大好きな甘いものを必死に我慢している。毎日クタクタになるまでウォーキングも続けている。
それなのに、病院で血液検査の紙を渡されると、HbA1cの数値がまったく下がっていない。
「これ以上、一体どう頑張ればいいのか」「やっぱり私の意志が弱くて、努力が足りないからダメなんだ」と、ご自身を責めて、暗いトンネルの中にいるような絶望感を感じていませんか。
皆さん、こんにちは。あまが台ファミリークリニック院長の細田です。

私は医師歴25年の家庭医療専門医として地域医療の最前線に立ち、日本糖尿病学会正会員として年間約5000人の糖尿病患者さんを診察しております。
日々外来で診察をしていると、「先生、言われた通りに食事も運動も頑張っているのに、全然良くならないんです」とご相談される患者さんにお会いすることも珍しくありません。
もしあなたも同じように悩んでいるとしたら、今日この記事が参考になると思います。
世界中の最新の糖尿病研究、そして私の25年の臨床経験に基づき申し上げます。
あなたの数値が下がらないのは、決してあなたの努力不足でも、意志が弱いからでもありません。
実は、真面目に頑張っているのに良くならない人には、ある共通する恐ろしい原因が隠されています。
それは、あなたの体の中で血糖値を下げるホルモンを作る力が、完全に「枯渇」してしまっているという事実です。
この記事では、なぜ死に物狂いで頑張っても結果が出ないのか、その本当の理由と、長年の苦しみから抜け出して数値を改善させるための「医学的に正しいリセット法」について解説します。
目次
なぜあなたの努力は報われないのか。日本人が背負う悲しい宿命
食事や運動をどんなに頑張っても糖尿病が良くならない最大の理由は、あなたの膵臓が限界を迎え、血糖値を下げる「インスリン」を分泌する能力が枯渇してしまっているからです。
なぜ枯渇してしまうのでしょうか。
まずは、最も多い原因である「日本人の遺伝的な宿命」と「糖毒性」についてお話しします。
日本人の膵臓は、もともとインスリンを出す能力が欧米人の半分程度しかありません。
欧米人は太っても大量のインスリンを出して血糖値を抑え込めますが、日本人は少し負担がかかっただけで、膵臓がすぐに悲鳴を上げてしまいます。
つまり、私たちは普通に生活しているだけで、膵臓が疲れ果てやすいというハンディキャップを背負っているのです(※1)。

そして、膵臓が限界を迎えている時、体の中では「糖毒性」という恐ろしい悪循環が起きています。
高い血糖値の状態が長く続くと、血液中のダブついた糖分そのものが「毒」となって膵臓にダメージを与えます。
すると、さらにインスリンが出なくなり、もっと血糖値が上がるという抜け出せないループに陥ります(※1)。
これをわかりやすく例えましょう。今のあなたの膵臓は「カラカラに乾ききった雑巾」と同じ状態です。
水が一滴も残っていない乾いた雑巾を、いくら力を込めて強く絞っても水は絶対に出ませんよね。
インスリンを作る力が残っていない膵臓に対して、「もっと食事を減らして、もっと運動しろ」とムチを打つのは、この乾いた雑巾を力任せに絞り上げているのと同じなのです。
「私より食べている友人は健康なのに…」と落ち込んでいませんか?
ここで、この記事を読んでいる方からこんな声が聞こえてきそうです。
「でも先生、私と同じくらい甘いものを食べている友人は、全然糖尿病になっていません。やっぱり私のやり方が悪い、あるいは努力が足りないんじゃないですか?」
周りの健康な方と自分を比べて、ひどく落ち込んでしまうお気持ち、痛いほどよくわかります。
毎日これだけ大好きなものを我慢して努力しているのに、何も気にせず食べている友人が健康だなんて、本当に不公平だと感じてしまいますよね。
しかし、どうか人と比べるのはやめてください。
生まれ持った膵臓の強さや、インスリンを貯めておけるタンクの大きさは、人によって全く異なります。
友人が大丈夫だからといって、あなたがダメなわけではありません。
今までのやり方で結果が出ないのは、あなたの努力不足ではありません。
ただ「今のあなたの膵臓の限界」に合わせた、正しい治療の戦略を選べていないだけなのです。
「今の私の膵臓はどうなっているんだろう?」と少しでも不安に感じたあなたへ。
専門医は見逃さない。インスリンを枯渇させる「隠れた3つの真犯人」
さて、ここからが非常に重要なお話です。
実は、インスリンが枯渇してしまう原因は、先ほどお話しした「体質」や「生活習慣の乱れ(いわゆる2型糖尿病)」だけではありません。
私たち医師が、一生懸命頑張っているのに全く数値が良くならない患者さんを診た時、必ず疑う「隠れた3つの真犯人」がいます(※2)。
皆様にわかりやすいよう、膵臓を「インスリンを作る工場」に例えてご説明しましょう。
真犯人その1:突然工場が破壊される「1型糖尿病」
これは、食事や運動などの生活習慣とは全く関係がありません。
風邪などのウイルス感染や原因不明の理由をきっかけにして、自分の免疫システムが暴走し、突然インスリン工場を攻撃して完全に破壊してしまう病気です。
劇症1型糖尿病や急性発症1型糖尿病と呼ばれます。
この場合、どれだけ食事を我慢しても、工場自体が焼け野原になってしまっているので、自力でインスリンを出すことは物理的に不可能です。

真犯人その2:ゆっくり工場を食い荒らす「緩徐進行型1型糖尿病(SPIDDM)」
大人の糖尿病の中で一番見逃されやすく、患者さんが一人で苦しみを抱えやすいのがこのタイプです。
最初は普通の2型糖尿病(生活習慣によるもの)のように見えるのですが、何ヶ月、あるいは何年という長い時間をかけて、ゆっくりと、知らず知らずのうちに自己免疫が工場を破壊していきます。
例えるなら、家の見えない床下で、シロアリが柱を少しずつ食べているような状態です。
血液検査で「抗GAD抗体」という特殊な数値を調べるとシロアリの存在がわかるのですが、これを見逃されて「普通の糖尿病だから、あなたがもっと頑張りなさい」と指導され続け、報われない努力で身も心もボロボロになっている患者さんが少なからずいらっしゃいます。

真犯人その3:工場そのものを物理的に破壊する「膵臓がん」などの病気
今まで血糖値が安定していたのに、急にコントロールが悪くなった場合や、高齢になってから突然糖尿病を発症した場合は要注意です。
膵臓がんや重い慢性膵炎などが原因で、工場のある土地そのものがダメージを受けている可能性があります。
インスリンが出ないのは、その背後に命に関わる大きな病気が隠れているサインかもしれないのです。
お分かりいただけたでしょうか。あなたがいくら頑張っても良くならないのは、実は生活習慣のせいではなく、工場(膵臓)が何らかの別の理由で壊れてしまっているからかもしれないのです。
だからこそ、ただ漫然と薬を飲み続けるのではなく、「なぜインスリンが出なくなっているのか」を専門医のもとで正確に診断(鑑別診断)することが、治療の絶対的な第一歩となります。
悩む前に、まずは医師の話を聞いてみませんか?
頑張っても下がらない時の「最強のリセット法」
では、枯渇し、壊れかけている膵臓に対して、私たちはどうすればいいのでしょうか。解決策は「外部からお薬の力を借りて、膵臓に完全な休息を与えてあげること」です。
具体的には、飲み薬の調整だけでなく、インスリン注射などを導入して、外からインスリンを直接補います。
これを聞いて、きっと多くの方がこう反論されるでしょう。
「インスリン注射なんて絶対に嫌です。一度打ちはじめたら一生やめられないし、糖尿病の末期の人がやる最後の手段ですよね?」
インスリンに対して、一生の終わりといった怖いイメージを持っている方は非常に多いです。
ご自身のお腹に毎日注射をするなんて怖いですし、その不安はごく自然なことです。
ですが、現代の医学において、その考え方は完全に古くなっています。
足を複雑骨折しているのに、気合いで無理やり走り続けようとする人はいませんよね。まずはギプスをして、松葉杖をついて足を完全に休ませるはずです。
インスリン注射は、疲れ切った膵臓にとっての「ギプス」であり「松葉杖」です。
外からインスリンを補ってあげることで、あなたの膵臓は過酷な労働から解放され、ゆっくりと休息をとることができます。
もしあなたの膵臓が、2型糖尿病の糖毒性で疲れ切っているだけの状態であれば、骨折が治ってギプスを外す日が来るのと同じように、膵臓が回復してインスリン注射をやめられるケースはたくさんあります。
また、もし1型糖尿病や緩徐進行型のように、工場が自己免疫で壊れてしまっている場合でも、決して絶望ではありません。
インスリン注射は「あなたの命と健康を守る最強の命綱」となります。
目が悪くなった時にメガネをかけることで快適に生活できるのと同じように、足りないホルモンを補うことで、糖尿病ではない方と全く同じように、健康で長生きすることができるのです。
インスリンを使うことは、決して恥ずかしいことでも、人生の終わりでもありません。
悩む前に、まずは医師の話を聞いてみませんか?
一人で悩まず、まずは専門医にご相談ください
今日から「自分が悪いんだ」「努力が足りないんだ」と自分を責めるのは、どうか終わりにしてください。あなたはこれまで、一人で十分に頑張ってきました。
これからは、気合いや根性で無理やり数値を下げようとするのではなく、正しい医学の力を借りて、あなたの体に合った治療計画を立て直すタイミングです。
一人で悩み、間違った努力で体を痛めつける日々は今日で終わりにしましょう。
当院では、あなたの膵臓が今どのような状態にあるのか、抗GAD抗体などの自己免疫の異常が隠れていないか、インスリンを出す力がどれくらい残っているのかを採血やエコー検査などで正確に見極め、お一人おひとりに最適な治療法をご提案します。
千葉市、茂原市、長生村周辺からも多くの方が通院されています。
この記事を読んで「自分のことかもしれない」「長年の苦しいモヤモヤから解放されたい」と少しでも感じた方は、どうか一人で抱え込まずに私たちにご相談ください。
あなたの不安をしっかりと解消し、健康で自由な毎日を取り戻すためのお手伝いを、私たちが全力でさせていただきます。

糖尿病の専門相談・ご予約はこちら
「頑張っているのに数値が下がらない」「隠れた病気がないか不安だ」という方は、自己判断せずにご相談ください。
専門医による正確な診断で、あなたに最適な治療法を一緒に見つけましょう。
参考文献
- ※1 金藤 秀明. 膵ベータ細胞ブドウ糖毒性の解明と治療への応用. 糖尿病 69(1): 1から5, 2026.
- ※2 日本糖尿病学会 編. 糖尿病診療ガイドライン2024.




