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おならが多い おならが臭い 人必見! 原因と解決法3選 おならが止まらない 人は見て!【腸内環境 | よく出る | 下痢 | 腹痛 】
皆さんこんにちは。
あまが台ファミリークリニック院長の細田です。
今回のテーマは「おならの原因と解決法」です。
おならについて悩んでいる方は多くいらっしゃると思います。辛い思いをされている方の中には、
- 会社に行くときにお腹が痛くなってしまい電車に乗るのも怖い
- おならが多くてガスばかり出てしまう
- 学校でガスを出さないように耐え忍んで、お腹が痛く冷や汗が出る
こんな方もいらっしゃいました。
最新の論文をいくつも読んだ上で、エビデンス(医学的根拠)をもとに、医師歴22年の経験・知識を活かして、皆さんにわかりやすくお伝えします。
このブログが、少しでもみなさんの参考になれば幸いです。
おならに関するクイズ
平均的な回数を考えてみてください。
- 10回
- 20回
- 40回
おならに関する研究で、1日1人あたりのおならの平均回数は14~23回という結果が出ています。
この数を聞いて、あなたはどう思いましたか?この平均回数より多いから、自分は頻繁におならが出ていると思う人もいると思います。
おならで困っているという方は、自分がどんな時によくおならが出て困っているかを考えてみましょう。
- 学校に行くと出てしまう
- ある食べ物を食べた後に極端に出てしまう
様々なケースがあります。どういった場面で困っているのかということも、患者さんの生活に影響を与える大きな要因ですよね。
おならができる仕組み
例えばおにぎりを食べた時に体の中で何が起きているのかを見ていきましょう。
→ 食道を通り胃に到達(タンパク質であれば)
→ 胃(ペプシン)でさらに細かく分解
→ 十二指腸で膵臓(膵液)でさらに細かく分解
→ 大部分の栄養(糖、タンパク質、脂肪)が小腸で吸収
→ 小腸で十分に吸収されなかったものは大腸へ
→ 大腸にあるたくさんの腸内細菌のエサに。腸内細菌が分解
この腸内細菌の分解の過程で出てくるのが、おならの元になるガスです。
このガスには
- メタン
- 水素
- 二酸化炭素
がありますけれども、臭いの元になるのは
です。
硫黄は
- キャベツ
- アスパラガス
- ブロッコリー
に多く含まれます。
こういった食材の中にある「ラフィノース」はすごく消化に悪い物質です。
消化に悪いので、胃、十二指腸、小腸をスルーして大腸に入ってしまい、腸内細菌のエサになって、発酵してガスが出ます。
※アンモニアなどの臭いの元になる物質が出やすいため
おならの原因と対策1:空気の飲み込みすぎ
私たちが食べ物を食べるとき、同時に空気を飲み込んでいます。
ある程度空気が入っていけば小腸に入り込む空気も増えるため、ガスも増えます。
ただ、大部分は小腸までは入り込まずにゲップとして外に出されます。
- どか食い、早食い
- がぶ飲み
- 炭酸水の飲みすぎ
- ストレス
- チューインガムの食べすぎ
- タバコの吸いすぎ
こういったことが空気を飲み込みすぎる原因になっています。
どか食い、早食い、がぶ飲みは、胃や十二指腸の消化が追いつかず、食べ物が消化されないまま小腸に行ってしまいます。
さらにそのまま大腸まで行ってしまうと、消化されないものが来たということで腸内細菌が大暴れして発酵し、ガスをたくさん作ってしまいます。
食事の際に食べ物をよく噛むというのはとても大切です。
実は僕自身、早食いの癖があります。
外科の研修の時に18時間くらいの手術に立ち会わせていただく機会がありました。
お昼を食べる時間もないのですが、フラフラになってしまうので交代で食事をします。
その時に指導員の先生から「細田、5分で食べてこい」と言われ(半分冗談だったとは思いますが…)カレーを流し込むように食べました。
そんな生活をしていたので今でも早く食べる癖がついてしまっています。
患者さんにも
という方がいらっしゃいます。
僕自身覚えがありますので、お気持ちがよくわかります。
例えば、家族や気を許せる人とお話をしながら、楽しく食事を取るのはどうでしょうか。
自分1人で食事を取っている時よりも、少量でも満腹感があると感じた経験はありませんか?
満腹中枢が機能し、満腹感、満足感を得るまでにはだいたい20分くらいかかると言われています。
でも、早食いの方は5分や10分で食事を終えてしまいますよね。
かき込むように食べてしまうことで、必然的にガスが多くなります。ですから、ゆっくり食べるというのはとても大事なことです。
おならの原因と対策2:乳糖不耐症
みなさんは乳糖不耐症という言葉を聞いたことがありますか?
乳糖とは、以下のような食材に含まれている糖のことです。
- 牛乳
- ヨーグルト
- バターミルク
- コンデンスミルク
特に日本人は乳糖を分解するラクターゼという酵素が欠損している方が多いです。
乳幼児の時はおっぱいを分解するために持っていますが、離乳したころから、この酵素が働かなくなる傾向があります。
そのため、
- 乳糖が含まれる食材を食べて下してしまう
- ガスが多くなる
といった方は、乳糖不耐症の可能性が高いでしょう。
これは牛乳のアレルギーとはまた違う機序です。
ご自身が
- 牛乳アレルギーなのか
- 乳糖不耐症なのか
これについては主治医の先生とよく相談していただいた方がいいと思います。
どうしても飲みたいということであれば、病院あるいは薬剤師に相談して乳糖分解酵素のお薬を併用してもらうという方法もあります。
ただし、牛乳を飲む目的が「カルシウムを摂るため」ということでしたら、牛乳以外のカルシウムを含む食品で代用できますので安心してください。
▼カルシウムを多く含む食品
- ごま
- イワシ
- 厚揚げ
- 切り干し大根
- 豆
- 緑黄色野菜
これらの食品にはカルシウムの吸収にとても大切なマグネシウムも含まれています。
おならの原因と対策3:ある種の病気
- 過敏性腸症候群(IBS)
- 機能性胃腸症
- 糖尿病
- 強皮症(膠原病の一種)
こういった病気でおならが多くなることがあります。
過敏性腸症候群(IBS)
過敏性腸症候群(IBS)については深刻に悩んでいる方がたくさんいます。アメリカでは風邪に次いで、学校や会社を休む2番目の原因と言われています。
日本でも、
- 通勤途中電車の中で下痢になりそう
- 人の集まりでもガスが出て、我慢しているとお腹が痛くなってしまう
といった症状で悩んでいる方がたくさんいらっしゃいます。
過敏性腸症候群(IBS)についてはこちらの動画でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
過敏性腸症候群の特徴は、下痢や便秘など排便の異常を伴う腹痛です。検査をすると特にこれといった重症な病気が隠れているわけではありません。
ただ、
- しょっちゅう下痢をする
- 便秘になる
- ガスが多い
といった症状で悩んでいる方がたくさんいます。
原因は
- ストレス
- FODMAP(特定の食べ物)を食べること
と言われています。
そもそも腸の動きに対し、ハイパーセンシティビティと言って、敏感であるということも分かってきています。
糖尿病
糖尿病でも長らく血糖値が高い状態を放置していると自律神経がやられます。
みなさんのお腹は栄養を吸収し、不要なものを便として排出するという役割を担っていますが、この動きを操っているのが自律神経です。
この自律神経を養う細い血管が砂糖でドロドロの状態が続くと、障害されて腸の動き自体がコントロールできないのではないかということが考えられています。
- あまりにも下痢がある
- 原因不明の体重減少がある
- 発熱がある
- 便に血が混じる
- 食欲がない状態が続く
- 何度も吐いてしまう
こういった症状がある方は、何か病気が隠れているかもしれません。
例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎など炎症性の腸疾患が隠れている場合もあります。
早めに医療機関を受診して、少しでも症状を軽減していただくことをおすすめします。
おならの原因と対策4:特定の食べ物
みなさんはFODMAP(フォドマップ)という食品群について聞いたことがあるでしょうか。一言で言うと、小腸から吸収されづらく、大腸で異常発酵しやすい特定の食べ物のことです。
食べ物は口→食道→胃→小腸を通して消化吸収されます。消化の良い糖質は小腸から吸収されます。
しかしながらFODMAPは小腸から吸収しにくい特徴があります。
例えばタンパク質が小腸でこのように吸収されますが、
吸収されないものは腸の中にとどまってしまいます。
浸透圧と言って腸の中の圧が高まるので、それを薄めようとして大量の水分が腸内に入ってきます。
水分でいっぱいになった小腸は、刺激で蠕動運動(ぜんどううんどう)が増します。
すると
- 下痢
- 腹痛
- 冷や汗
といった症状が出る場合があります。
吸収されなかったFODMAPはどうなるかと言うと、大腸で異常発酵します。腸内細菌が分解しようとして、大量のガスが出ます。
- 下痢
- お腹が張る
- 大量のガス
こういった症状につながります。
FODMAPは体にとって不快な症状を起こす場合があります。
FODMAPについて
クリニックに来ていただく方で、慢性的な下痢や便秘を繰り返す方にまず行っていただくのは「食事日記」をつけていただくことです。
食事日記によってまず自分が何を食べているのかを理解し、その記録を元に原因を探していきます。
FODMAPが原因と疑った場合、FODMAPの食品群を3週間やめていただきます。
FODMAP
- F(fermentable):発酵しやすい
- O(oligossaccharides):オリゴ糖…豆、小麦、玉ねぎ
- D(desaccharides):二糖類…牛乳、ヨーグルト
- M(monosaccharide):単糖類…果物、はちみつ
- AND
- P(polyols):ポリオール…キシリトール等人工甘味料、マッシュルーム、カリフラワー、果物類
こういったものが多く入っている食品を「高FODMAP食」と言います。
このFODMAPが含まれている食品を3週間やめると、著明に症状が改善する方がいらっしゃいます。
そして3週間後に、やめた高FODMAP食を1つずつ開始していきます。食べても問題が無ければ「高FODMAPでもご自身にとっては大丈夫な食品」です。
高FODMAP食について
同じ高FODMAPの食品でも、10人いれば10人反応は違います。
全て食べられないと決まっているわけではありませんので、ご自身のお腹の声を聞いてみるのがすごく大切です。
避けた方が良い野菜
ごぼう、ニンニク、アスパラガス、ネギ、玉ねぎ、きのこ類 など
腸活が流行っていますが、ご覧の食品群は腸活にいい食べ物ばかりです。お腹が張ったり、痛くならない人にとってはもちろんいい食材です。
ただ、過敏性腸症候群や、ガスが多くて腹痛に悩まされている人にとってはもしかしたら原因になっているかもしれません。
食べてもOKな野菜
キャベツ、トマト、レタス、にんじん、きゅうり、じゃがいも など
キャベツは発酵する過程で硫黄が出て臭いの元になったりするのですが、「キャベジン」というお腹にとてもいい成分が入っているので、食べて痛くないようでしたら積極的に摂るべき食材です。
避けた方が良い乳製品、発酵食品
納豆、やわらかいチーズ、プロセスチーズ、クリームチーズ、キムチ、ヨーグルト、牛乳
納豆は発酵食品も代表とも言える食材で、体にいい食べ物ですが、場合によっては影響があります。
食べてもOKな乳製品、発酵食品
固めのチーズ、カマンベールチーズ、チェダーチーズ、バター、マーガリン、ラクトフリー製品
避けた方が良い豆類
大豆加工品、大麦、ライ麦、シリアル、トウモロコシ、パスタ、うどん、ケーキ
つい最近診察にいらした方で、小麦類をやめたらお腹の痛みがピタッと止まったという方がいます。そういう方は、日本食に切り替えることをおすすめします。
食べてもOKな穀類
お米、10割そば、もち米、餅、玄米、米粉類、米菓子
避けた方が良い果物
りんご、スイカ、桃、梨、果糖ブドウ糖(コーンシロップ)入りの果汁ジュース
食べてもOKな果物
バナナ、オレンジ、ぶどう、イチゴ、ライム、メロン、レモン
例えば毎日リンゴを食べるのが習慣になっている方は、もしかしたら?という視点を持った方がいいかもしれません。
今回のまとめ
1.ドカ食い、早食い、がぶ飲み、タバコで空気を飲み込みすぎておならになる
2.乳糖不耐症、牛乳が原因になる可能性がある
3.高FODMAP食の見なおしを検討してみよう
動画
おならの原因と解決法について、動画でも詳しく説明しています。ぜひご覧ください!
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