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【130を超えたら黄色信号】朝の血圧が教える動脈硬化と心臓病の本当のリスク|千葉・茂原エリアで高血圧治療なら

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「朝の血圧があなたの10年後を決める ― なぜ“朝測定”が命を守るのか?」

  • 朝の忙しさで血圧測定がつい後回しになる40〜70代

  • 病院では正常と言われても「本当に大丈夫?」と不安を抱く人

  • 動脈硬化や脳卒中の家族歴があり、予防を意識したい人

  • すでに降圧薬を飲んでいるが「効いている実感がない」人

上記のような方に向けた記事です。

朝の血圧は、その人の未来の健康状態をもっとも正確に映すサインです。私は総合診療医として年間15000人以上を診察してきましたが、昼は正常でも「朝だけ血圧が高い」方は少なくありません。この朝の上昇こそが、動脈硬化の進行や脳卒中リスクの大きなヒントになります。

こんにちは。
医療法人社団 緑晴会 あまが台ファミリークリニック
院長の細田俊樹です。

プライマリ・ケア(総合診療)専門医として25年目。
年間15,000人以上の外来診療の中で、高血圧・糖尿病などの生活習慣病を日々診察しています。
実際、当院でも「朝だけ血圧が高い患者さん」を数多く診てきました。

その経験から断言します。

朝の血圧は、その人の“未来の健康状態”を最も正確に映す鏡です。

朝の血圧が高い人は、脳卒中・心筋梗塞などの重大な病気を起こすリスクが高い。

だからこそ「朝の血圧測定」を生活習慣に組み込むべきです。

なぜ朝の血圧だけ危険になりやすいのか

① 朝は体のスイッチが急に入る時間帯

起きる直前〜起床後は、

  • 交感神経が一気に働く

  • “血圧を上げるホルモン”が出てくる

このため、血圧は自然と上がりやすい時間帯。
しかし、動脈硬化が進んでいる人は、この上昇幅が必要以上に大きくなります。
これが **「朝だけ危険なほど血圧が高い」**状態です。

② 昼は正常でも「実は危ない」人が多い

診察室で測ると正常なのに、家で測ると高い人を
仮面高血圧(かめんこうけつあつ)
と言います。

そして仮面高血圧のなかでも
朝が高いタイプがもっともリスクが高い ことが分かっています。※1

③ 脳卒中や心筋梗塞は“朝に起きやすい”

複数の研究で、脳梗塞・心筋梗塞は
朝6時〜正午の間に最も多い ことが示されています。※2

つまり、
朝の血圧が高い=もっとも危険な時間帯に弱い状態
ということです。

具体例(私の診察室でよくあるケース)

●ケース1:診察室で正常 → 朝だけ150

70代男性。診察室では130台をキープ。
しかし朝の家庭血圧を測ったら150〜160。
薬を朝型に調整したら、頭痛・だるさが改善。

●ケース2:降圧薬を飲んでいるのに朝だけ上がる

60代女性。
夜は120、昼も120なのに、朝だけ140台。
睡眠の質改善と減塩で朝の値が10以上下がり、日中の疲れも軽減。

朝の血圧を見ないままだと、この方々は
“気づかないままリスクの高い状態を続けていた”
ことになります。

よくある疑問、質問

「診察室の血圧は正常だから大丈夫だと思っている」

わかります。病院で正常と言われると安心しますよね。
しかし多くの研究で、
「朝だけ高いタイプは、1日中高い人と同じくらいリスクが高い」
ことが分かっています。※1

「毎朝測るのは面倒…」

その気持ちは本当に自然です。
ただ、測る時間は30秒。
そして10年後の脳卒中リスクを大きく下げられる可能性があります。
“朝の歯磨き”と同じで、慣れればルーティンになります。

「薬を飲んでいるから安心」

薬は大切ですが、万能ではありません。
塩分が多かったり睡眠が悪いと、薬が効きにくくなり、
結果として朝だけ高くなる方をたくさん診ています。

“薬+生活習慣+朝の測定”の組み合わせが最も安全です。

診察室では正常でも朝だけ150という人は多い

外来では120台で安定しているのに、自宅で朝に測ると150から160という方は多くいらっしゃいます。朝の血圧は診察室では絶対に分からないため、みなさん「気づかないまま危険な状態」が続いてしまうのです。

例えば、薬の服用時間、塩分量、睡眠の質を少し整えたところ、朝の血圧が10から15程度下がり、朝の頭重感が改善したケースもあります。朝測らなければ、この変化には気づけません。

多くの人が抱く誤解

患者さんの多くが「病院で正常なら大丈夫」「薬を飲んでいるから安心」と感じています。この気持ちはとても自然です。忙しい朝に血圧を測るのは面倒なのも理解できます。

ただし研究では、朝だけ血圧が高い人のリスクは、一日中高血圧の人と同じくらい高いことが分かっています。つまり、朝の測定だけが「本当の姿」を教えてくれるのです。

だからこそ朝の血圧は特別扱いすべき

複雑なルールは必要ありません。まず一つだけ覚えてください。

朝の血圧は130 80未満

難しいルールは一切不要。
朝の血圧は130/80未満
これだけをまず覚えておいてください。

朝の血圧が低いほど病気を防げることは研究でも証明されています

「朝の血圧が130 80未満であるほど、脳卒中や心筋梗塞が減る」ということは、実は複数の大規模研究で明らかになっています。

例えば、日本人を対象にした有名な研究では(※1)、朝の家庭血圧が高いグループは脳卒中や心筋梗塞の発症が多く、反対に朝の血圧が130 80未満のグループが最も心血管病が少なかったという結果が示されています。

また、別の大規模研究では(※2)、朝だけ血圧が高い「隠れ高血圧」の人は、昼も夜も高い人と同じレベルで心血管死亡が増えることが分かりました。裏を返せば、朝の血圧を低めに保つだけで生涯の心臓病リスクを確実に減らせるということです。

日本高血圧学会のガイドラインでも(※3)、脳卒中などの重大な病気を防ぐためには、家庭で測る朝の血圧を130 80未満に保つことが推奨されています。

130を超えたら
減塩
体重管理
睡眠改善
この3つを優先してください。
これだけでも約5mmHg下がると言われています。

おすすめの測定タイミングは次の通りです。

  • 起床後1時間以内
  • 排尿後
  • 朝食前
  • 薬を飲む前

つまり、トイレに行き、顔を洗い、その流れで30秒測るだけ。このルーティン化が、将来の大きな病気を防ぎます。

血圧を下げる目的は数値ではありません

血圧を下げる最大の目的は「10年後の脳卒中と心筋梗塞を防ぎ、健康寿命を延ばすこと」です。

症状がない今だからこそ、朝の血圧を知ることが早期予防につながります。

まとめ

朝の血圧は、あなたの動脈硬化の進み具合を最も早く示すサインです。
130mmHgを超える日が続くなら、
「まだ症状がない時期」
だからこそ対策できる大きなチャンス。

未来の脳卒中・心筋梗塞を防ぐために、
まずは明日の朝、1回測ってみてください。

朝の血圧こそが、あなたの未来の健康を守る最強の指標です。明日の朝、一度測ってみてください。

参考文献

※1 Kario K, et al. Hypertension. 2007. 朝の家庭血圧が高い群は脳卒中・心筋梗塞リスクが高いことを示した日本人の大規模研究。

※2 Ohkubo T, et al. Hypertension. 2004. 朝の家庭血圧が高い人ほど心血管死亡が増えることを示した一般住民研究。

※3 日本高血圧学会 高血圧治療ガイドライン2019:脳心血管病予防のため、朝の家庭血圧は130 80未満が推奨されている。

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この記事の監修者
細田 俊樹
  • 医療法人社団緑晴会 あまが台ファミリークリニック 理事長
  • 日本プライマリ・ケア連合学会 家庭医療専門医
  • 日本糖尿病学会正会員、日本睡眠学会所属

年間15,000人以上の患者さんを診察している総合診療専門医。
総合診療という専門分野を生かし、内科、皮膚科、小児科、生活習慣病まで様々な病気や疾患に対応している。
YouTubeでよくある病気や患者さんの疑問に対して解説している

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