放置厳禁!脂質異常症を改善する食事法6選
皆さん こんにちは。
あまが台ファミリークリニック管理栄養士の小島です。
最近、若い世代〜中年の方と幅広い年代で【肥満・コレステロール】を意識されいらっしゃる方が多いです。
しかし
- 「痩せていれば脂質異常はないだろう」
- 「体重は重いけど健康診断では肥満のみだから気にしなくて大丈夫」
と言う認識の方が多いように思います。
実は、痩せていても脂質異常症(内臓脂肪が見えないところで溜まっている・・・とか)になる可能性は大いになりうるし、検査値はいまのところ異常はないけれど、肥満の方が脂質異常症になるのは痩せ・普通体型の方より多いのも事実です。
- 「でも病院に行くほどではないかな」
- 「病院に行きたくても時間が取れない」
- 「コレステロールが高いって言われたけど具体的に何をしたら良いかわからない」
と言う方に向けて、まとめてみました。
脂質異常症の原因・症状・診断基準について
「脂質異常症」あまり聞きなれない言葉かもしれません。
しかし、コレステロール値が高いのは良くないと言うには聞いたことがあるのではないでしょうか?
【LDLコレステロール(悪玉)・中性脂肪が増加し、HDLコレステロール(善玉)が減少した状態】
のことを言います。
この状態が長く続くと、動脈硬化(血管が脆くなる)が生じやすくなり、心筋梗塞・狭心症・脳梗塞の原因にもなり、非常に危険です!
でも実は、脂質異常症に症状は少ないんです。
血清が白くにごったり、アキレス腱に脂肪が溜まり黄色種が見られたり、とわかりにくいにも特徴です。
そんな脂質異常症の一般的な基準値は、
空腹時採血で
- LDLコレステロール・・140ml/dL以上
- HDLコレステロール・・40mg/dL未満
- 中性脂肪(TG)・・150mg/dL以上
となります。
LDLコレステロール | 140mg/dL以上…高LDLコレステロール血症 |
120~139mg/dL…境界域高LDLコレステロール血症 | |
HDLコレステロール | 40mg/dL未満…低HDLコレステロール血症 |
トリグリセライド | 150mg/dL以上(空腹時採血)、175mg/dL以上(随時採血)…高トリグリセライド血症 |
Non-HDLコレステロール | 170mg/dL以上…高non-HDLコレステロール血症 |
150~169mg/dL…境界域高non-HDLコレステロール血症 |
自分ではわかりにくいですし、症状もほとんど現れないので、一度病院で、健康診断を受けてみるのもいいかもしれません。
お食事でのポイント6選
脂質異常症には、薬物療法や運動療法などもありますが、まずはお食事から改善していくと、検査値が良くなる・脂質異常症の予防の効果があります。
ポイント6選を活用してお食事から、予防・治療していきましょう!
①自分の適切なエネルギーってどのくらい?
エネルギー摂取量は標準体重と、身体活動量より算出しましょう。
身体活動量は
- 軽い労作(大部分が座位の活動)→25〜30
- 普通の労作(座位中心だが、通勤・家事、軽い運動を行う)→30〜35
- 重い労作(力仕事、活発な運動習慣がある)→35〜
- 肥満者の場合は20〜25としてまずは5%の減量を目指す
- 医師や管理栄養士から指示がある方はそれに従ってください
(例)身長165cm・現体重70kg・目標体重60kg・既婚 50歳・男性・デスクワーク中心 →
1.65×1.65×22≒60kg(目標体重)
60kg×30=1800kcal(目標エネルギー)
自分の身長と、身体活動量を当てはめて計算し、過剰摂取を控え肥満の改善・予防に努めましょう!
②脂質は全く取らない方がいいの?
脂質はとりすぎると、脂質異常症になる危険性が高まりますが、逆に不足することもリスクになります。
脂質が不足すると、脂質と共に吸収される脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・E・K)が吸収されにくくなり、ビタミン欠乏になるリスクがあります。
(1日の摂取目標2000kcalだと 2000×0.2〜0.25=400〜500kcal)
飽和脂肪酸の摂りすぎに注意
⇨飽和脂肪酸の摂りすぎは、インスリン抵抗性の悪化(糖尿病の原因)や、LDLコレステロール値の上昇を引き起こします。
近年では、過剰摂取だけが問題ではなく摂取不足によって脳出血の発症頻度が高いことも問題となっていることから、適量摂取が望まれます。
(1日の摂取目標2000kcalだと 2000×0.045〜0.07=90〜140kcal)
n-3系脂肪酸の摂取を増やす
⇨n-3系脂肪酸は積極的に摂取したい成分ですが、体内で合成できません。そのため、食べ物から摂取する必要があります。
n-3系脂肪酸にはトリグリセリド(中性脂肪)の低下作用や、血圧の低下作用があります。
このn-3系脂肪酸を多く含む食材は、鮭・サバ・マグロ・サンマなどがあります。
大根おろしと食べると美味しいし、癌予防にも役立ちます♪
トランス脂肪酸の摂取を控える
⇨トランス脂肪酸の過剰摂取は、LDLコレステロール(悪玉)を増加させ、HDLコレステロール(善玉)を低下させてしまう働きがあります。近年企業努力もあって減少傾向ではあります。
しかし、マーガリン・ファストプレッド・ショートニング・マヨネーズなどには多く含まれていることが多いです。
③脂質異常症だから炭水化物は気にしなくていい!!?
脂質異常症なんだから、脂質の量を気にしていればいいんじゃないの?
と思われている方も多いのではないでしょうか。
一見、炭水化物は関係ないようにも思えますが、実は非常に強い関係があります。
⇨炭水化物は大きく分類すると、糖質もしくは食物繊維に分類されます。
糖質は控えめにし、食物繊維は多めに取るようにしましょう。
糖質は、高血糖を招く原因
となっておりますが、
インスリンは血糖値を下げるのと同時に血液中の糖を筋肉や肝臓に溜め込み脂肪細胞に変え細胞にためる働きがあります。
このように、インスリンの働きによってインスリンが必要以上に分泌されてしまうと中性脂肪がどんどん増えてしまいます。つまり、糖質の取りすぎによって中性脂肪は上昇するということになります。
糖質は、白米や食パン・麺などの白い主食に多く含まれます。
色の濃い(茶色のような)主食の方が、糖質が少なく食物繊維やその他の栄養が多いと言われています。(例外あり)
食物繊維は、できるだけ多く取るようにしましょう。(1日25g以上を目安に)
食物繊維は、体内で脂肪吸収されるのを防いでくれる効果があります。
特に水溶性食物繊維は、LDLコレステロールの低下作用があります。
⇨食品 (100g当たりの不溶性食物繊維量)
切り干し大根乾燥(16.1g)
モロヘイヤ(4.6g)
ブロッコリー(4.3g)
大根(3.2g)
ライ麦パン(3.6g)
インゲン豆(12.0g)
小豆(11.3g)
おから(11.1g)
春雨(4.1g)
こんにゃく(3.0g)
⇨食品(100g当たりの水溶性食物繊維)
切り干し大根乾燥(5.2g)
ごぼう(2.3g)
ライ麦パン(2.0g)
納豆(2.3g)
ではここで一度振り返りをしてみましょう。
振り返り
まず脂質異常症とは【LDLコレステロール(悪玉)・中性脂肪が増加し、HDLコレステロール(善玉)が減少した状態】のことを言います。そして、脂質異常症に症状は少ないです。
血清が白くにごったり、アキレス腱に脂肪が溜まり黄色種が見られたり、とわかりにくいにも特徴です。検査の基準を思い出してみましょう。
- 空腹時採血でLDLコレステロール・・140ml/dL以上
- HDLコレステロール・・40mg/dL未満
- 中性脂肪(TG)・・150mg/dL以上
となります。
④たんぱく質で痩せやすい体を作る!?
⇨脂質異常症の方にとってたんぱく質からエネルギーを補給することはとっても重要です。
理由は単純で、
脂質は1g 9kcal
だからです。
脂質のカロリーは、たんぱく質の2倍以上あります。
(炭水化物も1g. 4kcalですが、過剰摂取と種類に注意です。詳しくは1つ前のブログに記載しています)
たんぱく質は、炭水化物、脂質と共にエネルギーを作る栄養素のひとつです。また、筋肉・臓器・皮膚・毛髪などの体構成成分、ホルモン・酵素・抗体などの体調節機能成分として重要であり、生命の維持に欠くことができないものです。
1日のエネルギーから
炭水化物エネルギー(55〜65%)・脂質エネルギー(25〜30%)を引いたエネルギー比率(13〜20%)が良いとされています。
→ 1.65×1.65×22≒60kg(目標体重)
60kg×30=1800kcal(目標エネルギー)
1800kcal×0.13〜0.2=234kcal〜360kcal
(たんぱく質は1g=4kcal)
234〜360÷4=58.5g〜90g/日
が目安となります。
では、どのような食材にたんぱく質が多く含まれているのでしょうか
(例)
⇨100gのイメージがわかない方は、自分の片手いっぱい分を想像してください
例えば片手分の豚ロースを食べると19.3gのたんぱく質が取れるというわけです。
- 生ハム(24.0g)
- 鶏ささみ(23.0g)
- ローストビーフ(21.7g)
- 牛もも肉(21.2g)
- 豚ロース(19.3g)
- 鶏砂肝(18.3g)
- ロースハム(16.5g)
- ウインナー(13.2g)
▪魚介類(100gあたりたんぱく質含有量)
- イワシ丸干し(32.8g)
- いくら(32.6g)
- 焼きたらこ(28.3g)
- するめ(69.2g)
- かにかまぼこ(12.1g)
- 魚肉ソーセージ(11.5g)
▪卵類(100gあたりタンパク質含有量)
- 卵黄(16.5g)
- ピータン(13.7g)
- ゆで卵(12.9g)
- ウズラ卵生(12.6g)
- 生卵(12.3g)
- ポーチドエッグ(12.3g)
- 卵白(11.3g)
- ウズラ卵水煮缶(11.0g)
⇨植物性の食品は数値だけ見ると動物性のものと変わりありませんが、9種類あるアミノ酸のうち何かかけていることがあります。
ダイエットに有効ではありますが、必須アミノ酸が不足しないようにバランス良く動物性の食品も取り入れましょう。
- きな粉(35.5g)
- 油揚げ(18.6g)
- 納豆(16.5g)
- がんもどき(15.3g)
- 厚揚げ(10.7g)
- こしあん(9.8g)
- 豆腐(6.6g)
- 豆乳(3.6g)
▪乳製品(100gあたりタンパク質含有量)
- パルメザンチーズ(44.0g)
- 脱脂粉乳(34.0g)
- プロセスチーズ(22.7g)
- カマンベールチーズ(19.1g)
- クリームチーズ(8.2g)
- 植物性生クリーム(6.8g)
- ヨーグルト(4.3g)
- 牛乳(3.3g)
※市販のものは商品によっても含有量が違ってくるので表示をよく見るようにしましょう。
これらをうまく組み合わせて、自分の体に合ったたんぱく質の量を摂取するように心がけましょう!
⑤ビタミン・ミネラルって結局何がいいの?
⇨ビタミン・ミネラルにもたくさん種類はあり、役割もたくさんになっていますが、今回は脂質異常症のお食事で意識してほしいものをご紹介します。
【脂質異常症で意識してとっていただきたいビタミン・ミネラル3つ】
- カリウム(ナトリウムを体内から排泄する)
- ビタミンC(コレステロールの酸化を防ぐ・抗酸化作用)
- ビタミンB12(血中のホモシステイン (血管障害の原因) 濃度を低下させる)
男性3,000mg以上、女性2,600mg以上(食品例)(100g当たりのカリウム)
- 刻み昆布8200mg
- ほしひじき6400mg
- 乾燥わかめ5200mg
- ベーキングパウダー3900mg
- パセリ3600mg など
ビタミンC → 成人1日の推奨量が100㎎(食品例)(100g当たりのビタミンC)
- アセロラ1700mg
- ケール1100mg
- パセリ820mg
- グァバ220mg
- 焼き海苔210mg など
主に動物性食品に多く含まれます。(食品例)(100g当たりのビタミンB12)
- 牛タン5.4μg
- 牛ヒレ肉4.9μg
- うずらの卵水煮3.3μg
- 卵黄3.0μg
- ショルダーハム1.9μg
- ローストビーフ1.6μg
- 味付けのり58.1μg
- 鰹節21.9μg など
これらは、動脈硬化などの冠動脈疾患の発症を抑制してくれる効果が発見されています。
十分な接種が望まれるため積極的に接種しましょう。
⑥アルコールに適切な飲み方
⇨アルコールによる影響も様々あります。以前、糖尿病の食事療法のブログでもご紹介致しましたが、アルコールの取りすぎは、血圧を高め、肝臓での中性脂肪の合成を促進させてしまいます。
=控えましょう!ということです。
【純アルコール20gの目安】
- ビール 中瓶1本(500ml程度)
- 日本酒 1合(180ml程度)
- 焼酎 0.6合(100ml程度)
- ワイン 1/4本(180ml程度)
- 缶チューハイ 1.5缶(520ml程度)
※医師や管理栄養士からの指示がある方はそれに従ってください。また、毎日飲まれている方は、まず週に1日休肝日を作ってみましょう。
週に4回飲まれている方は休肝日を増やしてみましょう。週に2回飲まれている方は、お酒を家に置かないようにしましょう。
→お酒が楽しみとなっている方もいらっしゃると思います。
医師や管理栄養士と話してみて、適切な範囲で、ストレスなく飲酒できる方法も見つけてみましょう。
(糖尿病食事療法のブログと同じ内容が含まれています)
まとめ
ここまで読んでみていかがでしたか?
①エネルギーの摂取量に注意すること
②脂質の量と種類に気をつけること
③炭水化物の量と種類に注意すること
④たんぱく質を不足なく取りましょう
⑤ビタミン・ミネラル(特にカリウム・ビタミンC・B 12 )を積極的に取りましょう
⑥アルコールは楽しく美味しくほどほどに
以上の6点でした!
肥満が気になるなあといった方はぜひ実践していただき普通体型・痩せ型の方も実は内臓脂肪が溜まっているかもしれないので、上記の6点を予防のためにも意識をしてみましょう!
前回のブログをご覧になってくださった方も、今回のブログを読んでくださった方も、何か1つでも新たな発見・気づきが合ったらいいなと思っています。
あまが台ファミリークリニックでは、お食事・身体のご相談を受け付けております。不安やお悩みがございましたらお気軽にご相談ください♪
詳しくはホームページに記載しています。
当院 細田院長のブログやYouTubeも合わせて読んで頂くと、知識がますます深まるのでご覧になってみてください。
引用)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-044.html
/e-ヘルスネット(厚生労働省)
栄養科学イラストレイテッド 臨床栄養学 /本田佳子・土江節子・曽根博仁
https://www.morinaga.co.jp/protein/columns/detail/?id=85&category=muscle
/森永製菓・文部科学省
https://www.suntory-kenko.com/column2/article/3715/#2ビタミンB12を豊富に
含む食べ物 サントリーウェルネス・文部科学省
https://fooddb.mext.go.jp/ranking/ranking.html 食品成分データベース・文部科
学省