「もともと便秘なのに、もっとつらくならない?」
私は医師歴25年の家庭医療専門医で、日本肥満学会に所属し、月間50人の患者さんの肥満治療を担当しています。体重だけでなく、持病や生活背景も踏まえて治療を考えています。
先に知っておきたい3つのポイント
- 吐き気・便秘・下痢などは、どちらの薬でも起こり得ます。
- 軽い症状でも、食事や仕事に支障があれば相談してください。
- 強い腹痛、水分が取れない、息苦しいときは、次の予約を待たず受診が必要です。
ウゴービ・ゼップバウンドでは、どんな副作用がある?
両剤でみられる主な副作用には、吐き気、嘔吐、下痢、便秘、腹痛、胃もたれなどがあります。
症状の種類や程度には個人差があり、全員に同じように出るわけではありません。(※1、※2)
胃腸の症状は治療開始時や増量中に出やすく、時間の経過とともに軽くなることがあります。
ただし、便秘が長引く場合もあり、「何日たてば必ず治る」とは言えません。(※3)
「副作用があるなら、やっぱり怖い」と感じますよね。
だからこそ、始める前に持病や服薬、便通の状態を確認し、困ったときの対応を知っておくことが大切です。
なぜ、吐き気や胃もたれが起こるのでしょうか?
これらの薬には、胃から腸へ食べ物を送り出す速度をゆっくりにする働きがあります。
吐き気には複数の仕組みが関わりますが、この胃の働きの変化も一因です。(※1、※2、※3)
例えるなら、食べ物を次へ送り出すベルトコンベヤーの速度が落ちているところに、以前と同じ量を一度に載せるようなもの。
胃がいっぱいになりやすいため、食べる量と速さを調整することが対処の一つになります。
吐き気・胃もたれがあるときの食べ方
軽い吐き気があり、水分や食事は取れている場合は、次の工夫を試してください。
食事の工夫は症状を軽くするための対応で、副作用を完全に防ぐものではありません。(※3)
- 一度の食事を少なめに。必要に応じて小分けにし、ゆっくり食べます。
- 満腹を感じたら、無理に食べ切らない。残りは別の時間に回す方法もあります。
- 脂っこい料理を控えめに。揚げ物やこってりした料理より、食べやすいものを少量ずつ選びます。
- 水分は少しずつ。一気飲みを避け、こまめに取りましょう。
- 食後すぐに横にならない。胸焼けがあるときは、特に意識してください。
例えば、「今までどおりの定食を全部食べると気持ち悪い」なら、最初から少なめにする、揚げ物を別の料理にする、といった調整から始めます。
「食べないほど痩せるのでは?」と思うかもしれません。
しかし、吐き気でほとんど飲食できない状態は、望ましい治療の目標ではありません。
無理な欠食を続けず、食べられる量が少ないときはご相談ください。

便秘があるときは、水分・食事・動きを確認しましょう
薬の影響に加え、食事量や水分摂取が減ることも便秘に関係します。
「食事が減ったから、便が出ないのは当然」と決めつけず、便の硬さやお腹の張りも確認しましょう。(※3)
- 水分をこまめに取りましょう。心臓病・腎臓病などで水分制限がある方は、主治医の指示を優先してください。
- 野菜などの食物繊維は、体調に合わせて少しずつ。張りが強いのに急に大量に増やすことは避けます。
- 無理のない散歩など、日常で体を動かす時間を作りましょう。
- 最後に排便した日、便の硬さ、腹痛や張りの有無を記録しておくと相談に役立ちます。

改善しないときは、医師が便秘薬の使用や治療の調整を検討します。
市販の便秘薬を次々に追加する前に、処方元や薬剤師へ相談してください。
特に強い腹痛・嘔吐・著しい張りがあるときは、便秘薬だけで様子を見ないことが重要です。(※1、※2)
薬を始める前に、不安な点を相談しませんか?
体重の悩み、持病、普段の食事を伺い、ご希望に合う治療を一緒に考えます。まず詳しく知りたい方は治療案内へ、医師に相談したい方は予約案内へお進みください。
当院の肥満治療は自由診療です。診察料・検査料・薬代などは治療案内でご確認ください。すでに強い症状がある方は、通常の予約を待たず、下記の受診目安に従ってください。
下痢や嘔吐が続くときは、脱水に注意
下痢や嘔吐が続くと、水分が失われ、脱水から腎臓の働きが急に悪くなることがあります。「少し休めば大丈夫」と無理をせず、水分が取れるか、尿が普段どおり出ているかを確認してください。(※4、※5)
飲んでも吐いてしまう、尿が明らかに少ない、立つと強くふらつく場合は、当日中に医療機関へ相談・受診してください。症状が強い場合は救急受診が必要です。水分制限のある方の補給方法は、主治医に確認しましょう。
この症状は、次の予約を待たずに受診してください
「よくある副作用」と自己判断しないでほしい症状
- 強い腹痛が続く、背中まで痛む、繰り返し吐く
急性膵炎などの可能性があります。 - ひどい便秘に、強い張り・腹痛・嘔吐が重なる
腸閉塞を含むイレウスの可能性があります。 - 右上腹部の痛み、発熱、皮膚や白目が黄色くなる
胆嚢・胆管の病気などの可能性があります。
これらの症状があるときは、使用を中止し、次の注射はせず、速やかに医療機関を受診してください。強い症状なら当院への連絡がつくまで待たず、救急外来へ。薬の名前と最後に注射した日を伝えてください。(※1、※2、※4、※5)
息苦しさ、唇・舌・喉の腫れ、意識がもうろうとする場合は119番です。重いアレルギー反応などが疑われます。意識が悪い方に、無理に水や食べ物を飲ませないでください。(※2、※5)
冷や汗、手の震え、動悸、強い空腹感は低血糖の可能性もあります。
特にインスリンや一部の糖尿病薬を併用している方は注意が必要です。
意識がはっきりして飲み込める場合はブドウ糖などを取り、事前に説明された方法で対処して医療機関へ連絡してください。
改善しない場合や意識に異常があれば救急対応が必要です。(※4、※5)

「我慢する」以外にも、治療の進め方を相談できます
「せっかく始めたから、予定どおり増量しないともったいない」。
そう考える方もいると思います。でも、増量の予定より、今の体調を確認することが大切です。
症状や薬の種類に応じて、医師が増量を見送る、用量を見直す、休薬するなどを検討します。
自分で注射量を調節したり、間隔を変えたりせず、次回の注射前に処方元へ相談してください。
中止後もしばらく薬の作用は続くため、症状が強いときは「やめたから大丈夫」と受診を遅らせないでください。(※1、※2、※4、※5)
相談するときは、この4つを伝えてください
- 薬の名前・用量・最後に注射した日、最近増量したか
- いつから、どんな症状があり、どのくらい続いているか
- 食事や水分がどれくらい取れ、尿が出ているか
- 最後の排便、腹痛・発熱の有無、併用している薬
「この程度で連絡してよいのかな」と遠慮する必要はありません。仕事や家事、飲食に支障があれば、そのこと自体が相談する理由になります。
始める前に、持病や飲んでいる薬も確認します
膵炎・胆石の既往、胃腸の病気、腎臓病、糖尿病の治療薬などは、事前にお知らせください。妊娠中・妊娠を希望する方も、治療開始前に必ず相談しましょう。
手術や鎮静を伴う内視鏡検査を受ける予定があれば、検査担当の医師にも使用を伝えてください。(※1、※2)
当院では医師が体調と治療の進め方を確認し、食事のお悩みには管理栄養士も関わります。「食べると気持ち悪いけれど、何を食べたらよいか分からない」といったこともお聞かせください。

治療前に不安があることも、治療中に困った症状が出ることも、相談してよい大切な情報です。
体重と体調の両方を見ながら、一緒に進め方を考えていきましょう。
副作用への不安も、診察でお聞かせください
体重の悩み、持病、普段の食事を伺い、ご希望に合う治療を一緒に考えます。まず詳しく知りたい方は治療案内へ、医師に相談したい方は予約案内へお進みください。
当院の肥満治療は自由診療です。診察料・検査料・薬代などは治療案内でご確認ください。すでに強い症状がある方は、通常の予約を待たず、下記の受診目安に従ってください。
当院へのお問い合わせ:050-3108-1705
診療時間内にご連絡ください。緊急時は通常の予約や折り返しを待たず、救急受診をご検討ください。

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参考文献
- ※1 PMDA:ウゴービ皮下注SD 電子添文(2026年6月改訂)。
- ※2 PMDA:ゼップバウンド皮下注アテオス 電子添文(2026年9月改訂)。
- ※3 Gorgojo-Martínez JJ, et al. Clinical Recommendations to Manage Gastrointestinal Adverse Events in Patients Treated with GLP-1 Receptor Agonists: A Multidisciplinary Expert Consensus. J Clin Med. 2023;12(1):145. 食事などの対処法は専門家の推奨に基づきます。効果を保証するものではありません。)
- ※4 PMDA:ウゴービ皮下注 患者向医薬品ガイド。
- ※5 PMDA:ゼップバウンド皮下注 患者向医薬品ガイド。
2026年10月19日確認。本記事では主な副作用と対応を取り上げています。すべての副作用を網羅するものではありません。実際の対応は症状や持病により異なります。




