院長ブログ
院長ブログ

【医師解説】ウゴービとゼップバウンドの違いは?肥満治療薬の選び方と効果を比較 

院長ブログ

「ウゴービとゼップバウンド、名前はよく聞くけど何がどう違うの?」

「効果が高いのはどちら?自分にはどっちが合っているんだろう……」

「副作用が心配で、なかなか一歩が踏み出せない」

肥満治療薬に関心を持ちながら、こうした疑問や不安を抱えている方は非常に多いと感じています。

ウゴービとゼップバウンドは、どちらも週1回の注射で使う肥満治療薬ですが、成分も、作用の仕組みも、効果の大きさも、実はかなり異なります。

この記事では、2つの薬の違いを医師の立場からできる限りわかりやすく比較し、「どちらが自分に向いているか」を判断するための情報をお届けします。

最後まで読んでいただければ、納得したうえで次のステップに進めると思います。

皆さん、こんにちは。あまが台ファミリークリニック院長の細田です。

私は日本肥満学会所属の医師として、毎月50名以上の肥満治療を担当しています。

医師歴25年・家庭医療専門医として、糖尿病や高血圧など生活習慣病との関連も含め、肥満を「からだ全体」から診る診療を続けてきました。

ウゴービとゼップバウンドはどちらも当院で処方している薬です。
実際の診療での経験をもとに、メリット・デメリットを率直にお伝えします。

ウゴービ(セマグルチド)とは

どんな薬?仕組みをわかりやすく説明します

ウゴービの有効成分は「セマグルチド(semaglutide)」です。週1回、ペン型注射器でお腹や太ももに自己注射するタイプの薬で、日本では2023年3月に肥満症治療薬として承認されました。※1

セマグルチドは「GLP-1受容体作動薬」と呼ばれる種類の薬です。

GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)とは、食事をしたときに腸から自然に分泌されるホルモンです。このホルモンには次のような働きがあります。

  • 脳の満腹中枢に働きかけて食欲を抑える
  • 胃の動きをゆっくりにして、満腹感を長続きさせる
  • インスリンの分泌を促し、血糖値を安定させる

ウゴービはこのGLP-1の働きを薬として強化することで、「食べすぎてしまう」という体の状態そのものに働きかけ、体重を減らす効果をもたらします。

「意志力でがんばる」ダイエットとは根本的に違う、体の仕組みにアプローチする治療法です。

効果はどのくらい?臨床試験のデータを見てみましょう

ウゴービの効果を示す代表的な研究が「STEP 1試験」です。※2

肥満症の成人1,961名を対象に、68週間(約1年3か月)にわたって行われたこの臨床試験では、ウゴービを使用したグループで平均14.9%の体重減少が確認されています。食事・運動療法のみのグループと比べると、約5倍の減量効果でした。

体重80kgの方であれば、約12kgの減量に相当します。「意志力だけでは絶対に出せない数字」と言っても過言ではありません。

主な副作用について

ウゴービで最も多く報告されている副作用は、胃腸に関する症状です。

  • 吐き気・悪心(約40〜50%)
  • 下痢(約30%)
  • 便秘(約25%)
  • 嘔吐(約25%)

これらは特に投与開始直後や増量したタイミングで出やすい傾向があります。実際に数百人以上の方に処方させていただいていますが、早いと3日から4日程度で治まること、また長くても1週から2週くらいすると落ち着いてくる方が多いです。

当院では、副作用を最小限に抑えるために必ず低用量から開始し、体の反応を確認しながらゆっくりと増量していきます。「副作用が怖くて……」という方ほど、医師のサポートのもとで始めることが大切です。

不安なことがあれば遠慮なくご質問ください。少しでも安心してスタートできるようにスタッフ全員でサポートいたします。

ゼップバウンド(チルゼパチド)とは

どんな薬?ウゴービとの仕組みの決定的な違い

ゼップバウンドの有効成分は「チルゼパチド(tirzepatide)」です。こちらも週1回の自己注射タイプの肥満治療薬です。

チルゼパチドの最大の特徴は、「GLP-1」と「GIP」という2種類のホルモン受容体に同時に作用する「二重受容体作動薬」であることです。

GIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)はGLP-1と同様に、食後に腸から分泌されるホルモンです。次のような働きがあります。

  • インスリン分泌を促進し、血糖値の安定を助ける
  • 脂肪細胞のエネルギー代謝を改善する
  • GLP-1と組み合わさることで、食欲抑制効果をより強く発揮する

ウゴービが「GLP-1だけ」に作用するのに対し、ゼップバウンドは「GLP-1+GIP」の両方に同時に働きかけます。この2つのホルモンが組み合わさることで、より強力な食欲抑制・体重減少効果が得られると考えられています。

「二刀流」のような仕組みが、ウゴービを超える効果をもたらしている理由です。

効果はどのくらい?驚きの臨床試験データ

ゼップバウンドの効果を示す代表的な研究が「SURMOUNT-1試験」です。※3

肥満症の成人2,539名を対象に、72週間(約1年4か月)にわたって行われたこの試験では、最高用量(15mg)のグループで平均22.5%の体重減少が確認されました。

体重80kgの方であれば、約18kgの減量に相当します。ウゴービの約15%と比較すると、減量効果は明らかに大きいことがわかります。

「本当にそんなに痩せるの?」と感じる方もいるかもしれません。私自身も最初にデータを見たとき、正直驚きました。これだけの効果が出るのは、GLP-1とGIPの相乗効果によるものだと考えられています。

主な副作用について

ゼップバウンドの副作用もウゴービと同様に、胃腸症状が中心です。

  • 吐き気・悪心(約30〜40%)
  • 下痢(約30%)
  • 嘔吐(約20%)
  • 便秘(約15%)

副作用の種類はウゴービとほぼ同じですが、一部の研究では悪心の頻度がやや少ない傾向も報告されています。こちらも低用量から開始して、体の状態を見ながら慎重に増量します。

実際に数百人以上の方に処方させていただいていますが、早いと3日から4日程度で治まること、また長くても1週から2週くらいすると落ち着いてくる方が多いです。

また、薬の作用として、頭の中の視床下部というところに働いて食欲を抑えることで自然と胃腸の動きも悪くなるため、こういった症状が出ます。

ですから注射をする前と後は、特に焼肉定食やカレーなど、脂っこいものは避けることで、副作用が減ると考えられています。

当院では具体的にどんなレシピで食べると副作用が少なくなるのか、国家資格を持つ管理栄養士からも説明しています。

また、治療費用に込みで吐き気止め(メトクロプラミド)を出していますが、使う方は10人に1人いるかいないかといったぐらいだと思っていただければ良いと思います。

管理栄養士

ウゴービとゼップバウンドを徹底比較

ここで、2つの薬の違いをひとつの表にまとめます。

ウゴービ ゼップバウンド
有効成分 セマグルチド チルゼパチド
作用する受容体 GLP-1(1種類) GLP-1+GIP(2種類)
投与方法 週1回 皮下注射 週1回 皮下注射
平均体重減少率 約15% 約20〜22%
主な副作用 悪心・下痢・便秘など 悪心・下痢・便秘など(同様)
適用条件 BMI35以上 または
BMI27以上+肥満関連疾患2つ以上
BMI35以上 または
BMI27以上+肥満関連疾患2つ以上
実績・歴史 日本承認2023年3月。実績多数 より新しい薬。効果データが大きい

どちらを選べばいい?医師の視点からお伝えします

「結局どっちを使えばいいの?」というのが、みなさんが一番知りたいことだと思います。正直に言うと、どちらの薬が合っているかは、その方の状態によって変わります。ここでは、診療の中で私が判断する際の考え方をお伝えします。

ウゴービが向いている方

  • 肥満治療薬を初めて使う方(実績が多く、安心感がある)
  • 副作用をできるだけ抑えて始めたい方
  • GLP-1受容体作動薬(オゼンピックなど)を使ったことがあり、体に合っていた方
  • まず15%前後の体重減少を目指したい方

ゼップバウンドが向いている方

  • より大きな体重減少を目指したい方(20%以上)
  • 糖尿病や高血圧など、肥満関連疾患を複数お持ちの方(GIPの代謝改善効果が期待できる)
  • ウゴービを使ったが効果が不十分だった方
  • 空腹感・食欲のコントロールが特に難しいと感じている方

最終的には血液検査と診察で一緒に決めます

ここまで読んで「ゼップバウンドの方が効果が高いなら、最初からゼップバウンドを選べばいい」と思う方もいるかもしれません。

その気持ちはよくわかります。効果が高い方を選びたいのは当然です。

ただ、私が診療で大切にしているのは「より強い薬が正解」ではなく「その方の体に合った薬を、安全に使うこと」です。副作用の出やすさ、肥満関連疾患の有無、過去の治療歴、生活スタイル——これらを総合的に考えたうえで、最適な選択肢をご提案しています。

「どちらが合っているか」は、一度診察でお話しいただければ、一緒に判断できます。

適用の条件について知っておきましょう

ウゴービ・ゼップバウンドの適用の基準は次のとおりです。

  • BMI(体格指数)が35以上の方
  • BMIが27以上で、かつ高血圧・糖尿病・脂質異常症・睡眠時無呼吸症候群などの肥満関連疾患を2つ以上お持ちの方

BMI27〜34の方でも、肥満関連疾患があれば適用になる可能性があります。「自分が対象かどうかわからない」という方は、まず一度ご相談ください。

よくある疑問・不安にお答えします

「副作用が怖くて、なかなか始められません」

この不安は、本当によく聞きます。正直なことをお伝えすると、吐き気などの胃腸症状は一定の割合で起こりえます。

ただ、「副作用が出る=続けられない」ではありません。

当院では必ず最低用量から始め、4週間ごとに体の反応を見ながら少しずつ増量します。「最初から最大量を打つ」ことは絶対にありません。副作用が出たときの対処法も事前にお伝えしていますし、気になることがあればいつでも相談できる体制を整えています。

「副作用が心配だからこそ、医師のもとで始める」というのが、最も安全な選択です。

「一生打ち続けないといけませんか?」

これも非常に多い質問です。結論から言うと、ずっと使い続ける必要はありません。

目標体重に達した後は、維持のための少量投与に切り替えたり、食事・運動療法を中心にした管理に移行したりするケースも多くあります。

ただし、薬を完全にやめた後にリバウンドしやすい体質の方がいることも事実です。そのため、「薬をやめた後にどうするか」を治療の最初から一緒に考えることが、当院の肥満治療で大切にしていることのひとつです。

「どこで処方してもらえますか?」

ウゴービ・ゼップバウンドは、肥満症治療に対応した医療機関で処方を受ける必要があります。

治療を受けるには、適切な診断と定期的な医師の管理が必要です。当院では初診からオンライン診療にも対応しており、遠方の方でもご相談いただけます。

「どちらの薬が自分に合っているか、一度相談してみたい」

血液検査と診察をもとに、あなたに最適な治療プランをご提案します。初診はオンラインにも対応しています。

肥満治療の詳細を見る
診察を予約する

あまが台ファミリークリニックの肥満治療について

当院の肥満治療が、一般的なダイエット外来と大きく異なる点をお伝えします。

医師と管理栄養士が一緒に伴走します

当院には国家資格を持つ管理栄養士が5名在籍しており、医師の治療方針に合わせた食事指導を個別に行っています。

薬で食欲を抑えながら、食事の内容や食べ方を同時に整えることで、「薬をやめても維持できる体」を目指します。「注射を打つだけ」ではなく、生活習慣ごと変えていくサポートが当院の強みです。

スタッフ管理栄養士 森川 小倉小笠原

総合診療専門医が安全性を管理します

家庭医療専門医・日本肥満学会所属の立場から、糖尿病・高血圧・睡眠時無呼吸症候群など、肥満と関連する他の疾患も含めて総合的に診ています。

肥満治療薬の処方だけでなく、「からだ全体の健康」を見据えた治療計画を立てることが、当院で肥満治療を受ける最大のメリットだと考えています。

★院長診察 シュライバー5

初診からオンライン診療に対応

当院の肥満治療は、初診からオンラインでのご相談が可能です。お仕事が忙しい方、遠方にお住まいの方にも対応しています。

まずは「どちらの薬が合っているか」を気軽に確認するところから始めていただけます。

「がんばるダイエット」ではなく、「支えられるダイエット」を。

ウゴービ・ゼップバウンドのどちらが合っているか、血液検査と診察で一緒に判断します。まずはお気軽にご相談ください。

肥満治療の詳細を見る
診察を予約する(オンライン可)

まとめ

  • ウゴービ(セマグルチド)はGLP-1受容体作動薬。平均約15%の体重減少。実績・安心感が強み。
  • ゼップバウンド(チルゼパチド)はGLP-1+GIPの二重受容体作動薬。平均約20〜22%の体重減少。より高い効果が期待できる。
  • どちらも副作用の種類は似ているが、低用量から始めることで対応できる。
  • 「どちらが自分に合っているか」は診察と血液検査で判断します。

「自分は対象になるの?」「オンラインで相談できる?」という方は、まずお気軽にお問い合わせください。
一緒に、あなたに合った治療の入口を見つけましょう。

あわせて読みたい関連ブログ

薬の違いがわかったら、次は食事・生活習慣・体のサインも一緒に整えていきましょう。
気になるテーマから、続けて読んでみてください。

リバウンドを繰り返す方へ 何度やってもリバウンドする方へ

ダイエットしてもリバウンドする方へ|ウゴービ・ゼップバウンドによる肥満治療とは

記事を読む →

糖尿病のおやつ おやつを我慢しなくていい理由

糖尿病のおやつは我慢しない!血糖値を上げない選び方

記事を読む →

睡眠時無呼吸症候群と糖尿病 肥満と睡眠・血圧の意外なつながり

睡眠時無呼吸症候群と糖尿病・高血圧の関係|肥満が引き起こす負のサイクル

記事を読む →

糖尿病の初期症状 見逃しやすい初期サインに注意

放置してはいけない糖尿病の初期症状5選

記事を読む →

参考文献

  • ※1 医薬品インタビューフォーム ウゴービ皮下注(ノボノルディスクファーマ株式会社), 2023年
  • ※2 Wilding JPH, et al. Once-Weekly Semaglutide in Adults with Overweight or Obesity. N Engl J Med. 2021;384(11):989-1002.
  • ※3 Jastreboff AM, et al. Tirzepatide Once Weekly for the Treatment of Obesity. N Engl J Med. 2022;387(3):205-216.

 

この記事の監修者
細田 俊樹
  • 医療法人社団緑晴会 あまが台ファミリークリニック 理事長
  • 日本プライマリ・ケア連合学会 家庭医療専門医
  • 日本糖尿病学会正会員、日本睡眠学会所属、日本肥満学会所属

年間15,000人以上の患者さんを診察している総合診療専門医。
総合診療という専門分野を生かし、内科、皮膚科、小児科、生活習慣病まで様々な病気や疾患に対応している。
YouTubeでよくある病気や患者さんの疑問に対して解説している

タイトルとURLをコピーしました