院長ブログ

便秘解消法5選

皆さんこんにちは。
あまが台ファミリークリニック院長の細田です。

今回のテーマは「便秘解消法5選」です。


実は私自身、5年ぐらい前に訪問診療専門のクリニックで働いているときに運動不足が原因で便秘になってしまった経験があります。
便秘になるとお腹が張って苦しかったり、お腹が痛くなってしまって辛い思いをしますよね。

医者の立場から、便秘の患者さんにお薬という選択肢を提供する形もあるのですが、今回はお薬以外の方法で、生活習慣を変えたり、食べ物を変えることで便秘を解消する方法についてお話していきたいと思います。

便秘の原因


便秘と一言で言っても、人によって症状は様々です。
便秘というと3~4日出ないというイメージがあるかもしれませんが、自分が便秘だと感じている人の6割は毎日便が出ているそうです。

毎日出ていても残便感があったり、ウサギのうんちのようなコロコロした便だったら不快感がありますよね。これも便秘と言います。

朝、前日食べたもののカスがでるのは健康のバロメーターです。
人は本能的にいらないものを出したいという感覚があります。

便秘は病気と健康の間のグレーゾーンです。
中国医学では「未病」と言います。
未病は生活習慣、食事、運動を整えれば正常に戻ります。

便秘侮るなかれ。体質を改善するすごく良い機会です。

便秘のほとんどは、以下のようなことが原因です。

  • 冷え性
  • 運動不足
  • 過度な食事制限
  • ストレス
  • アルコール

まれに甲状腺機能低下症、糖尿病、パーキンソン病といった病気が原因になる場合もあります。
大腸がんの初期症状でも、便秘と下痢を繰り返す場合があります。

便秘の解消法

解消法1:朝1杯の白湯を飲む


朝起きて温かい水分を摂るとお腹の動きがよくなり、排便につながります。

私自身便秘になった経験がありますので、夏でも大きなマグカップにたっぷりの白湯を飲むようにしています。
あとはプラスして青汁を飲んだり、バナナやキウイなどの果物を食べます。

メーカーによって違いますが、青汁にはオリゴ糖や大麦、食物繊維が多く入っていますので、それによってさらにお腹の動きをよくします。
果物は消化がよく、胃・十二指腸・小腸・大腸と通過速度が速いので、大腸を刺激して便になりやすくなります。

解消法2:運動


体を動かす=便通を良くするということは、多くの人が体感していると思います。
運動することで腸が活発に動き、血流がよくなって便通がよくなります。

そのほかにも、気持ちが安定したり睡眠も深くなったり、いいことばかりですので、便秘でお悩みの方でなくても運動はオススメです。

そうは言っても続けられない…という方もたくさんいらっしゃると思います。
そんな方にオススメの方法は、玄関に着替えを用意しておいて、朝起きてすぐ5分~10分くらい歩く習慣をつけることです。
これは僕自身が毎朝実践している方法です。
朝起きて顔も洗わずに、短パンとシャツ、靴下を履いてすぐ外に出る。

習慣化の秘訣は、いかにアクションを起こしやすくするかということです。
達成するまでに段階がいくつもあると難しいと感じてしまいます。
朝が大変なら夕方、例えば会社から自宅までの通り道のジムを探して必ずそこを通るように習慣化してしまうのもいいと思います。

ぜひ、ご自身のライフスタイル・スケジュールに合わせて考えてみてください。

解消法3:便意を我慢しない


お腹は私たちが命令して動いているわけではなく、勝手に消化・吸収・排泄をしてくれています。
この調整をしてくれているのが自律神経です。


口から食べた食べ物が、胃→十二指腸→小腸→大腸を通り、S状結腸、直腸のところに溜まる。
すると腸から脳に「便が溜まってきたからお腹動かしてよ」と指令を出します。

その指令に対して「いま忙しくてトイレに行けないんだよ」と言って断っていると、腸から指令が来なくなります。
「脳に言ってもダメだ」とボイコットしてしまうんですね。

これが続くと、便意を我慢することが普通になってしまう。
つまり、腸の中に便が居座るのが当たり前の状態になってしまいます。
便意は我慢しないのが大切です。

そうは言っても、実際に生活の中で一切便意を我慢しないのは大変だと思います。
通勤中に便意があっても、なかなか途中で電車を降りるのは難しいですよね。
そんな方はぜひ、朝早起きして白湯を飲むことだったり、運動するということをしてみてください。

ギリギリに起きると、お腹が動き出すのもその分遅くなります。
朝30分早く起きて活動することで、お腹も動くようになり、家で便をするよう改善されるかもしれません。

解消法4:食物繊維を摂る


厚生労働省は食物繊維を1日20g以上摂ることを推奨していますが、文献的にはできれば25~30g以上摂ってほしいのが本音です。

食物繊維には「水溶性」のものと「不溶性」のものがあります。

▼不溶性食物繊維(水に溶けない)

  • 穀類(玄米)
  • 野菜
  • 豆類
  • キノコ類
  • 果実
  • 海藻

不溶性食物繊維は水分を思い切り吸ってくれるため、便のカサを増してくれます。

便は重さと大きさが無いと便になりづらいのですが、不溶性食物繊維を摂り、便が大きくなることで腸を通過するスピードが速くなるため、憩室炎(大腸の外側に袋ができてしまい、そこに便が詰まって炎症を起こす)の予防にも役立ちます。

憩室炎はひどいと腹膜炎にもなってしまうので要注意です。

▼水溶性食物繊維(水に溶ける)

  • 昆布
  • わかめ
  • こんにゃく
  • 果物
  • 里いも
  • 大麦

水溶性食物繊維は水に溶ける=ゲル状になるので、栄養成分(例えば糖・油)がそこに付着し、栄養の吸収が緩やかになります。

コレステロール・糖質の吸収が緩やかになる=血糖値の急な上昇を防ぐことができます。
血糖値が一気に上がると、余った血糖値は中性脂肪になって肝臓やお腹周り、お尻回りに蓄えられ糖尿病・肥満の原因になります。

これを予防すると結果的に狭心症、心筋梗塞、脳卒中といった血管系の病気の予防になるというエビデンスもあります。

不溶性と水溶性、両方の食物繊維を、バランスよく摂ることが大切です。

▼食物繊維が多い食材(100gあたり)

  • キウイ 3g
  • ライ麦 5.6g(お米は0.6g)
  • 切り干し大根 20.7g(そのうち17.1gは不溶性)
  • モロヘイヤ 5.9g(そのうち不溶性4.6g/水溶性1.3g)
  • きくらげ 57.4g
  • 干し柿 14g
  • アボカド 5.3g
  • インゲン 19.3g
  • 大豆 17.1g
  • 茹でた栗 6.6g(そのうち不溶性6.3g)
    ※栗は不溶性が多い=水に溶けないため、水分と一緒に食べないとお腹の中で止まりやすくなります。
  • ひじき 43.3g
  • 焼き海苔 36g
  • わかめ 32.7g
  • アーモンド10g

食物繊維はお腹の中で膨れる性質があるため、あまり極端に摂りすぎると分解しようとしてお腹にガスが溜まってしまいます。

急に極端に食物繊維を増やすのではなく、ひじきのおかずを1品増やしたり、お味噌汁にワカメをいれてみるなど、少しづつ試してみましょう。
どんな食材が自分に合っているのか、理解することも大切です。

ある人は納豆がすごく合っていても、ある人はすぐお腹が張ってしまうなど、患者さんごとにいろいろなケースがあります。

解消法5:油を摂る


油と言っても、ケーキやお菓子に入っているトランス脂肪酸のことではありません。
トランス脂肪酸は悪玉コレステロールを上げるので、心臓疾患のリスクを上げる摂ってはいけない油です。

いい油というのは、例えばオリーブ油
腸の中をツルっとさせてくれるので、便が排泄しやすくなります。

例えばダイエット中で油を抜いたり、糖質を抜く方で便秘になってしまう方は、パンやお米に含まれる食物繊維が不足することが原因です。

ぜひ油を意識してほしいのですが、特にオススメの食材はアボカドです。
アボカドには100g中5gぐらいの食物繊維が入っています。
また、オメガ9といって、オリーブオイルと同じようにすごくいい油が入っています。

便秘の方にオススメのアボカドの食べ方は、トマトとアボカドに酢とオリーブオイルをかけて食べる方法です。

今回のまとめ

1:便秘の改善=他の病気の予防

2:朝1杯の白湯を飲む、運動するなど、無理なく習慣化することが大切

3:毎日バランスよく食べ、自分に合った食材を少しづつ試しましょう

動画

「便秘解消法5選」について、動画でも詳しく説明していますので、ぜひご覧ください!

 

この記事の監修者
細田 俊樹
  • 医療法人社団緑晴会 あまが台ファミリークリニック 理事長
  • 日本プライマリ・ケア連合学会 家庭医療専門医

年間15,000人以上の患者さんを診察している総合診療専門医。
総合診療という専門分野を生かし、内科、皮膚科、小児科、生活習慣病まで様々な病気や疾患に対応している。
YouTubeでよくある病気や患者さんの疑問に対して解説している

タイトルとURLをコピーしました