「いびきがうるさい」と家族に言われるけれど、ただの体質だと思ってそのままにしていませんか。
「昨日、妻から『寝ている間に何度も呼吸が止まっていたよ』と言われた」
「本人には全く自覚がないけれど、病院へ行った方がいいのだろうか?」
このようなことで不安になり、この記事をご覧になっている方もいらっしゃると思います。
結論:家族やパートナーから「寝ている間に呼吸が止まっている」と指摘された場合は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の重要なサインです。
大きないびき、呼吸が再開するときに「ガッ」「ハッ」とあえぐような呼吸、日中の強い眠気、朝の頭痛やだるさなどもみられる場合は、一度医療機関に相談し、睡眠時無呼吸症候群の検査が必要か確認することをおすすめします。
睡眠時無呼吸症候群は寝ている間に起こるため、ご本人には自覚しにくく、家族やパートナーからの指摘が発見のきっかけになることが少なくありません。
いびきがひどいのは病気?睡眠時無呼吸症候群の見分け方と検査の流れ

皆さん、こんにちは。医療法人社団 緑晴会 あまが台ファミリークリニック院長の細田俊樹です。
私は総合診療の専門医として医師歴25年、日本睡眠学会に所属し、年間延べ1,800名以上の睡眠時無呼吸症候群やいびきで悩む患者さんを診療しています。
外来では、「本人はまったく気づいていなかったけれど、家族から寝ている間に呼吸が止まっていると言われた」ということをきっかけに受診される方も少なくありません。
睡眠中の無呼吸はご本人では気づきにくいため、ご家族やパートナーからの指摘はとても重要な手がかりになります。
病院へ行く前に家族・パートナーに確認してもらいたい7つのこと
「寝ている間に呼吸が止まっている」と言われた場合、受診前にご家族やパートナーに睡眠中の様子を少し確認してもらうと、診察の参考になります。
ただし、呼吸が止まっている時間や回数を正確に測る必要はありません。「どのような様子だったか」を覚えておくだけでも十分です。
1.寝ている間に呼吸が止まっているように見えるか
まず確認してほしいのは、いびきだけではなく、睡眠中に呼吸が止まっているように見える時間があるかどうかです。
睡眠時無呼吸症候群では、眠っている間に呼吸が繰り返し止まる、あるいは弱くなることがあります。(※1)(※2)
2.いびきが途中で急に止まることがあるか
「大きないびきをかいていたのに、突然静かになった」という場合、その間に呼吸が止まっている可能性があります。
その後、再び大きないびきとともに呼吸が始まることもあります。(※1)
3.呼吸が再開するときに「ガッ」「ハッ」と苦しそうに息をしていないか
無呼吸のあとに、あえぐように大きく息を吸ったり、突然大きないびきをかいて呼吸が再開したりすることがあります。
ご家族から見ると「苦しそうに息をしている」と感じることもあります。(※1)(※2)
4.一晩の中で同じことを何度も繰り返していないか
1回だけではなく、「呼吸が止まる → 大きく呼吸する → またいびきをかく」という様子を何度も繰り返している場合は、睡眠時無呼吸症候群を疑う重要な情報になります。
正確な回数を数える必要はありません。「一晩に何度も見た」という程度でも、診察時に教えてください。
5.仰向けで寝ているときに、いびきや呼吸停止が目立たないか
睡眠時無呼吸症候群では、寝る姿勢によって無呼吸やいびきの程度が変化することがあります。
「仰向けのときに特にひどい」「横向きになると少し静かになる」といった情報も診察時の参考になります。
6.何度も目を覚ます、寝汗が多いなど、眠りが落ち着かない様子がないか
睡眠中に何度も目を覚ましたり、寝汗が目立ったりする場合があります。
ご本人は目を覚ましたことを覚えていない場合もあるため、ご家族から見た睡眠中の様子が参考になることがあります。
7.可能であれば睡眠中の様子をスマートフォンで記録しておく
ご本人の許可を得たうえで、いびきや呼吸が止まっているように見える場面を短時間、動画や音声で記録しておくと、診察時に睡眠中の様子を伝えやすくなることがあります。
ただし、スマートフォンの動画や録音だけで睡眠時無呼吸症候群を診断することはできません。診断には、症状や診察に加えて、必要に応じて睡眠中の呼吸状態を調べる検査を行います。(※5)
1~6のうち、1つ以上該当することがあれば、睡眠時無呼吸症候群の可能性も考慮されますので、注意が必要です。
本人にもこんな症状がないか確認してみてください
ご家族から見た睡眠中の様子だけでなく、ご本人にも次のような症状がないか振り返ってみてください。
- 家族やパートナーから、いびきが大きいと言われる
- 寝ている間に呼吸が止まっていると指摘されたことがある
- 朝起きたときに頭痛や頭の重さがある
- 日中の眠気が強く、会議中や運転中につらいことがある
- しっかり寝たはずなのに疲れが取れない

いびきがあっても、すべてが病気とは限りません
まず大切なのは、いびきがあるからといって、全員がすぐに睡眠時無呼吸症候群だと決まるわけではないという点です。
風邪や鼻づまり、飲酒後、体重増加、仰向けで寝る習慣などによっても、いびきが一時的に強くなることがあります。
ただし、「睡眠中に呼吸が止まる」「日中の眠気が強い」「朝の頭痛がある」といった症状が加わる場合は、単なるいびきではなく睡眠時無呼吸症候群を疑う必要があります。(※1)
どんな場合に医療機関へ相談した方がよい?
「では、どこからが受診した方がよい状態なのでしょうか?」という疑問を持つ方も多いと思います。
次のような場合は、一度医療機関へ相談し、検査が必要か確認することをおすすめします。
- 家族やパートナーから、睡眠中に呼吸が止まっていると繰り返し指摘される
- 大きないびきと呼吸停止を繰り返している
- 十分寝ているはずなのに、日中の眠気が強い
- 朝起きたときに頭痛や強いだるさがある
- 運転中や仕事中に眠くなり、生活に支障が出ている
- 高血圧、糖尿病、肥満などがあり、睡眠時無呼吸症候群が疑われている
特に、「寝ている間に何度も呼吸が止まっている」と家族から言われた場合は、自覚症状がほとんどなくても、一度相談してみることをおすすめします。
夜と昼、両方のサインを合わせて考えることが大切です
睡眠時無呼吸症候群では、睡眠中だけでなく、起床後や日中にもサインが現れることがあります。
夜には、大きないびき、いびきが途中で止まったあとに「ガッ」と息を吸う、睡眠中の呼吸停止、夜中に何度も目が覚めるといった症状がみられることがあります。(※1)

一方、昼間には、朝の頭痛、起きても疲れが取れない、日中の強い眠気、集中力低下、運転中の眠気などがみられることがあります。
呼吸が止まるたびに睡眠が分断されるため、本人は長く寝たつもりでも睡眠の質が悪くなり、昼間の眠気や集中力低下、疲労感につながります。(※2)

「いびきだけなら様子見でいいのでは?」という疑問について

「いびきだけなら、しばらく様子を見てもいいのでは?」
そう思うお気持ちはよくわかります。
実際、いびきだけで受診するのは大げさではないか、と感じる方はとても多いです。
ただ、睡眠時無呼吸症候群は自分では気づきにくい病気です。
呼吸が止まっている場面は眠っている間に起こるため、本人より先に家族が気づくことが少なくありません。
いびきが強く、しかも睡眠中の呼吸停止や日中の眠気、朝の不調などがある場合は、一度は検査の必要性を確認した方がよいでしょう。(※2)
睡眠時無呼吸症候群を放置すると何が問題なのか
睡眠時無呼吸症候群を放置すると、単に「眠い」「いびきがうるさい」という問題だけでは済まないことがあります。
睡眠時無呼吸は高血圧と関連し、特に治療抵抗性高血圧や夜間・早朝高血圧では合併に注意が必要です。
また、高血圧、脳卒中、冠動脈疾患などの心血管系疾患との関連も指摘されています。(※3)
さらに、強い眠気は運転や仕事の安全にも関わります。睡眠時無呼吸のある人では交通事故リスクが上昇するとする報告もあり、日中の眠気を軽く考えないことが重要です。(※4)

こんな方は、早めの相談をおすすめします
- いびきが大きく、家族から呼吸停止を指摘されている方
- 日中の眠気が強く、仕事や運転に不安がある方
- 高血圧、糖尿病、肥満がある方
- 朝の頭痛や起床時のだるさが続いている方
- CPAPやマウスピースが必要か知りたい方
睡眠時無呼吸症候群の検査の流れは思っているよりシンプルです
「検査」と聞くと、
- 入院しなければいけないのでは?
- 痛い検査なのでは?
- 仕事を休まなければならないのでは?
と不安になる方もいます。
しかし、睡眠時無呼吸症候群の評価では、自宅で行う簡易検査が使われることが多く、症状や背景、検査結果に応じて精密検査へ進む流れが一般的です。(※5)
一般的な検査の流れ
STEP1 外来で症状を確認
いびき、日中の眠気、血圧、体重、ご家族からの指摘内容などを確認します。
STEP2 自宅で簡易検査
必要と判断した場合、ご自宅でできる簡易検査をご案内します。
STEP3 結果説明
後日、検査結果をわかりやすくご説明します。
STEP4 必要に応じて精密検査・治療へ
必要に応じて、精密検査、CPAP、マウスピース治療などにつなげていきます。

当院でも、自宅でできる簡易検査から始めることが可能です。
まずは大がかりな入院検査ではなく、自宅で確認できるところから進められるため、仕事や家事で忙しい方にも受けていただきやすい検査です。
「自宅検査だけで本当にわかるの?」という不安について

「自宅検査だけで、睡眠時無呼吸症候群か本当にわかるのですか?」
この疑問もとても自然です。
せっかく検査するなら、きちんと調べてほしいと思いますよね。
実際には、自宅での簡易検査は有用な検査ですが、すべての方に万能というわけではありません。
症状が強いのに結果がはっきりしない場合や、ほかの睡眠障害、心不全、呼吸器疾患なども含めて詳しく評価する必要がある場合には、より精密な検査が必要になることがあります。(※5)
だからこそ、「簡易検査で十分か」「次の検査が必要か」を、検査結果と症状をあわせて判断することが大切です。
睡眠時無呼吸症候群の治療はCPAPだけではありません
検査で睡眠時無呼吸症候群と診断された場合、治療法は一つではありません。
重症度などによってCPAPが選択されることがあり、軽症から中等症の一部では口腔内装置、いわゆるマウスピース治療が提案されることがあります。
また、肥満を伴う方では減量も重要な治療の一つです。(※3)
CPAP治療とは?
CPAPは、寝ている間に空気の圧をかけ、気道がつぶれにくい状態を保つ治療です。
閉塞性睡眠時無呼吸に対する代表的な治療法の一つで、適応となる方では日中の眠気などの症状改善が期待されます。(※3)
「治療を始めるか迷う」という方も多いですが、症状や検査結果に応じて適した治療法を選ぶためにも、まず現在の状態を把握することが大切です。

まとめ|「寝ている間に呼吸が止まっている」と言われたら、一度確認してみましょう
いびきはよくある症状ですが、その中には治療が必要な睡眠時無呼吸症候群が隠れていることがあります。
特に、家族やパートナーから「寝ている間に呼吸が止まっている」と言われたことがある方は、それ自体が大切な手がかりです。
受診前には、
- 呼吸停止が繰り返されているか
- いびきが途中で止まるか
- 呼吸再開時に苦しそうな呼吸があるか
- 仰向けで悪化していないか
- 日中の眠気や朝の頭痛がないか
などを、ご本人とご家族の両方から確認しておくと診察の参考になります。
そして検査は必ずしも大がかりなものではありません。自宅でできる簡易検査から始め、必要に応じて精密検査やCPAP、マウスピースなどの治療へ進みます。(※5)

「ただのいびきかもしれない」「本人は困っていないし、病院へ行くほどではないかもしれない」と思っている段階でも、呼吸停止を指摘されている場合には、一度検査が必要か確認してみる価値があります。
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いびき・無呼吸を指摘された方へ
「病院に行くほどか分からない」という段階でもご相談いただけます。
当院では、睡眠時無呼吸症候群について、自宅で行える検査から治療まで対応しています。症状・検査・費用・受診方法については、睡眠時無呼吸症候群の専用ページをご確認ください。
オンライン初診でご相談いただくことも可能です。検査結果などからCPAP治療が必要となった場合には、治療開始前に直接ご来院いただく場合があります。詳しい受診方法は専用ページでご確認ください。
参考文献
- (※1)Mayo Clinic. Obstructive sleep apnea – Symptoms and causes.
- (※2)National Heart, Lung, and Blood Institute. What Is Sleep Apnea?
- (※3)日本呼吸器学会. 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020.
- (※4)Tregear S, et al. Obstructive Sleep Apnea and Risk of Motor Vehicle Crash. J Clin Sleep Med. 2009.
- (※5)Kapur VK, et al. Clinical Practice Guideline for Diagnostic Testing for Adult Obstructive Sleep Apnea. J Clin Sleep Med. 2017.




