の痛みはほぼなく、20〜30分程度で終わる手術です。
傷跡がなるべく小さく、きれいに治るよう丁寧に縫合します。
医師や看護師が最後まで責任をもって経過を観察いたしますので安心してください。
👉 詳しい手術の流れや費用などはこちらをご覧ください:
日帰り皮膚腫瘍切除(外来手術)のご案内
まとめ
脂漏性角化症は良性腫瘍ですが、放置すると徐々に大きくなったり、前がん病変から皮膚がんへ進行する可能性もあります。
気になる「しこり」や「できもの」がある場合は、早めに皮膚科を受診して治療を検討することが大切です。
脂漏性角化症の「日帰り手術」について
当院では「脂漏性角化症」などの皮膚腫瘍の「しこり」「できもの」の日帰り手術を専門的に行っております。
どのような流れで手術を行うのか、費用や傷跡のことなど、患者様の不安にお答えする詳しいページをご用意しました。
千葉市、茂原市で脂漏性角化症などでお悩みの方は、ぜひ一度ご覧ください。
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参考文献
(※1) Nehal KS, et al. “Management of actinic keratosis.” New England Journal of Medicine. 2019;380:2180-2189.
(※2) Peris K, et al. “Cutaneous squamous cell carcinoma: from pathophysiology to novel therapeutic approaches.” Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology. 2021;35(10):1954-1971.