院長ブログ

腎臓 が悪い 時に出る超 危険症状 7選

腎臓が悪い時に出る超危険症状7選

皆さんこんにちは。
あまが台ファミリークリニック院長の細田です。

悪くなった腎臓

今回のテーマは「腎臓が悪い時に出る超危険症状7選」です。

診察をしていると、こんな相談を受けることがあります。

  • 健康診断で尿検査の異常があると言われた
  • 血液検査で腎機能が悪いと言われたことがある
  • 糖尿病、高血圧があり、腎臓の機能が悪いと言われている
  • 最近トイレに行くと、尿が妙に泡立っている

こういった症状がある方は、ぜひ見てほしいテーマです。

慢性腎臓病という病気は透析予備軍と呼ばれており、今日本全国で1330万人いると言われています。成人の8人に1人が慢性腎臓病という計算です。

この腎臓病を放置すると、どうなるかご存知でしょうか。

放置してしまうと透析治療が必要となるケースもあります。

透析治療のイラスト

▼透析治療

  • 1回に5時間程度
  • 週3回

透析治療は、上記のように多くの時間が必要な治療ですから、ご自身やご家族の負担はとても大きくなります。そうなる前にぜひ今回のブログで勉強してみましょう。

このブログでは、最新のエビデンス(医学的根拠)をもとに、医師歴22年の経験・知識を活かして、皆さんにわかりやすくお伝えします。

腎臓の役割と機能

ろ過装置

腎臓は体にとって不要な水分やミネラルなどを外に出し、必要なものを中にとどめておくという作用があります。

腎臓には1日でだいたい150Lぐらいの血液が流れ込みます。

腎臓の役割

そのうち99%は再循環させて体に戻し、1.5Lは尿として出しています。

赤血球に必要なホルモンを作る

腎臓で作られるエリスロポエチンというホルモンが骨髄に作用することで赤血球ができあがります。

ビタミンDを作る

腎臓でビタミンDを作っています。ビタミンDは、お腹からカルシウムを吸収するために必須の大切なビタミンです。

血圧の調整

腎臓は血圧を調整するホルモンを分泌しています。

腎臓病になりやすいリスク因子 7つ

大腸がんや胃がん、前立腺がんなどの動画でもお話していますが、病気にはそれぞれリスクが存在します。

リスクというのはなりやすい下地、素地みたいなものです。

腎臓病にもなりやすい人、腎臓の機能が低下しやすいリスク因子があります。

リスク因子1.生活習慣病

高血圧、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症といった生活習慣病がリスクになります。

リスク因子2.加齢

年齢を重ねるほど腎臓の機能は落ちてきます。

心臓や肝臓、目や肌など、年齢に抗えない部分はあるのですが、特に腎臓は細い血管が集まっている臓器ですので、動脈硬化の影響を受けやすいです。

リスク因子3.肥満

BMI

体重を身長の二乗で割った値のことをBMIと言いますが、このBMIが25以上なのも1つのリスク要因です。

BMIが25以上になると、高血圧、脂質異常症、糖尿病のリスクも同時に上がってきます。

リスク因子4.タバコ

リスク因子5.血縁に腎臓病の方がいる

腎臓病には遺伝が関係する場合もありますので、これも1つのリスク要因です。

リスク因子6.男性

リスク因子7.尿検査で蛋白尿・血尿・腎機能の指摘をされたことがある

尿検査で指摘を受けたあと、大丈夫だろうと放置しておいた結果、いつの間にかかなり腎臓が悪くなっているというケースが多々あります。

症状が出てくるタイミング

今回ご紹介する症状については、

腎機能が悪くなっていく様子

たとえば腎臓の機能が1番高い時を「100%」とした場合に、それが「30~45%以下」になった場合にでる症状が多いと思ってください。

腎臓が悪くなった時に出てくる危険な症状

むくみ

腎臓が悪くなった時には左右対称に全身がむくむことが多いです。

特に重力の関係で

  • 足の甲
  • 足のすね

こちらは特にむくみやすいです。足のすねや足の甲を10秒押し続けて放したあとも凹みが残る場合は、病的なむくみの可能性があります。

むくんだ足の写真

さらに、最近食べすぎているわけではないのに、1ヶ月で3~4kg体重が増えてしまう場合は、腎臓からきている可能性があるので要注意です。

むくみは腎臓の機能が悪くなった時だけでなく、甲状腺炎(甲状腺ホルモンが少なくなって起こる症状)などでも起こります。

原因不明のむくみが起きた時は医療機関での相談をおすすめします。

頻尿

腎臓の機能が悪くなってくると、体の老廃物を尿に出す力が減るため、尿量を多くすることでそれをカバーしようとします。

体の老廃物を尿に出すイラスト

今までは夜中にトイレに行くことはなかったけど、徐々に2回、3回とトイレの回数が増えてくる場合があります。

また、腎臓の機能がさらに低下してくると「乏尿」といって尿の量自体が減ってきます。

乏尿になってしまった場合は、腎臓の機能は10%以下などかなり症状が進行した段階である可能性があります。

頻尿は、腎臓が悪くなった以外にも

  • ストレス
  • 前立腺肥大
  • 前立腺がん
  • 膀胱炎
  • 過活動性緊張性膀胱

このような原因から起こる場合もあります。

高血圧

腎臓の機能が悪くなってくると余分なお水を外に出すことができなくなり、血管の中のお水のボリュームが増えます。

その結果、血圧が上がります。

特に変わったことがないのに最近血圧が上がってきたという方は、

  • 腎臓が原因で血圧が高くなっている
  • 血圧が高いことで腎臓に影響を及ぼす

両方の側面から影響がありますので、自宅で1週間ほど血圧を測っていただき、

上135-下85 以上の方は要注意

となります。早めに医療機関で検査することをおすすめします。

こういった動画も上げていますので、よければ参考にしてください。

動悸・息切れ

腎臓の機能が低下すると、赤血球に必要なエリスロポエチンができなくなり、結果的に赤血球が減ってきます。

エリスロポエチン生成

ヘモグロビン減少

赤血球の中には身体中に酸素を運んでいるヘモグロビンが含まれていますが、赤血球が減ることでこのヘモグロビンも減ってしまいます。

すると、ほんの少しの運動でも妙に息切れがするといった症状が現れます。

血液検査の結果を見て、

  • ヘモグロビンが11以下
  • 腎機能が低下

こんな状態の方は、腎臓が原因の貧血を起こしている可能性があります。

これを放置することで心臓や腎臓にさらに負担をかけることになりますので、ぜひ病院で検査をすることをおすすめします。

▼簡単にできる貧血セルフチェック

眼瞼結膜が白くなっている写真

目の下の結膜(眼瞼結膜・がんけんけつまくと言います)を見て、画像のように白くなっている方は貧血の可能性があります。

逆に赤くなっている方は、貧血の可能性は低いです。

※ただし花粉症などのアレルギー性結膜炎では赤くなってしまいます。

腎臓が原因の貧血は、注射やお薬によって改善が可能です。

また、もしも、腎機能低下からくる貧血だとしても、ヘモグロビンを11~13ぐらいで安定させることができれば、腎機能の低下を緩やかにすることができます。

尿の変化

腎臓が悪くなると蛋白尿や血尿が出ることがあります。

蛋白尿

尿の泡立ちは通常数十秒で消えますが、1分以上経っても尿の泡が残ったまま消えない方は、蛋白尿の疑いがあります。

病院の尿検査で蛋白尿・陽性という結果が出た方は、腎機能の低下を疑って早めに検査をしてください。

尿検査キットのイラスト

病院に行くのが面倒な方には、ネットショッピングで自宅で簡易検査ができるキットが販売していますので、調べてみてください。

血尿

血尿には

  • 肉眼的な血尿
  • 顕微鏡的な血尿

の2種類があります。病院で見つかるのはほとんどが顕微鏡的な血尿と言って、検査をしないとわからないものです。

こちらも蛋白尿と同じように自宅で簡易検査ができるキットがあります。

尿毒症

尿毒症、体の中にさまざまな老廃物が溜まることで出てきます。

代表的な症状としては、

  • 体がだるさ
  • 食欲がない
  • 吐き気
  • 視力が悪くなる
  • (さらに進行すると)呼吸困難

尿毒症が進行してしまって呼吸困難を起こす段階になってしまうと、じっとしていても息苦しいといった症状が出る場合もあります。

肺の写真

老廃物やお水が出せないことで肺にお水が溜まり、酸素飽和度が低下し、呼吸が荒くなってきます。

症状としては動悸・息切れとも重なるんですが、尿毒症でもこういった症状が出るということを覚えておいてほしいと思います。

胸の痛み

慢性腎臓病と心臓血管系の病気(狭心症、心筋梗塞など)はとても深い関係性があり、腎臓の機能が低下していくにつれ、心臓血管系の病気の発症率も右肩上がりで上がってくるということがわかっています。

腎臓の機能が落ちてくるということは、血管にすごくダメージがあるということです。

同じように心臓を養う冠動脈という血管も動脈硬化が進んできます。

動脈硬化のイラスト

動脈硬化が起きた結果、血管の中が狭くなり、血栓ができて、それによって胸の痛みが出てくる場合があります。

強心症のような、例えば階段を上って息切れがする冷や汗をかくといった症状の方は腎臓病も隠れている可能性がありますので、早めの検査をおすすめします。

腎臓病を早期発見するための検査方法

尿検査

蛋白尿や血尿は、健康診断等の検査で偶然見つかるケースというのが多くあります。

蛋白尿についてはこちらの動画でも解説していますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。

まず蛋白尿や血尿が出た場合は、朝一の尿検査で再検査してみてください。

そこで問題なければほぼ異常はないと思うのですが、仮に朝一の一番濃縮された尿でも血尿や蛋白尿がある場合は病的な原因が可能性として考えられます。

その場合は、さらに精密検査をしていただきたいと思います。

血液検査

クレアチニン

私たちの体中にある筋肉が動いた過程で出てくる燃えかすがクレアチニンです。

筋肉とクレアチンとクレアチニン

肝臓で作られたクレアチンというタンパクが筋肉に入ってクレアチンリン酸になり、筋肉が動くことで、燃えかすとしてクレアチニンが出ます。

腎臓の機能が悪いと、徐々に右肩上がりでクレアチニンの血中濃度が上がってくるので、それを血液検査で確認することができます。

このクレアチニンの正常値は、施設基準といって施設によって多少幅があるんですが、例えば

  • 男性…1以上
  • 女性…0.7以上

クレアチニンがあった場合は注意を払う必要があります。

ただし、このクレアチニンは年齢や性別によって変わってくるので、正確性がいまひとつな場合があります。

そこで年齢や性別を考慮して、より正確に腎臓の機能を測るための指標がeGFR推定糸球体ろ過量です。

eGFR

インターネットで「腎機能 計算」と検索すると、さまざまな計算ツールのページが出てきます。

腎機能計算

たとえば日本腎臓学会の腎機能計算ツールを使うと、同じクレアチニンが0.9mg/dLでも35歳男性の腎機能は78.5となりますし、75歳女性の腎機能は46.6になります。

年齢や性別によってこれだけ腎機能に差が出てきますので、ご自身や大切な家族の腎機能がどのくらいなのか、ぜひ計算してみてください。

eGFRが60%以下の場合を慢性腎臓病と定義します。慢性腎臓病の方は、成人の8人に1人いると言われており、いかに多いかわかりますよね。

腎臓病の予防方法

腎臓病が進行してくると血液透析が必要になる方もいらっしゃいます。この血液透析の原因としては

  • 糖尿病
  • 高血圧
  • 腎臓そのものの病気

が多くあります。

この中で一番多いのは糖尿病です。糖尿病にならない、あるいは糖尿病になっても、血糖コントロールを良好に保つということが腎臓病を予防することにほかなりません。

また血圧に関しても、腎臓病の方は自宅血圧で135-75以下にすることが求められます。もちろん年齢によってもこの基準値というのは変わってきますので、正確には主治医の先生と相談の上、治療方針を決めてください。

ただし生活習慣病を予防していくことが腎臓病を予防することにほかならないということを覚えておいてほしいと思います。

また、IgA腎症をはじめとした腎臓そのものの病気で、腎臓病が進行していく場合もあります。その場合は、腎臓内科の専門の先生によく見ていただいて、腎臓病の治療を優先していくことで進行をとめられるかもしれません。

動画

腎臓が悪い時に出る超危険症状7選について、動画でも詳しく説明しています。ぜひご覧ください!

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関連リンク

腎機能測定ツール-一般のみなさまへ-一般社団法人 日本腎臓学会|Japanese Society of Nephrology

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