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低用量ピル(OC)とは?
こんにちは、あまが台ファミリークリニック院長細田俊樹です。
下記のような症状で悩んでいる女性は少なくないと思います。
- 生理痛がひどくて学校生活や仕事に影響がある。
- 生理不順に悩んでいる。
- 月経前症候群でいろいろと薬を試したがよくならない。
- にきびで悩んでいる。
当院では、自費診療で、避妊目的の低用量ピルを扱っています。
こちらのページでは、上記の症状を治療するための選択肢の一つである低用量ピルとは
そもそも何なのか?
どうして避妊、生理不順に効果があるのか?
副作用や実査にかかる費用などについても解説していますのでぜひ参考にしてください。
当院で処方している低用量ピル
ラベルフィーユは「トリキュラー」、ファボワールは「マーベロン」という先発薬のジェネリック医薬品です。
ジェネリック医薬品とは?
ジェネリック医薬品とは、先発医薬品と同じ成分を同じ量含んでおり、効果も同じと認められた薬です。
ラベルフィーユはトリキュラー、ファボワールはマーベロンと同じ成分で、同じ効果が得られます。
ジェネリック医薬品は、先発薬よりも平均して安く購入できます。
同じ効果を得られながら、お財布にも優しいのは嬉しいですね!
ピルの効果とは?
避妊効果
毎日、大体同じ日にピルを飲めば、99.9%と言う非常に高い避妊効果が期待できます。ピルは現在、日本国内で行える避妊法の中で最も確実で安全性の高い方法だといえます。
どうしてピルを飲むことで避妊することができるのでしょうか?
避妊できる理由は、
ピルの成分であるホルモンの働きによるものです。
月経不順の改善
ピルを服用することで、ピルを21日間飲んだ後、休薬中の3~4日後に必ず生理が始まるため、生理周期は規則正しくなって安定します。
生理不順とは具体的にどのような状態ですか?
生理不順とは、月経の周期や月経の期間が通常の範囲から外れている状態を指します。具体的には以下のようなケースが含まれます。
- 頻発月経や稀発月経:
生理周期が約28日前後を目安に、25から38日が正常範囲になります。
24日以内の場合は、「頻発月経」、39日以上の場合を「稀発月経」と言います。 - 生理期間の異常:
生理の期間が通常よりも短くなったり、長くなったりする状態。一般的には3日~7日程度とされています。 - 周期が安定していない
例:28日くらいできたと思ったら、48日になったりと毎月決まっていない
生理不順はストレス、生活習慣の変化、ホルモンのバランス、病気など、さまざまな要因によって引き起こされることがあります。
生理痛などの月経困難症のトラブル・PMSの改善
生理痛が毎回寝込んでしまうほど激しく、日常生活に影響を及ぼす状態を指します。一般に、生理量が多い体質の人は子宮の収縮も激しい傾向があります。
症状としては下腹部痛や腰痛、頭痛、吐き気、背中の痛みなどが挙げられます。
ピルのプロゲステロンの働きにより、子宮内膜が厚くなりません。
そうすることで子宮の壁から剥がれ落ちる経血量も減り、生理痛が緩和されるため、月経困難症に悩む人にも効果的と考えます。
生理が始まる3~10日前くらいから現れる、身体面や精神面の不調のことでを指します。生理期間が終わるとともに症状が和らいだり、改善することが特徴です。
ピルを服用することで排卵を抑制し、女性ホルモンの値を一定に保つことで、PMSの症状を緩和する効果が期待できます。
ニキビなどの肌荒れの改善
どうしてピルを飲むとニキビが減るんですか?
しつこいニキビを改善するには、男性ホルモンを抑えることが大切です。
ピルを飲むと、男性ホルモンと結びつくタンパク質が増え、その活動が抑えられ、皮脂の分泌が減ります。
ニキビについて、詳しくは当院のニキビのページを読んでいただければと思います。
ピルに含まれるエストロゲンは毛穴の詰まりを防ぐ効果もあります。
また、エストロゲンには肌のハリや潤いを保つ効果もあります。
ひどい乾燥肌で悩んで人がピルを飲んで改善した例もあるんです。
肌荒れ、ニキビに悩んでいる方は、ぜひピルを検討してみてください。
2から3ヶ月過ぎてもニキビができないときには医師に相談してピルの種類を変えるか、そもそもニキビ以外の原因かもしれませんので注意が必要です。
がんの発症の抑制
ピルの服用は、子宮体がんや卵巣がんの発症リスクを低下させることが知られています。
子宮体がんのリスク低下
- ピルに含まれるプロゲステロン(黄体ホルモン)がエストロゲンによる内膜増殖を抑え、発症リスクを約43%低下させるとされています。
- ピルを長期間服用することで、効果は続き、服用中止後も20年以上リスクが低下するといわれています。
卵巣がんのリスク低下
- 卵巣がんのリスクは、排卵回数が影響します。ピルを服用することによって、ホルモンバランスをコントロールでき、生涯にわたる排卵回数が減少します。これにより、排卵による卵巣上皮の損傷が軽減されるため、卵巣がんの予防につながります。発症リスクが約27%低下されるといわれています。
- 長期間ピルを使うことで、効果は服用中止後も15年以上持続します。
服用中止後も、がんを抑制できるのは嬉しい効果ですね!
ピルの種類の違い
ピルにはそれぞれの特徴やホルモンの配合方に違いがあります。
一相性のピルとは
当院の処方しているピルですと、ファボワールが該当します。
全ての錠剤で同じ量のホルモンが含まれているため、
服用が簡単で、飲み忘れた場合も管理しやすいです。
三相性のピルとは
薬の服用日ごとにエストロゲンやプロゲステロンの量が異なり、1ヶ月の服用期間において3つの異なるホルモンバランスが設定されています。
ホルモンの変化を利用して、体の自然なホルモンサイクルに近い形で排卵を抑えることを目的としています。
一定のホルモン量のタイプと、ホルモン量が段階的に調整されるタイプがあるんですね!
そうなんです。自分に体に適したピルを選択していきましょう!
ピル服用のリスクや副作用は?
皆さんが最も心配されるのが副作用だと思います。
最近のピルはホルモン量も少なく、副作用の発現率もとても低くなっています。
太ったり、不妊になったりする心配もありません。
ピルの副作用のほとんどは吐き気、乳房がある、頭痛などの軽い症状で、一般に「マイナートラブル」と呼ばれるものです。
マイナートラブル以外には、血液が固まりやすくなって血管が詰まる鎮撫静脈血栓症や心筋梗塞、脳卒中を発症するリスクが1.2倍と少し高くなることが指摘されています。
特に喫煙者は血栓を発症するリスクが167倍と非常に高くなるため、注意するべきです。
もし副作用が現れても、2~3ヶ月以内に収まることが多いのですね!
最近のピルはホルモン量も少なく、ピルが出始めた1960年頃と比べると、副作用の発現率もとても低くなっています。
むやみに不安になるのではなく、
どのような副作用があるか正しく知ることが大切です。
副作用の現れ方には個人差があります。
もしも副作用が日常生活に影響を与える場合は、当院あるいは産婦人科の医師に相談して違う種類のピルに変えてみるなどの対策を考えることをお勧めします。
ピルを飲み続けても大丈夫?将来の妊娠への影響は?
最近の研究により、低用量ピルの服用は将来的な妊娠能力に影響を与えないことが明らかになっています。
服用期間の長さにも関係はありません。
ピル服用終了した後の基礎体温のパターンも、約3ヶ月ほどで95%位の方が二相性に戻っています。
これはほぼ排卵が回復し、妊娠可能な状態に戻ることを意味しています。
将来の妊娠への影響が無いなら、安心して服用できます。
そうですね。
ピルの内服をやめた後には、また元のホルモン値に戻りますよ。
ピルの飲み方は?
飲み方としては、1日1錠、毎日大体同じ時間に忘れずに飲むことが大切です。
例えば朝歯磨き粉や、化粧前などに飲むのをお勧めします。
スマホのアプリやタイマーを活用する方法してもいいですね。
服用スタートは、生理の1から3日目から飲むことをお勧めしています。
(初日から飲む場合は、初日から避妊効果があるが、不正出血が起こることもあります)
生理が始まった後に、最初に来る日曜日から飲み始める「サンデースタート」もあります。
いずれの場合でも、生理の初日から飲まない場合は、ピルを飲み始めて最初の7日間は必ずコンドームなどの他の避妊法を併用する必要があります。
ピルのホルモンが体内に入ってから、卵巣の働きが完全に休まるようになるまで7日間かかるからです。
ピルを飲み忘れたときの対処法
予定していた服用時刻から24時間以内に飲み忘れに気づいた場合
気づいた時点ですぐに飲み忘れた1錠を飲みます。
そして次の服用時刻になったらいつも通り一定飲んでください。
ピルには7日間ルールと言うものがあり、7日間ピルを飲んだ後なら卵巣は休止しているので1日飲み忘れても、排卵が起こる事はまずありません。
1日飲み忘れて、次の日の服用時刻に飲み忘れに気付いたとき
気づいた時点で前日の分と合わせて2錠飲みましょう。
飲み忘れた日がピルを飲み始めて1日から7日めの場合は、念のためコンドームなどの他の避妊法を併用しましょう。
48時間後に飲み忘れに気づいた場合
中止して次の生理日から再スタートしてください。
服用をやめている期間は、他の避妊方法を行ってください。
ピルを服用できない人
ピルは、誰でも飲めると言うわけではありません。
絶対に飲んではいけない場合と、飲むにしても十分な注意が必要な場合があります。
初診の際に注意が必要な人と診断されても、定期的に必要な検査を受けて医師の指導のもとで正しく服用していれば、深刻な副作用が起こる危険はほぼないと言っていいと思います。
厚生労働省が日本産婦人科学会等の協力を得て作成したガイドラインでピルを服用してはいけないとされている人は下記の通りです。
日本のガイドラインでピルを服用してはいけない人
- 初経発来前、50歳以上または閉経後である。
- 35歳以上で1日15分以上のタバコを吸う。
- 重症の高血圧性である。
- 血管病変を伴う糖尿病がある。
- 妊娠または妊娠している可能性がある。
- 産後4週以内、または授乳中である。
- 手術前4週以内、術後2週以内、長期間安静状態である。
- 肺高血圧症である。
- 心房細動を合併する、もしくは亜急性細菌性心内膜炎の既往のある心臓弁膜症がある。
- 重篤な肝障害、肝臓腫瘍がある。
- 閃輝暗点、星型閃光等を伴う偏頭痛がある。
- 乳がんである。
- 血栓性そうになる。
- 深部静脈血栓症、血栓性静脈炎、肺塞栓症、脳血管障害、冠動脈疾患またはその既往症がある。
- 抗リン脂質抗体症候群である。
- 診断の確定していない胃腸性器出血がある。
- 過敏性素因がある。
- 耳硬化症がある。
- 妊娠中に黄疸、持続性掻痒症または妊娠ヘルペスの既往歴がある。
◆40歳以上の人
◆喫煙者
◆家族に乳がんになった人がいる人
◆肥満度指数BMIが30以上の肥満の人
◆軽い高血圧の人
◆糖尿病や肝障害、心臓病や腎臓病の人
◆てんかんのある人などが挙げられます。
日本のガイドラインの中には、WHO世界保健機関の「投与してはいけない」に該当しないものもあります。
例えば子宮筋腫がある人は、日本では「服用してはいけない」となっていますが、WHO世界保健機関では「どのような場合でも使用可能」のカテゴリーに入っています。
実際、ピルを服用することで子宮筋腫が縮小したと言うケースも報告されています。
軽度の高血圧の人や、糖尿病の人、てんかんのある人なども、日本のガイドラインでは「慎重投与」ですがWHO世界保健機関では服用に問題ありません。
その他よくある質問
低用量ピルは、内診なしで処方してもらえる?
はい、ピルを処方する際には問診票を記入していただき、血圧と体重の測定を行います。
医師が安全と判断すれば、内診を行わずに処方することが可能です。
当院では内診は行っておりませんので、もし内診を希望であれば近くの産婦人科を受診してください。
太るリスクがあるときいたのですが?
ピルが直接的な原因となって体重が増加すると言う研究結果はありません。
むしろ、月経前症候群によって食欲が異常に増して太ってしまうと言う人などは帰ってピル服用後は食欲が正常に戻って痩せたというパターンもあります。
低用量ピルで月経移動はできますか?
低用量ピルを服用中の方は、生理の日を移動させることが可能です。
実薬を14錠以上服用することで、生理を早めることができます。
また、偽薬期間に入らずに新しいシートを生理が来てほしくない日まで続けて服用することで、生理を約1週間遅らせることも可能です。
具体的には、1相性ピル(ファボワールやマーベロン)の場合は新しいシートの1錠目から、3相性ピル(ラベルフィーユやトリキュラー)の場合は12錠目から服用を開始します。
通販サイトの海外製の低用量ピルは大丈夫?
通販サイトでの購入に関しては、「薬監証明」を本当に取得しているかどうか分からないため、注意が必要です。
違法に医薬品を販売しているリスクがあります。
さらに、通販で手に入る低用量ピル自体にも不安要素があります。
偽物が混入している可能性があるのです。
実際に報告されているトラブルの一例には、低用量ピルが破損していたというケースがあります。
これらの点から、通販での購入は慎重に考えるべきです。
ピルを内服している場合は、子宮がん検診を受けたほうがよいですか?
はい、受ける必要があります。
ピルを内服していると、わずかですが、子宮頚癌のリスクがあるため、ぜひ1年に1回はしてください。
月経困難症がある場合は、どんな検査が必要ですか?
卵巣嚢腫、子宮筋腫が隠れていることがありますので、年に1回は必ず産婦人科での超音波検査をおすすめします。
卵巣腫瘍、子宮筋腫などがあった場合に、手術が必要なケースもまれにあるため、治療方針を決めるうえでも大切です。
また年1回は副作用の確認のため、血液検査も重要です。
血液学的検査(赤血球、白血球、ヘモグロビン、ヘマトクリット、血小板)、血液生化学検査(GOT、GPT、コレステロール、中性脂肪など)を、1年に1回は行ってください。
診療費用について
<初診時(はじめて処方する場合)>
項目 | 費用 |
初診時診察料 | 3,000円 |
血液検査 | 7,000円 |
薬代(税込み) | ファボワール28日分:2,200円 |
合計 | ファボワール12,200円 |
※血液検査では、肝機能、腎機能、貧血、甲状腺機能を調べます
<2回目以降>
項目 | 費用 |
再診料 | 700円 |
薬代(税込み) | ファボワール28日分:2,200円 |
合計 | ファボワール2,900円 |
※一度に3ヶ月分まで処方は可能です。
以上が説明ですが、何か不明な点など気軽にご相談ください。下記からネット予約、あるいは電話でのお問い合わせもできます。
クリニック電話番号 0475-36-7011
お電話がつながりにくい方は、こちらの外来専用携帯電話におかけ直しください
070-2318-1966
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参考文献
1)日本産科婦人科学会 「OC・LEPガイドライン2020年度版」
2) 厚生労働省 「経口避妊薬(OC)の安全性についてのとりまとめ」
https://www.mhlw.go.jp/www1/houdou/1106/h0602-3_a_15.html
3)「低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤 ガイドライン(案) 」日本産婦人科学会編(2015)
https://www.jsog.or.jp/news/pdf/CQ30-31.pdf