院長ブログ

新型コロナウィルス感染症について

皆さん

おはようございます。あまが台ファミリークリニック院長の細田です。

コロナウイルスで亡くなられた方、そしてご家族の皆さんには心からお悔やみ申し上げます。

今回は、現時点で分かっているコロナウィルスについての情報と対策について、簡単ではありますがまとめてみましたので参考になれば幸いです。

新型コロナウイルスについて

実はコロナウィルス自体は珍しいものではありません。これまで、人に感染するコロナウィルスは6種類みつかっていました。

このうちの4つは、私たちが秋から春にかけてはやる風邪の原因ウィルスです。風邪の10%から15%が、4種類のコロナウィルスによるものとされています。

私たちのほとんどの人がコロナウィルスにかかっているのです。その主な症状としては喉の痛みや、せきなどで比較的軽いものです。

残りの2種類は、もともと動物に感染していたコロナウィルスが突然変異して人に感染するようになったもので、人に感染すると深刻な呼吸疾患を引き起こしました。

2002年に中国で流行した重症急性呼吸器症候群SARSと、2012年にサウジアラビアで流行した中東呼吸器症候群MERSです。

SARSはコウモリから人へと移り、8069人が感染し、このうち775人が死亡しています。

MERSは、ヒトコブラクダから、人へとうつり、これまでに2494人が感染し、858人がなくなっています。

新型コロナウィルスは、これらに続く、人に感染することが確認された7つ目のコロナウィルスになります。

致死率について

新型コロナウィルスはどの程度危険なウィルスなのでしょうか?ここは最も知りたいところだと思います。

1つの目安になるのが致死率になります。致死率とは、全感染患者さんのうち、亡くなられた方が何人かを示す数字です。

例えばエボラ出血熱の致死率が50%前後、MERSが約34%、SARSが約10%、これらに準じるような数値へと近づいていくと、そのウィルスの病原性は強いと考えられます。

中国で新型コロナウィルスの感染が確認された44,500人のデータに基づき、世界保健機関WHOは、2月18日に新型コロナウィルスによる致死率は約2%でSARSやMARSと比べて致命的ではないと言う見解を発表しています。

感染の中心になっている中国湖北省の致死率は2.9%と平均より高めですが、湖北省を除いた中国国内の致死率は0.4%にとどまっているようです。

日本における致死率は、中国より低くなると予想されており、新型コロナウィルスには強い病原性はないと考えて良さそうです。

もちろんわが国で、インフルエンザによって亡くなる人が毎年数千人もいますので、インフルエンザと同様にこの新型肺炎に対しても十分な注意をしておく必要がある事は言うまでもありません。

2月28日現在の情報ですが下記のとおり、内閣官房ホームページから出されている情報によりますと、中国と中国以外の諸外国の致死率を比べると低いと考えてよさそうです。

2020/02/28 時点 新型コロナウイルス感染症対策のページより(内閣官房)

途中省略

上記のように、この時点では、191人が感染して死亡者が4名と中国と比べると低いですが、中国の武漢での様子を、テレビで何度も目にしてきた方にとっては、不安と恐怖にさいなまれている方も少なくないと思います。

風邪との区別について

世界保健機関WHOによると、現時点での潜伏期間は1日から12.5日(多くは5日間から6日間)とされています。

最初に現れる症状としては、熱、咳、喉の痛み、強いだるさを訴える人が多いようです。

しかしこれは一般的な肺炎の症状と大きく変わりません。

ですので初期は、風邪と区別がつかないと考えて良いと思います。

臨床経過

症状が出てから入院して重症化するまでの典型的な経過についてもわかってきています。

特に高齢者や持病のある人はリスクが高いので早めの対策が重要になります。

【新型コロナウイルス感染症の典型的な経過】

上記図は新型コロナウイルス感染症COVID-19 診療の手引きより引用

上記のとおり、はじめは、風邪症状から始まり、8割の患者さんは軽症のまま自然治癒しますが、20%の症例で肺炎症状が悪化して入院が必要になります。

【年齢別にみた新型コロナウイルス感染症の致死率】

上記図は新型コロナウイルス感染症COVID-19 診療の手引きより引用

上記図をみますと、高齢者ほど、致死率が高いことがわかります。

【基礎疾患ごとにみた新型コロナウイルス感染症の致死率】

上記図は新型コロナウイルス感染症COVID-19 診療の手引きより引用

上記図をみますと、糖尿病、高血圧など基礎疾患がある方ほど、致死率が高いことがわかります。ですので、持病をお持ちの方は血圧や血糖などのコントロールをしっかりとしておく必要があります。

もし、熱が下がらない、咳や倦怠感が続く、息苦しいなどの症状が続く場合には、厚生労働省が発表した、新たな相談受診の目安を参考にして近くの保健所や医療機関に相談してください。

コロナウイルスの対応について

実際に私たちはどのように対応したら良いのでしょうか?

ネットの情報を見ると、うがいや手洗い、十分な睡眠とどこをみても書いてありますが、そういった感染予防の一つ一つのことを大切にして、自分自身の免疫力を高めていくことが最も重要な対策です。

夜更かしや、暴飲暴食、ストレスを溜め込む事は免疫力を落としますのでぜひ注意していただければと思います。

特に慢性的なストレスは免疫力を落としますし、睡眠にも影響与えるので注意です。

予防のための参考サイト

下記のサイトも参考になります。

正しい手洗いの仕方(政府インターネットテレビ)

マスクの正しい着け方(政府インターネットテレビ)

新型コロナウイルス対策篇(政府インターネットテレビ)

新型コロナウイルス対策2篇(政府インターネットテレビ)

コロナウイルス感染が疑わしい方

過去の様々なデータを確認すると、日本国内、先進国で実際にコロナウイルスの検査陽性になったほとんどの方が無症状から軽症です。

特に若い方ほど軽症で、重症患者さんの多くは高齢者あるいは糖尿病などの基礎疾患がある方のようです。

仮に感染していても、クリニックでは現時点では検査ができないこと、陽性でも治療法がないことを考えると、むやみに医療機関を受診するのではなく、軽症な方(食事も水分とれる、微熱程度)は、自宅で安静療養することが望ましいと考えます。

不安な方は、まずは帰国者接触者相談センターに相談していただき、検査が必要な方には地域の該当医療機関で検査していただくのが賢明です。

ですので、コロナウィルスが疑わしい方は、いきなり来院されるのでなく、出来る限り事前に電話していただき、状況を確認させていただきます。

万が一、疑わしい患者さんにつきましては、おたふくや、水痘、風疹、麻疹が疑われる患者さんと同様、隔離患者専用入り口から診察室に案内させていただきますので、車で待機をお願いします。

政府からの通達通り、今回のウィルスは飛沫感染及び接触感染によりうつると言われています。できる限り接触する時間を避けることが賢明です。

飛沫感染

感染者の飛沫(くしゃみ、咳、唾など)と一緒にウィルスが放出され、他の方がそのウィルスを口や鼻などから吸い込んで感染します。

接触感染

感染者がくしゃみや咳を手で押さえた後、その手で周りのものに触れるとウィルスがつきます。他の方がそれを触れるとウィルスが手に付着し、その手で口や鼻を触ると粘膜から感染します。

重症化すると肺炎になり、死亡例も確認されていますので注意が必要です。特にご高齢の方や、糖尿病、心臓疾患などの基礎疾患がある方が重症化しやすい傾向がありますので注意しましょう。

中国では、発症当時、軽症の人も多数病院に押し寄せて、入院ベッドも満床になり、集中管理が必要な方の対応が遅れて死亡者数が増えたようです。

日本でも同じような事態にならないように、疑わしい方は安易に医療機関を受診しないで、まずは下記のセンターにご相談ください。検査対象の方はしかるべき案内があると思います。

水分がとれている、比較的元気な方は自宅での安静加療を推奨されると思います。

帰国者接触者相談センターはすべての都道府県で設置しています。詳しくは以下からご覧いただきます。

「帰国者接触者相談センター」のリンク先はこちらです。

一般的なお問い合わせ先はこちら。

そのほか、ご自身の症状に不安がある場合など、一般的なお問い合わせについては次の窓口にご相談ください。

厚生労働省相談窓口電話番号 0120-56-5653 (フリーダイヤル)
受付時間 午前9時から午後21時(土日、祝日も実施)

聴覚に障害のある方を始め、電話でのご相談が難しい方ファックス番号03-3595-2756

都道府県の連絡先

帰国者接触者相談センター

・長生健康福祉センター(長生保健所)
(平日午前9時から午後5時まで)
電話番号0475ー22-5167

・千葉県帰国者接触者相談センター
(土日祝日 午前9時から午後5時まで)
電話番号043-223-2989

内閣官房から、コロナウイルスの対応について

以上長文になりましたが少しでも参考になれば幸いです。

この記事の監修者
細田 俊樹
  • 医療法人社団緑晴会 あまが台ファミリークリニック 理事長
  • 日本プライマリ・ケア連合学会 家庭医療専門医

年間15,000人以上の患者さんを診察している総合診療専門医。
総合診療という専門分野を生かし、内科、皮膚科、小児科、生活習慣病まで様々な病気や疾患に対応している。
YouTubeでよくある病気や患者さんの疑問に対して解説している

タイトルとURLをコピーしました