院長ブログ

片頭痛(偏頭痛)の治し方5選

皆さんこんにちは。
あまが台ファミリークリニック院長の細田です。

今回のテーマは「片頭痛(偏頭痛)の治し方5選」です。

外来をしていると、毎日のように頭痛の相談を受けます。
日本人は3000~4000万人ほどが頭痛を持っていると言われています。
とても多くの方が頭痛で悩んでいるということがわかりますね。

頭痛には色々な種類があるのですが、ここでクイズです!

Q.頭痛の中で一番多い頭痛は次のうちどれでしょう?

  • 1.副鼻腔炎による頭痛
  • 2.髄膜炎
  • 3.片頭痛(偏頭痛)
  • 4.筋緊張型頭痛

A.答えは…

4.筋緊張型頭痛です。

緊張型頭痛は頭痛全体の22%を占めると言われています。

そして次に多いのが片頭痛で8%です。

頭痛の種類によって治療法が変わってきますので、まず自分自身がどんな頭痛なのか正しく知ることが治療をする上でとても大切なポイントになります。

薬によって起きる頭痛(薬剤誘発性頭痛・薬剤乱用性頭痛)

月に10回以上頭痛のお薬を飲むことによって頭痛が起きてしまうケースがあります。これを薬剤誘発性頭痛または薬剤乱用性頭痛と言います。

自己判断で自分は片頭痛だと思って薬を飲み続けている方は、ぜひ一度主治医の先生とお話して、正しい情報を知るようにしましょう。

頭痛の種類(一次性頭痛・二次性頭痛)

頭痛の種類は国際頭痛分類というものでなんと300種類にも分類されています。

それを大まかに2つに分けて、一次性頭痛と二次性頭痛と呼びます。

▼一次性頭痛

  • 片頭痛
  • 筋緊張性頭痛
  • 群発頭痛

▼二次性頭痛

  • 副鼻腔炎による緑内障、脳腫瘍、脳出血、髄膜炎などの病気が原因で起こる頭痛

髄膜炎やくも膜下出血は放置すると時間単位で死に至る病気です。これを見逃さないためにどうしたらいいかというお話はこちらの動画でしていますので、ぜひ見てみてください。

一次性頭痛の中で、緊張型頭痛と片頭痛をしっかり区別するということが偏頭痛を直していく上でとても大切なポイントになります。

緊張型頭痛の原因、症状、解決法

緊張型頭痛は簡単に言うと、孫悟空の被っているリングを三蔵法師に締め付けられて頭の両側がグーッと痛くなる、そういった痛みです。

▼典型的な症状

  • 肩が凝る
  • 首が痛い
  • 頭の両側が締めつけられる感覚、重い
  • 痛みは2~3分から長い場合は1~2週間まで

肩や首の筋肉、神経の緊張が原因だと言われています。

▼緊張型頭痛の治し方

  • 温める
  • 筋肉のこりをほぐす
  • 長時間同じ姿勢を続けない
  • マッサージ
  • ストレッチ
  • 鍼、灸

こういった方法で治ることがあります。

▼痛み止め

  • アセトアミノフェン
  • 非ステロイド系鎮痛薬
  • 湿布など
  • 抗うつ薬(あまりにもひどい場合)

ページ1番下の動画「片頭痛(偏頭痛)の治し方5選」の最後で、日本頭痛学会から推奨されている「筋緊張型頭痛を治すための頭痛体操」というものをお見せしますので、こちらもぜひ試してみてください。

片頭痛(偏頭痛)の原因

片頭痛の原因で確定しているものはまだまだ少ないのが現状です。

一番有力な説は、脳の中の三叉神経から、脳の血管を広げたり炎症を起こすような物質(タンパク質)が出て脳の血管が拡張し、炎症を起こして痛むのではないかと言われています。

片頭痛の症状は、女性に多く出ます。30代の女性のうち、24%もの方が片頭痛で悩んでいるというデータがあります。

そのため、片頭痛は月経や女性ホルモンの変化に影響を受けていると推測されています。親子で遺伝することもあります。

片頭痛(偏頭痛)の症状

“片”頭痛の名前通り60~70%は症状が片側に出ますが、30%は両側に出ます。「つまり両側だから片頭痛ではない」と自己判断すると、間違えている可能性があります。

時間は3時間から長くても72時間以内に収まります。

▼片頭痛の症状

  • 脈が打つようにズキンズキンと痛む
  • 吐き気、嘔吐
  • 光が眩しく、不快
  • いつもは平気な音がうるさく、苦痛

また人によっては、片頭痛の前駆症状(最大で77%の方に見られる)と、前兆(片頭痛を持つ方の25%)が起きる場合があります。

▼片頭痛の前駆症状

  • 頭痛が起きる24~48時間前に発生
  • あくび
  • 多幸感
  • 落ち込み
  • イライラ
  • 食欲不振
  • 便秘
  • 肩こり

▼片頭痛の前兆

  • 5~20分で症状が強くなり、60分以上は続かない
  • せんき暗点
    (視界の1/4~半分ほどがキラキラしたりギザギザして見えなくなる)
  • 片方の手の指や唇、顔の下の方のしびれやうずき

片頭痛を持つ患者さんとお話していると、「本当に辛い時はしばらく暗いところでじっとしていると自然とよくなる」という方がいらっしゃいます。
これも片頭痛を表す1つの特徴です。

片頭痛(偏頭痛)の誘引

片頭痛は様々なものが誘引になるということがわかっています。

具体例は以下の通りです。

▼片頭痛の誘引

  • 環境の変化(天気・旅行・季節・高度)
  • 習慣の変化(予定の変更・睡眠リズム・ダイエット・食事・運動)

ダイエットしようと朝ごはんを抜いた時に頭痛が出る方がいらっしゃいます。
また、以下のような食材が原因になる場合もあります。

  • アルコール
  • チョコレート
  • チーズ
  • グルタミン酸
  • カフェイン
  • ナッツ類
  • 人工甘味料(アスパルテーム)
  • ワイン(亜硝酸化合物)

ほかにもホルモンの変化(閉経・排卵期)や、知覚的な変化で強い光や騒音、高音、ちらつき、点滅、香水等の匂い。あとは感情的なストレスも誘引になります。

片頭痛(偏頭痛)の解決法1:頭痛日記

以前過敏性腸症候群のお話をした際にも、食事行動日記は大切だというお話をしました。

先ほど片頭痛にはいろいろ誘引があるということをお話しましたが、人それぞれまったく誘引が違います。

毎日の生活の中の、何が自分の頭痛を引き起こしているのか。それを記録するのがすごく大切な最初のステップになります。

  • 持続時間
  • 場所(片側だったのか両側だったのか)
  • 強さ(人生で想像つかないほど強い頭痛を10とすると今回は何点だったのか)
  • 起きる前にしたことは何だったのか
  • 治療に反応したのか
  • 何をするとよくなるのか

こういったことを毎日記録しましょう。

患者さんにも実際にこういった日記を数週間つけたことで、自分にとっての片頭痛の原因がわかった方がいらっしゃいます。その方は低気圧が原因のようでした。

その場合はある程度効果がある漢方薬があります。このように解消の糸口が見えてきます。

また、日記を書く中で体調に点数をつけていくと、何点のときは動けるとか、このくらいで薬を飲んだらこのくらい治るとか、気分の基準がわかってきます。

この頭痛日記はメリットが多すぎますので、やらない手はありません。

インターネットで頭痛日記と検索していただくと、様々な様式のものがダウンロードできます。よかったら検索してみてください。

片頭痛(偏頭痛)の解決法2:薬

お薬は大きく2つに分けると、発作時の薬と予防の薬に分けられます。
主に発作止めの薬についてお伝えしていきます。

アセトアミノフェン

コロナウイルスのワクチン摂取後、副反応で熱が出た時に飲むということで話題になっているお薬です。小さいお子さんもよく使う解熱鎮痛剤で比較的安全で副作用も非常に少ないという特徴があります。

頭痛の前駆期あるいは前兆が起きた早い段階で飲むことで頭痛を抑えられると言われています。飲み遅れると「アロディニア」と言って頭を梳かすのももう苦痛でしょうがないという症状になってしまうことがあります。

アスピリンや非ステロイド系の鎮痛薬
(商品名:ロキソプロフェン、ロキソニン、イブプロフェンなど)

ロキソニンなどの非ステロイド系の鎮痛薬は副作用の影響で胃炎、胃潰瘍、腎臓病などがある方は使えないこともあります。主治医の先生とよく相談して飲み薬を決めていきましょう。

薬剤誘発性頭痛になる可能性もありますので、使用時は注意しましょう。

トリプタン製剤

アセトアミノフェンやロキソニンで効果がない場合に適用されます。このお薬は単に痛みを抑えるのではなく、片頭痛が発生するメカニズムそのものを破壊します。

10日以上使うと薬剤誘発性頭痛の原因になりますので要注意。1ヶ月の使用日数は9日以内です。

妊娠中の方、麻痺性の片頭痛をお持ちの方、高血圧の方、狭心症がある方、脳卒中の既往のある人は使えません。
プリンペランやメトクロプラミド(吐き気止め)

吐き気止めです。軽度~中等度の片頭痛に有効というエビデンスがあります。

CGRPアンタゴニスト(2020年の5月から販売開始)

三叉神経から出てくる炎症を引き起こす物質そのものをブロックしてしまうお薬です。使える施設が非常に限られていますので、受診前に金額や注射をしてもらえるのかどうか確認してください。

ミグシス(カルシウム拮抗薬/予防薬)

週に何度もお薬を飲まないとコントロール出来ないという方にオススメです。

片頭痛(偏頭痛)の解決法3:ライフスタイルの変更

「片頭痛の誘引」に対応した改善策になります。

・眠る時刻と起きる時刻を一定にする
・昼寝はできるだけ短く
・寝る前のカフェイン、アルコール、タバコは控える
・寝る直前に携帯スマホを見ない
・健康的な食事を毎日できるだけ同じ時間帯に取る
・適度の運動
・片頭痛の誘因を避ける薬を使いすぎない
・月経をコントロールするホルモン療法(月経時に片頭痛が起きる方に有効)
※主治医、産婦人科の先生に要相談

片頭痛(偏頭痛)の解決法4:副鼻腔炎を治す

副鼻腔炎というのは、俗にいう蓄膿症です。頭蓋骨の中の上顎洞と前頭洞という穴に膿が溜まり、片頭痛を起こすことがあると言われています。

よくあるのは、ダニやハウスダストのアレルギーを持っている方が風邪を引いた後、ここに膿がたまって頭痛がするというケースです。

この場合は片頭痛だけの薬を使っていてもよくなりません。抗生物質を使ったり、アレルギーの侵入を抑えるような点鼻薬を使って予防をする必要があります。

一般内科や耳鼻科の先生に相談してみるのもいいと思います。

片頭痛(偏頭痛)の解決法5:漢方薬を上手に使う

例えば低気圧が近づいてくると手足がこわばったり、体がだるくなるという女性の方がいたのですが、五苓散という飲み薬を2~3日飲んだことで頭痛薬を使う頻度が減ったそうです。

片頭痛は、低気圧による体のむくみを抑えることで頭痛がおきづらくなるのではないかと推測されています。7~8割ぐらいの効果があるのではないかという研究もありますので、主治医の先生と相談して試してみるのもいいと思います。

月経痛、生理痛がひどい方向けの漢方薬の一つに桂枝茯苓丸というお薬があります。

このお薬は片頭痛の改善にも寄与する場合もありますので漢方に詳しい先生に相談して試してみるのも一つの方法だと思います。

もちろん体に合わない場合もありますから、その場合は相談のうえ止めて、別のものを試してみるのもいいでしょう。

片頭痛はひとつの方法だけで治るということは珍しくて、いくつかの戦略を持つことが大切です。

片頭痛と緊張型頭痛が混ざっている混合型頭痛という場合もあります。この場合は患者さんとお話をして、例えば「片頭痛8割:緊張型頭痛2割」と判断して治療を進めたりします。

このように、単純に片頭痛か緊張型頭痛かというのを分けられない場合もありますが、今回お話した片頭痛の解決法5選をぜひ取り入れてみてください。
中でも頭痛日記は次の治療のステップに進みやすくなりますので、ぜひ試していただきたいと思います。

今回のまとめ

1:自分の生活を記録する「頭痛日記」をつけましょう

2:自分の頭痛の性質(片頭痛・緊張型頭痛・混合型)を理解しましょう

3:主治医の先生と相談して自分にあった治療法を1つずつ試していきましょう

動画

「片頭痛(偏頭痛)の治し方5選」について、動画でも詳しく説明していますので、ぜひご覧ください!

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