「CPAPを使っているけれど、今の病院が遠くて通うのが大変」
「引っ越したので、自宅の近くのクリニックに変えたい」
「CPAPの病院って、途中で変えても大丈夫なの?」
「紹介状がないと転院できないのでは?」
睡眠時無呼吸症候群でCPAP治療を続けている方から、このようなご相談をいただくことがあります。
先に結論をお伝えすると、CPAP治療中でも、通院する病院・クリニックを変更することは可能です。
ただし、普通の風邪などで病院を変える場合とは少し異なります。
CPAP治療では、これまでに行った睡眠検査の結果、CPAPを開始した経緯、現在の使用状況、使用しているCPAP機器や機器会社などを確認しながら、治療を引き継ぐ必要があります。
この記事の結論
- CPAP治療中でも転院・通院先の変更は可能です
- 紹介状と以前の睡眠検査結果があると、治療を引き継ぎやすくなります
- 現在使っているCPAPを、そのまま継続できるとは限りません
- 以前の検査結果などを確認できない場合には、再検査が必要になることがあります
- 転院先が決まる前に、自己判断でCPAPを中断するのはおすすめしません
この記事では、CPAP治療中に病院を変えたい方に向けて、転院の流れ、紹介状、必要な資料、現在のCPAPがどうなるのかまで、できるだけわかりやすく解説します。

この記事を書いている医師について
こんにちは。千葉県長生郡長生村の「あまが台ファミリークリニック」院長の細田俊樹です。
医師として25年間、地域医療に携わってきた家庭医療専門医です。日本睡眠学会に所属し、日々、睡眠時無呼吸症候群を含めた睡眠に関する患者さんを診療しています。
睡眠時無呼吸症候群は、単に「いびき」や「眠気」だけを見る病気ではありません。
高血圧、糖尿病、肥満などを併せ持つ方もいるため、当院ではCPAPのデータだけを見るのではなく、生活習慣病なども含めた全身状態を確認しながら診療することを大切にしています。

CPAP治療中でも病院を変えることはできます
「一度CPAPを始めた病院には、ずっと通わなければいけないのでしょうか?」
と心配される方もいますが、そのようなことはありません。
引っ越し、転勤、勤務時間の変更、ご家族の事情などによって、これまでの医療機関へ通い続けることが難しくなることはあります。
そのような場合には、別の医療機関へCPAP治療を引き継ぐことができます。
大切なのは、単に「病院を変える」ことではなく、これまでの診断・治療内容を確認し、CPAP治療をできるだけ途切れさせずに引き継ぐことです。(※1)
このような理由でCPAPの転院を考える方がいます
- 引っ越して、現在の病院が遠くなった
- 転勤や勤務時間の変更で通院しにくくなった
- 毎回の通院時間や待ち時間が負担になっている
- 自宅や職場の近くでCPAPを管理してくれる医療機関を探している
- CPAPだけでなく、高血圧や糖尿病も一緒に相談したい
- マスクの空気漏れや乾燥、使いにくさなども相談したい
こうした理由で通院先を見直すことは、決しておかしなことではありません。
CPAPの転院には紹介状が必要?
可能であれば、現在通院している医療機関から診療情報提供書、いわゆる紹介状を作成してもらうことをおすすめします。
紹介状があると、
- どのような検査で睡眠時無呼吸症候群と診断されたのか
- いつCPAP治療を開始したのか
- どのような経過で治療を続けているのか
- ほかにどのような病気を治療しているのか
などを、転院先の医師が確認しやすくなります。
さらに重要なのが、以前に行った睡眠検査の結果です。
CPAPを保険診療で継続するためには、睡眠時無呼吸症候群と診断され、CPAP治療が必要になった根拠を確認することが重要です。(※1)
紹介状が手元にない場合は?
「もう引っ越してしまって前の病院へ行けない」
「かなり前からCPAPを使っていて、昔の検査結果が見当たらない」
という方もいると思います。
その場合も、まずは転院を希望する医療機関へ相談してください。
紹介状や睡眠検査結果がないからといって、自己判断でCPAPを中止してしまうことはおすすめできません。
確認できる診療情報が十分でない場合には、転院先で診断根拠を確認するために、あらためて睡眠検査が必要になる場合があります。
CPAP転院時に準備しておくとよいもの
できるだけスムーズにCPAP治療を引き継ぐため、次のものがあるか確認してみてください。
- 紹介状(診療情報提供書)
- 以前に行った睡眠検査の結果
- 最近のCPAP使用データ・レポート
- 現在使用しているCPAPのメーカー名・機種名
- CPAPを管理している機器会社の名前
- 使用しているマスクの種類
- お薬手帳
- 健康保険証またはマイナ保険証
すべてそろっていなくても、まずは現在手元にある資料を確認してみてください。
特に重要なのは、睡眠検査結果と現在のCPAPに関する情報です。

今使っているCPAPをそのまま使えますか?
これは転院を考えている患者さんから、よく聞かれる質問です。
結論としては、
「そのまま継続できる場合もありますが、必ず同じCPAPを使い続けられるとは限りません」
となります。
保険診療で使用しているCPAPは、多くの場合、患者さんがCPAPを購入して所有しているのではなく、医療機関を通じて機器会社から貸与されています。
そのため転院時には、
- 転院先が現在と同じCPAP機器会社に対応しているか
- 現在のCPAPをそのまま使用できるか
- 一度返却し、別のCPAPへ変更する必要があるか
- 現在のCPAPデータを転院先で確認できるか
などを確認する必要があります。
転院を考えているからといって、現在のCPAPを先に返却してしまうのではなく、現在の医療機関や転院先と相談しながら進めることが大切です。
「CPAPを購入すれば、病院へ通わなくてもよい?」と考えている方へ
通院が負担になっていると、
「CPAPを自分で購入すれば、もう病院へ通わなくてよいのでは?」
と考える方もいるかもしれません。
しかし、CPAPは単に機械を装着するだけではなく、治療後の無呼吸・低呼吸、使用時間、マスクからの空気漏れ、症状の改善などを確認しながら治療を続けることが重要です。(※2)
CPAPの購入と保険診療でのレンタルの違いについては、以下の記事でも詳しく説明しています。
CPAPはレンタルと購入どっちがいい?費用やメリット・デメリットを医師が解説
CPAPは「機械を借りるだけ」の治療ではありません
現在のCPAPでは、機種によっては遠隔で治療データを確認することができます。
診療では、
- CPAPを使用した日数
- 1日あたりの使用時間
- 治療後に残っている無呼吸・低呼吸
- マスクからの空気漏れ
などを確認します。

2026年度の診療報酬改定でも、CPAP療法について使用時間、装着状況、無呼吸低呼吸指数などをモニタリングし、適切に指導管理していくことがより重視されています。(※2)
つまり、CPAP治療では「機械を使っているか」だけではなく、「きちんと治療として機能しているか」を確認することが大切なのです。
CPAPを使っているのに眠い・マスクが苦しい場合も相談してください
転院を考えている方の中には、
- CPAPを使っているのに日中まだ眠い
- 夜中に無意識にマスクを外してしまう
- 鼻や口が乾燥する
- マスクから空気が漏れる
- 圧が強く感じる
- マスクの跡や痛みが気になる
といった問題を抱えている方もいます。
こうした場合に「自分にはCPAPが合わない」と決めつけて中断するのではなく、原因を確認することが大切です。
マスクの種類やサイズ、装着方法、鼻づまり、加湿などを調整することで、使用しやすくなる場合があります。
現在CPAP治療中で、転院すべきか迷っている方へ
睡眠時無呼吸症候群の症状、検査、CPAP治療については、当院の睡眠時無呼吸症候群ページでも詳しく説明しています。
通院が大変な方はオンライン診療について確認する方法もあります
CPAP治療そのものではなく、
「仕事が忙しく、医療機関へ通う時間を確保しにくい」
「毎月の通院そのものが負担になっている」
という理由で転院を考えている方もいます。
当院の睡眠時無呼吸症候群に関するオンライン診療については、以下の記事で詳しく説明しています。
睡眠時無呼吸症候群はオンラインで相談できる?受診方法を医師が解説
ただし、すでにCPAP治療中の方の診療方法については、これまでの治療内容や検査結果などによって判断が異なるため、個別に確認が必要です。

高血圧・糖尿病・肥満がある方は一緒に相談するメリットがあります
睡眠時無呼吸症候群の患者さんでは、高血圧、糖尿病、肥満などを併せ持っていることがあります。
そのため当院では、CPAPのデータだけではなく、
- 血圧が適切に管理されているか
- 糖尿病の状態はどうか
- 体重増加や肥満がないか
- 日中の眠気は改善しているか
- ほかに睡眠を妨げる病気がないか
なども必要に応じて確認しています。
あまが台ファミリークリニックは、内科・糖尿病内科を含めた総合診療を行っています。
「CPAPの病院と、血圧や糖尿病の病院が別々で通院が大変」という方にとって、まとめて相談できることもメリットの一つです。
CPAP転院の流れ

STEP1.CPAP治療を継続できる医療機関を探す
まず、CPAPの継続管理に対応している医療機関を探します。
STEP2.現在の主治医に転院希望を伝える
可能であれば、紹介状と以前の睡眠検査結果を準備してもらいましょう。
STEP3.現在使用しているCPAPの情報を確認する
メーカー、機種、機器会社、使用しているマスクなどを確認しておきます。
STEP4.転院先を受診する
紹介状、睡眠検査結果、CPAPの情報、お薬手帳などを持参し、これまでの治療状況を確認します。
STEP5.CPAPの引き継ぎ方法を決める
現在のCPAPを継続できるか、機器の変更が必要か、再検査が必要かなどを医師と確認します。
転院先が決まる前にCPAPをやめないでください
ここは特に大切です。
「もう病院を変えるから」
という理由で、転院先が決まる前に自己判断でCPAPを中断するのはおすすめできません。
CPAPは、使用中に上気道へ陽圧をかけることで睡眠中の気道閉塞を防ぐ治療です。
CPAPによって睡眠時無呼吸症候群そのものの原因が完全になくなったわけではないため、必要な方が中断すると、無呼吸、いびき、日中の眠気などが再び問題になる可能性があります。
特に運転中の眠気がある方は、安全面からも注意が必要です。
「転院先を決める」→「CPAPをどう引き継ぐか確認する」→「医療機関を切り替える」
という順番で進めることをおすすめします。
「前の先生に転院と言いづらい」と感じている方へ
「長く診てもらっていた先生なので、病院を変えたいと言いづらい」
「転院したいと言ったら失礼なのでは?」
と感じる方もいると思います。
しかし、引っ越しや仕事などで生活環境が変われば、通いやすい医療機関も変わります。
CPAPは長期間継続することの多い治療だからこそ、無理なく通院し続けられる環境も重要です。
現在の主治医には、
「自宅の近くでCPAP治療を続けたいので、紹介状と以前の睡眠検査結果をお願いしたいです」
と伝えていただくとよいでしょう。
CPAPの転院についてよくある質問

CPAP治療中でも病院を変更できますか?
はい。CPAP治療中でも、転院・通院先の変更は可能です。
ただし、これまでの診断内容、睡眠検査結果、CPAPの使用状況などを確認しながら引き継ぎます。
紹介状は絶対に必要ですか?
紹介状があると治療経過を確認しやすいため、可能であれば準備していただくことをおすすめします。
紹介状を準備できない場合の対応については、転院先の医療機関へあらかじめ確認してください。
睡眠検査をもう一度受ける必要がありますか?
必ず再検査になるとは限りません。
以前の睡眠検査結果やCPAP導入時の診断根拠を確認できる場合には、それらをもとに判断できることがあります。
一方、必要な情報が確認できない場合には、再検査が必要になることがあります。
今使っているCPAPをそのまま使えますか?
CPAP機器会社や転院先の対応状況によって異なります。
そのまま継続できる場合もあれば、一度返却して別のCPAPへ切り替える場合もあります。
CPAP本体を初診時に持っていく必要がありますか?
CPAP本体の持参が必要かは医療機関によって異なります。
少なくとも、CPAP本体のメーカー名・機種名・機器会社が分かるようにしておくとよいでしょう。
まとめ|CPAPの通院先で困っている方はご相談ください
CPAP治療中でも、病院やクリニックを変更することは可能です。
転院をスムーズにするポイントは、
- 可能であれば紹介状を準備する
- 以前の睡眠検査結果を準備する
- 現在のCPAP使用状況を確認する
- CPAPの機種・機器会社を確認する
- 転院先が決まる前に自己判断でCPAPを中断しない
という5点です。
「今の病院が遠くて通い続けるのが大変」
「千葉市や茂原市周辺から通いやすいCPAPの医療機関を探している」
「高血圧や糖尿病も含めて一緒に相談したい」
という方は、通院そのものを諦める必要はありません。
あまが台ファミリークリニックでは、睡眠時無呼吸症候群・CPAP治療についてご相談いただけます。
CPAPの転院・継続治療について相談したい方へ
千葉市・茂原市をはじめ周辺地域から通院可能です。
現在CPAPを使用している方も、まずは睡眠時無呼吸症候群・CPAP診療についてご確認ください。
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参考文献
※1 厚生労働省「診療報酬の算定方法」C107-2 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料。
※2 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定」在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料の見直し・持続陽圧呼吸療法充実管理体制加算。CPAP療法における使用時間、着用状況、無呼吸低呼吸指数等のモニタリングおよび指導管理について規定されています。



