皆さん こんにちは。あまが台ファミリークリニックの細田です。
今回は、勤務医時代に担当させていただいた患者さんを診察したときのお話です。
私が総合病院の総合診療科外来をやって担当させていただいたときの話ですが、患者さんは中学3年生の女の子でした。
非常に強い咳で、昼夜問わず、一度咳をし出すと顔が真っ赤になる位咳き込んで苦しいと言うことで外来を受診しました。水分は取れているんですけれども、夜の眠りも浅く、私の外来を受診したときにはすでに咳が出始めてから2週間近く経っていました。
レントゲンを撮っても特に異常はなく、血液検査でも炎症反応も特に問題ないですし、熱もありません。酸素飽和度は98%と言うことで極端に酸素濃度が落ちている印象もありませんでした。
血液検査の結果を見ると百日咳抗体が陽性と言うことで百日咳の診断をしました。
年間15000人以上罹患する百日咳
あまり知られていませんが百日咳は年間15,000 人以上の方がかかる感染症です。2019年の統計によると、そのうち264 人が入院し、死亡は1人となっています。
百日咳は百日咳菌から起こる感染症で、文字通り数ヶ月間にわたって咳が持続するのが1つの特徴です。
小さいお子さんが罹患すると、無呼吸発作等により、死に至ることもありますので、周囲の人がワクチンを接種して、感染予防を図ることが重要です。
意外に知られていないことですが、百日咳の飛沫感染で伝染りますが、
基本再生産数は16~21
と高く、空気感染する麻疹と同じ位のつよい感染力を持っています。
百日咳感染症の好発年齢は?
百日咳の感染者で多いのが5歳から15歳と全体の60%近くを占めます。
乳幼児の予防接種の効果は最終接種から4から12年で低下することがわかっていますので、追加接種プログラムがないわが国ではこれが課題となっています。
たとえば、1歳で4種混合を4回接種が完了したとすると、5~13歳ころには、抗体が低下する傾向があります。
我が国では、現在は、3ヶ月から、1歳半くらいまえに、四種混合(破傷風、ポリオ、ジフテリア、百日咳)が定期接種に組み込まれています。
それ以降、接種する機会がないため、免疫がなくなったころ、つまり5-15歳で感染するケースが多いのです。
百日咳はアジスロマイシンと言う抗生物質で治療できるのですが、他のウイルス性上気道炎などとの区別が難しいために、診断されずに見過ごされているケースも多いと言われています
百日咳の予防はどうしたらいいの?
それでは予防のためにはどうしたらいいでしょうか?
現在小児の定期接種で使われている百日咳を含むワクチンといえば、4種混合ワクチン(破傷風、ポリオ、ジフテリア、百日咳)ですが、現在は3種混合ワクチンとしてトリビック(商品名)があり、わが国で用いることができる国産ワクチンです。
しかしながら定期接種として使用されている四種混合ワクチンと違って制度としてスケジューリングに組み込まれていないため、3種混合ワクチンの使い所はあまり知られていません。
ではどのタイミングでわが国では接種を推奨したら良いでしょうか?先ほどもお伝えした通り、日本では任意接種(自費)の扱いになります。
当院での百日咳予防接種推奨プラン
当院では、11~12歳で接種する二種種混合(DT)ワクチンの代わりにトリビック(三種混合)の接種を推奨しています。
あるいは
保護者の方と相談して二種混合ワクチンの1ヶ月後にトリビック接種を推奨しています。
また、成人特にこれから妊娠予定や乳児をケアする家族、妊娠可能年齢の女性なども接種を推奨しています。