「便秘が治らない原因は?便秘薬の選び方・食事・改善方法を医師が解説|あまが台ファミリークリニック」

「便秘が治らない原因は?便秘薬の選び方・食事・改善方法を医師が解説|あまが台ファミリークリニック」

「毎日出ないから便秘なのかな?」

「便秘薬を飲んでいるけれど、ずっと続けても大丈夫?」

「食物繊維や水をとっているのに、なかなか出ない……」

こうした悩みを抱えている方は少なくありません。

実は便秘は、単に「何日間うんちが出ていないか」だけで判断するものではありません。

便が硬い、強くいきまないと出ない、出ても残っている感じがする、便意はあるのに出せないといった症状も、便秘の重要なサインです。

また、便秘薬にもさまざまな種類があり、「とにかく強い下剤で出せばよい」という治療ではありません。

こんにちは。あまが台ファミリークリニック院長の細田俊樹です。医師歴25年、家庭医療専門医として、内科を中心に幅広い症状の診療を行っています。

このページでは、便秘の定義から原因、便秘薬の正しい選び方、食事・生活習慣、そして「病院を受診した方がよい便秘」まで、できるだけわかりやすく解説します。

1.そもそも「便秘」とは?

便秘は「毎日出ないこと」だけではありません

便秘というと、一般には「何日も便が出ない状態」を想像する方が多いと思います。

しかし医学的には、それだけではありません。

日本の「便通異常症診療ガイドライン2023」では、便秘は大まかにいうと、本来排出すべき便を十分量かつ快適に排出できない状態として考えます。(※1)

つまり、毎日排便があっても、

  • 便が硬くて出しにくい
  • 毎回かなり強くいきむ
  • 出した後も便が残っている感じがする
  • 肛門のところまで来ているのに出せない
  • 指などを使わないと出せない

といった症状が続く場合には、便秘症の可能性があります。

便が硬い・強くいきむなど便秘の代表的な5つのサイン

大切なポイント
「1日1回出なければ便秘」というわけではありません。
排便回数だけでなく、「気持ちよく排便できているか」が重要です。

慢性便秘症の目安

国際的に用いられるRome IV基準などでは、次のような症状が便秘を考える目安になります。(※2)

  • 排便回数が週3回未満
  • 硬い便が多い
  • 排便時に強くいきむことが多い
  • 残便感がある
  • 肛門が詰まっているように感じる
  • 便を出すために指などを使う必要がある

こうした症状が慢性的に続いている場合には、「体質だから」と放置せず、原因を一度整理することが大切です。

2.便秘はなぜ起こるのでしょうか?

便秘にはさまざまな原因があります。

「食物繊維が足りないから」と一つの原因だけで説明できないケースも非常に多く、治療をうまく進めるためにはどのタイプの便秘なのかを考えることが重要です。

便が硬くなる・動きの低下など便秘の6つの原因

① 便が硬くなっている

大腸では、便から水分が吸収されます。

便が腸内に長くとどまるほど水分が吸収され、便は硬くなります。

水分不足だけでなく、食事量の減少、食物繊維不足、高齢、活動量の低下なども関係します。

② 大腸の動きが低下している

大腸が便を先へ送る力が低下すると、便が腸内に長くとどまります。

運動不足や加齢だけでなく、糖尿病、甲状腺機能低下症、神経疾患などが関係することもあります。

③ 出口でうまく便を出せない

便は直腸まで来ているのに、肛門や骨盤底筋がうまく緩まず、排便できないタイプもあります。

「便意はあるのに出ない」「何度もトイレへ行く」「強くいきんでも出ない」という場合には、単に便を柔らかくするだけでは改善しないこともあります。

④ 食事量が少なすぎる

意外に見落とされやすいのが、食事そのものが少ないケースです。

特に無理なダイエットをすると、便の材料そのものが減ってしまいます。

イメージとしては、「腸から送り出す荷物が少なすぎる」状態です。

食べる量を極端に減らしながら「便秘だけ治したい」というのは難しいことがあります。

少食

⑤ 薬の影響

薬によって便秘が起こることもあります。

例えば、

  • 一部の鎮痛薬、特にオピオイド
  • 抗コリン作用のある薬
  • 一部の抗うつ薬・向精神薬
  • 鉄剤
  • 一部の降圧薬

などが便秘に関係することがあります。

薬を開始してから急に便秘になった場合には、自己判断で薬を中止せず、医師へ相談してください。

⑥ 大腸の病気が隠れている

ここは非常に重要です。

大腸がんなどによって腸管が狭くなり、便が出にくくなることがあります。

そのため、便秘を「薬を飲めばいいだけ」と考えず、特に急に便通が変化した場合には注意が必要です。

3.このような便秘は一度受診してください

次のような症状がある場合には、生活習慣だけで様子を見るのではなく、一度医療機関へ相談することをおすすめします。

  • 最近になって急に便秘になった
  • 便に血が混じる、血便がある
  • 体重が理由なく減っている
  • 便が急に細くなった
  • 強い腹痛がある
  • 腹部が強く張り、吐き気や嘔吐がある
  • 発熱を伴っている
  • 便秘と下痢を繰り返す
  • 大腸がんの家族歴がある
  • 市販薬を使っても便秘が改善しない

特に、強い腹痛、嘔吐、著しい腹部膨満があり、便だけでなくガスも出ない場合には、腸閉塞などの可能性もあるため、早めの診察が必要です。

4.便秘薬は「強い薬」より「自分に合った薬」を選ぶことが大切

便秘治療で非常に重要なのが、薬の選び方です。

便秘薬は、どれも同じように「腸を動かす薬」ではありません。

便に水分を持たせる薬、腸管内へ水分を分泌させる薬、胆汁酸を利用して腸を動かす薬、腸を直接刺激する薬など、作用が大きく異なります。

刺激性下剤:効きやすい一方、漫然とした連用には注意

代表的なのが、

  • センナ
  • センノシド(プルゼニドなど)
  • ビサコジルを含む一部の市販便秘薬

などです。

これらは大腸を刺激して動かすため、比較的早く排便につながりやすいというメリットがあります。

そのため、「どうしても出ない時のレスキュー」として非常に役立つ薬です。

ただし、問題は「毎日これだけを飲み続ける」ような使い方です。

高用量を長期間漫然と使用すると、効き方の変化や腹痛、下痢などが問題になることがあり、日本のガイドラインでも高用量の刺激性下剤を長期間連用しないよう注意されています。(※1)

センナなどでは「大腸メラノーシス」が起こることがあります

センナなどアントラキノン系の刺激性下剤を長期間使用していると、内視鏡検査で大腸粘膜が茶色~黒っぽく見える大腸メラノーシス(大腸黒皮症)が起こることがあります。(※3)

大腸メラノーシスそのものが「大腸がんになる」という意味ではありません。

しかし、センナ系薬剤を長期にわたり大量使用していることの一つのサインになるため、漫然とした服用は避けたいところです。

刺激性下剤は「悪い薬」ではありません。

大切なのは使い方です。
必要な時に一時的・レスキュー的に使用するのと、何年間も毎日自己判断で増量しながら飲み続けるのとでは意味がまったく違います。

5.現在は、刺激性下剤以外にも多くの選択肢があります

以前に比べ、現在は慢性便秘症に対して使える薬の選択肢が増えました。

そのため当院では、患者さんの便の硬さ、排便回数、腹痛、腎機能、年齢、他の薬との関係などをみながら治療薬を考えます。

便秘薬の例

① 酸化マグネシウム

昔から使用されている代表的な便秘薬です。

腸管内に水分を引き込み、便を柔らかくする「浸透圧性下剤」の一つです。

腸を強制的に刺激して排便させる薬ではないことが大きな特徴です。

メリット

  • 便が硬いタイプに使いやすい
  • 比較的安価
  • 長年使用されてきた実績がある

注意点

腎機能が低下している方、高齢者などでは、血液中のマグネシウム濃度が上昇する高マグネシウム血症に注意が必要です。(※1)

「昔からある薬だから誰でも安全」というわけではありません。

長期間服用する場合には、腎機能や血清マグネシウム値を確認することがあります。

② モビコール配合内用剤(マクロゴール/PEG)

モビコールは、ポリエチレングリコール(PEG)を利用して便に水分を保持させ、排便しやすくする薬です。

世界的にも慢性便秘症に対するエビデンスが豊富な治療の一つです。

2023年の米国消化器病学会・米国消化器病協会のガイドラインでも、PEGは慢性特発性便秘に対して強く推奨されている治療の一つです。(※4)

メリット

  • 慢性的な便秘に使いやすい
  • 刺激性下剤とは作用が異なる
  • 便の水分を増やし、自然に近い排便を目指しやすい
  • 海外を含めエビデンスが豊富

デメリット

  • 水などに溶かして飲む必要がある
  • 患者さんによっては味や服用量を負担に感じる
  • 腹部膨満感や下痢が起こることがある

③ アミティーザ(ルビプロストン)

アミティーザは、小腸から腸管内への水分分泌を促し、便を柔らかくして排便を促す薬です。(※5)

慢性便秘症に対して使用され、従来の下剤だけで十分な改善が得られない場合にも選択肢になります。

メリット

  • 便を柔らかくしながら排便を促せる
  • 刺激性下剤とは異なる作用機序
  • 慢性便秘症に対するエビデンスがある

デメリット

  • 吐き気が出ることがある
  • 下痢や腹部症状が出ることがある

吐き気を軽減するため、食後に服用することなどを考慮します。

④ グーフィス(エロビキシバット)

グーフィスは「胆汁酸」を利用する新しいタイプの便秘薬です。

本来、小腸で再吸収される胆汁酸の一部を大腸へ届けることで、大腸内への水分分泌や腸管運動を促します。

メリット

  • 自然な便意につながることがある
  • 刺激性下剤とは異なる作用機序
  • 慢性便秘症の選択肢の一つになる

デメリット

  • 腹痛が起こることがある
  • 下痢になることがある
  • 患者さんによって効き方に差がある

6.どの便秘薬を選べばいいの?

患者さんからよくいただく質問です。

結論として、「この薬が一番いい」というものはありません。

特徴 向いているケース 主な注意点
酸化マグネシウム 便を柔らかくする 硬い便 腎機能、高Mg血症
モビコール 便に水分を保持する 慢性的な便秘 服用方法、腹部膨満
アミティーザ 腸管内への水分分泌を促す 慢性便秘 吐き気、下痢
グーフィス 胆汁酸を利用する 慢性便秘 腹痛、下痢
センナ・センノシド等 大腸を刺激する 一時的・レスキュー使用など 腹痛、下痢、長期高用量使用に注意

つまり、

「何日出ていないか」だけではなく、「便が硬いのか」「出口で詰まるのか」「腹痛があるのか」「便意そのものがないのか」まで考えて薬を選ぶことが大切です。

酸化マグネシウム・モビコール・アミティーザ・グーフィスの作用の違い

「市販の便秘薬を何年も使っている」「何を飲めばいいかわからない」という方へ

一度、現在使っている薬と便の状態を整理するだけでも、治療を見直せることがあります。

お薬手帳や、現在使用している市販薬がわかるものをお持ちください。

7.食生活で改善できること

① 食物繊維を意識しましょう

便秘対策では食物繊維が重要です。

特に注目したいのが水溶性食物繊維です。

水溶性食物繊維は水分を含み、便の状態を整えたり、腸内細菌のエサになったりします。

例えば、

  • オートミール
  • 大麦
  • 海藻類
  • 果物
  • 納豆などの豆類
  • 野菜類

などから摂取できます。

一方で、「便秘だから食物繊維を大量に摂ればよい」というわけでもありません。

便が腸内に大量にたまっている方や、腹部膨満感が強い方では、急に食物繊維を増やすことでかえってお腹が張ることがあります。

少しずつ増やしていくことがポイントです。

オートミールや海藻など水溶性食物繊維を含む食品

② 極端なダイエットは便秘の原因になります

食事量が減れば、当然ながら便の材料も少なくなります。

特に、

  • 朝食を完全に抜く
  • 極端な糖質制限
  • 野菜まで減らす
  • 食事量を急激に減らす

といったダイエットでは便秘が悪化することがあります。

体重を減らしたい場合にも、単純に「食べない」のではなく、たんぱく質・野菜・食物繊維を確保しながら全体量を調整することが大切です。

③ 朝起きたら一杯の水や白湯を

朝起きた直後に、水や白湯を一杯飲む習慣も取り入れやすい方法です。

ただし、「白湯そのものに特別な便秘治療効果がある」という意味ではありません。

大切なのは、朝に水分を摂り、朝食などと組み合わせながら胃腸を活動モードへ切り替える習慣をつくることです。

朝にコップ一杯の白湯を飲む様子

8.便秘を改善する生活習慣

① 便意を我慢しない

便意があるのに、

「仕事中だから」
「朝忙しいから」
「外のトイレではしたくないから」

と何度も我慢していると、便意を感じにくくなることがあります。

便意を感じたら、できる範囲でトイレへ行く習慣をつけましょう。

② 朝食後にトイレへ行く習慣をつくる

食事をすると胃が刺激され、その刺激によって大腸が動きやすくなる胃結腸反射が起こります。

特に朝食後は排便習慣を作りやすい時間帯です。

ただし、便意がないのに何十分も座って強くいきみ続ける必要はありません。

③ 便を出しやすい姿勢をつくる

洋式トイレでは、足を床につけて上体をまっすぐにしているよりも、少し前傾し、膝を股関節より少し高い位置へ上げる姿勢の方が排便しやすくなる場合があります。(※6)

小さな足台を使う方法もあります。

排便しやすい姿勢のポイント

  • 足を少し開く
  • 足台などを使って膝を少し高くする
  • 上半身を軽く前へ倒す
  • 肘を太もも付近に置く
  • 息を止めて力み続けない

足台を使った排便しやすい姿勢と出にくい姿勢の比較

④ 朝5~10分、日の光を浴びる

便秘だけを直接治す治療ではありませんが、朝に光を浴びることは体内時計を整えるうえで役立ちます。

睡眠時間、起床時間、食事時間が不規則になると、排便のタイミングも不規則になりがちです。

朝起きたらカーテンを開け、可能であれば5~10分程度外へ出るなど、「朝が来た」ことを体へ伝える習慣を作ることをおすすめします。

⑤ 体を動かしましょう

身体活動も便秘対策の一つです。

必ずしもジムへ行ったり、激しい運動をする必要はありません。

ウォーキングができればよいですが、真夏など屋外での運動が難しい時期には、

  • 掃除機をかける
  • 床を拭く
  • 洗濯物を片づける
  • 家の中をこまめに歩く
  • 軽い体操をする

といった活動でも構いません。

「運動する時間を作らなければ」と考えるより、日常生活の中で座っている時間を減らすことから始めると続きやすくなります。

9.よくある質問

Q.毎日便が出なければ便秘ですか?

A.いいえ。

毎日排便がなくても、苦痛なく排便できていて、便が硬くなく、残便感などがなければ必ずしも便秘とは限りません。

Q.3日に1回しか出ません。病気でしょうか?

A.回数だけでは判断できません。

ただし週3回未満の排便は慢性便秘症を考える一つの目安です。硬い便、強いいきみ、腹痛、残便感などもあれば一度ご相談ください。

Q.便秘薬は一度飲むとやめられなくなりますか?

A.便秘薬の種類によります。

すべての便秘薬に依存性・耐性があるわけではありません。酸化マグネシウム、PEG製剤、ルビプロストン、エロビキシバットなど、刺激性下剤とは異なる作用を持つ薬もあります。

Q.センナやプルゼニドは飲んではいけないのですか?

A.飲んではいけない薬ではありません。

適切に使えば有効な薬です。ただし、自己判断で高用量を長期間飲み続けることはおすすめしません。慢性的に必要になっている場合には、他の治療へ変更・併用できないか検討します。

Q.食物繊維をたくさん食べれば治りますか?

A.必ずしもそうではありません。

食物繊維は重要ですが、すでに便が大量にたまっている場合などには、急激に増やすとかえって腹部膨満が強くなることがあります。便秘のタイプに応じて調整しましょう。

Q.便秘で大腸がんになることはありますか?

便秘があるから大腸がんというわけではありません。

一方、大腸がんによって腸が狭くなり、その結果として便秘になることがあります。

特に急に便秘になった、血便、体重減少、便が細くなったなどの変化がある場合には、一度医療機関へ相談してください。

10.便秘治療で大切なのは「毎日出すこと」ではありません

便秘治療のゴールは、単純に「毎日1回排便すること」ではありません。

苦痛が少なく、自分にとって自然な形で、十分に排便できる状態を作ることが大切です。

便秘は非常に身近な症状ですが、その原因は人によって異なります。

食事や運動で改善できる方もいれば、便を柔らかくする薬が必要な方、腸管運動へ働きかける薬が適している方、出口の問題を考える必要がある方もいます。

また、「昔から便秘だから」と思っていても、年齢や体調によって便秘の原因が変化することもあります。

特に、

  • 市販の便秘薬を長期間飲み続けている
  • 薬を飲んでも出なくなってきた
  • 薬の量が徐々に増えている
  • お腹の張りや痛みがある
  • 急に便通が変わった
  • どの便秘薬を選べばよいかわからない

という方は、一度現在の治療を見直してみてもよいと思います。

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便秘のタイプや現在使用している薬を確認し、その方に合った治療方法を一緒に考えます。

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参考文献

※1 日本消化管学会 編.便通異常症診療ガイドライン2023―慢性便秘症.南江堂,2023.

※2 Rome Foundation. Rome IV Diagnostic Criteria for Functional Constipation.

※3 Li XA, et al. Melanosis Coli. ほか、アントラキノン系下剤と大腸メラノーシスに関する報告.

※4 Chang L, et al. American Gastroenterological Association-American College of Gastroenterology Clinical Practice Guideline: Pharmacological Management of Chronic Idiopathic Constipation. Gastroenterology / Am J Gastroenterol. 2023.

※5 PMDA. アミティーザカプセル 医薬品添付文書・患者向医薬品ガイド.

※6 排便時の姿勢および足台使用と排便効率に関する臨床研究.

※本ページは一般的な医学情報の提供を目的としています。症状や基礎疾患、服用薬によって適切な治療は異なります。薬の開始・中止・変更については医師または薬剤師へご相談ください。