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前立腺がん を疑う 7つ の 症状
皆さんこんにちは。
あまが台ファミリークリニック院長の細田です。
今回のテーマは「前立腺がんを疑う7つの症状」です。
- 前立腺がん ってどんながん?
- そもそも 前立腺 って何?
- 前立腺がん を疑う症状って?
- 診断や検査の流れを知りたい
こんな疑問を持っている方は、ぜひこのブログを読んでいただければと思います。エビデンス(医学的根拠)をもとに、医者歴22年の経験や知識を生かしてわかりやすく解説していきたいと思います。
前立腺がんの疫学
前立腺の年間の死亡数は増える一方です。
2020~2025年における我が国の前立腺がんの罹患数(がんになる患者さんの数)は、がんの中で1位になることが予測されています。
アメリカでは男性の7人に1人が前立腺がんというデータがあります。ものすごく今問題になっているがんの1つです。
前立腺がんが増えている理由
理由1:高齢化
80歳以上の半分の方には前立腺がんがあるということがわかってきています。
全員が進行するようながんではなく、潜伏がんと言われています。
無症状で寿命の方が先に来る大人しいがんも含めて数えられています。
理由2:食生活の欧米化
高たんぱく・高カロリー・高脂肪の食事が前立腺がんにおいてもリスクファクター(危険因子)になるということがわかっています。
こちらの動画では大腸癌について詳しくお話しています。
大腸がんでも加工肉や赤肉といった高たんぱく・高カロリーの食事がリスクファクター(危険因子)になるということを解説しています。
理由3:PSA検診の導入
PSA(前立腺特異抗原)という血液検査だけでわかる前立腺がんの検診が全国で導入されています。
それによって、今までは末期状態でしか見つからなかった前立腺がんを早期発見することができたことも罹患数が多くなったことの大きな要因です。
前立腺がんの解剖と役割について
腎臓から膀胱に溜められた尿が尿道を通って出ていきます。
この尿道を取り囲む図の緑の部分が前立腺になります。栗の実大とか、くるみ大と言われるだいたい重さ20gぐらいの部分です。
前立腺は、精巣で作られた精液の主な成分を作っています。さらに精子を保護する成分も作っています。
精のうで溜められた精液が射精するときに、前立腺の筋肉が収縮して精液が押し出され、射精するための大きな役割を担っています。
前立腺は内線と外線に分けられています。
前立腺がんは外側(栗の実に例えると皮にあたる部分)からできてきます。
それに対して前立腺肥大は、内腺が大きくなってきますので、通り道がふさがりやすいです。
前立腺肥大の場合は、尿道が狭くなることから尿が通りづらくなってくるので
- 残尿感
- 排尿時に尿が出づらい
- 頻尿
などの症状が出やすいのですが、前立腺がんは外側にできるため、よほど進行しないと症状が出てきません。そのため早期は無症状です。
ただこれが徐々に進行し、大きくなって、尿道を圧迫するような状況になると、尿が出づらくなります。
そのため進行した前立腺がんの症状は、
- 尿が出づらい
- 残尿感
- 尿や精液に血が混じる
- 排尿時の痛み
なども出てきます。
そして更に進行すると、前立腺がんが転移と言って、リンパ節や血液を介して骨の方まで飛んでしまい、こんな症状が出る恐れがあります。
- 背骨にがんが飛んでしまい、骨が炎症を起こして痛む
- 昼も夜も腰が痛む
- 手足の骨に転移して、手足が痛む
- がんが尿道を完全に塞ぎ、尿閉(尿が出ない)になってしまう
みなさんがスポーツだったり重い荷物を持って腰を痛めた後は、湿布を貼ってじっとしてれば痛みがやわらいだりしますよね。
前立腺がんの場合は骨に転移して骨を破壊して炎症を起こしているため、夜中寝ていても痛い。これを夜間痛と言います。
私が医者になって10年目の頃、こんな症状を訴えた患者さんがいました。
- 腰が痛い
- 夜中も痛くて眠りづらい
- 尿が出にくい
大きい病院に紹介させていただいたところ、やはり前立腺がんでした。
その方は抗がん剤であったり、治療をして事なきを得ましたが、特に安静時、夜間にも痛い場合というのはこういったがんが隠れている場合もありますから注意してください。
前立腺がんの危険因子(リスクファクター)
前立腺がんにおいては、
- 肥満
- タバコ
- 家族歴
というのが大きなリスクファクターになります。
例えば
こんな場合は強く前立腺がんを疑う必要がありますし、
こんな場合はさらにリスクが高くなります。2.4~5.6倍程度高くなるという研究結果もあります。
前立腺がんの診断・検査の流れ
前立腺がんは初期は無症状ですが、健康診断にもPSAという血液検査が導入されて早期発見が増え、その分、前立腺がんの罹患数はすごく増えました。
検査は、まずは簡単なPSA検査から行います。
その次に直腸診と言いまして、ベッドに横になっていただいてお尻から指を入れ、前立腺に触れます。
通常左右に栗の実大ぐらいの大きさがありますが、がんがあるとゴツゴツ触れていたり大きくなっていたりします。そういった場合はより前立腺がんを疑います。
また、超音波検査やMRIによっても病巣があるかどうかが分かります。
超音波検査は、前立腺を調べる専用のプローブという機械を入れて調べます。
- 前立腺がんを疑うような症状がある
- 危険因子もある
- 検査をして疑わしいとなった
このような場合は、針生検(はりせいけん)という検査をします。前立腺の組織を実際に針を刺して取る方法です。
お尻からエコを入れ、エコーを見ながら10箇所ぐらいポンと針が飛び出るような機械を使います。
個人差がありますが、一般的にそれほど強い痛みではなく大体一泊入院で30分程度で終わります。
まれに発熱、血尿、感染のリスクがあります。
検査をする際は、主治医の先生から合併症や危険性や、メリット・デメリットを聞いてから判断しましょう。
PSA(前立腺特異抗原)検査
PSAというのは前立腺特異抗原というタンパク質です。
これは前立腺から出されるタンパク質で、前立腺がんを見つけるための腫瘍マーカーですが、実は前立腺がん以外の時も血液の中にたくさん出てきます。
どういった時が多いかと言いますと
- 加齢
- 前立腺炎
- 前立腺肥大
そのため、単純にPSAが高いからといってがんとは限りません。
50歳以上というのが発症のリスクとしては大きくなってくるため、日本ではPSAの採血は、50歳以上で推奨されています。ただ、国によっては一様にとることが推奨されていない場合もあります。
また、
AGA(壮年期脱毛症)の治療薬(フィナステリド・デュタステリド等)を内服している場合、PSAが低く出てしまいます。
実際は数値が高いのに、治療薬の影響で数値が低く出てしまう場合もありますので、検査をしておきたいという方は数ヶ月前から主治医と相談し、薬の服用をやめてから採血してください。
実際にPSA検査をして、前立腺がんを疑う数値は以下の通りです。
4.0ng/ml以下 | 一般的に正常。定期的な検査をしましょう。 |
4.0~10.0ng/ml以下 | グレーゾーン。上昇傾向で生検。 |
10.1ng/ml以上 | がんの疑い。 |
施設や年齢によってはもう少し厳しく設定している数値です。くわしくは主治医の先生と相談して決めるべきでしょう。
動画
前立腺がんを疑う7つの症状について、動画でも詳しく説明しています。ぜひご覧ください!
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