メトホルミンで痩せるって本当?
ダイエット目的で使ってよいのか、効果・副作用・肥満治療薬との違いを医師がわかりやすく解説します。
「メトホルミンを飲むと痩せると聞いたけれど、本当にダイエットに使ってよいのだろうか?」
「糖尿病の薬なら、血糖値も下がって体重も落ちるのでは?」
「メトホルミンダイエットという言葉を見たけれど、安全性や副作用が心配」
このように悩んでいませんか?
- ✓メトホルミンで本当に痩せるのか知りたい
- ✓メトホルミンの体重減少効果がどのくらいなのか知りたい
- ✓糖尿病ではないけれど、ダイエット目的で使えるのか気になっている
- ✓ウゴービやゼップバウンドなどの肥満治療薬との違いを知りたい
- ✓自己判断で薬を使う前に、医師に相談したい
先に結論をお伝えします
メトホルミンで体重が少し減る方はいます。しかし、平均的な体重減少は数kg程度にとどまることが多く、肥満治療薬のように大きく体重を落とす薬ではありません。
代表的な研究では、メトホルミン群の平均体重減少は約2.1kgでした。一方で、ウゴービでは平均約14.9%、ゼップバウンドでは平均16.0〜22.5%の体重減少が報告されています。(※1〜※3)
つまり、メトホルミンは糖尿病治療薬として大切な薬ですが、ダイエット目的で安易に使う薬ではありません。しっかり体重を落としたい方は、医師の診察のもとで、肥満治療薬も含めた選択肢を検討することが大切です。
この記事でわかること
- メトホルミンの本来の役割と、体重への影響
- 実際の研究でわかっている体重減少効果
- 副作用や注意点、安全に使うための考え方
- ウゴービ・ゼップバウンドとの違い
- 「薬で楽に痩せたい」と思った時に、どう考えるべきか
目次
- メトホルミンダイエットは痩せる?体重減少効果とおすすめしない理由を医師が解説
- メトホルミンとは?本来は2型糖尿病の治療薬です
- メトホルミンで痩せる人はいるのか?
- メトホルミンダイエットをおすすめしにくい5つの理由
- メトホルミンと肥満治療薬であるウゴービ・ゼップバウンドの体重減少効果の違い
- 肥満治療薬との違い
- 「でも、薬で楽に痩せたい」という気持ちは自然です
- メトホルミンとGLP-1・ウゴービ・ゼップバウンドの違い
- メトホルミンダイエットを検索している方に確認してほしいこと
- 安全に痩せるために大切な3つの考え方
- すでにメトホルミンを飲んでいる糖尿病の方へ
- あまが台ファミリークリニックでできること
- まとめ:メトホルミンダイエットは自己判断で始めないでください
- 参考文献
メトホルミンダイエットは痩せる?体重減少効果とおすすめしない理由を医師が解説

皆さん、こんにちは。あまが台ファミリークリニック院長の細田です。
私はプライマリ・ケア、総合診療を専門に、医師として25年目になります。また、日本糖尿病学会の正会員として、年間約6,000人の糖尿病の患者さんを診察しています。
またゼップバンドやウゴービといった国内で正式認証された肥満治療薬によるメディカルダイエット外来を月80人以上担当させていただいています。
今回のテーマは「メトホルミンダイエット」です。
最近は、SNSやインターネットで「メトホルミンで痩せる」「メトホルミンはアンチエイジングにもよい」「糖尿病ではない人も飲んでいる」といった情報を見かけることがあります。
しかし、医師としては、メトホルミンを単なるダイエット薬のように考えることには注意が必要だと考えています。
メトホルミンとは?本来は2型糖尿病の治療薬です
メトホルミンは、2型糖尿病の治療で長く使われている薬です。
主な作用は、肝臓で糖が作られすぎるのを抑えること、そしてインスリンの効きを改善することです。簡単に言うと、体の中で血糖値が上がりすぎないように調整する薬です。

糖尿病の患者さんでは、食事から入ってきた糖だけでなく、肝臓から作られる糖も血糖値に影響します。メトホルミンはこの肝臓からの糖の放出を抑えることで、血糖値を下げる方向に働きます。
また、メトホルミンは単独使用では低血糖を起こしにくく、体重増加を起こしにくい薬として知られています。米国糖尿病学会の診療指針でも、メトホルミンは血糖低下作用があり、体重中立的で、単独では低血糖を起こしにくい薬として説明されています。(※4)
ここで大切なのは、「体重が増えにくい薬」と「肥満症治療薬」は同じではないということです。
読者の方からすると、「体重が増えにくくて、少し痩せる可能性があるなら、ダイエットに使ってもよいのでは?」と思うかもしれません。
そのお気持ちはよくわかります。体重を落としたい方にとって、薬で少しでも楽に痩せられるなら魅力的に見えると思います。
しかし、メトホルミンはあくまで糖尿病治療薬です。糖尿病ではない方が、ダイエット目的で自己判断で使うことはおすすめできません。
メトホルミンで痩せる人はいるのか?
メトホルミンを使用して体重が減る方はいます。
その理由としては、食欲が少し落ちる、胃腸症状によって食事量が減る、インスリン抵抗性が改善する、腸内環境に影響する可能性がある、などが考えられています。
ただし、メトホルミンを飲めば誰でも大きく痩せる、というわけではありません。
メトホルミンで実際どのくらい体重が減るのか?
では、メトホルミンで実際にどのくらい体重が減るのでしょうか。
代表的な研究として、Diabetes Prevention Programという大規模臨床試験があります。この研究では、糖尿病になりやすい方を対象に、生活習慣介入、メトホルミン、プラセボを比較しています。
その結果、平均体重減少は、生活習慣介入群で約5.6kg、メトホルミン群で約2.1kg、プラセボ群で約0.1kgでした。(※1)
つまり、メトホルミンは体重にまったく影響しない薬ではありません。実際に、メトホルミンで少し体重が減る方はいます。
しかし、ここで大切なのは、その減量幅です。
メトホルミンによる体重減少は、平均すると数kg程度にとどまることが多く、「10kg、15kgと大きく痩せる薬」と考えるのは現実的ではありません。
読者の方からすると、「2kgでも痩せるなら使いたい」と思うかもしれません。
そのお気持ちはよくわかります。体重を落とすことは簡単ではありませんし、薬で少しでも体重が減るなら魅力的に感じると思います。
ただし、メトホルミンは肥満症治療薬ではなく、2型糖尿病の治療薬です。体重減少効果だけを期待して自己判断で使う薬ではありません。
特に、肥満症として医学的に減量が必要な方、血糖値、血圧、脂質、脂肪肝、睡眠時無呼吸症候群などが関係している方では、メトホルミンだけに期待するのではなく、より効果と安全性の根拠がある肥満治療を検討することが大切です。
メトホルミンダイエットをおすすめしにくい5つの理由
理由1:メトホルミンは肥満症治療薬ではない
メトホルミンは、2型糖尿病の治療薬です。
肥満症の治療を目的として国内で承認されている薬ではありません。
医療では、薬にはそれぞれ目的があります。血糖値を下げる薬、血圧を下げる薬、コレステロールを下げる薬、肥満症治療薬など、それぞれ適応や使うべき患者さんが決まっています。
「痩せる可能性がある」という情報だけを切り取って、糖尿病ではない方がダイエット目的で使うのは、薬の本来の使い方から外れてしまいます。
もちろん、医師が患者さんの状態を診察したうえで、医学的に必要と判断して処方する場合はあります。しかし、ネット情報だけをもとに自己判断で使うことは避けてください。
理由2:体重減少効果は限定的なことが多い
メトホルミンで体重が少し減る方はいますが、すべての方が痩せるわけではありません。
体重がほとんど変わらない方もいます。
ダイエット目的で考えた場合、「副作用のリスクを抱えてまで使うほどの体重減少が得られるか」という視点が重要です。
たとえば、体重が80kgの方が2kg減ることは医学的に意味がないわけではありません。しかし、肥満症として治療が必要な方では、血圧、血糖、脂質、脂肪肝、睡眠時無呼吸、膝や腰への負担などを改善するために、より計画的な治療が必要になることがあります。
その場合、薬だけでなく、食事、運動、睡眠、飲酒、ストレス、間食、外食習慣などを一緒に見直す必要があります。
理由3:胃腸症状が出ることがある
メトホルミンで比較的多い副作用が、下痢、吐き気、腹部不快感、食欲低下などの胃腸症状です。(※5)
患者さんの中には、「メトホルミンを飲んだら食欲が落ちて痩せた」と感じる方もいます。
しかし、それは薬の本来のダイエット効果というより、胃腸症状によって食事量が減っている可能性もあります。
ここで注意してほしいのは、「副作用で食べられなくなって痩せること」は、健康的な減量とは言えないということです。
筋肉量が落ちたり、栄養が偏ったり、体調を崩したりすれば、見た目の体重は減っても、健康状態は悪くなる可能性があります。
理由4:まれに乳酸アシドーシスという重い副作用がある
メトホルミンで特に注意が必要な副作用が、乳酸アシドーシスです。
頻度は高くありませんが、重篤な副作用として知られています。添付文書でも、重篤な乳酸アシドーシスを起こすことがあり、死亡に至った例も報告されていると注意喚起されています。(※5)
特に、腎機能が悪い方、肝機能が悪い方、高齢の方、脱水がある方、過度の飲酒がある方、重い感染症がある方などでは注意が必要です。
メトホルミンは、多くの方に使われている糖尿病の薬ですが、腎臓の働きが低下している方では注意が必要です。腎臓の働きが大きく落ちている場合、薬が体にたまりやすくなり、副作用のリスクが高くなることがあるためです。
メトホルミンは、腎臓の働きが低下している方では注意が必要な薬です。腎臓の働きが大きく落ちていると、薬が体にたまりやすくなり、副作用のリスクが高くなることがあります。
そのため、メトホルミンを使う前や使用中には、血液検査で腎臓の働きを確認します。検査結果によっては、薬の量を調整したり、別の薬を検討したりすることがあります。(※6)
※eGFRとは、血液検査でわかる腎臓の働きの目安です。
「若いから大丈夫」「ネットで買った少量だから大丈夫」と考えるのは危険です。
薬は、体質、腎機能、肝機能、飲酒量、脱水の有無、ほかの薬との組み合わせによってリスクが変わります。
理由5:本当に必要な肥満治療が遅れる可能性がある
メトホルミンダイエットに頼ることで、本来必要な肥満治療が遅れてしまうことがあります。
たとえば、肥満に加えて、糖尿病予備群、高血圧、脂質異常症、脂肪肝、睡眠時無呼吸症候群がある方は、単に体重を少し落とせばよいという話ではありません。
将来の心筋梗塞、脳卒中、糖尿病、腎臓病、睡眠の質の低下などを見据えて、体全体を評価する必要があります。
このような方が、自己判断でメトホルミンだけを飲んで満足してしまうと、食事療法、運動療法、適切な肥満症治療薬、睡眠時無呼吸の検査など、本当に必要な対策が後回しになる可能性があります。
メトホルミンと肥満治療薬であるウゴービ・ゼップバウンドの体重減少効果の違い
メトホルミンダイエットに関心がある方に、ぜひ知っていただきたいのが、薬による体重減少効果の違いです。
肥満治療薬との違い
メトホルミンと、ゼップバウンドやウゴービのような肥満症治療薬は、目的が異なります。
メトホルミンは、主に2型糖尿病の血糖コントロールを目的とした薬です。体重が少し減る方はいますが、もともとは大きな減量を目的とした「痩せ薬」ではありません。
一方で、2024年以降、日本でもウゴービやゼップバウンドといった、肥満症そのものを対象にした治療薬が使えるようになってきました。
これらの薬は、医師が適応を判断したうえで、肥満症治療として使用される薬です。食欲を抑えたり、少量で満腹感を得やすくしたりする作用があり、体重管理を目的に使用されます。
当院でも、医師の診察に基づき、ウゴービやゼップバウンドを用いた肥満治療に対応しています。
ただし、どの薬がよいかは、体重だけでは決められません。
糖尿病があるのか、脂肪肝があるのか、腎機能はどうか、現在飲んでいる薬は何か、副作用が出やすい体質か、費用面で継続できるかなどを総合的に見て判断する必要があります。
そのため、「メトホルミンで痩せたい」「肥満治療薬を使ってみたい」と考えている方も、まずは自己判断ではなく、医師に相談しながら安全に治療方針を決めることが大切です。
下の表は、代表的な臨床研究で報告された体重減少の目安をまとめたものです。
| 薬剤 | 主な位置づけ | 代表的な体重減少効果 | ポイント |
|---|---|---|---|
| メトホルミン | 2型糖尿病治療薬 | 平均約2.1kgの体重減少 | 体重が少し減る方はいるが、肥満症治療薬ではない |
| ウゴービ | 肥満症治療薬 | 平均約14.9%の体重減少 | 国内で肥満症治療薬として承認。適応条件の確認が必要 |
| ゼップバウンド | 肥満症治療薬 | 平均約16.0〜22.5%の体重減少 | GIP/GLP-1受容体作動薬。大きな減量効果が期待されるが、適応と副作用確認が重要 |
このように比較すると、メトホルミンとウゴービ・ゼップバウンドでは、体重減少効果の大きさがかなり違います。
メトホルミンは、糖尿病治療薬としては非常に重要な薬です。
しかし、体重をしっかり落として肥満に関連する健康障害を改善したい場合には、肥満症治療薬として承認されているウゴービやゼップバウンドを、医師の診察のもとで検討する方が医学的には自然です。
ただし、ウゴービやゼップバウンドも、誰でも自由に使える薬ではありません。肥満症治療薬として、BMI、合併症、これまでの食事療法・運動療法の状況、副作用リスク、費用、通院継続のしやすさなどを確認したうえで使用を判断します。
「でも、薬で楽に痩せたい」という気持ちは自然です
ここまで読むと、「結局、食事と運動を頑張るしかないのか」とがっかりする方もいるかもしれません。
その気持ちはとてもよくわかります。
体重を落とすことは簡単ではありません。仕事が忙しい、帰宅が遅い、ストレスで食べてしまう、家族の食事に合わせる必要がある、運動する時間がない。こうした現実があります。
医師としても、「食べる量を減らしてください」「運動してください」と言うだけでは、患者さんの行動はなかなか変わらないと感じています。
だからこそ、肥満治療では、根性論ではなく、医学的に安全で続けやすい方法を選ぶことが大切です。
「メトホルミンで少しでも痩せられないかな」と考える背景には、体重が増えてきた不安、血糖値やHbA1cを指摘された不安、自己流ダイエットが続かなかった経験があると思います。
ただ、医学的に見ると、メトホルミンは平均数kg程度の体重減少にとどまることが多く、本格的な肥満治療薬ではありません。
一方で、ウゴービやゼップバウンドは、臨床試験でおおむね15%前後から20%を超える体重減少が報告されている肥満症治療薬です。
もちろん、副作用、費用、適応、継続のしやすさは確認が必要です。しかし、体重をしっかり落として、糖尿病、脂肪肝、高血圧、脂質異常症、睡眠時無呼吸症候群などのリスクを下げたい方にとっては、医師と相談する価値のある選択肢です。
メトホルミンダイエットを始める前に、一度ご相談ください
自己判断で薬を使う前に、まずは「なぜ体重が増えているのか」「糖尿病や脂肪肝、睡眠時無呼吸のリスクがないか」を確認することが大切です。当院では、医師の診察と管理栄養士による食事相談を組み合わせて、無理なく続けられる治療を考えます。
メトホルミンとGLP-1・ウゴービ・ゼップバウンドの違い
最近は、メトホルミンだけでなく、GLP-1受容体作動薬、ウゴービ、ゼップバウンドなどの肥満治療薬に関心を持つ方も増えています。
ここで整理しておきたいのは、薬ごとに目的が違うということです。
メトホルミン
メトホルミンは、主に2型糖尿病の血糖管理に使う薬です。
体重が増えにくい、または少し減る方がいる薬ですが、肥満症治療薬ではありません。
GLP-1受容体作動薬(ゼップバウンド、ウゴービ)
GLP-1受容体作動薬は、血糖管理や体重管理に関係する薬です。薬剤によって、糖尿病治療薬として使われるもの、肥満症治療薬として承認されているものがあります。
食欲を抑える作用、胃の動きをゆっくりにする作用などを通じて、体重減少に関与します。ただし、吐き気、便秘、下痢などの副作用が出ることがあります。
ウゴービ
ウゴービは、セマグルチドを有効成分とする肥満症治療薬です。
STEP 1試験では、セマグルチド2.4mgを週1回使用した群で、68週後に平均14.9%の体重減少が報告されています。(※2)
ただし、ウゴービは美容目的で誰でも自由に使う薬ではありません。BMIや肥満に関連する健康障害、生活習慣改善の状況、副作用リスクなどを確認したうえで、適応を判断します。
ゼップバウンド
ゼップバウンドは、チルゼパチドを有効成分とするGIP/GLP-1受容体作動薬です。
日本では、2024年12月27日に肥満症を効能・効果として国内製造販売承認を取得しています。(※7)
SURMOUNT-1試験では、72週後にチルゼパチド5mgで16.0%、10mgで21.4%、15mgで22.5%の体重減少が報告されています。(※3)
非常に大きな体重減少効果が期待される一方で、吐き気、下痢、便秘、嘔吐などの胃腸症状が出ることがあります。また、体質や病歴、内服薬によっては注意が必要です。
「メトホルミンがよいのか、ウゴービがよいのか、ゼップバウンドがよいのか」という話は、ネット情報だけでは決められません。
体重だけでなく、糖尿病の有無、HbA1c、肝機能、腎機能、脂質、血圧、睡眠時無呼吸の有無などを確認したうえで選ぶ必要があります。
メトホルミンダイエットを検索している方に確認してほしいこと
メトホルミンダイエットに関心がある方は、単に「痩せたい」というだけでなく、次のような悩みを抱えていることが多いです。
- 健康診断で血糖値やHbA1cを指摘された
- 体重が増えてきて、糖尿病が心配
- 脂肪肝を指摘された
- 血圧やコレステロールも高い
- 家族に糖尿病の人がいる
- 食欲を自分でコントロールできない
- 運動しようと思っても続かない
- 睡眠時無呼吸症候群やいびきが気になる
このような方は、メトホルミンを自己判断で使う前に、まず内科や糖尿病内科で相談することをおすすめします。
なぜなら、体重増加の背景には、糖尿病予備群、2型糖尿病、脂肪肝、甲状腺疾患、睡眠時無呼吸症候群、薬の影響、ストレス、睡眠不足など、さまざまな原因が隠れていることがあるからです。
原因を確認せずに薬だけを使うと、根本的な問題を見逃す可能性があります。
安全に痩せるために大切な3つの考え方
1つ目:まずは現在の体の状態を確認する
安全に体重を落とすためには、まず現在の体の状態を確認することが大切です。
体重、BMI、腹囲だけでなく、血糖値、HbA1c、肝機能、脂質、血圧、腎機能を確認すると、どの程度医学的に減量が必要かが見えてきます。
特に、HbA1cが高い方、脂肪肝がある方、血圧が高い方、睡眠時無呼吸が疑われる方は、単なる美容目的のダイエットではなく、生活習慣病の治療として体重管理を考える必要があります。
2つ目:食事療法は我慢ではなく設計で考える
ダイエットというと、「食べない」「糖質を全部抜く」「夜はサラダだけ」といった極端な方法を選ぶ方がいます。
しかし、極端な方法は長く続かないことが多いです。
当院では、管理栄養士が患者さんの生活背景を確認しながら、現実的に続けられる食事改善を一緒に考えます。
たとえば、
- 白米をゼロにするのではなく、量と食べ方を調整する
- 甘い飲み物を水やお茶に置き換える
- コンビニでは主食だけでなく、たんぱく質と野菜を足す
- 夜遅い食事では量と内容を調整する
- 間食は完全禁止ではなく、選び方を変える
このように、続けられる形に落とし込むことが大切です。
3つ目:薬は目的とリスクを理解して使う
薬を使うこと自体が悪いわけではありません。
むしろ、医学的に必要な方にとっては、適切な薬物療法が健康を守る大きな助けになります。
ただし、薬には必ずメリットとデメリットがあります。
メトホルミン、GLP-1受容体作動薬、GIP/GLP-1受容体作動薬、SGLT2阻害薬など、それぞれ作用も副作用も異なります。
大切なのは、「ネットで痩せると書いてあったから使う」のではなく、「自分の体に本当に必要か」「安全に使えるか」「続けられるか」を医師と確認することです。
すでにメトホルミンを飲んでいる糖尿病の方へ
すでに糖尿病治療でメトホルミンを飲んでいる方もいると思います。
その場合、この記事を読んで「メトホルミンは危ない薬なのか」と不安になる必要はありません。
メトホルミンは、適切な患者さんに、適切な用量で、腎機能や体調を確認しながら使えば、2型糖尿病治療において非常に重要な薬です。
問題は、医師の管理なく、ダイエット目的で自己判断で使うことです。
すでに処方されている方は、自己判断で中止せず、気になる副作用や体調変化があれば主治医に相談してください。
特に、発熱、下痢、嘔吐、食欲不振などで脱水になりそうな時は、シックデイ対応が必要になることがあります。メトホルミンの適正使用に関する情報でも、脱水や食欲不振、嘔吐などがある場合の注意が示されています。(※5)(※6)
あまが台ファミリークリニックでできること
あまが台ファミリークリニックでは、糖尿病が心配な方、体重増加が気になる方、肥満治療を検討している方に対して、医師の診察と管理栄養士によるサポートを組み合わせた診療を行っています。
具体的には、次のような相談に対応しています。
- 健診で血糖値やHbA1cを指摘された
- 糖尿病予備群と言われた
- 体重が増えてきて生活習慣病が心配
- 脂肪肝を指摘された
- 肥満治療薬について相談したい
- メトホルミンや糖尿病の薬について不安がある
- ウゴービやゼップバウンドについて相談したい
- 管理栄養士に食事内容を相談したい
ダイエットは、根性だけで何とかするものではありません。
医学的にリスクを確認し、続けられる方法を設計し、必要な場合には適切な薬物療法を組み合わせることで、より安全に進めることができます。
まとめ:メトホルミンダイエットは自己判断で始めないでください
メトホルミンは、2型糖尿病治療で重要な薬です。
体重が少し減る方はいますが、代表的な研究では平均約2.1kgの体重減少であり、肥満症治療薬のような大きな減量効果を期待する薬ではありません。
一方、肥満症治療薬として使われるウゴービでは平均約14.9%、ゼップバウンドでは用量別に平均約16.0%から22.5%の体重減少が報告されています。
つまり、「メトホルミンで少し痩せるかもしれない」と考えるよりも、肥満症として医学的に治療が必要な状態なのかを確認し、必要であればエビデンスのある肥満治療を検討する方が安全で現実的です。
メトホルミンには、下痢、吐き気、腹部不快感などの副作用が出ることがあり、まれですが乳酸アシドーシスという重篤な副作用にも注意が必要です。
「薬で楽に痩せたい」という気持ちは自然です。しかし、自己判断で薬を使う前に、まずは体重増加の原因や生活習慣病のリスクを確認することが大切です。
体重が気になる方、血糖値やHbA1cを指摘された方、メトホルミンダイエットを始めようか迷っている方は、一度医療機関で相談してください。
メトホルミンダイエットを始める前に、医師に相談しませんか?
体重が増えた背景には、糖尿病予備群、脂肪肝、睡眠時無呼吸、ホルモンの異常、生活リズムの乱れなどが隠れていることがあります。当院では、糖尿病診療と肥満治療の視点から、あなたに合った現実的な方法を一緒に考えます。
自己判断で薬を使う前に、まずは安全に痩せるための選択肢を確認しましょう。
参考文献
- ※1 Diabetes Prevention Program Research Group. Reduction in the Incidence of Type 2 Diabetes with Lifestyle Intervention or Metformin. New England Journal of Medicine. 生活習慣介入群で平均約5.6kg、メトホルミン群で平均約2.1kg、プラセボ群で平均約0.1kgの体重減少が報告されています。https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa012512
- ※2 Wilding JPH, et al. Once-Weekly Semaglutide in Adults with Overweight or Obesity. New England Journal of Medicine. セマグルチド2.4mg群では68週後に平均14.9%の体重減少が報告されています。https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2032183
- ※3 Jastreboff AM, et al. Tirzepatide Once Weekly for the Treatment of Obesity. New England Journal of Medicine. SURMOUNT-1試験では、チルゼパチド5mgで16.0%、10mgで21.4%、15mgで22.5%の体重減少が報告されています。https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2206038
- ※4 American Diabetes Association. Pharmacologic Approaches to Glycemic Treatment: Standards of Care in Diabetes. メトホルミンは血糖低下作用があり、体重中立的で、単独では低血糖を起こしにくい薬として説明されています。https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12690185/
- ※5 メトグルコ錠 電子化された添付文書:重篤な乳酸アシドーシスの注意、腎機能障害や肝機能障害、高齢者への慎重投与、消化器症状などの副作用について記載されています。https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00061908.pdf
- ※6 日本糖尿病学会「メトホルミンの適正使用に関するRecommendation」:メトホルミン使用時にはeGFRで腎機能を評価し、eGFR 30mL/分/1.73㎡未満では禁忌、30〜45では慎重投与とされています。https://www.nittokyo.or.jp/modules/information/index.php?content_id=23
- ※7 日本イーライリリー株式会社・田辺三菱製薬株式会社「ゼップバウンド 国内製造販売承認取得」:2024年12月27日に、肥満症を効能・効果として国内製造販売承認を取得したことが発表されています。https://www.tanabe-pharma.com/ja/news/MTPC241227.html
- ※8 厚生労働省「最適使用推進ガイドライン チルゼパチド」:ゼップバウンドは肥満症治療薬であり、美容・痩身・ダイエットなど効能又は効果以外の目的では使用しないことが示されています。https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001440799.pdf



