目次
- タンパク質で痩せる・疲れない・健康になる方法7選
- タンパク質を摂ることの重要性
- 体内の成分
- 生きるために使用するエネルギー
- タンパク質の摂取量
- タンパク質の摂取量が減少している原因は?
- タンパク質の作られ方
- アミノ酸の特徴
- コラーゲンのサプリに効果はあるのか?
- タンパク質が不足した時に出る症状❶糖尿病
- ホエイプロテインの研究データ
- なぜタンパク質を摂取すると体重が減るのか?
- タンパク質が不足した時に出る症状❷サルコペニア
- 要支援・要介護の原因
- サルコペニアの簡易セルフチェックテスト
- サルコペニアを予防・改善するためには?
- 室内でできるトレーニング・かかとの上げ下げ
- タンパク質が不足した時に出る症状❸貧血
- タンパク質が不足した時に出る症状❹肌荒れ
- タンパク質が不足した時に出る症状❺薄毛
- タンパク質が不足した時に出る症状❻爪が脆くなる
- タンパク質が不足した時に出る症状❼免疫力の低下
- タンパク質が不足した時に出る症状❽メンタルへの影響
- タンパク質が足りないと太りやすい理由
- 摂取カロリーと消費カロリー
- 消費カロリーとは
- タンパク質の効率の良い摂り方❶3食にわける
- タンパク質の効率の良い摂り方❷動物性と植物性両方のタンパク質を摂る
- タンパク質の効率の良い摂り方❸糖質と脂質もバランスよく摂る
- タンパク質の効率の良い摂り方❹効果を高める他の栄養素も一緒に摂る
- タンパク質の効果を高める栄養❶ビタミンB群、ビタミンB6
- タンパク質の効果を高める栄養❷ビタミンD
- タンパク質の効果を高める栄養❸亜鉛
- タンパク質の効率の良い摂り方❺果物でビタミンB6を摂る
- タンパク質の効率の良い摂り方❻間食に低糖質・低カロリーのものを選ぶ
- タンパク質の効率の良い摂り方❼プロテインを活用する
- ホエイプロテイン(動物性のプロテイン)
- ソイプロテイン(植物性のプロテイン)
- 動画
- 関連ブログ
- 当院のご案内
タンパク質で痩せる・疲れない・健康になる方法7選
皆さんこんにちは。
あまが台ファミリークリニック院長の細田です。
今回のテーマは「タンパク質で痩せる・疲れない・健康になる方法7選」です。
特に以下の条件に当てはまる方、今回の内容は必見です。
- ダイエットしても元に戻ってしまう
- 体重は普通だけど太ってみえる
- 最近頭の毛が薄くなってきた気がする
- 冷え性で足がむくみやすい
- なかなか疲れが取れない
当院では管理栄養士さんも含めたチーム医療で患者さんにヒアリングをしています。
その中で、なかなか疲れが取れないという方に対し、食事を中心にしてさまざまな角度から診察をしていくと、タンパク質が足りないという方がいます。
ただ食生活を改善して1~3ヶ月程度で
- 体のダルさがよくなった
- 寝つきがよくなった
- 肌にハリが出てきた
こういったフィードバックをいただくこともめずらしくありません。
タンパク質は体にとって本当に重要な栄養素です。タンパク質の大切さ、摂り方について一緒に学んでいきましょう。
タンパク質を摂ることの重要性
体内の成分
私たちの体は主に水分・タンパク質・脂肪・ミネラルの4つの成分と、ごく少量の糖質からできています。
これらが組み合わさって、骨、筋肉、お腹周りについている脂肪や組織を作っているのですが、この主要成分のうち最も重いのは水分です。
体内の水分は、成人の体重の60%をしめています。
そして、水分をのぞいた時の体重の43%がタンパク質でできています。
体重60kgの人ならだいたい10kg程度がタンパク質でできているということになります。タンパク質がいかに体にとって重要かということがわかりますね。
その他タンパク質でできているのは
- 筋肉
- 皮膚
- 髪
- 血管の壁
- 内臓
- 角膜
- ヘモグロビン(血色素)
など、多岐にわたります。
生きるために使用するエネルギー
私たちが生きるために使用するエネルギーは、以下の3つです。
- 糖質
- 脂質
- タンパク質
この3つの中で、吸収されてから最も速くエネルギーに変わるのは糖質です。
他にも体の調節機能・構造性維持のために働くホルモンや、ウイルスや細菌などと戦うための抗体もタンパク質でできています。
私たちの体内には、10万種類以上のタンパク質が存在し、私たちが日々活動するために頑張ってくれています。
タンパク質の摂取量
私たち日本人がどれほどタンパク質を摂ることができていないのか、厚生労働省の調査によるわかりやすいデータがあります。
こちらは日本人の1日あたりのタンパク質摂取量の平均値です。
2019年は71.4g。1950~1960年の時と同じくらいのレベルです。
その後、高度経済成長と相関して1995年にピークをむかえ、おおむね1日あたり80g前後にまで回復しますが、そこから急降下し、現在は1970年より前のレベルまで低下してしまっているのです。
このグラフは子供から高齢者までを含む1日のタンパク質摂取量の平均値です。2010年頃からやや回復傾向にはありますが、全般的には十分摂取できていません。
タンパク質の摂取量が減少している原因は?
摂取量が減っている原因はハッキリとはわかっていませんが、
- 若い方を中心に痩せ願望が強い
- 朝食抜き
- 昼食サラダのみ
- 粗食
- お肉を避けている
こういったことが要因の一つではないかと考えられます。
タンパク質の作られ方
私たちが摂取した食べ物はまず胃でペプシンという酵素(タンパク質)で分解され、ある程度の大きさ(ペプチド)に分解されます。
ペプチドというタンパク質はトリプシンによって分解され、腸で吸収される前にペプチターゼという酵素でアミノ酸という最小単位に分解されます。
アミノ酸は肝臓に送られてから血液によって全身に運ばれ、細胞の中で爪や髪、ホルモン、酵素になります。
アミノ酸の特徴
- 自然界の動植物に含まれる
- 約80種類ある
- タンパク質のアミノ酸は20種類しかない
この20種類のアミノ酸は一定のルールに沿って体の各部位の細胞内でビーズ細工のようにいろいろな形になって繋がり、ペプチドやタンパク質の形になっていきます。
タンパク質が50個未満のものをペプチドと言います。
コラーゲンのサプリに効果はあるのか?
口から入ったタンパク質はそのまま使えるわけではなく、腸でアミノ酸に分解された後、体内に吸収されて再びタンパク質になります。
お肌の状態を良くするためにコラーゲンのサプリを飲む方がいらっしゃると思いますが、コラーゲンは結局分解されて吸収されてしまうため、コラーゲンを摂る=お肌がプルプルになるということではありません。
タンパク質が不足した時に出る症状❶糖尿病
筋肉の約80%はタンパク質でできているため、長い期間タンパク質が不足した生活を送っていると、筋肉が減ってしまいます。
私たちは歩いている時も座っている時も筋肉の力を必要とします。そして常に筋肉はカロリーを消費しています。
筋肉が減ると私たちは食べても消費することができません。そのため、食べ物が脂肪になって体に蓄えられたり、余った糖が血液中に漂い、結果糖尿病になってしまうことがあります。
たとえば、以下のような食生活を送っている方はいませんか?
朝:パン、コーヒー
昼:ラーメン
夜:サラダ、カレー
一見普通の食事のように見えるかもしれませんが、糖質や油がとても多く、血糖値が急上昇してしまいます。
ホエイプロテインの研究データ
こちらの文献は、ホエイプロテインという動物性のタンパク質を粉末状にしたものを加えることで、体重や脂肪の量がどう変わったかという研究のシステマティックレビューとメタアナリストです。
この研究によると体重は大幅に減少し、脂肪量や除脂肪体重も減ったという結果でした。
なぜタンパク質を摂取すると体重が減るのか?
1.タンパク質が足りないと、甘いものを摂りたくなってしまうため
2.タンパク質をしっかり摂ることで食欲を抑制する効果がある(という報告がある)
タンパク質が不足した時に出る症状❷サルコペニア
加齢とともに筋肉量や質が低下していく現象のこと。
語源はギリシャ語で、サルコが筋肉、ケニアが消失という意味で、言葉を組み合わせた造語。
たとえば以下のような症状がある方は、サルコペニアの可能性があります。
- 最近よくつまずきやすい
- 瓶のフタが開けづらい
- ちょっと歩くだけでも息切れしてしまう
- 歩くスピードが遅く、青信号のうちに横断歩道を渡れない
サルコペニアは高齢者に多く、75~79歳の男女の2割がサルコペニアの状態だと言われています。
このブログを見ている20~60代ぐらいの男女の方で
- 自分には関係ない
- もっと歳をとってからなるものでは?
と思っている方がいたら危険です。
確かに老化現象の1つとも捉えられますが、実はサルコペニアは20~30代から既にはじまっていると言われていて、生涯に渡って進行し続けていくものです。
年齢を重ねると運動量が減少していく傾向があります。加齢と共に成長ホルモンが減少し、タンパク質が不足している方は筋肉が作られる量よりも分解される量の方が増えてしまうためです。
要支援・要介護の原因
他の方のサポートが必要になってきた方、特に要支援要介護4、5はほぼ寝たきりに近い状態です。
- 原因第1位:運動器の障害…24.8%
- 原因第2位:認知症…17.6%
- 原因第3位:脳血管疾患…16.1%
- 原因第4位:高齢による虚弱…12.8%
- 原因第5位:その他…28.7%
第1位の運動器の障害とは何かと言いますと、骨、軟骨、靭帯、筋肉などの体の部分に障害が起きると、動作が鈍くなったり、引きこもりがちになってしまいます。
すると悪い循環が起きて、筋肉がさらに衰え、虚弱状態から要支援・要介護状態になってしまいます。
サルコペニアの簡易セルフチェックテスト
- 椅子に軽く腰掛ける
- 両手の親指と人差し指で輪を作るようにふくらはぎを囲む
- 指が重なるかどうかを確認
この時指が重なってしまう方はサルコペニアの危険度が高く、逆に指が届かない場合はサルコペニアの危険度が低いと言われています。
サルコペニアを予防・改善するためには?
- 食事でタンパク質を摂ること
- 早歩きをすること
早歩きは、具体的には隣の人とやっとお話できるくらいのスピードで歩くと効果的に筋肉量を増やすことが期待できます。
外をなかなか歩けないという方は室内でできるトレーニングもあります。オススメはかかとの上げ下げです。
室内でできるトレーニング・かかとの上げ下げ
- 椅子の背もたれや机などに両手を添える
- 背伸びの要領でかかとをゆっくり上げる
- かかとをゆっくり下げ、床につけずにストップ
- またかかとを上げる
こちらの繰り返しになります。
他にも
- スクワット
- 太ももを上げる運動
- 階段の上下
- 坂道を上がる
などの運動もオススメです。
「サルコペニア 予防 運動」とネットで検索してみてはいかがでしょうか。
もともと膝や腰が痛む方は無理をせず、主治医の先生にアドバイスを受けながら、ご自身ができる範囲で運動をしてみましょう。
タンパク質が不足した時に出る症状❸貧血
タンパク質の摂取が不足すると血液の中のヘモグロビン(タンパク質)も減ってしまいます。
ヘモグロビンは赤血球の中にあり、肺から吸った酸素を体の隅々まで届ける働きをしていますから、ヘモグロビン(タンパク質)が不足すると
- 朝起きづらい
- 階段を登るとすぐに息切れ
- 体がだるい
といった症状があらわれます。
また生理中の女性の方は、タンパク質に含まれる鉄分が失われやすいので要注意です。
動物性のタンパク質にはヘム鉄、植物性のタンパク質には非ヘム鉄が含まれていて、こちらがヘモグロビンの材料になります。
タンパク質が不足した時に出る症状❹肌荒れ
肌はコラーゲンやエラスチンといったタンパク質からできていますが、材料となるアミノ酸が不足してしまうとターンオーバーという肌の生まれ変わりが遅くなります。
メラニン色素が沈着してシミの原因にもなる可能性があります。また、弾力性が失われてシワの原因になる可能性があります。
また、汗やダニの抗原から守ってくれる角質はバリアの機能を司っています。
この角質層に含まれるケラチンというタンパク質が少なくなると、様々な刺激から守れないため湿疹や皮膚炎といった肌の炎症につながるリスクが高まります。
タンパク質が不足した時に出る症状❺薄毛
髪の毛はケラチンというタンパク質からできています。
タンパク質の摂取量が不足するとこのケラチンも少なくなってしまうため、髪の毛が細くなったり抜け毛、薄毛につながります。
クリニックを訪れた患者さんに食事の内容を聞いたところ、タンパク質の摂取量が不足していました。
そこで外来で食事内容をフォローしたところ、だいたい2~3ヶ月くらいで髪の毛が抜けなくなり、太くなってきましたという報告をしてくださいました。
その患者さんは血液検査はなんの異常もありませんでしたが、もともと
- 育児のストレス
- 睡眠不足(1日5時間程度)
といった要因をかかえていらっしゃいました。タンパク質を補うと同時にそういった症状が悪化する因子を1つずつ改善していくことも大切です。
タンパク質が不足した時に出る症状❻爪が脆くなる
爪はタンパク質からできています。
ですから、
- 爪が脆く割れやすくなる
- 剝がれてしまい二枚爪になる
というトラブルも発生します。
爪、髪の毛、皮膚というのはタンパク質だけの不足では解決できないことも多くありますが、そもそも今あげた部位は体の末端にあることから、タンパク質の摂取不足があらわれやすくなっています。
タンパク質が不足した時に出る症状❼免疫力の低下
体の外からウイルス、ばい菌が入ってきた時に戦うための武器を抗体と言います。
抗体はタンパク質そのものでできていますので、タンパク質が不足すると十分な抗体がつくられず、たとえば感染症にかかった場合に重症になってしまうリスクがあります。
タンパク質が不足した時に出る症状❽メンタルへの影響
脳の中にある神経伝達物質であるドーパミンやアドレナリン、セロトニンといったホルモンはタンパク質でできています。
「やる気を出す」「気持ちを落ち着かせる」本来はこういった効果のあるホルモンのバランスが崩れ、集中力や判断力が低下し、ひどいとうつ病などのメンタル疾患を招いてしまうリスクもあります。
タンパク質が足りないと太りやすい理由
私自身、過去に食事制限をすることで数ヶ月で5~6kg体重を落としましたが、数ヶ月後には体重が元に戻ってしまいました。
「体重が落ちたけれど、筋肉も落ちて、足が細くなってしまった」
という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
できることなら、体脂肪だけ落として筋肉を残せるのが理想ですね。
摂取カロリーと消費カロリー
多くの方がダイエットをする時にはじめるのが食事制限だと思います。
摂取カロリーよりも消費カロリーの方が多い状況を継続できれば、体脂肪を消費できることになります。
たとえば1日の摂取カロリーが1500kcal、消費カロリーが1800kcalとした場合、300kcal分消費したことになります。
これを30日続けると9000kcalの消費になります。脂肪1kgを燃やすのにだいたい7200kcal必要としますので、1ヶ月で1.25kgの脂肪を消費する計算になりますね。
消費カロリーとは
1日の消費エネルギーの内訳を表したのがこちらの棒グラフになります。
1つ1つのキーワードについて詳しく解説していきます。
基礎代謝
具体的には、1日中寝たきりでいても必要なエネルギーのことです。
私たちの体は、たとえ寝ていても心臓を動かしたり、呼吸をしたり、体温を調整するためにエネルギーを必要とします。
こちらが基礎代謝の内訳です。
このように筋肉が全体の中でも20%程度と大きくしめることがわかりますね。ですから、筋肉が減ってしまう=基礎代謝量も減ってしまうことになり、同じものを食べても太りやすくなってしまいます。
40代になってから5年間運動しないことで、だいたい5~10%も筋肉が落ちてしまうということも考えられます。
20~30代のときと同じものを食べていたら、脂肪が身体に蓄積されて、肥満体型になってしまうということです。
身体活動時代謝
ここでみなさんに問題です。
Q.体重50kgの人が早歩きで1時間歩いた場合(※隣の人とやっと話せるくらいのスピードで)に消費するカロリーはどのくらいでしょうか?
❶100kcal
❷200kcal
❸300kcal
A.❸300kcal
だいたい距離にすると6km、歩数にすると8000歩程度ですが、1時間で300kcalくらい消費すると聞いてみなさんはどう思われましたか?
時間の割には減らないと思う方も、逆にそんなに減るなら頑張ろうと思う方もいらっしゃるでしょう。
他にも食欲のコントロールがしやすくなるという研究結果もあり、メリットがありすぎて伝えきれないほどです。
外を歩くことがなかなか無い方も、
- 朝10分、夜10分散歩する習慣をつける
- 掃除をする
など、少し意識するだけで歩数を増やしていくことはできます。
また、同じ運動でも有酸素運動と無酸素運動で得られる効果が違います。
有酸素運動で1日の消費カロリーをアップすることが出来、無酸素運動で筋肉のサイズを大きくすることで基礎代謝を上げることができます。
▼有酸素運動
- エアロバイク
- ウォーキング
- ランニング
▼無酸素運動
- 筋トレ
たとえば週1~2回の筋トレをしている方は基礎代謝が上がっているため、同じ量を食べても太りにくくなります。
私が特にオススメなのはスクワットです。
人間の筋肉の約6~7割は下半身についていますから、お尻、太もも、ふくらはぎなどの大きな筋肉を効果的に鍛えるという意味でもスクワットはオススメです。
食事誘発性熱産生(DIT)
食べることで消費と聞くと逆のように感じる方もいらっしゃると思いますが、私たちは消化吸収することで食べ物を体の細胞まで送っていますから、そこでエネルギーを使います。
脂肪を食べると6%程度、炭水化物は4%程度しか消費されません。
ここでみなさんに問題です。
Q.タンパク質を食べるとどのくらいエネルギーが消費されるでしょうか。
❶10%
❷20%
❸30%
脂肪や炭水化物に比べてとても多いことがわかります。
私は来院された患者さんで冷え性に悩んでいる方には、タンパク質をしっかり摂るようお話しています。
お肉や卵を食べて体がポカポカ温まった経験がある方がもしいらっしゃったら、それは食事誘発性熱産生の力です。
食べながらすぐに熱に変換してくれるので、ダイエットにとても向いています。
非運動性身体活動時代謝(NEAT)
たとえば床磨きや風呂掃除は早歩きと同じくらい消費カロリーがあります。
タンパク質の効率の良い摂り方❶3食にわける
1日に必要なタンパク質の量をしっかりと理解し、3食に分けて摂るということが重要です。
私たちが筋肉を維持し、体の様々な機能が正常に働くためには毎日どれくらいのタンパク質を摂取したらいいと思いますか?
厚生労働省の日本人の食事摂取基準が定めている1日の推奨量は
- 50歳の男性…65g
- 50歳の女性…50g
となっています。
しかしタンパク質の必要量は年齢や日中の活動量によって大きく異なります。
たとえば1日中椅子に座っている人と、1日中体を動かして働いている人だったらタンパク質の摂取量が違います。
こちらは1日に必要なタンパク質の摂取量の目安です。
一般的な生活を送っている方で、たとえば体重60kgの方は1日60gのタンパク質を摂るのが理想です。それを3食に分けるので、20gずつ摂る形です。
一般的な生活を送る方のイメージは、日中デスクワークが主体のサラリーマンの方をイメージしていただければいいと思います。
※具体的な歩数…1日4000歩も歩かないくらい
逆に頻繁にスポーツやトレーニングをしている方は、体重1kgあたり1.6~2.0gのタンパク質を必要とします。
摂りすぎは禁物ですが、足りなくても筋肉がつかず、ガリガリのマラソン選手のようなイメージになってしまいます。
年齢が重なるとともにタンパク質を含めた栄養の吸収率が落ちてしまいますので、高齢者や介護を受けている方は一般の方より少し多めの1.2g×体重を目安に摂取するイメージがいいと思います。
食材ごとのタンパク質量を把握する方法
お肉、お魚は手のひらに乗る程度でざっくり100gです。
その100gの中にだいたい20g程度のタンパク質が含まれています。
こちらの表はお肉の部位ごとのタンパク質量です。
こちらを見ていただくと脂身が多いサーロイン、豚バラは脂肪の割合が多いのがわかると思います。悪玉コレステロールの数値が高い方、肥満、糖尿病がある方は注意が必要です。
ダイエットや筋トレをする方がなぜ鶏肉を選んで食べているのかというのがこの表でわかりやすいと思います。脂身が少なく、100gあたり多くタンパク質が含まれており、効率よく摂取することができます。
この他にみなさんがよく食べる食材としては
卵や牛乳、鮭があります。
特に鮭は1切れで17~18gものタンパク質が摂れるうえ、ビタミンDといって筋肉を作るために大事な栄養素も入っていますのでオススメの食材です。
また私がオススメなのはイナバのライトツナ(ノンオイル・食塩無添加)です。
タンパク質 11.6g
脂質 0.2g
炭水化物 0.1g
食塩 0.2g
こちらをサラダの上に乗せて、塩やアマニ油、リンゴ酢などをかけて食べています。時々バジルをかけるなど味を変えて楽しんでいます。
家で具体的にタンパク質量を測りたい方はスケールを買ったり、「カロリーSlism」というタンパク質の含有量がわかる便利なサイトもあるので、参考にしてみてください。
ご飯1膳…4g
鮭の塩焼き…18g
卵…6g
納豆…8g
(野菜たっぷりのお味噌汁など)
私は1日だいたい8000歩程度を歩いていて、体重は70kg、週に1~2回の筋トレや有酸素運動を行っていますので、体重あたり1.6gの摂取が必要です。
つまりだいたい1日あたり120gのタンパク質を摂る必要がありますので、1食にすると30~40gぐらいを摂る必要がありますから、こういった食事内容にしています。
パン派の方はスクランブルエッグやゆで卵、ギリシャヨーグルトでタンパク質を摂取するのもいいでしょう。
ファミレスの場合…チキンステーキ 20g、ご飯 4g
コンビニの場合…サラダチキン 20g、卵 6g
ここに書いてあるもの以外でも、たとえばコンビニでお昼ごはんを買う方は成分表示表に記載されているタンパク質量を見ることで、自分の摂取量を確認できます。ぜひ一度意識して見てみてください。
タンパク質の摂りすぎに注意
タンパク質を摂ることの大切さをお話した一方で、摂りすぎることによる危険性にも気をつけなくてはいけません。
体重1kgあたり2.2gを超えるような高タンパク食を数ヶ月から数年摂り続けるような過剰摂取をしていると、肝臓や腎臓に悪影響が出ることがあります。
特にタンパク質の中でも赤身肉や脂身の多いお肉を毎日食べていると、脳卒中や心筋梗塞などの発症率が上がる可能性もあります。
心臓が悪い方、慢性腎臓病や肝臓病を指摘されている方は、医療機関で腎臓の機能を定期的にチェックする、あるいは摂取すべき量をかかりつけ医によく相談していただくのが望ましいでしょう。
タンパク質の効率の良い摂り方❷動物性と植物性両方のタンパク質を摂る
タンパク質には大きく分けて動物性と植物性の2種類があります。
▼動物性タンパク質
- 肉
- 魚
- 卵
- 乳製品
私たちの体の中で作ることができない必須アミノ酸を多く含んでいます。
注意が必要なのは、お肉ばかり摂っていると脂肪の量が増えてしまったり動脈硬化の恐れや、赤身肉を摂りすぎると大腸がんのリスクが上がるというデータもありますので、偏らないことが大切です。
▼植物性タンパク質
- 納豆
- 豆腐
- ブロッコリー
- アスパラガス
脂肪が少ないため体の中の脂肪を燃焼する効果が高く、アミノ酸は動物性よりも劣るものの、ビタミンやミネラル、そして体が老けないようにするための抗酸化物質が豊富に含まれているため、メリットも大きいです。
腸内細菌のエサとなる食物繊維が豊富ですから、よく運動する方もダイエットする方も健康的な毎日送るために植物性タンパク質はぜひ摂ってください。
動物性タンパク質と植物性タンパク質は、1:1で摂ると両方のメリットを活かすことができます。
タンパク質の効率の良い摂り方❸糖質と脂質もバランスよく摂る
今までタンパク質の摂り方についてお伝えしてきましたが、健康的な体を維持するためには、他の栄養素もバランスよく摂ることが大切です。
ダイエットをしている方の中には
- 糖質をほとんど抜いている
- 夜は毎回食べない
- 朝は少ししか食べない
こんな方が多くいらっしゃいます。
厳しい糖質制限食は、短期的に体重を落とすことはできてもリバウンドなどのリスクがあります。
糖質は体の中でエネルギーになりやすい栄養です。体内に糖質が足りない場合、筋肉を分解して体のエネルギーを満たそうとします。つまり長期的には筋肉が落ちてしまいます。
また即効性のあるエネルギーである糖質が足りないと、
- 頭痛
- 吐き気
が起きることがあります。
また糖質というのは炭水化物の一部です。たとえば
- ご飯
- パスタ
- パン
などの炭水化物を食べないと、
- 便のかさが増さなくなる
- 食物繊維の量が減ってしまう
ことで、結果的に便秘に悩んでしまったりします。
最も顕著なのがリバウンド現象です。だいたい半年から9ヶ月くらいでリバウンドしてしまうということが研究でも明らかにされています。
また糖質を抜くと、満足感がないため動物性のタンパク質に偏ってしまう方が少なからずいらっしゃいます。
動物性のタンパク質を摂ろうとすることで、ステーキや霜降り牛、脂たっぷりの豚肉や牛肉などを食べすぎてしまい、結果的に心臓血管系の死亡率が数10%上がってしまうという報告もあります。
バランスよく栄養を摂るためにオススメなのが
- 玄米
- 雑穀
です。
ダイエットをしている方でも100~130gぐらいは摂った方がいいでしょう。
また私たちの体には何十兆個という細胞があるのですが、その細胞を形作っている細胞網膜はすべて脂肪で出来ていますし、女性ホルモン・男性ホルモンの原料はコレステロールですから、脂質を摂るのも重要です。
どんな油を摂ったらいいかわからない方は、以下の動画がオススメです。
日本人はオメガ3脂肪酸が足りないと言われています。
オメガ3脂肪酸を摂るためには
- えごま油
- アマニ油
- 青魚(アジ、サンマ、イワシ)
- 鮭
こういった食材を摂取するといいでしょう。
オメガ3脂肪酸は、
- 中性脂肪を下げる
- 心筋梗塞、脳卒中、アレルギー疾患、慢性炎症を軽減
こういった効果が期待できます。
病院で脂質異常症と診断された方は、オメガ3脂肪酸というお薬も保険適用になりますので、一度先生に相談してみてはいかがでしょうか。
逆に摂ってはいけない油については、
- 揚げ物
- トランス脂肪酸やマーガリンが入っているお菓子
- ケーキ
こういったものは出来るだけ避けたり、頻度を落とすようにしてみましょう。
タンパク質の効率の良い摂り方❹効果を高める他の栄養素も一緒に摂る
タンパク質が消化吸収され、肝臓に運ばれてから細胞に入り、爪になったり皮膚になったりするのですが、そのタンパク質を効果的に使用するために摂ってほしい栄養素があります。
タンパク質の効果を高める栄養❶ビタミンB群、ビタミンB6
- カツオ
- マグロ
- 鮭
- 鶏肉
- 大豆
こういった食材がオススメです。筋肉のサイズを大きくする効果も期待できます。
タンパク質の効果を高める栄養❷ビタミンD
ビタミンDはタンパク質の働きを活性化し、カルシウムの吸収を助けてくれるので骨粗しょう症の予防に最適な栄養素です。
ビタミンDは
- 鮭などの魚介類
- 卵
- 干しシイタケ
などに含まれます。
特に鮭はアスタキサンチンという抗酸化物質も含まれており、オメガ3脂肪酸も入っていてとても優秀な食材です。
またビタミンDは食べ物だけでなく、日光浴をすることでもビタミンDを合成することができます。日焼け止めをしっかりと塗ったうえで散歩するのもオススメです。
タンパク質の効果を高める栄養❸亜鉛
亜鉛はタンパク質を作るために必須のミネラルで、鉄分の次に大切と言われているにも関わらず、世界の1/3の人が亜鉛が足りないと言われています。
外来で
- 体がだるい
- 髪の毛が薄くなってきた
- 皮膚の病気
という方に対して血液検査をすると、亜鉛が足りていない方が多い印象です。
- 亜鉛の基準値…80-130µg/dL
- 亜鉛欠乏症…60µg/dL未満
- 潜在性亜鉛欠乏症…60-80µg/dL未満
食材でいうと
- 牡蠣
- 豚肉
- チーズ
- レバー
- 牛の赤身肉
などに多く含まれています。
タンパク質の効率の良い摂り方❺果物でビタミンB6を摂る
筋肉を大きくしていくために、タンパク質と一緒に摂るべき栄養素であるビタミンB6。
- カツオ
- マグロ
- 鮭
- 鶏肉
- 大豆
から摂取できます。
実はビタミンB6は熱に弱く、加熱調理してしまうと壊れやすい栄養素です。
そのため果物で摂取するのがとても有効です。
- バナナ
- アボカド
- キウイ
- パイナップル
- メロン
- マンゴー
に含まれています。
特にバナナは優秀で、ビタミンB6がたくさん含まれています。
週に3~4皿くらいを目安に食べると、心臓血管系や糖尿病のリスクが減るという報告もありますので、積極的に摂ってほしい食材の1つです。
こういったお話をすると、野菜ジュースで栄養を摂ろうとする方もいらっしゃいますが、残念ながら野菜ジュースというのは、果物から大切な食物繊維を剥ぎ取ってしまっています。
お風呂上りのアイスの代わりに、コンビニで冷凍したブルーベリーなどもオススメです。
タンパク質の効率の良い摂り方❻間食に低糖質・低カロリーのものを選ぶ
食事について考えすぎてしまうとストレスが溜まってしまい、結局間食でお菓子やジュース、アイスクリームを食べてしまうという方もいらっしゃると思います。
もちろん食べすぎはよくないですが、間食の内容を選べば食べても大丈夫です。
私のオススメは
- 果物
- サツマイモ
- 素焼きのアーモンド
- くるみ
- ヨーグルト
- 無糖の炭酸水
こういった食材です。
以前こちらの動画でも紹介をさせていただきました。
サツマイモはレンジで調理すればとても簡単に食べることができます。
- サツマイモを洗う
- ペーパータオルでくるむ
- お水に浸す
- さらにサランラップで包む
- お皿に乗せて電子レンジで5~6分温める
するとホクホクになって美味しくいただけますし、このまま冷蔵庫で冷やしてもレジスタントスターチと言って、消化吸収されづらい炭水化物に変わります。
他には
- あたりめ
- チーズ
- 無添加の魚肉ソーセージ
こんな食材もオススメですが、塩分量が多すぎると血圧を上げてしまいますので気をつけてください。
また甘いものが食べたいときは
- ハイカカオチョコレート
もオススメです。
ポリフェノールがたくさん含まれており、抗酸化作用もあります。ただ脂肪の量が多いので、食べ過ぎには気をつけましょう。
タンパク質の効率の良い摂り方❼プロテインを活用する
なかなか普段の食事だけでは十分なタンパク質の量を摂れないという方は、こういったものを利用していただくのも1つの手段です。
以前クリニックにいらした50代ぐらいの女性は、口内炎ができやすいというお悩みを抱えていました。
そこで私が飲んでいるプロテインをおすすめしたところ、1~2カ月くらいで口内炎ができなくなったと報告してくださいました。
プロテインには大きく2種類あります。
ホエイプロテイン(動物性のプロテイン)
動物性のホエイプロテインは牛乳や卵を原料とするものが多いです。吸収が早く、筋肉量を多くするのに適しています。
ソイプロテイン(植物性のプロテイン)
植物性のソイプロテインは大豆を原料としています。腸からの吸収速度が遅く、腹持ちがいいのが特徴です。
ホエイタンパク質よりも脂肪燃焼効果が高いとも言われており、若い女性やダイエットをしたい方はそういったプロテインもオススメです。
病気等がなく、健康な方は1日10~40gぐらいプロテインからタンパク質を摂っていただくのもオススメですが、腎臓が悪い方などは主治医の先生と相談してください。
動画
「タンパク質で痩せる、疲れない、健康になる方法7選」について、動画でも詳しく説明しています。ぜひご覧ください!
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