あと何kg痩せたらいいの??糖尿病をはじめとした病気になりやすい体重を知っていますか?
こんにちは。あまが台ファミリークリニック管理栄養士の小笠原です。私はクリニックで糖尿病を始めとした生活習慣病の患者さんの栄養指導を行っています。
あなたはご自身の適正な体重をご存知ですか?
- ダイエットをしたいけど、何kg落とせばいいの?
- 私の体形は、どのくらい太っているの?
- 体重が急に減ってしまって元の体重に戻りたいけど、どうすればいいの?
など、疑問や不安はありませんか?
栄養指導をさせていただいている中で、体重についてのご相談を受けることが多くあります。
ご自身の健康管理のためにも体重のコントロールはとても大切です。健康的な生活を送るために、体重のコントロールを目指していきたいですね。
- 血糖コントロールを目指したい方
- メタボリックシンドロームを改善したい方
- ダイエットを目指したい方
参考にしていただければ嬉しいです。
それでは、一緒に考えていきましょう。
あなたの肥満度は?
近年、日本の食生活は欧米化や運動不足から肥満の人が急増しています。「肥満」とは、体重が多いだけでなく、体脂肪が過剰に蓄積した状態をいいます。
肥満は
- 糖尿病
- 脂質異常症
- 高血圧
- 心血管疾患
などの生活習慣病を始めとして、数多くの疾患のもととなります。
健康づくりにおいて肥満の予防、対策は大切なことなのです。
では、あなたの肥満度を判定するにはどうすればいいのでしょうか?
BMIとは身長からみた体重の程度を示す体格指数で、「Body Mass Index」の略になります。
体重を図っているだけでは、基準が分かりにくいと思うので、日本人の基準を参考に考えてみましょう。
BMIは肥満度を表す指標として、世界中で利用されています。身長と体重から計算できるため、誰でも簡単に自分のBMIを知ることが可能です。BMIの計算方法は世界中で統一されていますが、肥満の判定基準はその国によって異なる場合があります。
BMIを使った肥満度の判定については、WHO(世界保健機構)の基準がありますが、日本では「日本肥満学会」が定めた基準を使用しています。
確かに、日本人の体形と海外の方々の体形は違いますもんね。
それでは、あなたのBMIを計算してみましょう!
BMIの計算
ここで注意することは、身長の単位が(cm)ではなくて、(m)というところになります。
85(kg)÷{1.68(m)×1.68(m)}=30.3
このAさんの場合はBMIが30.3になりますから、肥満に核当しますね。
もう少し具体的に肥満の分類をみてみましょう。肥満の分類というものが下記のようにあります。日本肥満学会で定義されているものになります。
BMIの判定基準
表1
BMI |
肥満の判定 |
18.5未満 | 低体重(やせ) |
18.5~25未満 | 普通体重 |
25~30未満 | 肥満(1度) |
30~35未満 | 肥満(2度) |
35~40未満 | 肥満(3度) |
40以上 | 肥満(4度) |
日本肥満学会 JASSO表 肥満度分類
Aさんは「肥満3度」ということがわかりましたね。
ご自身のBMIがどの範囲に当てはまるか確認をしていただくことで、ある程度の肥満度を分かることができます。
BMIの見方
痩せすぎも良くない!?
ここで注意をしていただきたいことが2点あります。
1つめは、BMI18.5未満の低体重(やせ)の方なのです。
「痩せているから、私は大丈夫!」
ではなくて、痩せていることにより、
- 疲れやすさ
- 月経不順
- 貧血
- 不妊
- 摂食障害
- 将来的に骨粗鬆症
になるリスクがあります。
そのため、痩せ気味の方も体力を維持していくためにも、しっかり筋力をつけるようにしていただけるといいと思います。
BMIでは分からないこと
2つめは、BMIは身長と体重から単純に計算された数値ですので、これだけでは筋肉質か脂肪過多なのかは区別ができません。筋肉は脂肪に比べ、重量が重いため、筋肉質の方は体重が重くなってしまうからです。筋肉質タイプな方にはあてはまらないため、あくまで目安のひとつとして考えて頂ければと思います。
筋肉質タイプの方は「体脂肪率」を目安に考えていただけるといいかと思います。
体脂肪率とは体内に蓄積された脂肪のことを指します。
体脂肪率を測定できる体重計が市販されていますが、メーカーや機種によって推定方法や判定基準が異なることがあり、体脂肪率を正確な判定は困難です。
一定の誤差があることを理解したうえで、あくまでも目安のひとつとして、測定値の増減の傾向を把握していくと良いと思います。
これまで一般的に「肥満は遺伝」と認識されてきました。
しかし、近年、生活環境の関与が注目されるようになってきました。
食習慣の変化や身体活動量の低下などにより、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回り、過剰分が体脂肪として蓄えられ、肥満へつながります。
肥満家系においても、遺伝だけではなく、家族の食習慣や運動習慣など共通した生活習慣が肥満の原因として考えられます。
このように肥満の要因として重要なのは、遺伝よりも生活習慣や食習慣なのです。
生活習慣病などにかかるリスクを下げるには、肥満の改善、予防を行っていくことが大切なのですね。
では、体重の目安を計算してみましょう!
目標体重の目安
65歳から74歳: {身長(m)}2×22~25
75歳以上: {身長(m)}2×22~25
になります。年齢にもよりますが、BMI22~25というところが、目標体重の目安とされています。
例えば先ほどBMIの計算をした、68歳の男性Aさんです。身長は168cm、体重は85kgです。自宅でのんびり過ごしていることが多く、運動習慣は特にない方です。
{1.68(m)×1.68(m)}×25=70
68歳の方なので、61.6kg~70kgが目標体重になります。
目標の体重なのに9kg程度の幅があることがお分かりになったかと思います。理由はBMIが22~25と幅をもっているからなのです。
ではなぜ、BMIの目安が22~25になっているのでしょうか?
生活習慣などにかかる可能性が低く、健康を維持するのにもっとも良い体重とされています。
今までは標準体重であるBMI22を基準に目標体重を計算していましたが、糖尿病ガイドライン2019からは65歳以上の総死亡率の最も低いBMIをもとにした年齢に応じた目標体重を計算するようになりました。
BMI22ではなく、個人差を加味してBMI22~25と幅を持たせることになりました。
どのくらい食べたら太らない量なの?
あなたのBMIや目標体重がお分かりいただいたところで、次に食べる量についての目安をお話しさせていただきたいと思います。
総エネルギー摂取量の計算方法
身体活動レベルと病態によるエネルギー係数
②普通の労作(座位中心だが通勤・家事、軽い運動を含む):30~35
③重い労作(力仕事、活発な運動習慣がある):35~
先程、目標体重を計算したAさんのエネルギーの必要量はいくつになるのでしょうか?
自宅でのんびり過ごすことが多いということなので、エネルギー係数は25~30になります。
61.6kg×30=1848Kcal
②70kg×25=1750Kcal
70kg×30=2100Kcal
Aさんの1日に摂りたいエネルギー必要量は1540Kcal~2100Kcalくらいであることが分かります。
より幅が広がり、個人に合わせた設定ができるようになりました。
みなさんはいかがでしたか?
働き盛りの年齢では、メタボリックシンドロームや肥満、2型糖尿病などの対策し、生活習慣病を予防のために、体重のコントロールが大切になります。
一方で65歳以上の高齢者ではたんぱく質を中心とした栄養不足により、筋肉量が減少し、筋力や身体能力が低下する「フレイル(虚弱)」が問題になっています。
また痩せすぎの場合は、
- 疲れやすさ
- 月経不順
- 貧血
- 不妊
- 摂食障害
- 将来的に骨粗鬆症
になるリスクもあるため、体重コントロールが必要になります。
求められる理想的な食事スタイルは、ライフステージにより変わっていきます。若いときは肥満対策のために体重コントロールが必要となり、年齢を重ねると今度は体重や筋肉を減らしすぎないために体重コントロールが必要になってきます。
そして、楽しく美味しい食事は人生をより豊かなものにするために大切な要素です。あなたの体や病気の状態、生活スタイルにあった体重コントロールを目指していきましょう。
目標の体重やエネルギーの計算方法についてお分かりいただけたでしょうか?
少し難しい内容になってしまいまいたが、いかかでしたでしょうか?
まとめ
今回は体重コントロールの大切さをお話させていただきました。
ご自身の適正体重を知るために、肥満度はBMIの計算で求めることができ、肥満度を判定するための判定基準もあります。
肥満は糖尿病をはじめとした生活習慣病にかかるリスクを上げてしまうこと、反対に痩せすぎも筋力の低下や貧血や月経不順などを招く可能性があるため、体重のコントロールが大切になってきます。
体重のコントロールを行っていく際に参考にしていただければ嬉しいです。
もっと詳しいことを知りたい方は、ぜひ医師や看護師、管理栄養士にご相談してみてくださいね。
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体重コントロールを行いつつ、これからも生活を楽しんでいきましょう。最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
引用・参考文献
日本肥満学会 JASSO表 肥満度分類
糖尿病ガイドライン2019
厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト「e-ヘルスネット」