こんなことで悩んでいませんか?
- 「肥満治療薬」と検索したら色々な名前が出てきて、何がなんだか分からない
- ウゴービとゼップバウンド、どちらが自分に合っているのか知りたい
- SNSやネット広告で見かける「痩せる薬」は本当に安全なのか不安
- 自己流のダイエットはもう何度も失敗していて、医療の力を借りたい
この記事では、日本で正式に承認されている肥満症治療薬の種類と違いを、肥満治療を専門的に行う医師が整理してお伝えします。読み終わる頃には「自分はどの薬を、どこで相談すればいいのか」がはっきりわかります。

皆さん、こんにちは。あまが台ファミリークリニック院長の細田です。
私は医師歴25年の家庭医療専門医として、日本肥満学会に所属し、月間約80人の肥満治療の診療を行っています。また、日本糖尿病学会正会員として年間約6,000人の糖尿病患者さんの診療も行っており、体重と血糖・血圧・脂質といった全身の代謝を一体として診ることを大切にしています。
この記事では、「肥満治療薬にはどんな種類があるのか」「ウゴービとゼップバウンドは何が違うのか」を、科学的根拠とともにわかりやすくお伝えします。ぜひ最後まで読んでください。
目次
肥満治療薬は「痩せ薬」ではなく「肥満症」の治療薬です
まず大切な前提からお話しします。肥満治療薬は、見た目を細くするための「痩せ薬」ではありません。医学的には「肥満症」という病気を治療するための薬です。
肥満症とは、単に体重が多い状態ではなく、肥満(BMI25以上)があり、かつ高血圧・糖尿病・脂質異常症・睡眠時無呼吸症候群・関節障害などの健康障害を合併しているか、合併が予測される状態を指します※1。つまり「減量そのものが医療行為として必要な状態」です。
この前提を最初にお伝えするのは、理由があります。肥満症の治療薬は、正しい対象の方が正しく使えば大きな効果が期待できる一方、対象でない方が美容目的で安易に使うと、リスクだけを背負うことになるからです。
日本で正式承認されている肥満症治療薬は、実質2つです
「肥満治療薬」と検索すると多くの名前が出てきますが、2026年現在、肥満症の治療薬として国内で正式に承認され、実際の診療の中心になっているのは次の2つです。
① ウゴービ(一般名:セマグルチド)
GLP-1受容体作動薬と呼ばれるタイプの週1回の注射薬です。GLP-1は食事をとると腸から分泌されるホルモンで、食欲を抑え、胃の動きをゆるやかにし、満腹感を持続させる働きがあります。海外の大規模臨床試験(STEP試験)では、68週間で平均約15%の体重減少が報告されています※2。
② ゼップバウンド(一般名:チルゼパチド)
GLP-1に加えて、GIPというもう一つのホルモンにも同時に作用する「デュアル作動薬」で、こちらも週1回の注射薬です。2024年12月に国内承認された、肥満症治療薬としては最も新しい薬です。海外の臨床試験(SURMOUNT-1試験)では、72週間で最大約20%の体重減少が報告されています※3。マンジャロという糖尿病治療薬と同じ成分ですが、肥満症の治療薬として正式承認されているのはゼップバウンドの方です。
その他の薬と「注意が必要な使われ方」
このほかに、食欲抑制剤のサノレックス(マジンドール:高度肥満のみ・短期間限定)や、市販薬のアライ(オルリスタット)などがあります。また、リベルサスやマンジャロといった2型糖尿病の治療薬を、痩身目的で処方する自由診療クリニックも存在します。しかしこれは承認された使い方ではない「適応外使用」にあたり、重篤な副作用が起きても医薬品副作用被害救済制度の給付を受けられない可能性が非常に高いと厚生労働省が注意喚起しています※4。
減量を目的に薬を使うのであれば、肥満症治療薬として正式に承認されたウゴービまたはゼップバウンドを、医師の管理下で使うことが原則です。当院でもこの2剤による肥満治療を行っています。
ウゴービとゼップバウンドの違いを比較
では、この2つはどう違うのでしょうか。ポイントを表に整理します。
| ウゴービ | ゼップバウンド | |
|---|---|---|
| 有効成分 | セマグルチド | チルゼパチド |
| 作用の仕組み | GLP-1の1経路 | GIP+GLP-1の2経路 |
| 使い方 | 週1回の自己注射 | 週1回の自己注射 |
| 体重減少の目安(海外試験) | 約15%(68週)※2 | 最大約20%(72週)※3 |
| 国内承認 | 肥満症(2023年承認) | 肥満症(2024年承認) |
効果の面では、両剤を直接比較した臨床試験(SURMOUNT-5試験)において、チルゼパチド(ゼップバウンド)の体重減少効果がセマグルチドを上回ったことが報告されています※5。
「じゃあ効果が高い方を選べばいいのでは?」という疑問
ここで多くの患者さんからいただく質問があります。「数字だけ見るとゼップバウンドの方が痩せるんですよね?なら全員ゼップバウンドでいいのでは?」という疑問です。
お気持ちはよくわかります。同じ手間なら効果の高い方を選びたいのは当然です。ただ、実際の診療はそれほど単純ではありません。臨床試験の数字は「平均値」であり、効果の出方には大きな個人差があります。吐き気などの副作用の出やすさ、体質、目標とする減量幅、そして毎月の費用。これらを総合して、その方にとって続けやすい薬を選ぶことが、結果的に最も減量成功率を高めます。薬は「強さ」ではなく「相性と継続性」で選ぶ。これが月間50人の肥満治療を診てきた私の実感です。
誰でも使えるわけではありません — 対象となる方の条件
両剤とも、承認された効能・効果の中に「使える方の条件」が定められています。おおまかに言うと、次のいずれかに当てはまり、食事療法・運動療法を行っても効果が不十分な方が対象です※6。
- BMI35以上の方
- BMI27以上で、高血圧・脂質異常症・糖尿病・睡眠時無呼吸症候群などの肥満に関連する健康障害が2つ以上ある方
「自分が当てはまるかわからない」という方も心配いりません。BMIの計算も健康障害の評価も、初診時に医師が行います。健康診断の結果をお持ちいただくとスムーズです。
【保険適用について正直にお伝えします】
ウゴービは条件を満たせば保険適用となる薬ですが、保険診療で処方できるのは、肥満症治療の専門医や管理栄養士の常勤など厳しい施設基準を満たした一部の医療機関(主に大学病院・総合病院)に限られています。当院はこの施設基準の対象外のため、国内正規流通の承認薬を用いた自費診療として肥満治療をご提供しています。「近くの大病院に通い続けるのは現実的でない」という方の受け皿として、地域のかかりつけ医が担う役割だと考えています。
副作用と、安全に使うためのポイント
最も多い副作用は、吐き気・便秘・下痢などの消化器症状です。多くは使い始めや増量のタイミングで現れ、身体が慣れるにつれて軽くなっていきます。当院では少ない量から開始して段階的に増やしていくため、副作用を最小限に抑えながら治療を進められます。
「副作用が怖いから迷っている」という方もいらっしゃると思います。その慎重さは正しい感覚です。だからこそ、オンラインで薬だけを購入するのではなく、対面で診察を受け、体調の変化を医師に相談しながら進められる環境を選んでください。急な腹痛など注意すべき症状が出たときに、すぐ相談できる主治医がいるかどうかが、安全性を大きく左右します。
薬だけに頼らない — 当院の肥満治療が大切にしていること
最後に、薬の種類と同じくらい大切なことをお伝えします。それは「薬をやめた後」の話です。
肥満治療薬は強力ですが、薬だけで痩せて食習慣が変わっていなければ、やめた後にリバウンドしやすいことがわかっています。だからこそ当院では、国家資格を持つ管理栄養士5名の体制で、治療中から「薬をやめても維持できる食習慣づくり」を並走サポートしています。薬で食欲が落ち着いている期間は、実は食習慣を変える最大のチャンスです。この期間を有効に使えるかどうかが、数年後の体重を決めます。
- 肥満・糖尿病・高血圧を一括管理:同じ主治医が全身の代謝を診るため、治療の連携がスムーズです
- 管理栄養士5名による食事サポート:リバウンドを防ぐ「出口戦略」まで見据えた指導を行います
- 国内正規流通の承認薬のみ使用:個人輸入品・偽造品のリスクとは無縁です
- 千葉市・茂原市・市原市からも通院可能:アクセスしやすい立地でかかりつけとしてご利用いただけます
まとめ
- 肥満治療薬は「痩せ薬」ではなく、肥満症という病気の治療薬
- 国内で肥満症治療薬として正式承認されているのは、実質ウゴービとゼップバウンドの2つ
- 効果の平均値ではゼップバウンドが上回るが、薬選びは「相性と継続性」が重要
- 糖尿病治療薬の適応外ダイエット使用や個人輸入は、救済制度の対象外となる可能性があり避けるべき
- 薬をやめた後のリバウンド対策まで含めて設計するのが、本当の肥満治療
「何をしても痩せなかった」という方ほど、医療の力を借りる価値があります。意志の弱さではなく、食欲をコントロールするホルモンの問題だったと、治療を始めてから気づく方がとても多いのです。
皆さんが健康的に減量し、その体重を自分の力で維持できるようになるまで、スタッフ一同でサポートします。
医療の力で、今度こそ最後のダイエットに
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参考文献
※1 日本肥満学会編「肥満症診療ガイドライン2022」
※2 Wilding JPH, et al. Once-Weekly Semaglutide in Adults with Overweight or Obesity (STEP 1). N Engl J Med. 2021;384(11):989-1002.
※3 Jastreboff AM, et al. Tirzepatide Once Weekly for the Treatment of Obesity (SURMOUNT-1). N Engl J Med. 2022;387(3):205-216.
※4 厚生労働省「医薬品・医療機器等安全性情報 No.406」GLP-1受容体作動薬及びGIP/GLP-1受容体作動薬の適正使用について. 2023年12月.
※5 Aronne LJ, et al. Tirzepatide as Compared with Semaglutide for the Treatment of Obesity (SURMOUNT-5). N Engl J Med. 2025.
※6 ウゴービ皮下注 添付文書(ノボノルディスクファーマ)/ゼップバウンド皮下注 添付文書(日本イーライリリー)



