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尿管結石が疑われる患者さんへ
尿管結石は男性の11人に1人、女性の26人に1人が一生の間に1度は尿管結石に罹患すると言われており、決して珍しい病気ではありません。
尿管結石の患者さんのうち、2%から3%の方が、腎臓を介して、体中にバイ菌が回って命を落とすことがあり注意が必要です。(この状態を「敗血症」といいます)
どうやって診断するのか?
尿管結石を疑う事はそれほど難しくありません。
腹痛があって、それが片方の「脇腹から背中の痛み」であれば疑い、「突然発症」した場合はより尿管結石を疑います。
尿管結石は再発しやすいですか?自然に治る確率は?
尿管結石は再発率が高いのですが、そこに関係してくるのが結石の位置と大きさです。
4ミリ以下の結石は、1週間から2週間のうち80%が自然に排石されます。5~8ミリ位の結石でも自然排石が期待できます。
しかし10ミリ以上の場合は自然排石が期待できず、体外衝撃波結石破砕術(ESWL)などの専門的が処置が必要になることがありますので、早めに泌尿器科に紹介させていただいています。
大きさ | 自然排石率 |
1mm | 87% |
2~4mm | 76% |
5~7mm | 60% |
8mm以上 | 39% |
痛みが強いときの治療は?
とても痛みが強いときは、痛み止めの座薬が効果があります。
ただし、以下のような場合は注意が必要です。
高齢者、体中に菌がまわって危険な状態(敗血症)の時、腎臓の機能が悪い時、脱水状態の時、繰り返し鎮痛薬を使用している場合などです。
注意が必要な合併症は?
尿管に石が詰まってしまい、尿の流れが滞り、腎臓にばい菌が入って炎症起こした場合に、敗血症と言って命に関わる危険な状態を起こすことがあります。
ですので、腎臓が腫れていないか?熱が出ていないかどうかも確認が必要です。
泌尿器科を受診するときはどんなとき??
一般的には体中に菌が回っていて危険な状態の時、痛みのコントロールが困難な時、結石の大きさが5ミリ以上、4週間経過しても排石されない時、自然排斥が望めない場合などが挙げられます。
尿管結石予防のための食事はどうしたらいいか?
一般的に尿管結石は再発率が高いため予防が大切です。
一般的な方法としては下記が挙げられます。
水分を多めにとる。1日2リットル以上は摂取する必要があります。心臓や腎臓が悪い方はあらかじめ摂取量を医師に相談してください。
塩分の多い食事は尿中のカルシュームが増えるため良くないと言われています。
肉や魚などの動物性タンパク質には、結石の成分である「シュウ酸」が多く含まれるため過剰摂取には注意が必要です。
ただし乳製品は一般的に問題ないと言われています。
カルシウムは制限しなくて大丈夫です。
また、青魚に含まれるエイコサペンタエン酸は尿管結石の予防に有効ですので、ぜひ毎日の食事に取り入れてください。