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アトピー性皮膚炎の原因と治療

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今回は、アトピー性皮膚炎の原因について解説していきたいと思います。

当院では内科、皮膚科、小児科を標榜していますが、皮膚科の患者さんが全体の3割程度と多いのが特徴です。

その中でもアトピー性皮膚炎は多く、もうすぐ開院して5年目ですが、患者さん、そして患者さんのご家族の悩みや相談に対応してきました。

アトピー性皮膚炎の原因は意外に知られていないんだなあということに気づきましたので今回はそれについて解説したいと思います。

アトピー性皮膚炎の原因

その前に、簡単にアトピー性皮膚炎の特徴について説明したいと思います。

アトピー性皮膚炎の特徴(簡単に解説)

アトピー性皮膚炎は、「かゆみが良くなったり悪くなったりを繰り返す、湿疹で強いかゆみを伴うのが特徴的な皮膚の病気」です。

写真1.下記は肘に炎症がありますが、アトピー性皮膚炎では、ドライスキン(皮膚の表面を守る角質が薄い)のため、首や顔、肘の内側、膝の裏にかゆみを繰り返すことが多いです。

写真2.下記は首がかゆいために、何度も掻いてしまって、皮膚が硬くなっています。このような状態を専門的な用語でいうと苔癬化と呼びます。

アトピー性皮膚炎といえば、乳幼児に多いと思われていますが、最近は20代以上の成人患者さんが増加傾向です。

アトピー性皮膚炎の特徴をまとめますと

最初は赤みのある強いかゆみを伴う湿疹ができ
症状が軽くなったり重くなったりを繰り返し
乳幼児では2ヶ月以上、それ以外では6か月以上症状が続くことが多い
また強いかゆみのために、何度も掻いていると、皮膚が硬くなり、盛り上がる

以上のような症状が現れます。

それでは次にアトピー性皮膚炎の原因についてお伝えしたいと思います。

アトピー性皮膚炎の原因

アトピー性皮膚炎の原因は大きく2つに分けられます。

アトピー性皮膚炎の原因1つ目

1つ目がダニやハウスダストなどに対してのアレルギー反応の結果として起こる皮膚の炎症

下記の左側は正常な皮膚で右側がアトピー性皮膚炎の炎症が起きた状態を表します。

電子顕微鏡の発達で、実際に皮膚の中に、ハウスダストやダニといったアレルギーの原因物質入っていくのが近年わかるようになってきました。

そこで様々な免疫反応が起きて皮膚に炎症が起きます。

 

アトピー性皮膚炎の原因2つ目

2つ目がドライスキンです。

ドライスキンって何ですかって思う方も多いと思うので解説したいと思います。

皮膚は、下の絵のように幾つもの層から成り立っています。

上から角質、表皮、真皮、皮下組織、筋肉などと何層もの構造からなっていますが、一番外側の角質が薄いことで、汗やハウスダスト、ダニの抗原といったアレルゲン(allergy の原因物質)に侵入しやすくなり、そこで炎症が起きることで痒みは生じます。

またドライスキンがあることで、皮膚の水分が下記のように皮膚から失われてしまい、それによってさらにバリア機能が低下して、ハウスダストやダニや汗が皮膚の中に入っていくというわけです。

炎症が起きて皮膚を掻いてしまうことで、さらに角質がはがれ炎症が起きるという悪い循環にはまっていき、外的からの刺激に対して過敏になってしまうことでまた痒くなるというサイクルになってしまい慢性化していくというのが特徴です。

アトピー皮膚炎の治療

それでは次にアトピー性皮膚炎の治療について一緒に考えてみたいと思います。

原因がわかれば、おのずと治療法は決まってきます。

保湿

まずはドライスキンに対しては、保湿を徹底していきます。

特に、お風呂に入った後は皮膚が潤っているので、入浴後、5分から10分以内に保湿剤を塗るのが望ましいです。

そうすることで下の左側の皮膚のように角質が厚く保たれるので、アレルギーの原因物質である。ハウスダストやダニ細菌が進入できなくなります。

反対に、右側の図は、角質が薄く壊れているので、アレルギーの原因物質がたやすく皮膚に侵入してしまいます。

皮膚が痒くなくなれば、ターンオーバーといって新しく綺麗な皮膚に少しずつまで変わっていきますから。時間とともに、痒みの程度も少なくなってくることが多いです。もちろん、ドライスキンの程度によっては保湿剤だけでは痒みがなかなか治まらないというケースも多いです。

ステロイド外用剤

皮膚が炎症を起こしてしまった場合は、それを鎮めるためにステロイド外用剤を使います。

ただし1回に塗る量や、ステロイドは5段階の強さに分かれるため適切な部位に適切な強さのステロイドを塗ることが大切です。

一度皮膚が炎症を起こしてしまうと。保湿剤だけではなかなか治まりませんし、何度も説明していますが、皮膚を掻いてしまうことで角質もはがれさらに痒くなるという悪循環にはまってしまい、地獄のように辛いとおっしゃる患者さんもいます。

そういったときにステロイド外用剤を使うことで、皮膚の炎症が治まり、悪循環を抑えることができるというわけです。

ドライスキンに保湿剤を使い、痒い時はステロイドということはよくわかりましたが、ステロイドは長期的な副作用があるのであまり使いたくないのですがどうしたらいいでしょうか。

そういったことは、外来でとても多い質問んです。
ステロイドの副作用をちゃんとわかって使えば、全く問題にはなりません。

皆さんステロイドの副作用をどれぐらい。理解してらっしゃるでしょうか?

あまり詳しく聞いたことがないのでぜひ教えてください。

ステロイド外用剤の副作用

ステロイド外用剤には様々な副作用が報告されていますが、まず、心得ておくことは漫然と長期に使用しないということです。

ステロイドはあくまでも皮膚の炎症を抑えるのであって、根本的な治療ではありません。

たまに予防的に毎日塗っていて、副作用で来院される方がいますが、副作用をしっかり理解して使うことが大切です。

私たち医療者がしっかりと説明していない場合もありますし、最近ではステロイド外用剤が薬局でも買えるのですが用法用量を読まないで使ってしまうというケースもありました。

具体的な副作用としては、皮膚が萎縮してしまったり、顔に塗ると酒さ様皮膚炎といって、顔の毛細血管が浮き出て赤くなってしまうなどがあります。

また、皮膚の炎症を抑えるということで、細菌や水虫などが感染してしまうということもあります。また、胸など薄い皮膚などに塗ることで、ニキビになってしまうというケースも少なからずみてきました。

大切なことなので何度も繰り返しますが、ステロイドは、皮膚が炎症を起こしてしまったときに使うもので、基本的に漫然とだらだらと長期的に使うものではないということです。そこをわかっていれば、ステロイド外用剤のメリットを最大限に引き起こすことができます。そのメリットとは、皮膚の炎症を抑え、沈静化させることができるということです。皆さん家が火事になったことを思い浮かべてみてください。消防車を呼んで、火を消さなければ、家事はどんどん広がっていきますよね。ステロイドを塗らないで放置するということは、そういうことです。

その他のアトピー性皮膚炎治療薬

アトピー性皮膚炎の治療薬は、他にも様々なものがありますが、最近処方できるようになり、6ヶ月のお子さんから使えて安全性も担保され治療効果が高いのが、デュピクセントというおくすりです。

ほとんどのケースで、2週間から2ヶ月程度で改善が見られる薬です。

副作用や実際の内服方法など、下記のブログで詳しく書いています。

こちらの薬について興味がある方は、詳細を別のブログに記載していますので、ご覧ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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この記事の監修者
細田 俊樹
  • 医療法人社団緑晴会 あまが台ファミリークリニック 理事長
  • 日本プライマリ・ケア連合学会 家庭医療専門医

年間15,000人以上の患者さんを診察している総合診療専門医。
総合診療という専門分野を生かし、内科、皮膚科、小児科、生活習慣病まで様々な病気や疾患に対応している。
YouTubeでよくある病気や患者さんの疑問に対して解説している

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