咳が長くつづく患者さんに
◎どのくらい続くと「長い咳」というの?
咳が3週間以上続くときは「長く続き咳」=「慢性咳漱」と呼んでいます。
◎慢性咳漱の原因は?
- 後鼻漏:一番多い原因です。アレルギー性鼻炎や、蓄膿などで鼻汁が文字通り鼻の後ろを伝わってのどに落ちた(漏れた)結果、咳がでるパターンです。
- 喘息:気管支という空気の通り道に炎症が起きることで狭くなり結果として咳がでます。
- 逆流性食道炎:胃酸が逆流して、気管に入ることで咳がでます。胸焼けを伴うことがあります。
- 稀な原因として薬剤性,結核、肺がん、百日咳,塵肺、石綿肺,間質性肺炎,心不全などがあげられます。
診断・治療は?
基本的には、詳しい病歴や診察から疑わしいものを絞っていきますが、治療に反応したかどうかで判断する場合が多いといえます。
- 後鼻漏:アレルギー性鼻炎の場合は、抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤という鼻水を押さえる薬を飲みますし、蓄膿であれば、抗生剤を飲んで頂いて、改善すればそれが原因ということになります。
- 喘息:症状の経過や、胸の音を聞いて判断します。また吸入ステロイドや抗アレルギー剤などを内服して頂き改善すれば喘息が疑わしいということになります。
- 逆流性食道炎:胃酸を押さえるくすりを内服してもらい改善するかみます。
- 他の稀な疾患を見逃さないように、上記の治療に反応しない場合は、肺のレントゲンやCT検査を行う場合があります。
◎稀な原因を見逃さないために
肺がん、結核など怖い病気を見逃さないためには、以下のような症状に注意が必要です。
- 2週間以上続く、微熱、体重減少⇒結核を疑います
- 長い喫煙歴、体重減少⇒肺がんを疑います
- 特定のくすりを飲み始めた直後~数週間の間に咳出現→薬剤を疑います
- 咳き込みによる目覚め,家族内流行,発作性の咳き込み,咳き込み後の嘔吐,咳が止まらず息苦しい⇒百日咳を疑います
- ほこり、塵などを長時間吸う環境にいる⇒塵肺を疑います
心配なことがあれば、気軽にご相談ください。