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肥満治療薬をやめた後に体重が戻りやすい理由|医師が出口戦略を解説|千葉市、茂原市からも通院可能

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こんな不安はありませんか?

肥満治療に興味がある方からは、次のようなご相談をよく受けます。

  • 薬で痩せても、結局また戻ってしまうのではないか
  • ずっと薬を続けないといけないのか
  • やめるタイミングはどう考えればいいのか
結論
肥満治療薬をやめた後に体重が戻りやすいのは、珍しいことではありません。

実際に、セマグルチド中止後の試験では、治療中に減った体重のかなりの部分が1年のオフ治療期間で再増加し、チルゼパチドでも中止群で有意な体重再増加がみられました。

これは「その人の意志が弱いから」ではなく、肥満が慢性疾患であり、食欲や代謝、生活習慣のバランスが再び元に戻りやすいためです(※1)(※2)(※3)。

今回は、肥満治療薬をやめた後に体重が戻りやすい理由と、リバウンドを防ぐために大切な出口戦略について、わかりやすく解説します。

皆さん、こんにちは。あまが台ファミリークリニック院長の細田です。

★院長診察 シュライバー5

私は医師歴25年の家庭医療専門医で、日本肥満学会所属の医師として、月間50人の肥満治療を診療しています。

日々の外来では、「痩せること」そのもの以上に、「痩せた後にどう維持するか」がとても重要だと感じています。

肥満治療は、薬を始めることだけが大切なのではありません。むしろ、どのように続け、どのように減量後を支えるかまで設計しておくことが、満足度の高い治療につながります。

当院では、国家資格を持つ管理栄養士が5名在籍し、食事の悩みや疑問について相談できる体制を整えています。

結論|肥満治療薬をやめた後に体重が戻りやすいは、薬の効果がなくなるだけでなく、肥満そのものが慢性的に戻りやすい病態だからです

先に結論をお伝えすると、肥満治療薬をやめた後に体重が戻りやすい主な理由は、薬で抑えられていた食欲や摂取量のコントロールが外れやすくなること、そして肥満がそもそも長期的な管理を必要とする慢性疾患だからです(※1)(※2)(※3)。

GLP-1受容体作動薬やGIP/GLP-1受容体作動薬は、食欲低下、満腹感の増加、摂取カロリーの低下などを通じて体重減少を助けます。

しかし中止すれば、その作用は当然弱くなります。
さらに、治療中に作れた新しい生活習慣が十分に定着していないと、食事量や間食、活動量が元に戻りやすくなります。

薬で痩せたのなら、そのまま維持できるのでは?

と感じる方も多いと思います。
そのお気持ちはよくわかります。

ただ、現実には、体重を落とした後の身体は以前より空腹を感じやすくなったり、元の体重に戻ろうとする方向に働いたりするため、何も対策しなければ維持は簡単ではありません。

だからこそ、肥満治療は最初から出口戦略まで含めて考えることが重要なのです。

なぜ肥満治療薬をやめると体重が戻りやすいのか

1.食欲を抑える作用が弱くなり、食事量が戻りやすいからです

肥満治療薬の中でも、チルゼパチド(マンジャロ、ゼップバウンド)やセマグルチド(ウゴービ、オゼンピック、リベルサス)などは、食欲を抑えたり、満腹感を得やすくしたりすることで減量を助けます。

中止すると、その補助がなくなるため、以前より食事量が増えたり、間食が増えたりしやすくなります(※1)(※2)。

これは「気が緩んだから」ではありません。
薬の助けを借りていた食欲コントロールの部分が、薬をやめることで再び難しくなるからです。

薬をやめても、食事に気をつければ大丈夫では?

と思う方もいるでしょう。

もちろん、生活習慣がしっかり定着していれば維持しやすくなります。

ただ、外来では、仕事の忙しさ、ストレス、会食、家族の食習慣など、本人の努力だけでは調整しにくい要因がたくさんあります。
だからこそ、薬をやめる前に、どこまで生活面が整っているかを確認する必要があります。

2.体重が減った後の体は、元に戻ろうとしやすいからです

減量後は、体の防御反応として、空腹感が強まりやすくなったり、消費エネルギーが下がりやすくなったりすることがあります。

こうした背景があるため、減量後の維持は、最初に体重を落とすこととは別の難しさがあります。

このため、肥満治療では「何kg落ちたか」だけでなく、「その後どう維持するか」が非常に重要です。

セマグルチド(ウゴービ、オゼンピック)中止後の延長試験では、治療中に減った体重の約3分の2が1年で再増加し、心代謝指標の改善も一部後退しました(※1)。

チルゼパチドのSURMOUNT-4試験でも、継続群はさらに減量が進んだ一方で、中止群は体重再増加を示しました(※2)。

そんなに戻るなら、薬は意味がないのでは‥

と感じる方もいるかもしれません。

しかし、それは違います。
薬で体重が減ったこと自体には意味がありますし、合併症の改善にもつながります。

問題は、痩せた後をどう支えるかであって、薬が無意味なのではありません。
むしろ、維持の難しさを最初から理解して始める方が、治療の満足度は上がります。

3.生活習慣の再設計が不十分だと、薬をやめた後に支えがなくなるからです

肥満治療薬は強力な補助になりますが、薬だけで長期維持が完成するわけではありません。
食事、運動、睡眠、ストレス対策、通院フォローなどが整っていないと、中止後に体重が戻りやすくなります(※3)。

たとえば、

  • 朝食を抜いて夜に食べ過ぎる
  • 忙しくて活動量が極端に少ない
  • 睡眠不足で甘いものに手が伸びやすい
  • 体重が増え始めても早めに修正しない

こうした状態が続くと、薬をやめた後のリバウンドリスクは高くなります。

生活習慣まで全部完璧にするのは無理です!

と思う方も多いと思います。

その通りです。完璧である必要はありません。ただ、少なくとも、薬がなくても続けられる現実的な行動をいくつか持っておくことは大切です。

特に食事は、体重維持に大きく関わる一方で、自己流では続けにくい部分でもあります。

「何をどのくらい食べればよいのか」
「外食や間食はどう考えればよいのか」

と迷う方は少なくありません。

当院では、国家資格を持つ管理栄養士が5名在籍しており、食事の悩みや疑問について相談できる体制を整えています。
医師だけでなく、食事の実践方法まで一緒に考えられることは、減量後の体重維持やリバウンド予防の面でも大きな支えになります。

管理栄養士

リバウンドしづらいダイエット

当院の肥満治療外来についての詳細はこちら

体重が戻りやすい人の特徴

肥満治療薬をやめた後に体重が戻りやすい方には、次のような傾向があります。

  • 短期間で急いで痩せることだけを目的にしている
  • 痩せた後の維持方法を考えずに治療を始めている
  • 食事や活動量の見直しが薬任せになっている
  • 体重が少し戻った時点で修正せず、様子を見続ける
  • 受診間隔が空き、フォローが途切れてしまう

ここで大切なのは、こうした方を責めることではありません。

肥満は慢性疾患であり、治療をやめたら再燃しやすいのは自然なことだからです。

実際、肥満治療薬は長期治療を前提に位置づけられており、生活習慣改善と組み合わせて管理することが推奨されています(※3)。

あわせて読みたい

自己流ダイエットでリバウンドを繰り返してしまう方には、生活パターンや考え方に共通点がみられることがあります。こちらの記事も参考になります。

肥満治療はやめ方が大切|リバウンドを防ぐ出口戦略を医師が解説

リバウンドを防ぐために大切な出口戦略

1.最初から「いつやめるか」ではなく「どう維持するか」を考える

肥満治療薬を始める前から、最終的にどう維持するかを考えておくことが大切です。
体重が落ちたらすぐ終了ではなく、その後に維持期をどう過ごすかまで含めて治療です。

「ずっと使うのは不安です」という声はよくあります。
その不安はもっともです。

ただ、使うかやめるかを二択で考えるより、減量期、維持期、減量薬の調整期というように段階的に考える方が現実的です。

2.中止は急に行わず、状態をみながら調整する

体重が安定していない段階で急に中止すると、食欲や行動が一気に戻りやすくなります。

そのため、診療では、体重、食事内容、活動量、生活背景を確認しながら、減量薬の使い方を慎重に見直していくことが重要です。

すべての方に同じやめ方が合うわけではありません。
だからこそ、医療機関で状態を見ながら調整していく価値があります。

3.体重が戻り始めたときに、早めに立て直す

リバウンドは、5kg増えてから対処するより、1〜2kgの変化の段階で修正した方が立て直しやすいです。

具体的には、

  • 体重測定の頻度を決めておく
  • 食事記録や写真で食習慣を見直す
  • 歩数や筋トレなど、最低限続ける行動を決める
  • 受診の間隔を空けすぎない

こうした小さな仕組みが、長期維持には有効です。

4.薬だけでなく、食事・運動・睡眠をセットで整える

肥満治療薬は有効ですが、薬単独で完結する治療ではありません。
長期的には、食事、身体活動、睡眠、ストレス対策を含めた包括的な支えが必要です(※3)。

たとえば、食後に10〜15分歩く、車移動の一部を歩きに変える、週に2〜3回短時間でも筋トレを取り入れるといった行動は、完璧ではなくても継続しやすい方法です。

こんな方は一度ご相談ください

  • 肥満治療薬を始めたいが、やめた後が不安
  • 過去にダイエットで何度もリバウンドした
  • 今使っている薬をいつまで続けるべきか迷っている
  • 体重だけでなく、血糖値や脂肪肝、高血圧も気になる
  • 自己流では体重維持が難しいと感じている

肥満治療は、単に痩せるためだけのものではありません。将来の糖尿病や高血圧、脂肪肝などのリスクを見据えて、健康を保ちやすい状態をつくる治療でもあります。

まとめ

肥満治療薬をやめた後に体重が戻りやすいのは、薬で抑えられていた食欲や行動のコントロールが外れやすくなること、そして肥満自体が慢性的に再燃しやすい病態だからです(※1)(※2)(※3)。

だからこそ大切なのは、

  • 痩せることだけを目標にしない
  • 痩せた後の維持まで見据える
  • 急にやめずに状態を見ながら調整する
  • 食事、運動、睡眠を含めて支える
  • 必要なときに早めに立て直す

この視点を持つことです。

「薬をやめた後が不安」「体重を落とした後の食事管理に自信がない」という方も、ご安心ください。

当院では、医師による診療だけでなく、国家資格を持つ管理栄養士5名が食事の悩みや疑問について相談できる体制を整えています。薬だけに頼るのではなく、続けやすい食事や生活の工夫まで一緒に考えたい方は、一度ご相談ください。

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参考文献

(※1)Wilding JPH, et al. Weight regain and cardiometabolic effects after withdrawal of semaglutide: The STEP 1 trial extension. Diabetes Obesity and Metabolism. 2022. セマグルチド中止後、治療中に減少した体重のかなりの部分が1年で再増加し、心代謝指標も一部後退したことが報告されています。

(※2)Aronne LJ, et al. Continued Treatment With Tirzepatide for Maintenance of Weight Reduction in Adults With Obesity. JAMA. 2024. SURMOUNT-4試験では、チルゼパチド継続群で減量維持・追加減量がみられた一方、中止群では体重再増加がみられました。

(※3)Tchang BG, et al. Pharmacologic Treatment of Overweight and Obesity in Adults. Endotext. 2024. FDA承認の抗肥満薬は長期治療薬として位置づけられ、生活習慣改善と組み合わせて管理する考え方が示されています。

この記事の監修者
細田 俊樹
  • 医療法人社団緑晴会 あまが台ファミリークリニック 理事長
  • 日本プライマリ・ケア連合学会 家庭医療専門医
  • 日本糖尿病学会正会員、日本睡眠学会所属、日本肥満学会所属

年間15,000人以上の患者さんを診察している総合診療専門医。
総合診療という専門分野を生かし、内科、皮膚科、小児科、生活習慣病まで様々な病気や疾患に対応している。
YouTubeでよくある病気や患者さんの疑問に対して解説している

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