高血圧

高血圧

高血圧

血圧をはかってもらう男性のイラスト

皆さんこんにちは、あまが台ファミリークリニック院長の細田です。

血圧について悩む外来の患者さんから、このような相談をよく受けます。

  • 「たまたま検診で血圧が高いことを指摘された。」
  • 「体重が太ってきたせいか、最近上の血圧が150と高い…」
  • 「両親も血圧が高く脳卒中になったことがあるので自分も心配です。」

血圧とは、動脈にかかる血圧の圧力のことをいいます。

全身にくまなく血液を送り出すために動脈には常に圧力がかかっています。

血液が血管の中を流れるときに血管の壁に正常よりも強い圧力がかかり、それが持続する状態を高血圧といます。自覚症状はほとんどありません。

しかしながら、重症の高血圧になると

  • 胸の痛みや息苦しさ
  • 身体のむくみ
  • 動悸など

を感じることがあります。

その場合は、すぐに医療機関に受診することが大切です。

高血圧の定義

高血圧の定義は、

診察室の血圧で収縮期血圧が140mmHg以上
または拡張期血圧が90mmHg以上の場合

とされています。

しかし、血圧は日常生活の様々な要因で変動することがあります。

血圧をはかる女性

そのため確実な診断には自宅での血圧測定が大変重要な意味を持ちます。

自宅血圧測定は、

朝夕1日2回、5日から7日間の平均で135/85mmHg以上

で高血圧と診断されます。

何度か測定して自分の血圧を知ることが重要です。

血圧を自宅で測る正しい方法

 

血圧を測る腕のイラスト

外来の患者さんから、このような質問をよく受けます。
「血圧を自宅で測る際に正しい方法がわからない。」

ご自宅で測定する際は、以下のことに注意してみてください。

  • 朝と晩1日2回測ること
  • 肘にマンシェットをあて、リラックスした状態で測ること
  • そのため最低5分程度は安静にしてリラックスしてから血圧を測ること

5日間~7日間の平均で135/85mmHg以上で高血圧と診断されます。

高血圧の原因

本態性高血圧

高血圧の原因の90%以上は「本態性高血圧」と言って、生活習慣、特に食塩の過剰摂取が関係しています。

他に遺伝的な体質も関係すると言われています。

二次性高血圧

原疾患が別にあってその症状の一部として血圧が高くなる場合「二次性高血圧」といい、腎臓病やホルモンの異常などによって引き起こされます。

その場合は原因となっている病気の治療が別に必要です。

高血圧を放っておくと

高血圧の状態が続くと、血管が硬く狭くなり、特に脳や心臓、腎臓などが致命傷に陥りやすくなります。

例えば、このような症状に陥る危険性があります。

  • 血管が高血圧に耐えるために壁を厚く硬くする
  • 心臓もより強く力まなければならず次第に肥大
  • バテて心不全になる

また、高血圧・動脈硬化は互いに影響しあって、高血圧、動脈硬化、高血圧と言う悪循環を起こす可能性があります。

動脈硬化は全身の血管に起こりますが、危険なのはある日突然、脳卒中や心臓病などの危険な事態を招くことです。

高血圧を軽視せず、しっかりと管理することが重要です。

高血圧治療の目的

高血圧によって引き起こされる心臓病や脳卒中などの病気を血圧を下げることによって未然に防ぐことが目的になります。

正常な血圧を維持することで、合併症を起こさないことが大切ですが、そのためには治療を継続することが重要です。

また、高血圧以外に合併症を起こしやすいリスクファクターが重なると危険がさらに高まります。

喫煙

肥満

こういった危険因子についてもしっかりと向き合っていく必要があります。

降圧の目標値は?

基本的には140-90mmHg未満を目標にします。

糖尿病患者さんや腎臓に障害のある方は高血圧によるリスクがより高くなります。より低いところまで下げることが目標になります。

診察室血圧(mmHg) 家庭血圧(mmHg)
若年・中年・前期高齢者患者(65~74歳) 140/90未満 135/85未満
後期高齢者患者(75歳以上) 150/90未満
(忍容性があれば140/90未満)
145/85未満(目安)
(忍容性があれば135/85未満)
糖尿病患者 130/80未満 125/75未満
CKD患者(蛋白尿陽性) 130/80未満 125/75未満(目安)
脳血管障害患者
冠動脈疾患患者
140/90未満 135/85未満(目安)
※高血圧治療ガイドラインJSH2014より一部改変

高血圧の改善と予防

原因には日々の生活習慣が大きく関与しています。

高血圧治療の基本は以下の3点です。

運動する人のイラスト

  • ①減塩
  • ②運動
  • ③薬

高血圧の食事療法

高血圧の上昇を防ぐために、野菜や果物をたくさん食べる

野菜や果物には、塩分を体から排出しやすくするカリウムと言う成分が含まれています。

カリウムには血圧の上昇を防ぐ働きがあります。

ただし果物の食べ過ぎはカロリーの増加につながります。食べ過ぎに注意しましょう。

また腎臓病の患者さんではカリウムが溜まりやすくなることがあります。医師あるいは栄養士に相談の上、量を決めていきましょう。

脂肪が多い食事を控える

カロリーを抑えるために、脂肪の摂取は控えたいものです。

肉や乳製品の脂肪は、血液中の悪玉コレステロールを増やしますので、動脈硬化を進めやすくなります。

しかしながら、魚の油には動脈硬化を予防する作用があります。

バランスよく適量を摂取することが大切です。

塩分を控える

減塩のイラスト

高血圧の原因は生活習慣、特に食塩の過剰摂取にあります。食塩は血液の水かさを増し、血管壁を硬くして血圧を上昇させます。

1日の塩分摂取量は6グラム未満にすることが推奨されています。

現在、日本人の平均食塩摂取量は10グラムを超えており、多くは減塩の必要があります。

しかしながら急に減塩をすると、食事が味気ないものになったりストレスがたまったりして長続きしません。

当院では管理栄養士が毎日無理なく続けられる方法をサポートしていきたいと思っています。栄養について興味ある方はスタッフまで気軽にご相談ください。

当院の診察はネット予約が便利です

高血圧の運動療法

適度な有酸素運動には以下のような効果があります。

  • 血圧を下げる
  • 減量の手助け
  • 血液中の悪玉コレステロールや中性脂肪を減らす

日常生活の中に運動を無理なく取り入れ継続していけることが大切です。

運動療法をやっていく上での注意点

  • 水分補給を十分に行いましょう
  • 体調が悪い時、十分に睡眠がとれていない時は運動を控えましょう
  • 体を徐々にならすためにストレッチなどの準備運動をしましょう
  • 息切れするような激しい運動は血圧を上げます。無理なく続けられるペースで運動しましょう。
  • 症状や運動の種類等によっては運動療法が適さない場合があります。運動をはじめる前に必ず医師に相談しましょう

高血圧には有酸素運動が効果的

高血圧の予防や改善に効果的な運動は、運動時に酸素をたくさん取り込む有酸素運動です。

息がはずむ程度で1分間の脈拍数の目安としては138 ー(年齢÷ 2 )がニコニコペースです。できれば1日30分以上毎日行うと理想的です。

続けようとすることがストレスに感じる場合は、2日に一回でも継続的に行えれば充分だと思います。

無酸素運動を避けるべき理由

瞬間的に強い力を入れて行う運動を無酸素運動といいます。無酸素運動は血圧を急上昇させますので好ましくありません。

またテニスやサッカーのような勝敗を争うスポーツも、予防や治療と言う観点から好ましくありません。

もし行うときは動きやルールを工夫して楽に運動できるようにしましょう。

避けるべき運動の一例

短距離走

重量挙げ

その他の日常生活での注意点

高血圧を引き起こす原因は生活習慣にあります。

食事療法や運動療法のほかに、見直すべきポイントをお伝えします。

体重コントロール

肥満は高血圧だけでなく、糖尿病や高脂血症、ひいてはメタボリック症候群につながります。適正な体重を維持することを目標にしていきましょう。

節酒

過度の飲酒は血圧を上昇させ、また脳卒中も多発させます。

お酒を飲む場合の目安は以下の通りです。

  • 男性の場合…ビールなら中瓶1本、日本酒なら1合以下
  • 女性の場合…男性の約半分

ストレスマネジメント

ストレスを感じると血圧は一時的に上昇し、毎日続くと本物の高血圧になります。

  • 何かを悩むときは時間を決める
  • 考え込むぐらいなら外に出て運動をする
  • 楽しいことを考える

など、ストレスマネジメントをしていく必要があります。

十分な睡眠

睡眠をたっぷりとり、心と体を休めることで血圧は安定します。

禁煙

喫煙は血管を収縮させて血圧を上げ、動脈硬化を促進します。

当院では禁煙外来もやっております。悩んでいる方は、スタッフまでお気軽にご相談ください。

家庭血圧の測定

外来での血圧測定だけではわかりにくい血圧の変動や、治療効果を確認するために家庭での血圧測定は大変重要です。

朝起床時(排尿後、食事前)、晩(就寝前)に測り、医師に報告しましょう。

入浴

個人差がありますが、1つの目安として以下の温度と入浴時間をお伝えします。

    • お湯の温度は38度~42度
    • 5分から10分

お湯の温度が熱すぎると血圧が上昇するため注意が必要です。

また、冷水浴は避けましょう。

気温の変化

寒い季節は血圧が上がりやすくなります。十分に防寒して外出するようにしましょう。

また、浴室の脱衣所やトイレなども暖かくしておき、室内の温度差を少なくしましょう

高血圧の薬物療法

高血圧の治療には、食事療法、運動療法等による生活習慣の改善がとても大きな意味を持ちます。

ただし背景には動脈硬化などの原因が考えられるため、それだけでは十分に下がらないことも多いのも実情です。

こういった場合は薬を併用して、目標となる血圧まで下げる必要があります。

降圧薬には下記のような種類があります。

1.血流量を減らす降圧薬

β遮断薬 交感神経による心臓からの血液拍出量の増加を抑えることで血圧を下げます。
利尿薬 血圧を上げる作用がある体の中のナトリウムを尿中に引き出す薬です。ナトリウムは水分を伴って身体の外に出ていくことで血圧を下げます。

2.血管を広げる降圧薬

カルシューム拮抗薬 カルシウムイオンが血管を縮むのを抑えることで血管を直接広げて血圧を下げます。
ARB(アンギオテンシンⅡブロッカー) アンギオテンシン2という血圧を上げる物質をブロックすることにより、その効果を出さないようにします。
ACE(アンギオテンシン変換酵素)阻害薬 アンギオテンシン2という血圧を上げる物質を作らないようにします。
DRI(直接的レニン阻害薬) アンギオテンシンⅡを作るもとになるれ2という物質をブロックすることによって、アンギオテンシンⅡを作らないようにします。
α遮断薬 交感神経によって収縮している血管を広げることで血圧を下げる役割があります。

3.配合薬

異なる種類の薬を組み合わせて1つの薬にしたものです。薬の数を減らすことで服用の負担を減らして飲み忘れを防ぐことに役立ちます。

当院では、脳卒中や心筋梗塞など寝たきりとなる病気の予防に力を入れております。

治療中に不安な点やわからないことなどがありましたら、スタッフまで気軽にご相談ください。

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