モルゼイト軟膏 クリニックからのお知らせ
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アトピー性皮膚炎の治療薬モイゼルト軟膏について

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アトピー性皮膚炎の治療薬モイゼルト軟膏について

診断している様子

当院では、内科、糖尿病内科のほか、皮膚科も診療しています。
アトピー性皮膚炎の患者さんも多く、コレクチム軟膏はよく使われる薬の1つです。
今回は、患者さんからよく聞かれる質問に答える形式で説明します。

 

疑問

モイゼルト軟膏とは何に効く薬ですか?

モイゼルト軟膏は、ホスホジエステラーゼ4(PDE-4)という酵素を選択的に阻害することで、皮膚の炎症を引き起こす体の中のシグナルの産生を抑えて、皮膚の炎症を鎮める働きがあります。

 

ステロイドである程度炎症が治まったときに、代わりに使うことで、ステロイド外用剤の使用頻度を減らすことに役立ちます。

ステロイド軟膏

 

モイゼルト軟膏はステロイドより強いですか

ステロイド外用剤は、5段階の強さに分かれています。
強い順に1群、2群、3群、4群、5群となります。
モイゼルト軟膏は3群と4群の中間ぐらいの強さに該当します。

ステロイドのレベル

ステロイド外用薬に比べて、皮膚の炎症鎮める作用は弱いですが、炎症がある程度落ち着いた状態を維持することに役立ちます。

モイゼルト軟膏使い続けるとどうなりますか

モイゼルト軟膏を使うと5人以上の確率で皮膚が黒くなったり(色素沈着)、体の痒みや毛穴に炎症を起こしたりする副作用が起きる場合があります。

こういった副作用が軽度であれば使い続けることは問題ありませんが、副作用が辛い場合は、無理に続けずに一旦中止して主治医に相談することをおすすめします。

 

モイゼルト軟膏は
アトピー性皮膚炎を悪化させることがありますか

モイゼルト軟膏(一般名:リフルモラスト )は、アトピー性皮膚炎の治療薬として使用されていますが、アトピーを悪化させることはありません。

モイゼルト軟膏は、ホスホジエステラーゼ4(PDE-4)と呼ばれる酵素の働きを邪魔することで、皮膚の炎症を起こしづらくする働きがあります。

ステロイド外用剤やプロトピック軟膏、コレクチム軟膏とは異なるメカニズムで皮膚の炎症を抑える働きがあります。

モイゼルト軟膏のデメリットはなんですか

モイゼルト軟膏のデメリットはコレクチム軟膏と同様に、ステロイド外用剤ほどの即効性はありませんので、すぐに効果は期待できませんが、副作用が少ないことが逆にメリットになります。
ステロイド外用剤よりも副作用はその分少なく、

おもな副作用は、毛包炎や、皮膚の色が黒くなる色素沈着、皮膚の痒みやニキビなどが挙げられます。

アトピー性皮膚炎の塗り薬で最新のものはなんですか

2022年に6月1日に大塚製薬からモイゼルト軟膏というステロイド外用剤やプロトピック軟膏、コレクチム軟膏といったこれまでの薬とは、全く違うメカニズムを持つ新しいアトピー性皮膚炎の薬が発売されました。

外用剤という意味では、アトピー性皮膚炎の最新のお薬となります。

モイゼルト軟膏の年齢制限はありますか

モイゼルト軟膏の対象年齢が以前は2歳からでしたが、改訂されて、生後3ヶ月から可能になっています。

赤ちゃん

アトピー性皮膚炎を生後3ヶ月から診断することは難しいですが、アトピー性皮膚炎の患者さんは、生まれつきドライスキンがあるため皮膚の炎症が起こしやすく、そういった意味では生後3ヶ月から使える軟膏が臨床中で、広まったのはとても大きな意義があると思います。

参考までに生後6ヶ月からはコレクチムが、2歳からはプロトピックが可能となります。

 

モイゼルト軟膏は、効果が出るのにどのくらいの時間がかかりますか

モイゼルト軟膏は、使用開始後1週間ほどで効果を実感する方が多く、1ヶ月ほどかけて徐々に効果が現れる印象があります。

モイゼルト軟膏の使い方の注意点を教えてください

モイゼルト軟膏は濃度が2種類(0.3%と1.0%)1本10g のチューブになります。

生後3ヶ月~14歳以下のアトピー性皮膚炎の患者さんはモイゼルト軟膏0.3%か1.0%のどちらかを使います。

 

ただし小児には1%製剤を使用し、症状が改善した場合は0.3%製剤への変更を検討すること。というふうになっており、1.0%製剤は短期間の使用にとどめることされています。

15歳以上から70歳以下の成人のアトピー性皮膚炎の患者さんにはモイゼルト軟膏1.0%製剤を使用することが推奨されており、0.3%製剤は、使うことができません。

使用方法は小児、成人ともに、1日2回を患部に塗布して、使えます。1回/塗る量の上限はありません。

 

子供に使用する際の注意点は?

モイゼルト軟膏は、0.3%と1%があり、生後3ヶ月の赤ちゃんから使用可能です。

 

アレルギー・マーチといってアトピー性皮膚炎のある患者さんは、気管支喘息やアレルギー性鼻炎などを発症することがあり、生後5ヶ月頃の離乳食が始まる前の段階で、皮膚の炎症や痒み、皮膚バリアの低下を抑える治療を開始することがとても大切です。

妊婦や授乳中でも使うことはできますか?

妊娠または妊娠している可能性のある女性には、投与しないことが望ましいです。

授乳中の方については、動物実験において乳汁中への移行が確認されているため、治療によるメリットと母乳栄養の有益性を天秤にかけ、授乳の継続または中止を検討することが望ましいです。

皮膚が腫れていたり赤くなったりをして痛いところに使うことはできますか

こういった症状があるときは、ウイルスや細菌やカビといった病原菌が感染していることも考えられるので、医師の指示に従うことが好ましいです。

状況によっては、抗生物質や抗ウイルス薬や抗真菌剤といった治療を行う必要があります。

モイゼルト軟膏の薬価(薬剤費、患者負担)を教えてください

モイゼルト軟膏の薬価(薬剤の値段)は下記のとおりです。
モイゼルト軟膏は、1%と0.3%に分かれており、それぞれ金額が異なります。

 

■モイゼルト軟膏1% 10g  1504円(451円)

■モイゼルト軟膏0.3% 10g 1404円(421.2円)

※( )内は3割負担の金額(薬剤のみ)

1日2回塗るということですが
ぬり忘れてしまった場合はどう対処したらよいですか

塗り忘れた場合は、気づいた時に1回分を塗ってください。
次に塗る時間が近い場合(例えば、3時間~6時間程度しかたっていない)は、忘れた分はぬらずに、次の予定時間に1回分を塗ってください。
例えば、朝の8時になった場合は、夜の7時から9時ぐらいの間に塗るといった感じです。一度に2回分もならないように注意が必要です。

顔に塗っても大丈夫ですか?

顔に塗ることは可能です。
ただし粘膜や、皮膚がえぐれてしまっている場合などは、塗布ができません。
医師の指示に従ってください。

その他のアトピー性皮膚炎治療薬

アトピー性皮膚炎の治療薬は、他にも様々なものがありますが、最近処方できるようになり、6ヶ月のお子さんから使えて安全性も担保され治療効果が高いのが、デュピクセントというおくすりです。

ほとんどのケースで、2週間から2ヶ月程度で改善が見られる薬です。

副作用や実際の内服方法など、下記のブログで詳しく書いています。

こちらの薬について興味がある方は、詳細を別のブログに記載していますので、ご覧ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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この記事の監修者
細田 俊樹
  • 医療法人社団緑晴会 あまが台ファミリークリニック 理事長
  • 日本プライマリ・ケア連合学会 家庭医療専門医

年間15,000人以上の患者さんを診察している総合診療専門医。
総合診療という専門分野を生かし、内科、皮膚科、小児科、生活習慣病まで様々な病気や疾患に対応している。
YouTubeでよくある病気や患者さんの疑問に対して解説している

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