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健康診断で「血糖が高め」と言われたあなたへ 〜糖尿病を防ぐために今すぐできること〜

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  • 健康診断で「血糖値が高い」と言われた
  • 糖尿病と言われたわけではないけれど不安
  • 家族に糖尿病の人がいて、自分も心配
  • 疲れが抜けにくく、生活習慣を見直したいと思っている

当院でしたら、上記の疑問、悩みが解決できるかもしれません。

皆さん こんにちは。あまが台ファミリークリニック院長の細田です。

専門は家庭医療、総合診療で、糖尿病の患者さんを年間延べ4,000人程度診察しております。

今回は、健康診断で血糖値が高めと言われた方の不安や疑問を解決することで、将来合併症に悩まされず、おいしいものをたまに食べたり、旅行に行ったりできるような健康で長生きできるためのヒントになる解決策を提供します。

夫婦 旅行

健康診断で「血糖が高め」と言われたあなたへ
〜糖尿病を防ぐために今すぐできること〜

 

糖尿病を放置するとどうなる??

初期のうちは自覚症状がほとんどなく、「ちょっと血糖が高めですね」と言われても、痛みも苦しみもないため、そのまま放置されてしまうことが少なくありません。

しかし、見えないところでじわじわと血管や神経が傷ついていき、気づいたときには、

  • 目の奥の血管が破れて視力が低下、最悪の場合は失明

  • 腎臓の機能が低下して、人工透析が必要になる

  • 足のしびれや感覚麻痺が起き、怪我ややけどに気づかない
  • 脳卒中や心筋梗塞など、命にかかわる合併症が起こる

これらはすべて、糖尿病によって引き起こされる合併症です。
しかも一度起きてしまうと、元には戻せないことも多いです。

ですが、ここで安心していただきたいのは、健康診断で「血糖が高め」と言われた今の段階なら、まだ十分に間に合うということなんですね。

食事や運動、睡眠など、生活習慣を見直すことで、合併症を未然に防ぐことができます。
「まだ症状がないから」と見逃さず、今こそ、予防の基本を押さえておきましょう。

血糖値の数値、見逃していませんか?

次のような項目にあてはまる方は、早めの対策が必要です(※2)。

  • 空腹時血糖が100mg/dL以上

  • HbA1cが5.7%以上
  • 家族に糖尿病の人がいる
  • 最近、疲れやすい・喉が渇く・体重減少などがある

 

健診結果で「ちょっと血糖値が高めですね」と言われたけれど、
「まぁ様子を見ればいいか」とそのままにしていませんか?

実は、“少し高め”の段階こそ、最も対策が効果的なタイミングなんです。

実際にあった患者さんの例

50代女性の方で、

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「健診でHbA1cが6.0%でしたが、特に症状もないし問題ないと思っていた」

とご相談に来られました。

詳しくお話を伺うと、以下のような生活パターンがわかりました。

・朝は菓子パンとカフェオレが定番
・夕食は遅くなりがちでドカ食い
・日中は仕事で座りっぱなし、運動は週に0回

このまま放置すると糖尿病に進行する可能性が高いと考え、食事の内容を少しずつ見直し、朝に野菜とタンパク質を加える工夫をスタート。

さらに、夜の食事量を意識的に減らし、食後に10分の散歩を始めたことで、3ヶ月後にはHbA1cが5.6%に改善しました。

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「自覚症状がないから大丈夫」は、危険です

糖尿病は、初期にはほとんど症状が出ません

でも、血糖値がじわじわ高い状態が続くことで、体の中では静かにダメージが進行しています。

「まだ薬を使うほどではない」段階だからこそ、今からできる対策を始めていきましょう。

糖尿病を防ぐ!5つの生活習慣チェック

以下のチェックリストで、あなたの生活習慣を見直してみましょう。

☑ 主食の量が多め(ごはん、パン、麺類など)

☑ 野菜を先に食べていない

☑ 運動は週に1回以下、またはしていない

☑ 睡眠時間が6時間未満の日が多い

☑毎日スマホやSNSを長時間見ている

2つ以上当てはまる方は、生活のどこかに血糖上昇の原因が潜んでいるかもしれません。

このチェックリストは、どれも一見「よくある生活」かもしれません。

ですが、糖尿病を防ぐためには毎日の小さな習慣の積み重ねがとても大切です。

実際に当院を受診された30台後半の男性Aさんも、健診で「血糖値が少し高め」と言われたことをきっかけに相談に来られました。

お話を伺うと、次のような生活習慣がありました:

  • 週に3回は、ポテトチップスをお腹いっぱい食べる
  • 昼はコンビニでパスタやおにぎりが中心
  • 運動はほとんどしていない
  • 夜はスマホを見ながら寝落ち、睡眠は4〜5時間

暴飲暴食運動不足

 

Aさんも、上のチェックリストで4項目が当てはまりました。

血糖値は空腹時で121mg/dL、HbA1cは5.9%。

HbA1c :5.6~6.4は予備軍
HbA1c :6.5以上ですと糖尿病ですから

まだ「糖尿病」ではありませんが、このままだと進行のリスクが高い状態です。

その後、朝食にゆで野菜とたんぱく質を追加し、夜のスマホ時間を減らして睡眠を6時間以上確保

さらに、週に2回のウォーキングを始めたことで、3ヶ月後には血糖値が98mg/dL、HbA1cも5.6%まで改善しました。

生活をほんの少し変えるだけで、血糖値は十分コントロールできます。
今、2つ以上当てはまった方は、ぜひ一度ご自身の生活習慣を振り返ってみてください。

すぐにできる食生活の改善ポイント

・白米、パン、ジュースなど急に血糖を上げる食品を減らす

・野菜・きのこ・海藻を最初に食べる

・食べる順番は「野菜→たんぱく質→主食」

・甘い間食はなるべく控える

 

特に、きのこ、海藻は、食物繊維が豊富で、それからお肉やお魚、お米を食べると、血糖の急な上昇を防いでくれますからオススメの食材です。

また、どうしても食べたくなる甘いものは、食後にするなど工夫することで血糖の上昇を緩やかにしてくれます。

野菜 食べる

これらを意識するだけで、血糖の上がり方が緩やかになり(※3)、糖尿病への移行をストップさえることができるかもしれません。

睡眠不足は痩せづらい?

以外に知られていませんが睡眠不足が続くと、ストレスホルモン「コルチゾール」が増え、血糖値が上がりやすくなります(※4)。

また、食欲を強くするホルモン(グレリン)も増えてしまい、つい食べ過ぎる傾向も見られます(※5)。

・ウォーキングを1日15〜30分でOK

・筋トレといっても難しく考えないでください。
その場スクワットや、椅子につかまって踵上げ運動だけでも効果があります。

・睡眠は6〜7時間以上を目指しましょう

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年齢にもよりますが

高齢者の方であれば1日最低6時間
40代の方であれば、7時間は最低確保する

ことが望ましいです。

情報疲れにも要注意

最近では、スマホやSNSなどからの情報で知らず知らず心が疲れている人が多いです。

「何もやる気が出ない」
「疲れがずっと取れない」

と感じたら、スマホから少し離れて、森林浴や読書など、ほっとできる時間を意識的に取りましょう(※6)。

相談するなら、どんなクリニック?

早めに相談するなら、以下のようなクリニックがおすすめです(※7)

・総合診療医や、糖尿病専門医がいる

管理栄養士(国家資格)が在籍していて、食事の相談ができる

・医師・看護師・栄養士のチームで支援してくれる

 

糖尿病は、薬物治療だけでは不十分で、食事も含めたもとの生活習慣を変えていく必要がありますが、なかなか1人だけでやっていくというのは難しいと感じる方多いのではないでしょうか。

何を食べたらいいのか?わからない
スーパーで食材を買うときもどっちを選んだらいいのだろう。

そんな方は管理栄養士も在籍するクリニックで食事療法を受けることで、

森川さん栄養指導

毎日のちょっとした工夫で、こうやって血糖下げられることができますよ

小笠原さん 栄養指導

この食事を少し減らすだけで1ヶ月で脂肪を1キロ落とすことができますよ

といった感じで大事なポイントをアドバイスしてくれます。

また糖尿病の患者さんを沢山診察している医師であれば、膵臓がんなどの怖い病気の見逃しを事前に検査して早期発見できるかもしれません。

また、仮に薬を使う場合でも、副作用が少なく最大限の効果を引き出してくれる薬を選んでくれるかもしれません。

当院でも、血糖が高めの方への検査や栄養相談、生活習慣改善のサポートを行っています。お気軽にご相談ください。

診療予約はこちら
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管理栄養士 小倉さん

まとめ:今こそ始めるチャンスです

「今はまだ大丈夫」と思っているときこそ、実は対策を始める最大のチャンスです。

完璧を目指す必要はありません。

できることから、一歩ずつ始めてみましょう。

・食事の順番を見直す

・5分だけでも体を動かす

・スマホを1時間おやすみして読書する

こうした小さな習慣が、5年後、10年後のあなたの健康を守ります。

参考文献

  • (※1) 日本糖尿病学会編『糖尿病診療ガイドライン2023』 p.15-30
  • (※2) 厚生労働省 e-ヘルスネット「糖尿病予備群(境界型糖尿病)」
  • (※3) 青江誠一郎ほか『食後高血糖と食物繊維』日本栄養・食糧学会誌 2016年
  • (※4) Leproult R, Van Cauter E. “Role of sleep and sleep loss in hormonal release and metabolism.” Endocr Dev. 2010
  • (※5) Spiegel K, Tasali E, et al. “Sleep loss: a novel risk factor for insulin resistance and Type 2 diabetes.” J Appl Physiol. 2005
  • (※6) Kaplan GA et al. “Psychosocial predictors of illness and health.” Am J Epidemiol. 1987
  • (※7) 日本糖尿病協会「糖尿病医療におけるチーム医療の推進」2019年報告書
この記事の監修者
細田 俊樹
  • 医療法人社団緑晴会 あまが台ファミリークリニック 理事長
  • 日本プライマリ・ケア連合学会 家庭医療専門医

年間15,000人以上の患者さんを診察している総合診療専門医。
総合診療という専門分野を生かし、内科、皮膚科、小児科、生活習慣病まで様々な病気や疾患に対応している。
YouTubeでよくある病気や患者さんの疑問に対して解説している

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