「押し出したら白いかたまりが出て、これで治ったのかな?」
こうしたご相談はとても多くあります。しかし、粉瘤(ふんりゅう)を自分で潰すと、一時的にスッキリしたように見えても、ほぼ必ず悪化や再発につながってしまいます。
このブログでは、毎日のように粉瘤を診察している医師の立場から、
「なぜ潰してはいけないのか」
「どう治療するのが安全なのか」
を、中学生にもわかるようにやさしく解説します。

目次
こんな方に読んでほしい記事です
- 小さな粉瘤があり、自分で潰したくなってしまう方
- 粉瘤が赤く腫れて痛いが、病院に行くべきか迷っている方
- 「ニキビかな?」と思って、自己流でつぶしている方
- 同じ場所に何度もできものができて困っている方
- 市販薬や消毒で何とかならないかと考えている方
当院の粉瘤治療と医師の紹介
当院では、外科専門医として粉瘤・脂肪腫の日帰り手術を豊富に行ってきた今西医師と、年間15,000人以上の患者さんを診察している総合診療専門医(院長)が協力し、粉瘤の診断から治療、再発予防まで一貫して対応しています。

粉瘤は「皮膚のできもの」の一つですが、専門的な知識と経験がないと、適切な見極めや治療が難しい病気です。だからこそ、自己判断ではなく、医師の診察を受けることがとても大切になります。
粉瘤でよくあるお悩み
- 押し出すと白いカスが出て、「治った」と感じてしまう
- ついクセになって、何度も触ってしまう
- 一度治ったと思ったのに、同じ場所がまた腫れてきた
- 赤く腫れて痛いのに、「この程度で受診して良いのか」と迷う
- ニキビとの違いがわからず、自己流でつぶして悪化してしまう

粉瘤を自分で潰すとどうなる?医学的な理由
粉瘤の正体は、皮膚の下に袋(嚢腫)ができ、その中に古い角質や皮脂などの老廃物がたまったものです。
この「袋ごと」取らない限り、中身だけ押し出しても、必ずと言っていいほど再発します(※1)。
患者さんからよくいただく反応
「白いのが全部出たので、もう治ったと思っていました。」
その気持ちは本当によくわかります。しかし、医師としてはここが一番お伝えしたいポイントです。
自分で強く押しつぶすと、袋の壁が皮膚の中で破れ、細菌が入り込みます。その結果、次のような悪化が起こります(※2)。
- 真っ赤に腫れて強い痛みが出る
- 膿がたまって熱をもつ
- 発熱や倦怠感が出る
- 切開範囲が広がる
- 傷あとが目立ちやすくなる

「様子をみてもいい?」という疑問への答え
小さな粉瘤だからといって、放置すると、大きくなったり、ある日突然赤く腫れて激痛が出たりすることがあります。
炎症が起きてからの治療はどうしても負担が大きくなるため、痛くなる前・赤くなる前に相談していただくことが重要です(※1)。

当院で行う粉瘤の治療
- 炎症が強い場合:切開・排膿+抗生剤
- 炎症が落ち着いたら袋ごと摘出(日帰り手術)
- 小さく炎症のない粉瘤は、傷あとが目立ちにくい摘出術
多くは10~20分の処置で日帰り可能です。仕上がりにも十分配慮します。

まとめ:粉瘤は「自分で潰さない」が最も安全
- 粉瘤は袋ごと取らないと再発する(※1)
- 潰すほど炎症と痛みが悪化し、治療が大変になる(※2)
- 市販薬では治らない
- 早期受診で傷・費用・痛みを最小限にできる
千葉・茂原エリアからも通院可能な粉瘤外来
当院の粉瘤外来には千葉県内はもちろん、茂原市など近隣エリアからも多くの方が来院されています。
「これが粉瘤か知りたい」「手術が必要か相談したい」という方も歓迎です。
参考文献
- Alam M, et al. Epidermal inclusion cysts: pathophysiology and treatment. Dermatologic Surgery.
- Zuber TJ. Minimal excision technique for epidermoid cyst removal. American Family Physician.
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