目次
- 機能性ディスペプシア(FD)の改善方法5選
- 機能性ディスペプシア(FD)ってどんな病気?
- 機能性ディスペプシア(FD)の診断方法は?
- 胃の機能・痛みの仕組み
- 自律神経とは
- FD(機能性ディスペプシア)で胃の不調が起こるメカニズム
- 機能性ディスペプシアと合併しやすい2つの病気
- 胃食道逆流症
- 胃食道逆流症(逆流性食道炎)
- 胃食道逆流症(非びらん性胃食道逆流症)
- 過敏性腸症候群
- 機能性ディスペプシア(FD)の改善方法①治療のゴールを決める
- 機能性ディスペプシア(FD)の改善方法②薬による治療
- アコチアミド(アコファイド)
- プロトンポンプインヒビター
- H2ブロッカー
- 機能性ディスペプシア(FD)の改善方法③漢方薬
- 六君子湯
- 機能性ディスペプシア(FD)の改善方法④ライフスタイルの改善
- ライフスタイルの改善①睡眠
- ライフスタイルの改善②脂っこい食事を控える
- ライフスタイルの改善③よく噛む・ゆっくり食べる
- ライフスタイルの改善④刺激が強い食べ物を控える
- ライフスタイルの改善⑤完璧主義をやめる
- ライフスタイルの改善⑥運動
- ライフスタイルの改善⑦お酒は適量を守る
- 機能性ディスペプシア(FD)の改善方法⑤気分リセットの時間をつくる
- 気分リセット法①好きなことに没頭する
- 気分リセット法②今この瞬間に集中する
- 気分リセット法③不安を紙に書き出す
- 機能性ディスペプシア(FD)の改善方法番外編 ピロリ菌の検査・除菌
- 動画
- 関連ブログ
- 当院のご案内
機能性ディスペプシア(FD)の改善方法5選
皆さんこんにちは。
あまが台ファミリークリニック院長の細田です。
今回のテーマは「機能性ディスペプシア(FD)の改善方法5選」です。
- 何年も前から胃の調子が悪く辛いのに病院に行って検査をしても異常がないと言われたり、ストレスのせいと指摘され薬で様子を見ているがなかなか治らない
- ご飯を少し食べただけですぐにお腹がいっぱいになってしまう
- 本当はもっと食べたいけど食べられなくて辛い
- 食が細くなってきてしまって数ヶ月で体重が3kg減った
こういった症状に該当する方は、その原因「機能性ディスペプシア(FD)」かもしれません。
いかに多いか分かりますよね。
ある研究では胃の不調を訴える患者さんの最大75~80%もの方が、胃カメラやCT血液検査などをしても原因が分からないという報告があります。
こちらは胃カメラの初見ですが、
- 胃カメラをしても異常がない
- CTや血液検査をしても特に病気が見つからない
つまり癌や胃潰瘍など目に見える病気がないということです。
このように
- 原因が見つからないけど胃が持たれる
- すぐにお腹がいっぱいになってしまう
こういった症状の病気のことを機能性ディスペプシア(FD)と呼びます。
同様の研究によると、胃の不調を訴える患者さんの20%は
- 胃潰瘍
- 十二指腸潰瘍
- ヘリコバクターピロリ感染による胃炎
- 胃癌
- 食道癌
- 膵炎
- 痛み止めなどによる薬剤性の胃炎
- 糖尿病
などが原因に含まれています。
ある研究では世界の人口の20%(5人に1人)がこの機能性ディスペプシア(FD)になると言われるぐらいメジャーな病気ですが、まだまだ多くの人に知られていないため、
- 次から次へと違う医療機関を受信してしまうドクターショッピングをする
- 気のせい、ストレスのせいと言われ苦しんでいる
を多く見てきました。
このブログを読んでいただくことで、ご自身やご家族の病気予防に役立てていただければ嬉しいです。
※ブログを作成するにあたり「機能性ディスペプシアの診療ガイドライン 2021年度版」を参考にしております。
機能性ディスペプシア(FD)ってどんな病気?
機能性ディスペプシアは英語でFunctional dyspepsia略してFDと呼びます。
このFD(機能性ディスペプシア)は名前が難しいことも病名が浸透しづらい1つの原因じゃないかと思っているのですが、実際にこのブログでこの病名を初めて聞いたという方も少なくないと思います。
医療従事者の方なら知っている方も増えてきた印象ですが、まだまだ認知されていないのが現状です。
胃の不調の最大8割を占める病気なのに浸透していない。これは由々しき問題だと思っています。
ここで機能性ディスペプシア(FD)という言葉の意味を簡単に説明します。
- ディス…~でない、~できない
- ペプシア…消化
- ディスペプシア…消化できない
それに「機能性」という言葉がついて「機能的に消化できない」という意味になります。
また機能性という言葉の対になるのが気質性です。
- 癌
- 胃潰瘍
- 十二指腸潰瘍
- 痛み止めの薬
といった原因の場合、つまり身に見える原因のことを器質性と言います。
目に見える病気はないけれど機能が低下している
という風に理解していただければいいと思います。
機能性ディスペプシア(FD)の診断方法は?
私たち医師が機能性ディスペプシア(FD)を疑う場合の症状は以下の通りです。
- 胃もたれ
- 食べてすぐにお腹がいっぱいになってしまう(早期満腹感)
- 胃の痛み
- みぞおちが焼けるような不快感
- 4つの症状のうち最低1つは自覚されていること
- 症状を起こしている原因として胃癌や胃潰瘍といった目に見える病気がないということ
- 症状が慢性的に続いている
という3つの条件が揃った時にFD(機能性ディスペプシア)という診断をします。
2021年のFD(機能性ディスペプシア)のガイドラインでは、必ずしもFDを疑ってすぐ に胃カメラをやる必要はなく、こういう治療をしてみたらどうですかということが提案されているガイドラインです。
先ほどお伝えした通り、
FD(機能性ディスペプシア)の定義は慢性的に症状が続くということが含まれます。具体的には
- 6ヶ月以上前から症状が現れ始める
- 3ヶ月前頃からは週に2~3回以上胃の不調の症状が見られる
こういった場合には「慢性的に症状が続いている」と考えていただければと思います。
胃の機能・痛みの仕組み
口から食べた食べ物は、
- 食道を通過する
- 胃でいったん蓄えられる
- 胃酸という強力な酸性の液体で殺菌(体の奥にばい菌が入っていかないための大切な役割)
- 食べ物を消化吸収しやすい土台を作るために胃の中で食べ物をお粥のようにドロドロにする
- 十二指腸に送る
- 小腸で栄養分のほとんどが吸収される
- 大腸で水分が吸収され便が出来上がる
- 便が肛門から出ていく
こういった経過を辿ります。
胃で食べ物をドロドロにするために、胃ではペプシンという主にタンパク質を分解する酵素を出しています。
- 運動神経
- 感覚神経
- 自律神経
胃の運動というのは自律神経がコントロールしています。
自律神経とは
自律神経は交感神経と副交感神経からなっていて、互いに正反対の動きをしています。
交感神経が活発に動いている時
交感神経が活発に動き出すと心臓の鼓動は早くなります。医学用語でいう心拍数が上がるという状態です。
また血圧は上がり、胃腸の機能は低下し、唾液も減少します。
この状態について、身に覚えがある方もいらっしゃるかもしれません。これは私たちが緊張状態にある時、いわば体が戦闘モードになっている状態です。
私たちの遺伝子は原始時代からほとんど変わっていないと言われています。
例えばライオンや熊が突然目の前に現れた時、血圧が上がったり、唾液が減少したりと、交感神経が活発になるような反応になると想像できますよね。
副交感神経が活発に動いている時
一方で副交換神経が活発になると、心臓の拍動はゆっくりになります。そして手足の血管は開き、血圧も下がります。
そして腸の働きは活発になり、消化吸収活動が後押しされます。そして唾液は増加していき、リラックスした状態になります。
1日の仕事が終わり、気のおけない仲間や家族と楽しく食事している時などは副交感神経が活発になっています。
といった経験はありませんか?まさに副交換神経の働きが活発になって、自律神経のバランスが取れて消化吸収しやすい状態になっているということです。
人によっては
- 音楽を聞く
- 温泉に入る
- 森林浴をする
こういったことで副交感神経のスイッチが入って活発になることもあるでしょう。
緊張して交感神経が活発になると、胃や腸が動きづらくなり胃の不調が現れやすくなる一方、リラックスして副交感神経が活発に働くと胃がしっかりと動いてくれて、胃の役割(食べ物を蓄えながら、体にとって有害なものを胃酸で殺菌し、食べ物をお粥状にして消化しやすくして、栄養吸収のため十二指腸に送り込む)が機能し始めるので、胃の不調が改善に向かうということです。
例えば1週間後にテストがあるけれどそれが終わればリラックスできるということであれば問題ありません。
ただ、人間関係の悩みなどで2~3ヶ月長いと1年など長期間に渡って熊やライオンと向き合うような、精神的な緊張状態が続いてしまうと胃の不調となって症状が現れ、病院に行って検査をしても明らかに胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃がんといった目に見える病気がない時に機能性ディスペプシア(FD)と診断されます。
この自律神経のバランスが崩れることで胃腸の働きも弱くなったりすることを腸脳相関と呼んでいます。
腸と脳というのは密接につがっていて、
- ストレスを受けて緊張状態が続く
- 自律神経の働きが悪くなる
- 胃の動きが悪くなる
- 消化吸収できない
- 脳に信号として伝わり、不安が増したり、痛みが増強
こういった流れになると考えています。
日本における調査によりますと他のFD(機能性ディスペプシア)の原因としては、幼少期の虐待、これには身体的・精神的な虐待も含まれますが、それも発症に関係しているというような報告もあります。
他にも
- 遺伝的素因
- 吐き気、嘔吐、腹痛、下痢といった感染性胃腸炎を発症した後
からこのFD(機能性ディスペプシア)になるという報告もあります。
FD(機能性ディスペプシア)で胃の不調が起こるメカニズム
FD(機能性ディスペプシア)の症状は食べてすぐお腹がいっぱいになってしまう(早期満腹感)、胃の痛み、胃もたれ、人によってはみぞおちが焼けるような不快感を感じるといった症状が特徴的でしたね。
実際に食べ物が口から胃に入った時の胃の動きを見てみましょう。
食道から食べ物が入ってくると、胃の上の方が膨らんで食べ物を入れる準備ができます。
しかしこの時、胃を上の方に大きく膨らませるという機能が働かないと食べ物をあまり多く入れることができないため、すぐにお腹がいっぱいになってしまいます。これを早期満腹感と言ったりします。
この早期満腹感もFD(機能性ディスペプシア)の症状の1つです。
また、胃の中で食べ物を溶かすために、胃の粘膜から胃酸(酸性の液体)が分泌されます。
FD(機能性ディスペプシア)でない方は、通常胃酸が分泌されても何も感じることはありません。
ですがFD(機能性ディスペプシア)の患者さんは痛みに対してとても敏感になっているため、普通の人では感じないような食べ物や胃酸の刺激によって痛みを感じてしまいます。
患者さんによっては
と表現する方もいます。
実際にこの過敏性は胃に空気を入れる実験からも明らかになっています。
胃に少量(10mmHg)の圧を加える実験をしたとき
- 健康な方…90%は無症状
- FD(機能性ディスペプシア)の方…約50%が胃の不快感を感じた
過度のストレスが溜まっていたり、睡眠不足などで疲れていると人によっては
- 片頭痛の発作が起きてしまう
- 歯が知覚過敏で沁みるような痛みを感じる
といったことがありますが、それに似ているように思います。
という患者さんを外来の現場でよく見てきました。
先ほど、胃は食べ物を受け入れるために胃の上の方を広げ、胃酸を出して食べ物を溶かしたりバイ菌が入ってかないように殺菌する役割があるということを伝えました。
全道運動には、食べ物を胃酸、タンパク質を溶かすペプシンなどが混ぜ合わせ、細切れにし、お粥状にし、それらを小腸で消化吸収させるために送り込む役割があります。
蠕動運動の動きが悪くなってしまったり、十二指腸に送り出す働きが低下してしまうと、
- 胃もたれ
- 胃の中に食べ物が残っているような感覚
- 胃の不快感
などを自覚する場合があります。
ここまでで気がついた方もいるかもしれませんが、FD(機能性ディスペプシア)は、胃の動きと感覚が敏感になって症状を起こすという特徴があります。
FD(機能性ディスペプシア)ではストレスをきっかけに胃の動きや痛みに敏感になると 説明しましたが、FD(機能性ディスペプシア)の患者さんは不安やストレスに対して敏感に反応する傾向があると言われています。
スウェーデンの研究報告
実際に私が担当した患者さんの中には、
- 私の胃の不調は癌などの重大な病気が隠れているのではありませんか?
- 心配で夜もあまりよく眠れません
- ストレスに弱くてちょっとしたことで不安になってしまいます
といった方もいました。
- FD(機能性ディスペプシア)の症状があるから不安になる
- 不安やストレスでFD(機能性ディスペプシア)の症状を引き起こす
という悪循環で症状がなかなか治らないというケースも珍しくありません。
例えば国内の研究では、医療機関を受信したFD(機能性ディスペプシア)の患者さんの約3割は、内視鏡で胃潰瘍や胃癌といった目に見える病気がないと明らかになった時点で症状が消失したと報告されています。
FD(機能性ディスペプシア)の患者さんは背景に不安を抱えていることが多いため、医師との会話の中で安心感を得ることが大変重要だということが分かります。
- ストレスのせいですね
- 気のせいですね
と言われてしまったら患者さんも行き場がなくてさらに不安が助長されてしまいます。良好な医師と患者の関係がとても大切になると思います。
またうつ病などが合併する場合、メンタルの専門家の治療を受ける必要がある場合もあります。実際にいくつかの研究でも、抗不安薬や抗うつ薬で症状が改善したという研究いう結果もあります。
機能性ディスペプシアと合併しやすい2つの病気
FD(機能性ディスペプシア)に合併する病気は2つあります。
❷過敏性腸症候群
毎日診療していて実感していることなのですが、FD(機能性ディスペプシア)の症状(胃もたれ、早期満腹感、胃の痛み)だけで来院される方は少なく、胃食道逆流症や過敏性腸症候群の症状を一緒にうったえてくる方が多い印象です。
▼合併した場合の症状
胃食道逆流症…胸焼け、胸の痛み、胃がムカムカする、喉の違和感
過敏性腸症候群…下痢、便秘をともなった腹痛、お腹の張り、ガスがよくでる
この2つの病気は、こちらのブログでも治し方を解説していますのでよろしければご覧ください。
胃食道逆流症
胃食道逆流症はFD(機能性ディスペプシア)のなんと50~70%もの方に合併する病気です。
食べ物は食道を通して胃で胃酸で柔らかく、体にいらないものは殺菌され、小腸で吸収しやすくするために柔らかくするということをお伝えしました。
胃食道逆流症の場合、胸焼けや胸の痛み、喉に酸っぱいものが上がってくるような感じはありますが、胃カメラをすると食道の粘膜が火傷(炎症)を起こしている状態があります。
炎症を起こした食道(胃食道逆流症) 藤島クリニック 藤島智則先生より寄稿
胃食道逆流症は、逆流性食道炎、非びらん性胃食道逆流症の2つに分けられます。
胃食道逆流症(逆流性食道炎)
逆流性食道炎の場合は食道活躍筋という逆流を防ぐための筋肉が緩くなってしまい胃酸が逆流することで食道に火傷を起こす病気のことを言います。
症状としては
- 胸やけ
- 胸が痛い
- 胃液が上がってきて酸っぱい
- 喉の違和感
- 高齢者や重症な方…誤嚥性肺炎、食堂癌に発展する場合も
こういった特徴があります。
また、逆流性食道炎には
- 胃カメラで食道に炎症あり
- 年齢・性別関係なし
- 肥満の人がなりやすい
- 胃酸を抑える薬(プロトンポンプインヒビター)で効果が出やすいこと
こういった特徴があります。
胃食道逆流症(非びらん性胃食道逆流症)
“びらん”というのは、食道の粘膜がえぐれている状態です。
食道に胃酸が逆流することで、食道の壁がえぐれてしまい、粘膜が露出して、痛みや胸やけといった症状によってこの病気を自覚します。
胃カメラをやると目に見えてえぐれていることがわかり、発見できる状況です。
「非びらん性胃食道逆流症」は”非”という否定語がついている通り、胃カメラをしても炎症所見はありませんが、胃の不快感などにより胃酸が逆流した症状が起きるという状態です。
こちらは非びらん性胃食道逆流症の胃カメラの所見です。これは食道ですが、粘膜が綺麗で異常がない状態です。患者さんの立場からすると胸やけや胃の不快感があります。
これが非びらん性胃食道逆流症になります。
みなさんは、この病気の定義もFD(機能性ディスペプシア)に似ていることにお気づきでしょうか。目に見えた異常はないのに胸やけや胸の痛み、胃の不快感、酸っぱいものが上がってくるような症状はある。
原因として、FD(機能性ディスペプシア)同様に食道の知覚過敏が関係しているのではないかというのも理由の1つとして考えられています。
また、非びらん性胃食道逆流症の特徴として
- 胃カメラで異常なし
- 若い女性に多い
- 痩せている体型の方に多い
※FD(機能性ディスペプシア)になりやすい方とも共通 - 胃酸を抑える薬(プロトンポンプインヒビター)が効きにくい
ということが挙げられます。
過敏性腸症候群
こちらもFD(機能性ディスペプシア)に高い頻度で合併するのですが、簡単に言ってしまうと下痢や便秘などの排便の異常があり、かつ腹痛を伴う病気で、慢性の経過をたどります。
やはりこちらも大腸がん、潰瘍性大腸炎、クローン病といった目に見える病気が、大腸カメラをやってもCTをやっても特にわからない時に診断される病気です。
過敏性腸症候群について詳しく知りたい方はこちらのブログがオススメです。
機能性ディスペプシア(FD)の改善方法①治療のゴールを決める
治療のゴールというのは症状を消すことではないか?と考える患者さんは大勢いらっしゃると思いますが、
FD(機能性ディスペプシア)に悩む方は性格傾向として
- 完璧主義
- 症状が気になって仕方がない
- とにかく症状を完全に消し去りたい
という方が多くいらっしゃるように思います。
でもそれを目標にしてしまうと、毎日過ごす時間の全てが症状を消すことに意識が向いて
しまって、かえってストレスを大きくしてしまうという落とし穴にはまってしまうこともあります。
慢性の病気全般に言えることですが、
- 睡眠不足
- 不規則な食生活
- 遺伝体質
- 暴飲暴食
など様々な原因が複数重なっていることが多く、何年も症状に悩んでいるケースが少なくありません。
ですからすぐに症状が完全に消えてしまうということは極めて稀だと思いますし、逆にそういった場合はFD(機能性ディスペプシア)でない可能性があります。
私が外来で患者さんにお伝えしているのは、
ということです。
- 例えば想像がつかないほどひどい状態を10
- 全く症状がないのを0
としましょう。
例えば
とお聞きすることが多いです。
これを目安に数字をどんどん下げていけるよう診察を重ねていき、たとえば3ぐらいになって職場をほとんど休むことがなくなったり、夜も眠れるようになったという風に報告してくれる方もいらっしゃいます。
実際に症状が改善していくには数年かかるという研究報告ももありますから、患者さんには抱えているストレスがあれば少しでも減らし、食生活を見直すなど原因を探りながら時間をかけてじっくりと治療に望んでいきましょうと説明しています。
完全に症状を消すというよりは今お話したように、2とか3とか、生活に影響がないレベルをゴールにしていくと、肩の力を抜いて一緒に治療に向かって歩んでいけるように思います。
FD(機能性ディスペプシア)の症状が悪化してきた場合は、
- 最近睡眠不足になってきているのかもしれない
- ストレスを抱えすぎているのかな
と、今の自分の心と体の状態を教えてくれるSOSサインだと思うくらいになれば症状をコントロールしやすくなるかもしれません。
機能性ディスペプシア(FD)の改善方法②薬による治療
薬による治療というと拒否感がある方もたくさんいらっしゃると思います。ただ、FD(機能性ディスペプシア)の治療の大きな柱が薬になります。
食べるということはとても大切なことですよね。
- すぐにお腹がいっぱいになってしまう
- 胃がもたれてしまって好きなものが食べれない
こういった症状はご自身の生活の質を著しく落としてしまうことがあります。
仕事やプライベートを充実したものになるようにサポートしてもらうためには、治療法の中でも薬物治療は強力なサポーターになります。
先ほどFD(機能性ディスペプシア)の症状には、胃の動きと感覚がおかしくなってしまうという2つの特徴があると説明しました。
そこでFD(機能性ディスペプシア)の薬による治療では、この2つの原因から来る症状をターゲットに治療していきます。
アコチアミド(アコファイド)
胃の動きを良くするにはアコチアミドというお薬を使います。商品名はアコファイド。
これは2013年我が国で初めて機能性ディスペプシアという病気に対して保険適用になったお薬です。
1日3回食事の前に飲むお薬で、ガイドラインでも強く推奨されている薬の1つです。早いと2~4週間ぐらいで効果が出始めると言われています。
実際にFD(機能性ディスペプシア)の中でも胃の動きが悪いことで起きる早期満腹感や食後の膨満感、みぞおちの辺りの張った感じがある患者さん892人に対する研究があります。
450人にはこのアコチアミドを使い、442人にはプラセボ(ニセ薬)を使用しました。どちらを飲んでいるかというのは患者さんには分からないようにした状態での研究です。
評価項目は患者さんの症状が改善したかどうかというところでした。
この薬を飲んでいた人たちの方が、17%多く症状の改善を認めたという結果です。
注目すべきはニセ薬でも35%の方が改善したということです。この病気はプラセボ効果と言いまして薬を飲むという安心感も改善に向かわせるという傾向があるということがわかります。
プロトンポンプインヒビター
知覚過敏からくる胃の痛みに対しては、プロトンポンプインヒビターという胃酸を強力に抑える薬があります。
プロトンポンプインヒビターには
- オメプラゾール(オメプラール)
- ランソプラゾール(タケプロン)
- ラベプラゾール(パリエット)
- ボノプラザンフマル塩酸(タケキャブ)
など様々な種類があります。
これは医者の診断のもと処方されるお薬です。
保険上は胃潰瘍や逆流性食道炎などに対して処方されるお薬ですが、FD(機能性ディスペプシア)の方の胃の痛みを抑えるのに効果的だという報告があります。
H2ブロッカー
そしてプロトンポンプインヒビターと同じぐらい効果があるのがH2ブロッカーという薬になります。
H2ブロッカーは病院でも処方できますし、薬局でも購入することができます。
例えばファモチジン、ニザチジンなどがあります。それぞれの商品名はガスター、アシノンです。
これらのお薬を4週間程度使っても、効果がなければ1度胃カメラをやることを推奨します。
また以下のような場合も胃がんをはじめとした目に見える病気が隠れている可能性が高いため、注意が必要です。そのアラームサインは7つあります。
▼胃カメラを強く推奨する7つの項目
1)ダイエットしてないのに体重が1ヶ月で3kg以上減る
2)飲み込みが悪い…
食道がんなどを疑います
3)原因が分からない鉄欠乏性貧血…
胃癌や胃潰瘍などで胃から出血して便が黒くなってしまうというケースがあるため要注意。以前に比べて便が黒い、目の結膜が白くなっている、最近立ちくらみもするといった場合は鉄欠乏性貧血を強く疑います
4)嘔吐や吐き気が持続する…
胃がんなどが大きくなっていて食べ物が全く通過できないと、ひどい場合は吐いてしまうということにもつながります。
5)診察でみぞおちに腫瘍(硬い塊)を触れる…
相当ガンが大きくなった場合です。すぐに検査をしましょう。
6)50歳以上で初めてFD(機能性ディスペプシア)の症状が起きた…
日本では50歳以上になると胃がんの罹患率・胃癌のリスクが上がってきますので、50歳になってから胃の痛みが続く、胃もたれが続くといった場合は胃がんの可能性も考える必要があります。
7)胃がんの家族歴がある
1~7のどれかに該当する場合はまず胃カメラを強く推奨させていただきます。
今言った7つ以外でも不安が強い方、原因がよくわからないという方はかかりつけのドクターに相談して、早めに胃カメラをやってもらえるか相談するのも良いと思います。
機能性ディスペプシア(FD)の改善方法③漢方薬
FD(機能性ディスペプシア)というのは胃の動きが悪くなる、あるいは感覚が敏感になりすぎてしまうといういう説明をしましたが、胃の動きを良くする有名な漢方薬「六君子湯」があります。
六君子湯
- 人参
- 半夏
- 茯苓
- 白朮
- 大棗
- 陳皮
- 甘草
- 生姜
六君子湯は、上記の8つの小薬で構成されている漢方薬です。この漢方薬でFD(機能性ディスペプシア)の症状が改善したという研究結果もあります。
2021年のガイドラインでは、アコチアミドと同様、胃もたれや早期満腹感といった胃の動きが悪い方の症状を改善するということですので、こういった症状がある方は最初から使用することが提案されています。
大阪医科大学のドクターが2014~2016年に複数の施設で行った共同研究があります。
ドリームスタディと呼ばれる論文がありまして、研究では患者さんを2つのグループに分けます。
一方には六君子湯を、もう1つのグループにはニセ薬(プラセボ)を1日7.5gずつ飲んでいただきます。
そして8週間経過した時に、患者さんに
- 良くなった
- 悪くなった
- 変わらない
といった質問指標を使ってアンケート調査を取っています。
その結果を見ますと、かなり改善した・あるいは改善したと答えた人の割合が、六君子湯のグループでは37.7%。ニセ薬(プラセボ)のグループでは22.9%。
六君子湯を飲んだグループの方が15%程度効果が高いことが分かりました。
六君子湯はドラッグストアでも購入することができるので、まずは試してみるのも良いかと思います。
ただし漢方薬も薬ですから、副作用が全くないというわけではありません。
今現在複数の薬を飲んでいる方や心配な方は薬剤師あるいはかかりつけのドクターに相談してから試すことをお勧めします。
みなさんが思っているよりも漢方薬が体に合ってさえいれば効果が出るのは早いです。早いと2週間~1ヶ月ぐらいで何らかの効果を実感すると思います。
もちろんこれは先ほど言ったように漢方薬が合っていればの話です。例えば2週間飲んで胃もたれが1割でも良くなったら合っている可能性がありますので継続してみて、また2週間様子をみるような形で外来ではやっていきます。
機能性ディスペプシア(FD)の改善方法④ライフスタイルの改善
2012年に国内で行われた大規模なインターネット調査の結果をまとめた研究報告があります。
FD(機能性ディスペプシア)の診断基準を満たす方のライフスタイルとFD(機能性ディスペプシア)でない患者さんのライフスタイルを比較しています。
健常な方と比較すると、FD(機能性ディスペプシア)の方は
- 頻繁に運動する割合が低い
- 睡眠が不十分
- 食事が不規則
- 食欲がない
- 肉が嫌い
- 野菜の摂取が不十分
- 日常生活でストレスを感じる
- ストレスの影響を受けやすいと考える割合が高い
と報告されています。
逆に言うと、定期的な運動や睡眠をしっかり取り、規則正しい食生活というのは高血圧や糖尿病などの生活習慣病や、ガンの予防改善にも共通するライフスタイルでもあります。
できるところから是非取り入れてもらえると良いと思います。
ライフスタイルの改善①睡眠
FD(機能性ディスペプシア)の方は睡眠が不十分だとお伝えしましたが、十分な睡眠はFD(機能性ディスペプシア)の 改善に必須です。
逆に睡眠不足のデメリットを上げると切りがないのですが、例えば
- 食欲の制御が難しくなる
- 暴飲暴食しやすくなる
- 集中力が落ちてしまう
- 風邪をひきやすくなる
- 体脂肪が燃えにくい
- 筋肉がつきずらくなる
- イライラしやすくなる
などがあげられます。
目安としてはだいたい6~8時間ぐらいが望ましいです。
ただ研究にもありますが、年齢を経れば経るほど適切な睡眠時間は変わってきます。
例えば
- 20~30代の方は7~8時間程度
- 60~70代になると6~6時間半程度
で十分な睡眠だと言われています。
また適切な睡眠時間には個人差もあります。
- 6時間だけ寝れば昼間も元気に働ける
- 7時間寝ても昼間眠くて眠くて仕方ない
たとえば同じような年齢でも個人個人でこういった違いがあります。
睡眠時間が足りないか、夜中に呼吸が止まっているような睡眠時無呼吸症候群などが隠れている場合もありますので、自分は睡眠不足だと感じる方は専門家に相談することも1つの方法です。
また、普段の外来で患者さんに睡眠時間をたずねると、
という方もいらっしゃいますが、寝だめについても研究があります。
その研究によりますと、寝だめは短期的には体調を良くする一方で、長期的には体に悪い影響があるそうです。
具体的に言うと
- 血圧が高くなる
- ストレスに弱くなる
- 認知症のリスクを高める
という報告もあります。
これらのことをまとめますと、FD(機能性ディスペプシア)の方は
- 最低でも6~7時間睡眠
- 週末の寝だめは最低限に
- 平日に十分な睡眠を取る
こういったことが大切になります。
平日夜に睡眠時間が取れない方は、たとえば30分以内で昼寝をしていただいてバランスを取っていくのも1つの方法です。
ただし1~2時間など長い昼寝をしてしまうと、夜眠れなくなるなどリズムを崩す可能性もありますので、注意してください。
ライフスタイルの改善②脂っこい食事を控える
胃は食べ物の熱量(カロリー)に応じて胃から十二指腸に食べ物を送り込む速度をコントロールする機能があります。
- 低カロリーの食べ物は胃から十二指腸に送る速度が早い
- 高カロリーの食べ物はゆっくりと胃から十二指腸に送られる
つまり高カロリーの脂っこいものを食べると、食べ物が滞在する時間が長くなり、胃の負担が大きくなり、胃もたれや胃のつかえ感などの症状につがる可能性が高くなります。
糖質・脂質・タンパク質の3大栄養素のカロリーを比較すると、糖質とタンパク質が1gあたり4kg。脂質は9kgと2倍以上になります。
そのためカロリーの高い天ぷら、カレーなどを食べると、食べ物が胃に長い時間停滞するので胃もたれや胃の痛みなどが起きやすいというわけです。
また食道と胃のつなぎ目に噴門部(食べ物が入ってくると逆流しないようにするところ)がキュッと閉じる部分があるのですが、脂肪にはこの胃と食道のつなぎ目の食道活躍筋という筋肉を緩める働きがあります。
ですので胃液が食道に逆流して、胸やけや鈍酸(胃液が口の中に上がってくるような嫌な感じ)の症状を出やすくすることがあります。
- 揚げ物
- 炒め物
- 生クリーム
- クッキー
など油が多い食材や食事は、逆流性食道炎といった症状を悪化させることがあります。
FD(機能性ディスペプシア)の症状が強い場合や胸やけがある時は一時的に控えた方がいいでしょう。
逆流性食道炎に対して薬を使わずに症状のリスクを50%下げる方法については、過去のブログでも解説していますのでよかったら参考にしてください。
ライフスタイルの改善③よく噛む・ゆっくり食べる
ある調査ではFD(機能性ディスペプシア)の患者さんの約半数が早食いである・よく噛まない傾向があるという結果でした。
よく噛むことで胃が消化・吸収する負担はだいぶ減りますので、一口20~30噛みを意識して食事をしましょう。
早食いの癖がある方も多くいらっしゃると思いますので、ゆっくり食べるための方法を2つほどご提案します。
よく噛む・ゆっくり食べるための方法①箸を脇に置く
食べ物を口に入れたあと、噛むことに集中するために箸を脇に置いてみましょう。
特に鶏の胸肉、牛の腿肉、アーモンドなど固めの食べ物をチョイスすると否が応でも噛むことに集中できます。
逆にラーメンやそば、そうめんといった麺類はツルツルっと胃に流し込んでしまうので、胃もたれの原因になることもあります。
よく噛む・ゆっくり食べるための方法②気のおけない間柄の方と談笑しながら食事
皆さんも経験があると思いますが、普通なら5~10分で食べてしまう量も、仲間と喋りながらゆっくり食べていると1時間ぐらいかけて食事していたということはありますよね。
メインディッシュになった頃にはもうお腹いっぱい入らない、なんて覚えのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私たちは食べ始めて20分ぐらいすると満腹中枢というところが刺激されてあまりガツガツ食べたくなくなるようにできています。
ですから友達と話したり音楽を聞いたりしながら、時間をかけて噛むことに集中するというのは1つのやり方だと思います。
また、お1人で食べることの多い方は、食事の回数を増やして1回1回の食事の量を減らすというのも1つの方法だと思います。
現在のご自身の胃の消化能力にあった食べ方でエネルギー不足・栄養不足にならないことが大切だと思います。
ライフスタイルの改善④刺激が強い食べ物を控える
FD(機能性ディスペプシア)の方は胃の知覚過敏がありますから、胃に刺激があるような
- 香辛料が多い食べ物
- スパイスが入った食べ物
- 辛いもの
- 炭酸飲料
- コーヒー
- 冷たいもの
などは、特に症状が強い時は一時的に控えることをお勧めします。
ライフスタイルの改善⑤完璧主義をやめる
FD(機能性ディスペプシア)の患者さんの中には、完璧主義という性格傾向を持っている方がいらっしゃいます。
そのため脂っこいものや刺激多いものは控えましょうとお伝えすると、0か1か!右か左
か!みたいな形で白黒はっきりつけたい性格の方が多く、
みたいな考えになってしまい、食べるものが少なくなってかえってストレスを抱えてしまうかもしれません。
友達と食事に行くとしても、脂っこい食べ物や刺激が多い食べ物を気にしすぎていると、友だちづきあいが限られてしまいますし、ストレスも増大してしまう可能性がありますよね。
確かに胃もたれなど胃の不調が強い時は脂っこいものや辛いもの、コーヒー、炭酸飲料などは一時的に控えた方がいい時も当然あります。ですが、
この考え方はとても大切だと思います。なぜなら過度に食べるものを制限してしまうことで長期的には食事の楽しみが失われてしまったり、栄養バランスが崩れてしまうというデメリットもあるからです。
辛い時は医療機関を受診して、カウンセリングや薬の力を借り、症状が改善したら色々な食べ物に少しずつトライしてみましょう。
ライフスタイルの改善⑥運動
胃の不調に悩まされてる人、特にFD(機能性ディスペプシア)の患者さんは運動量が少ない傾向があるということが分かっています。
そのため定期的に運動する習慣を持つことでFD(機能性ディスペプシア)の症状を改善することが期待できます。
運動することのメリット①爽快感・達成感が得られる
運動することで爽快感や達成感が得られ、気分がスッキリしてストレスが軽減され、症状改善に役立つ可能性があります。
運動することのメリット②生活リズムの改善
生活リズムの改善につながることで、胃の調子を整えることに役立ちます。
運動習慣ができると、体が疲れて夜は眠りが深くなる傾向があります。夜ぐっすり寝ることができれば朝スッキリと目覚めることができ、生活リズムがうまく回っていくということが期待できます。
胃の動きは主に自律神経によってコントロールされていますから、生活リズムの乱れというのは真っ先に自律神経の乱れにつながります。
週末に夜更かしをして朝の3時ぐらいに寝た日は、翌朝異常にだるかったり、食欲が異常に亢進して甘いものや脂っこいものを食べたくなってしまうという経験をしたことはありませんか?
できる限り規則正しい生活を送るということは、自律神経を整えて、結果的にFD(機能性ディスペプシア)の様々な症状を改善することが期待できます。
運動することのメリット③お腹がすく
体を動かすとエネルギーが消費され、空腹感をより促す効果が期待できます。
自律神経を整えるためにはこの空腹感というのはとても大切です。
たとえばお腹が空いていない状態でダラダラとお菓子を食べていると、自律神経の乱れにつながる恐れもあるので気をつけましょう。
- ウォーキング
- プールで歩く
- スロージョギング
- 太極拳
- フラダンス
こういった運動がお勧めです。
一定のリズムで行う運動をお勧めする理由は、一定のリズムで運動することで頭の中でセロトニン(気持ちを安定させる物質)が分泌されることが分かっているためです。
無理して運動の強度を高める必要はなく、ウォーキングと言っても快適なリズムで散歩するだけでも十分だと思います。
ライフスタイルの改善⑦お酒は適量を守る
アルコール自体に胃粘膜を障害する作用はありませんが、アルコール度数の高いお酒は別です。胃が空っぽの状態でいきなり度数の高いお酒を飲むと、胃の粘膜が炎症を起こす可能性があります。
飲む際は水やお湯で薄めて飲む必要がありますし、アルコールを分解する酵素の材料となるタンパク質が豊富なおつまみを選ぶようにしましょう。
- 枝豆
- 豆腐
- お魚
などがオススメです。
お酒の1日の適量は
- ビール…中瓶1本
- 日本酒…1合
- ワイン…グラス2杯
- ウイスキー…ダブル1杯
と言われています。
機能性ディスペプシア(FD)の改善方法⑤気分リセットの時間をつくる
FD(機能性ディスペプシア)の患者さんはストレスを感じやすく、溜め込みやすい傾向があります。
ストレスを溜め込みやすい方というのは、未来に起こるか怒らないか分からないことに対して
- 明日のプレゼンで失敗したらどうなっちゃうんだろう
- うまくできないし自信がないな
といった具合に、不安や恐れの感情に頭が支配されてしまって
- 眠れなくなる
- 精神的な緊張が続いてしまう
ことであったり、
- 過去に言ったことを後悔してずっと頭から離れない
- 過去にしたことを後悔する
こういった考え方をしてしまうことがあります。
交換神経が活発になり、自律神経のバランスが崩れ、結果的に胃の不調として症状が現れます。
こういった頭の中で繰り返し繰り返し考えてしまうのを反芻思考と呼んだりするのですが、この反芻思考によって私たちは最悪の状態を考えてしまう傾向があります。
これは人間が生き延びていくために必要な思考回路ではあるのですが、それが何度も何度も繰り返されてしまうと不安や恐怖という感情に包まれてしまい、過度の緊張状態になり様々な症状に悩まされます。
そこで私から、いろいろな気分リセット法を3つ提案したいと思います。
気分リセット法①好きなことに没頭する
私自身、最低週に1回は筋トレをしています。その実経験からお伝えできることですが、ダンベルを上げる時は腕や肩背中の筋肉、はたまた腰まで意識してお腹や首にまで意識を集中して重いダンベルを上げたり下げたりすることだけに集中します。
つまり自分の感覚、今この瞬間の感覚に集中しています。そんな時に意識をそらしたらダンベルが落ちて大怪我をするかもしれませんよね。
つい考えごとをしてしまう時ももちろんありますが、そんな時もできるだけ呼吸に集中することで酸素が体中に渡って体力が回復しやすくなり、次のトレーニングにスムーズに入れますし、悩み事も忘れることができて一挙両得です。
気分リセット法②今この瞬間に集中する
今この瞬間に集中しているということは、未来のことも過去のことも考えないということです。
そうすることでストレスをため込まず、脳疲労も軽減され、FD(機能性ディスペプシア)の症状改善も期待できます。
他にもマッサージを受けたり、普段行かないような場所で森林浴をするのもオススメです。
また、没頭できる趣味などが無いという方は、呼吸に集中しながら行うウォーキングがオススメです。
- 歩きながら10秒かけて、口をすぼめながら(口を”う”の形に)息を吐く
- 5秒かけて鼻から吸う
- 上記の呼吸を繰り返す
極論この秒数は人によって変わっても大丈夫です。息が苦しくなって歩けなくなる方がよくありません。
息を長く吐くことで、副交感神経が優位に働き、リラックス効果が期待できます。
そしてさらにこの呼吸を歩きながらすることで、セロトニン(気持ちを安定させる物質)が出やすくなります。
また体を動かしている時というのは、あまりネガティブなことを考えづらくなる傾向があるようです。
私自身はこれを歩くマインドフルネス瞑想と呼んでいます。
瞑想と言うと怪しいと思う方もいらっしゃると思いますが、今ではAmazonやGoogleといった有名企業も社員の健康増進維持のために取り入れている方法で、徐々に世の中に浸透しているのを感じます。
気分リセット法③不安を紙に書き出す
未来や過去のことを堂々巡りのように考えてしまうことを反芻思考とご説明しましたが、そこから抜け出せなくなって緊張状態が続くと、それこそお腹の痛みや胃もたれなどの症状を引き起こしやすくなるかもしれません。
そこでオススメなのが、実際に何が不安なのか紙に書き出すことです。
不安を書き上げたら、次にそれに対してできることを思いつくだけ書いてみます。
例えば
という不安に対して、不安を解消するための解決策を書いてみます。
- 癌にかかる費用を病院のソーシャルワーカーに相談してみる
- 相談に乗ってくれる知人に相談してみる
- 担当医とアポを取って最善の方法について検討する
こういったことを書き出すことで次にやるべきアクションプランが分かります。
実際にするべきことがわかると、日々のできることに集中することに役立つかもしれませんし、悩む時間を限定できます。紙に書くことで自分を客観視することもできます。
機能性ディスペプシア(FD)の改善方法番外編 ピロリ菌の検査・除菌
ピロリ菌の正式名はヘリコバクターピロリと言います。
感染が起きるのは主に5歳未満の乳幼児期だけと言われており、まだ井戸水を使っていた50歳以上の方に多く見られます。
あるいはその感染した50歳以降の方のお子さんに口移しでご飯をあげた時に、そのお子さんが感染してしまったという感染経路が考えられています。
現在では井戸水を使う家庭はほとんどないので、新たな感染が起こることはほとんどないと言われていますが、まだまだ多くの方が胃の中にピロリ菌がいると言われていますので、胃ガンや胃炎の原因として無視できないものとなっています。
つまりFD(機能性ディスペプシア)とは別の病気として位置付けがされているということです。
ただ別の病気という定義とはいえ、実際の診療では1ヶ月以上続く胃の不調の患者さんがいた場合にピロリ菌が原因となっている場合も少なからず見てきましたので、私自身必ずチェックするように患者さんにお話をしています。
5歳未満の乳幼児期に感染したピロリ菌は胃の粘液の中に住みつきます。通常菌は胃酸によって殺菌されますが、このピロリ菌は非常に賢く、アルカリ性の粘液を出して膜を作ることで胃液の中でも生き残ることができます。
萎縮性胃炎の該当部位 ※藤島クリニック提供
まだ胃粘膜上皮細胞はあるのですが、ある程度ピロリ菌の影響を受けてえぐれてしまっている状態では、FD(機能性ディスペプシア)と同じような症状を起こすこともあります。
ピロリ菌の検査方法は、
- 血液検査
- 便検査
- 内視鏡で組織を取る
- 尿素呼気テスト(息を吐く検査)
こういった方法で行われます。
もしそれでも除菌できない場合は次の治療に進むという流れになります。
動画
「機能性ディスペプシアの改善方法5選」について、動画でも詳しく説明しています。ぜひご覧ください!
関連ブログ
当院のご案内
電話番号 0475-36-7011
インターネット予約はこちらです。